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【見学】合資会社八丁味噌[カクキュー](愛知・岡崎) - NHK「純情きらり」のロケ地、宮崎あおいさんの手形がある八丁蔵通り、豊臣秀吉ゆかりの矢作橋

まるや八丁味噌に続き、「カクキュー」の屋号の合資会社八丁味噌を見学しました。八丁味噌の名前は、岡崎城から八丁(約870m)西に離れたところにある八丁村(現在の八帖町[はっちょう-ちょう])でつくられてきたことに由来します。NHKの連続ドラマ小説「純情きらり」の舞台ともなった八丁味噌の蔵元は、全国にわずか2軒しかないそうです。岡崎は徳川家康の生誕地でもあり、この地には戦国武将ゆかりの地や数々の言い伝えも残されていました。

日時:2016年8月19日(金) 15:00~15:40頃
場所:合資会社八丁味噌(愛知県岡崎市八帖町字往還通69)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京駅⇔岡崎駅、1日あたり2,370円)、愛知環状鉄道(岡崎駅⇔中岡崎駅、往復460円)

★アクセス
160819 (3)愛知環状鉄道_中岡崎駅
最寄駅は愛知環状鉄道の中岡崎駅(写真)。名鉄名古屋本線の岡崎公園前駅と接続しています。この日はまるや八丁味噌、大正庵釜春本店(うどん屋)を経由して徒歩で向かいました。
160819 (75)カクキュー八丁味噌_アクセス
中岡崎駅から目的地までは、愛知環状鉄道の高架沿いに歩いて約300mです。

★本社事務所
160819 (78)カクキュー八丁味噌_外観
昭和2年に建てられた本社事務所は、白い柱を強調した教会風の個性的なデザイン。木造2階建てのトタン葺き(トタンは亜鉛をめっきした薄い鋼板)で、面積は339平方メートル。2棟が南北につながる構造で、南棟(1階建て)が主たる事務所、北棟(2階建て)が応接室や倉庫として使われています。本社事務所は、現・史料館の建物とともに国の登録文化財に登録されています(平成8年)。
160819 (7)カクキュー(旧東海道沿い)
昔は旧東海道沿いの古い建物が事務所だったそうです(この建物だと思われます)。

★見学受付
160819 (186)カクキュー八丁味噌_売店
工場見学の受付は売店のカウンターで行います。ツアーは10:00(土日祝は9:30)~16:00の間の毎時00分と30分にスタートします(12:30はお昼休み)。少人数の場合は予約不要です。
160819 (82)カクキュー八丁味噌_工場見学受付書
まず工場見学受付書に氏名等を記入します。
160819 (185)カクキュー八丁味噌_売店の出口(見学待合場所へ)
ツアーの待合所は中庭のテント下。売店の入口と反対側にあるドアを出てすぐのところです。
160819 (83)カクキュー八丁味噌_待合所
待合所には、大人から子どもまでたくさんの見学者がツアーの開始を待っていました(写真はひとけの無いはじっこの方の椅子です)。

★工場見学
女性ガイドさんの案内で工場見学がスタートしました。ガイドさんは全部で20数名いるそうです。工場内の写真撮影は自由ですが、ドラマ「純情きらり」に関するものは、肖像権の関係で撮影不可との注意がありました。
160819 (88)カクキュー八丁味噌_カクキュー商標
屋号の「カクキュー」は、当主の名前”早川久右衞門”に由来します。創業は1645年頃と言われており、現当主(呼称は代表社員)で19代目になるそうです。隷書体[れいしょたい](※)の”久”の文字を正方形の枠で囲ったロゴが目立っています。

(※)隷書体:漢字の書体の一つ。八分隷、八分、分書。古文に対して今文[きんぶん]と呼ばれています。

160819 (89)カクキュー八丁味噌_パック詰め
左の建物は、”赤だし”味噌の袋詰めをするところ。大豆(と塩と水)だけで造られる”八丁味噌”に、米味噌を合わせたものが”赤だし”です。八丁味噌は水分がとても少なく硬い味噌であるため、袋詰めはすべて従業員による手作業で行われるそうです。

160819 (153)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
160819 (99)カクキュー八丁味噌_敷地内建物(資料館手前)
敷地内には趣きのある建物が立ち並んでいました。
160819 (100)カクキュー八丁味噌_資料館手前(見学者の列)
史料館へ向かう見学者の列。これだけの人数をさばくガイドさんは大変だろうなぁ...

★史料館
160819 (152)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
明治40年に建てられた味噌蔵を改築した史料館。平成8年には本社事務所とともに”文化庁の登録文化財”に登録されています。史料館を含む工場内の施設には、ツアー参加時のみ立ち入りが可能です(後から気になったところを個人でゆっくり見直すことはできないそうです)。

<昔の看板>
160819 (110)カクキュー八丁味噌_昔の看板
旧国鉄(現在のJR)時代の岡崎駅に飾られていた宣伝用の看板。右に描かれているのは、幼少期の豊臣秀吉(日吉丸)と蜂須賀小六。2人は、工場のすぐそばを流れる矢作川[やはぎがわ]にかかる矢作橋で出会ったと伝えられています。橋の上で菰[こも]をかぶって寝ていた日吉丸は、この出会いで出世の糸口をつかみます。日吉丸がかぶっていた菰は、カクキューの店から盗んだものと言い伝えられているそうです。

<昔の仕込みのようす>
史料館の中には、明治中期頃(1900年前後)の仕込みの様子がマネキンで再現されています。昔の用具類などの展示も充実していました。
160819 (115)カクキュー八丁味噌_鉄製大釜
160819 (113)カクキュー八丁味噌_こしき
まず、鉄製の大釜(蒸気を発生させます)に、菰[こも]が巻かれた大きな大桶=甑[こしき]をはめて(のはず...)、約2トンの大豆が蒸されます。釜と甑を使って原料を蒸す工程は、昔の日本酒造りと同じように見受けられました。
160819 (144)カクキュー八丁味噌_史料館(二階の室へ)
蒸した大豆は潰して”こぶし大の大きさ”に握り固められます。これを「味噌玉」といいます。味噌玉は2階の室[むろ]に運ばれた後に”麹菌”が付けられ、発酵過程に入ります。発酵した味噌玉は、「豆麹[まめこうじ]」へと変わります。
160819 (129)カクキュー八丁味噌_史料館天井
2階の室とつながる天井は”竹”でできています。昔は収穫した大豆を冬場に仕込む「寒づくり」が主流でしたが、寒すぎては発酵が進まないため、焚き火や七輪を使って1階で温めた空気を2階に送っていたそうです。現在は空調機器で温度管理ができるため、1年を通して仕込みが可能です。発酵時の温度を下げようと苦労していた昔の吟醸酒造りやワイン醸造と真逆だったことが興味深かったです。
160819 (120)カクキュー八丁味噌_仕込 - コピー
たらいの中の石ころみたいな塊が豆麹(発酵させた味噌玉)。これに塩と水を加えてよくかきまぜ、職人たちが大きな桶に運び入れて熟成させます。豆麹の入ったたらいは40kgもの重さになるそうです。これを、職人が2人がかりで肩にかついで運びます。
160819 (137)カクキュー八丁味噌_仕込2
桶に乗っている職人は、足袋をはいて、中の味噌を足で踏み固めています。しっかりと踏み込んで空気を抜くことで、雑菌の繁殖を防いでいるそうです。八丁味噌は水分が少ないため、人が乗っても味噌の中に沈みこまないとか。桶の中の味噌の重さは約6トンで、味噌汁だとおよそ30万人分にもなるそうです。桶が満たされたら、蓋をして石を積み、二夏二冬[ふたなつふたふゆ]=約2~3年かけて熟成させます。

<昔の桶>
160819 (125)カクキュー八丁味噌_桶と樽のコーナー
史料館の奥に横たわっている大きな杉桶は、天保10年(1839年)につくられたもの。カクキューでは、天保15年につくられた杉桶が現役最古のものとしていまだに活躍しているそうです。大きな杉桶はその高さから「六尺」(高さ約1.8m)と呼ばれているそうです。
160819 (127)カクキュー八丁味噌_天保10年作の桶 - コピー
170年以上の歴史を歩んできた桶の内部。ロマンだなぁ...

<正直かんな>
160819 (139)カクキュー八丁味噌_正直かんな
桶屋などが用いる長さ1m~2mのかんな。木をかんなの上に乗せて(かんなではなく木を)押して削ります。

★熟成蔵
160819 (157)カクキュー八丁味噌_熟成蔵内
続いて、熟成蔵の中を見学しました。大きな杉桶がたくさん並んでいます。
160819 (158)カクキュー八丁味噌_蔵内温度計
八丁味噌は天然醸造で造られるため、蔵内の温度は自然任せです。職人さんたちは、夏は暑く、冬は寒い室温の中で大変な作業を行っています。この日の蔵内の温度は約34℃でした...
160819 (156)カクキュー八丁味噌_熟成庫(杉桶)
1つの桶には約6トンの味噌が仕込まれており、その上に約3トン(およそ350個)の石が円錐状に積み上げられています。石積みは、まず小石を蓋の周りに積み、次に大きな石を内側に重みがいくように積んでいきます。石積みだけで5~10年の修行が必要と言われており、職人によって積み上げられた石は、過去の地震でも崩れたことがないそうです。たくさんの丸石を積み上げるのは、味噌の水分や塩分が均等に混ざるようにするためで、3トンの石をぽんと1個置くだけでは効果がないそうです。ちなみに、味噌造りと同じ職人さんが石積みも行っているそうです(まるや八丁味噌さんでは別々だったように見受けられました)。

160819 (163)カクキュー八丁味噌_竹製のタガ - コピー
桶の寿命は約100年と言われる一方で、竹製の箍[タガ]の寿命は約70年。竹製の箍を作れる職人さんはもう(ほとんど?)いないため、現存するものはとても貴重なのだそうです。寿命を迎えた箍は順次、鉄製のものに変えられています。伝統の技が失われていくのは少し寂しい感じがしました...

★屋外の仕込み桶
160819 (167)カクキュー八丁味噌_貯蔵蔵の出口
貯蔵蔵の外に出ると、大きな杉桶がたくさん並べられており、次に使う時のために天日干しされていました。
160819 (172)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶
1つの桶の値段は、およそ200万円ほどするそうです(かなりアバウトな数字だそうですが...)。
160819 (169)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶の中
使用済みの仕込み桶は、中に味噌が付いている状態のままで干されます。桶を洗ってからだと、乾燥によってすき間ができたり割れたりすることもあるため、再び使う直前に中をきれいに洗うそうです。見学者の中には、この桶の中に残った味噌を食べてしまう人も”多々”いるとか...(←突っ込みポイント)。

★防火用水
160819 (86)カクキュー八丁味噌_防火用水
水路があったので仕込み水なのか質問したところ、防火用水とのことでした。雨水を溜めてつくられたもので、深さはなんと1.6mほどもあるそうです。使うことを想定されていないせいか、中にはめだかが飼われていました。火事になった時は、かわいそうだけど焼き魚になってもらうことになるとか...(←突っ込みポイント)。
パンフレットによると、この地は花崗岩質の地盤からの良質な天然水に恵まれているそうです。

★試食
160819 (176)カクキュー八丁味噌_試食コーナー
ツアーの最後に、セルフサービスの試食があります。
160819 (180)カクキュー八丁味噌_試食(八丁味噌の味噌汁)
八丁味噌のお味噌汁。赤だしのお味噌汁と比較試飲ができます。通常の味噌よりも旨味と酸味が強く、ほのかな渋味も感じられて複雑な味わいでした。
160819 (179)カクキュー八丁味噌_試食(味噌田楽)
丸いこんにゃくに八丁味噌のタレをかけたもの。

★矢作川と矢作橋
160819 (197)矢作川
工場見学の後は、敷地の西側を少し歩いた所を流れる矢作川を訪れました。この川があったから三河の発酵文化が育ったのだと思うと感慨深くなりました。
160819 (198)矢作橋
慶長6年(1601年)に土橋として架けられた「矢作橋」は、江戸時代における日本最長の大橋だったそうです。橋のそばには日吉丸と蜂須賀小六の「出合之像」があるそうですが(気付かなかった...)、この橋ができた1601年には、豊臣秀吉は既に亡くなっていたそうです。結構アバウトな言い伝えが多いなぁ...。現在の矢作橋には国道1号線が通っています。

★八丁蔵通り
矢作川を見た後は、工場の敷地の西側の小道を歩きました。この道は「八丁蔵通り」と呼ばれており、風情のある建物を見ながらの散策が楽しめます。
160819 (191)カクキュー八丁味噌_八丁蔵通り(東海道側)
八丁蔵通りの北限はちょうどカクキューの敷地の北西の角(国道1号線沿い)になります。
160819 (192)カクキュー八丁味噌_東海道側の外観
カクキューの北側の建物。屋外には石や桶が天日干しされていました。
160819 (201)八丁蔵通り
160819 (203)八丁蔵通り
黒塗りの板張り壁面と漆喰塗の白い土壁の色彩のコントラストが美しい...
160819 (202)八丁蔵通り
風情があります。
160819 (205)八丁蔵通り
八丁味噌の看板も。
160819 (206)八丁蔵通り - コピー
八丁蔵通りの南限は旧東海道に接しています(写真の右側の建物はまるや八丁味噌の事務所)。通りの角には、「純情きらり」で主演をつとめた宮崎あおいさんの手形がありました。

★帰路
160819 (211)愛知環状鉄道(切符)
愛知環状鉄道で岡崎駅まで戻り(中岡崎駅16:04→岡崎駅16:10)、その後は18きっぷで普通列車と快速を乗り継いで東京を目指しました(岡崎駅16:17→16:39豊橋駅(充電休憩)17:02→17:38浜松駅17:50→19:03静岡駅(休憩)20:50→22:04熱海駅22:09→23:46東京駅)。東海道線は乗り継ぎ駅の近くに充電できる喫茶店がいくつかあるのでPC作業がはかどります。
160819 (214)しぞーか酒場(静岡) - コピー
静岡駅で途中下車して、”しぞーかおでん”で一杯...

(初稿)2016.8.23

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テーマ : 味噌
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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