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【見学】宗玄酒造(石川・珠洲) - 能登杜氏四天王・波瀬正吉氏に師事した坂口幸夫杜氏の酒に魅せられて奥能登の”恋路”へ...

能登杜氏四天王・波瀬正吉氏に師事した坂口幸夫氏が杜氏をつとめる宗玄酒造を訪れました。全国新酒鑑評会の公開利き酒会でその味わいが強く印象に残り、映画「一献の系譜」を観て、より興味を深めました。インターネット(公式HP以外)で蔵見学は応相談とあったので電話で問い合わせたところ、内部見学は不可、試飲は可とのこと。蔵内が見れないのは残念でしたが、能登杜氏の聖地・珠洲[すず]をこの目で見てみたいとの思いも強く、訪れることを決めました。

日時:2016年3月16日(木) 11:10頃~
場所:宗玄酒造(石川県珠洲市宝立町宗玄24-22)
内容:見学(外観のみ)、試飲
料金:無料

★アクセス:
160316 (27)北陸奥能登バス_金沢駅
金沢駅東口8:00発→恋路浜11:00着の北陸奥能登バス(宇出津真脇特急線[うしつ・まわき-])を利用しました。珠洲市だから珠洲特急線かと思って調べていたら、それよりも良い路線がありました。念のためバス会社に問い合わてみて良かった...
160316 (23)北陸奥能登バス_切符
バスが発車する1番乗り場の近くの窓口で往復割引券を買いました。往復で4,670円です。
160316 (28)北陸奥能登バス_志雄
のと里山海道の”志雄パーキングエリア”で途中休憩があります。
160316 (29)北陸奥能登バス_車窓
車窓の風景。
160316 (32)北陸奥能登バス_車内
最後は貸切り状態でした...
160316 (35)宗玄_恋路浜停留所
最寄りの恋路浜停留所に到着。バス会社に問い合わせて、このような場所があることをはじめて知りました。
160316 (80)宗玄_恋路浜停留所(アップ)
なんてロマンチック...(注:男の一人旅です)

160316 (65)宗玄_珠洲市看板
恋路浜停留所は能登町の北端にあります。ここから目的地までは、一本道で約500m。いざ、能登杜氏の聖地・珠洲市へ...

★宗玄酒造
160316 (48)宗玄_外観
創業は1768年。創業一族は、能登国守護の一族、畠山義春氏の末裔です。天正五年(1577年)、七尾城主を務めた彼の一族は、上杉謙信の城攻めに遭い、珠洲に逃れて宗玄と改称しました。そして、明和五年(1768年)に宗玄忠五郎氏が酒蔵を興しました。現在の形態は株式会社で、オーナーの個人会社ではありません。
160316 (46)宗玄_明和蔵
正面奥に見えるのが、創業時に建てられた「明和蔵」。
160316 (45)宗玄_平成蔵
平成10年に完成した「平成蔵」。
160316 (38)宗玄_売店
売店のある建物。

★試飲
160316 (59)宗玄_売店
はじめに、売店で試飲をさせて頂きました。
160316 (39)宗玄_試飲

<試飲アイテム>
①「宗玄 純米大吟醸・初しぼり」、兵庫県産山田錦100%、精米歩合50%、17度、米・米こうじ
②「宗玄 純米・八反錦」、広島県産八反錦100%、精米歩合55%、17度、米・米こうじ
③「宗玄 純米・石川門」、石川県産石川門100%、精米歩合65%、17度、米・米こうじ
④「宗玄 特別純米・純酔無垢」、兵庫県産山田錦100%、精米歩合55%、15度、米・米こうじ
⑤「宗玄 隧道蔵・トンネル貯蔵」、兵庫県産山田錦100%、精米歩合55%、15度、米・米こうじ
⑥「艶やか宗玄 雲のあはひ 純米吟醸」、兵庫県産山田錦 100%、精米歩合(麹)50%、(掛)55%、16度、米・米こうじ  

どの酒もふくよかでうま味があるのに、味切れが良くすっきりと感じられました。
①は華やかなフルーツの香りが印象的な純米大吟醸。②はなんと、広島県の酒米・八反錦!独特のコクのある香味。③は石川県のオリジナル米・石川門を使った純米酒で濃醇な味わい。②③④は米の違いが楽しめて、利き酒会で紹介したら楽しいだろうなぁと思いました。⑤は蔵の裏にあるトンネル貯蔵庫(後述)で貯蔵熟成した純米酒で、口当たりが非常にやわらか、⑥(青い瓶だったのでHPで確認してこの銘柄だと思うのですが...)はグレープフルーツのような爽やかな柑橘類の香りが楽しめる気品のある純米吟醸でした。

酵母は主に「金沢酵母」を使用しているそうです。

(参考)石川県の酒造好適米「石川門(石川酒52号)」について~”酒米・石川門の会”のHPより
(a)石川門の系譜
♀:予236(石川県育成系統。五百万石×フクヒカリ)
♂:新潟酒28号(一本〆。五百万石×豊盃)
(b)石川門の特徴
1.石川県での栽培に適している。
2.早生品種/短棹で倒伏しにくい。
3 .吟醸酒向きの品質を有している。
4.粒が大きい(五百万石よりも大粒)/心白が大きく、心白発現率が高い。

石川県産の米としては、他に「能登ひかり」などがあるそうです。

160316 (42)宗玄_仕込水
瓶入りの仕込水。奥能登の黒峰山系の伏流水を使用しているそうです。残念ながら販売はしておらず、蔵元のみで味わえるものでした。

★隧道蔵[ずいどうぐら]
160316 (62)宗玄_隧道蔵
平成蔵の裏手にある「隧道蔵」を案内して頂きました。
160316 (43)宗玄_隧道蔵の入口
160316 (44)宗玄_隧道蔵内部
宗玄は、北陸初の「トンネル貯蔵酒」を手掛けています。平成17年に廃線となった”のと鉄道能登線”が走っていた「宗玄トンネル」(全長130m、幅4m、高さ5m)のうち、中央部の80mを利用して『隧道蔵(ずいどうぐら)』を築きました。蔵内の温度は年間を通して10℃台前半で一定しており、日本酒の貯蔵・熟成に理想的な環境を保っています。カビの付着を防ぐため、熟成時にはビンをPET樹脂でラッピングしておくそうです。

<隧道蔵オーナー倶楽部>
宗玄トンネル貯蔵酒を6本以上購入し、名前が入った専用棚で好きな期間熟成させることができます。年間維持管理費は税込1,080円。オーナーはいつでも無料で蔵内を見学できます。

★坂口幸夫杜氏
坂口杜氏の酒造りのキャリアは、15、16歳の時に滋賀県の蔵に出た時に始まり、以降、石川県加賀の「菊姫」に2年、輪島の清水酒造に杜氏として6年つとめ、平成6年から宗玄酒造に在籍されています。

<一献の系譜 ~ 能登杜氏のドキュメンタリー映画より>
パンフレットの中で坂口杜氏は”永遠の挑戦者”として紹介され、”酒造歴50年の間には、左手の指先二本を切断する事故も起きた”ことや、”夏は野菜と飯米を育て、海でサザエ漁やイカ漁をして過ごす(半漁半農)”生活を送られていることなどが記されています。映画の中で、同じく蔵につとめる息子さんのインタビューがありました。迂闊に杜氏を継ぐとは言えないと重々しく発言しており、実の父に畏敬の念を感じているお姿が強く印象に残りました。

能登杜氏物語~坂口杜氏のインタビューより>
坂口杜氏:"農口杜氏と波瀬杜氏は同級生でライバル。酒の造り方も180°違う。俺はやっぱり波瀬さんのところで育ったせいかな。たとえば山廃は造らん。俺と波瀬さん二人で、「山廃造らんでも、しっかりした味の酒を造れば、山廃に負けん」と、そういう意気込みでやってきた。俺は波瀬杜氏と農口杜氏と両方自分で見てるからね、それが一番恵まれとると思う。
 波瀬さんに対しても好きなこと言ってきたけど、波瀬さんに向かって好きなこと言えたのなんて、俺だけでないかな。何回か(鑑評会で)負かいたこともあるけど、「10回まで二人して(賞を)もろうげぞ」て言うとったのに亡くなられて。俺も困っとるんや。「我れ(=お前)しかおらんがや」と言われて頑張ってきたんやから。"

坂口杜氏は”能登杜氏四天王全員を師に持つ”と言われていますが、やはり波瀬正吉氏への想いが一段と強いようです。また、「大吟醸は店の看板。純米酒は自分の酒。俺はそういうつもりでやってる。」と語られています。その他にも、同インタビューでは、杜氏が蔵人をとても大切にしていることや、酒造りに対する真摯なお気持ちが伺えます。

★見附島[みつけじま]
160316 (51)宗玄_見附島
酒蔵の北側約3.3kmのところにある”見附島”。蔵のスタッフに教えて頂き、折角だから訪れようとしたところ、親切にも車で送ってくださいました。
160316 (50)宗玄_軍艦島
見附島は、当地方に広く分布している新第三紀珪藻泥岩からなる白亜の島で、周囲400メートル、面積1,147平方メートル、標高は28メートルです。見附島という島名は、空海(弘法大師)が佐渡島から当地方に渡った際、最初に見付けた島であることに由来します。島の形が軍艦に似ていることから、軍艦島とも呼ばれています。
160316 (52)宗玄_見附茶屋_サザエごはんセット
近くにある休憩所「見附茶屋」でランチ。さざえごはんセット(1,000円)。

★見附島から恋路海岸へ
160316 (55)宗玄_奥能登の町並み
帰りは恋路浜停留所まで約3.8kmの道のりを歩きました。黒い屋根瓦(能登瓦)と下見板張り[したみいたばり]の伝統的な住居が立ち並び、奥能登らしい風景を楽しむことができました。
(参考)下見板張り:建物の外壁に、長い板材を横に用いて、板の下端がその下の板の上端に少し重なるように張ること。また、その外壁。
160316 (57)宗玄_宗玄停留所
酒蔵のすぐ北側にあった路線バスの”宗玄”停留所。やっぱり歩いてよかった...
160316 (58)宗玄_宗玄停留所(遠景)
停留所の建物も奥能登の雰囲気を醸し出しています。
160316 (63)宗玄_能登瓦
宗玄酒造の建物の脇に積まれていた黒い”能登瓦”。
160316 (66)宗玄_トロッコ恋路駅
奥のとトロッコ鉄道(愛称:のトロ)の”恋路駅”。事前予約をすれば、宗玄駅(宗玄トンネル入口)との往復600mの乗車を楽しめます。
160316 (70)宗玄_恋路物語の像
恋路海岸の地名の由来である”恋路物語”の像。かつて、この地に鍋乃と助三郎という愛し合う2人がいました。助三郎は夜ごと鍋乃が焚く火を目印に逢瀬を重ねていましたが、ある晩、助三郎の恋仇が別の場所に火を焚き、おびき寄せられた助三郎は海の深みに身を取られて命を落としてしまいました。鍋乃はその悲しみから海へ身を投げ、2人は生きているうちに結ばれることなく、命を落としてしまったそうです。
160316 (71)宗玄_恋路観音像
恋路観音像。奥に見えるのは弁天島。
160316 (68)宗玄_恋路海岸の奇岩
迫力のある奇岩。
160316 (67)宗玄_恋路海岸モニュメント
恋路海岸の少し北側にあるハート型のモニュメント。カップルが2人で鐘を鳴らすと恋の願いが叶うそうです。見附島から恋路海岸までの海岸線は、「えんむすビーチ」と言われています。毎年7月の海の日の前日には「恋路の火祭り」が行われ、大松明が夜の海を赤く染めるそうです。
160316 (74)宗玄_酒粕と宗玄の酒と恋路浜
購入したミニボトルとお土産に頂いた酒粕を並べて...見附島に送ってくださった地元に長く住む女性は、宗玄の酒粕の美味しさをしみじみと語っていました。他所で酒粕を食べた時に、いかに宗玄の酒粕が美味しいかを思い知ったそうです。

★帰路
160316 (78)宗玄_恋路浜停留所(遠景)
帰りは、恋路浜15:08発→金沢駅西口18:14着の特急バスを利用しました。
160316バス時刻表
1日2本しかない路線なので、乗り遅れたらえげつないことになります...
160316 (87)宗玄_帰路
途中で夕暮れ時の海岸沿いを走りました。

★シャトーシノン(金沢市内のワインバー。金沢市片町1-1-18)
160316 (25)シャトーシノン
夜は前日のソムリエ協会のセミナーでお会いしたYさんがつとめている金沢市内のワインバーにお邪魔しました。Yさんは有名な酒蔵「菊姫」が一般公募した”酒マイスター”の一期生。この制度は、菊姫が杜氏制度の先行きを懸念して”酒造りができる社員”を育てるために導入したそうです。
160316 (29)シャトーシノン_シェリー
ワインアドバイザー&ベネンシアドールのYさんおすすめのシェリー(オロロソ)。深い...
160316 (27)シャトーシノン_なつめとブルーチーズ
なつめとブルーチーズ。ドライフルーツの濃厚な甘みに、ブルーチーズの塩味とうま味、青かびの心地よい刺激がとてもよく合っていました。
160316 (28)シャトーシノン_パテ
フレッシュ感と濃厚なコクの両立が楽しめたパテ。添えられているマスタードも絶品でした。

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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