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キザクラカッパカントリー・黄桜記念館 - 京都・伏見に湧く名水「伏水」と京都で最初の地ビール

伏見[ふしみ]の地名の由来を冠した名水・伏水[ふしみず]の井戸がある黄桜記念館を訪ねました。「灘の男酒、伏見の女酒」という有名な言葉は、仕込水の水質が”灘は硬水、伏見は軟水(中硬水?)”という違いに由来します。黄桜ではこの伏水を使い、京都初の地ビールも手掛けています。

日 時:2016年7月8日(金) 11:45頃~
場 所:黄桜記念館・キザクラカッパカントリー(京都市伏見区塩屋町228番地)
内 容:自由見学(無料)、有料試飲
最寄駅:京阪本線・伏見桃山駅(約500m)

★アクセス
160708 (6)京阪電鉄中書島駅
この日は大阪市内から京都の伏見まで京阪特急を利用しました(淀屋橋駅9:00→中書島[ちゅうしょじま]駅9:37、運賃390円)。駅を出て、濠川[ほりかわ]の川辺を散策し、月桂冠大倉記念館を見学してから徒歩で向かいました。黄桜記念館から中書島駅までは約600m、月桂冠大倉記念館までは約350mです。

★キザクラカッパカントリー
160708 (101)キザクラカッパカントリー
160708 (109)黄桜_外観遠景
キザクラカッパカントリーは黄桜本社の近くにある直営の複合施設です。
黄桜記念館は、この道路を挟んで南側と北側に2棟あります。記念館の他には、南側に黄桜清酒工房と㈲東山酒造(共に見学不可)、北側に地ビールの麦酒工房(一部見学可)、黄桜商店(売店)、黄桜酒場(地ビールレストラン)、黄桜広場があります。
160708 (102)黄桜_外観
㈲東山酒造は黄桜の関連会社で、杜氏は南部杜氏の保坂康夫氏がつとめています。代表銘柄には、鳥取県・田中農場の”特別栽培米・山田錦”のみを使用した「坤滴[こんてき]」や、京都産の酒米”祝”を使った「魯山人」などがあります。

★伏見の名水、「伏水」
160708 (124)黄桜記念館(南側)入口
伏水は黄桜記念館の南棟の敷地内にあります。
160708 (113)黄桜記念館_黄桜記念館_伏見の名水・伏水アップ
黄桜の敷地にある井戸からは、桃山丘陵地帯を流れる良質な地下水がこんこんと湧き出しています。伏見はかつて「伏水」と呼ばれるほど地下水の豊富な土地であったことから、この井戸もそう命名されました。この伏水で仕込んだ酒は、”きめの細かいまろやかな口当たりと、淡麗な風味”になるそうです。井戸の深さは約60mで、ナトリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラル分を適度に含んでいます。
160708 (112)黄桜記念館_伏見の名水・伏水
伏見の町を開いた豊臣秀吉は、伏見城内に「金名水」、「銀名水」と呼ばれる井戸を掘り、茶会を催していたそうです。
160708 (141)黄桜記念館_伏見の名水・伏水(取水風景)
近所の方たちが水を汲みに来ていました。長年伏見に住んでいるというシニアの女性は、「洗濯と洗い物以外はこの水(伏水)を利用している」と話していました。伏水で作る料理の味は、水道水を使ったものとは全く異なるそうです。名水を生活用水として使えることは贅沢だなぁと思いました。
160708 (142)黄桜記念館_伏見の名水・伏水(取水の注意)
取水量の上限はありませんが、1度に汲めるのは1.0ℓまで。それ以上汲みたい時は、列に並びなおす必要があります。この日も数名の方が順番待ちをされていました。ここ数日はなぜか水の出る勢いが弱くなっていると話していました。
160708 (107)黄桜_伏水ペットボトル
売店では伏水のペットボトル(500mlで税込140円)も販売していました。
100mlあたりの栄養成分は、
・エネルギー・タンパク質・脂質・炭水化物=0
・ナトリウム=2.5㎎(食塩相当量0.0064g)
・カルシウム=1.6㎎
・マグネシウム=0.55㎎
・カリウム=0.38㎎
硬度は61㎎/ℓで、pHは6.4です。

★黄桜記念館(南棟)の展示コーナー
伏水の他にも、記念館にはみどころがあります。
160708 (120)黄桜_映像コーナー
現在の酒造工程を紹介する映像コーナー。
160708 (119)黄桜_昔の酒造りのジオラマ劇場
昔の酒造りのジオラマ劇場。
160708 (121)黄桜_洗米のようす
ジオラマ劇場の”洗米”のようす。
160708 (111)黄桜記念館_昔の酒造道具
昔の酒造道具。
160708 (116)黄桜記念館_建造物
中庭。
160708 (115)黄桜記念館_建造物
この建造物は何だろう...
160708 (118)黄桜記念館_中庭入口
中庭を抜けて南側に進むと、観光バス駐車場への出入口があります。黄桜の菰樽が良い雰囲気を醸し出しています。
160708 (117)黄桜記念館_中庭
駐車場からの酒造場の眺め。

★黄桜記念館の北棟
160708 (108)黄桜記念館(北側)
続いて、記念館の北棟へ...
160708 (125)黄桜記念館(北側)ギャラリー
入口を入ってすぐ正面にギャラリーがあり、昭和30年代からのCF(Commercial Film)ライブラリーや、おなじみのキャラクター”カッパ”の原画が楽しめます。河童を描く漫画家は長らく清水崑[しみずこん]氏がつとめていましたが、彼が亡くなった1974年からは小島功氏が担当しています。ちなみに、「河童の歌」の冒頭にあるシャックリは、歌詞の一部だそうです(シャックリを歌詞と思っていない人が多いとか)。
160708 (129)黄桜記念館(北側)河童資料館
ギャラリーの右手にある”かっぱ淵”をくぐった先には、「河童資料館」があります。河童の起源や歴史、各地の伝承などを展示した日本有数の河童の資料館だそうです。

★有料試飲(黄桜商店のショット売りコーナー)
160708 (104)黄桜カッパカントリー_有料試飲
売店では、1ショット100円(60ml、税込)で利き酒が楽しめます。
左:「吟醸生酒」精米歩合55%、Alc.16%
右:「涼の樽酒 純米吟醸」国産米100%使用、精米歩合60%、Alc.15%

★京都で最初の地ビール「京都麦酒」と黄桜酒場
160708 (132)黄桜酒場_黄桜吟醸庵
黄桜は1995年に京都で最初の地ビール「京都麦酒」を発売しました。仕込水はもちろん”伏水”。地ビールレストラン・黄桜酒場の奥にあるカウンター越しに、麦酒工房の一部を見学できます。
160708 (133)黄桜_麦酒工房
160708 (135)黄桜_麦酒工房
カウンターからの眺め。

160708 (138)黄桜麦酒の製造工程
お店の通路には、麦酒の製造工程のパネルもありました。
「黄桜麦酒(酒蔵仕込)のできるまで」
①仕込槽:砕かれた麦芽は伏水と混ぜ合わされ、麦芽中のでんぷん質が糖分へ変わっていきます。
②ろ過槽:たっぷりと糖分を含んだ麦汁がゆっくりとろ過されます。
③煮沸釜(仕込釜):煮沸によってタンパク質を凝固。添加されたホップによりビール独特の香りと苦味が生まれます。
④ワールプール(固液分離槽):凝固タンパク質の分離が行われます。
⑤プレートクーラー:透明な麦汁は、所定の温度に冷却されます。
⑥発酵タンク:冷却された麦汁に無菌の空気と酵母を加え、発酵が始まります。糖分がアルコールと炭酸ガスに分離され、「若ビール」ができあがります。
⑦貯酒タンク:若ビールは約0℃の低温で熟成され、2週間程度の貯蔵期間に入り、まろやかな味わいになっていきます。
⑧珪藻土ろ過:熟成の終わったビールをろ過。酵母を取り除き、透き通った美味しいビールができあがります。
⑨ろ過受タンク(サービスタンク)
⑩樽詰め

160708 (136)黄桜酒場_京都麦酒アルト
アルトの一口グラス(税別390円/230ml。グラスは450円/275ml、ジョッキは620円/425ml)。主要3銘柄の飲み比べセット(630円)もありました。
・「アルト」Alc.5%、麦芽・カラメル麦芽・ホップ。焙煎した麦芽の香ばしさ。
・「ケルシュ」Alc.5%、麦芽・ホップ。華やかな香り、味わいはさっぱり。
・「蔵のかほり」Alc.4%、麦芽・ホップ。清酒酵母使用。

160708 (139)黄桜酒場_地ビールカレー黒板メニュー
メニューのカッパのイラストがツボだったので...
160708 (137)黄桜酒場_地ビールカレー
地ビールカレー(税別670円)も注文しました。

★幻の小麦を使ったビール「ナイル物語」
黄桜では、早稲田大学のエジプト考古学と京都大学の植物遺伝学の協力を得て、オリジナル・ビールも造っています。
・「ホワイト・ナイル」:紀元前8000年頃以降、古代エジプトで栽培されるようになった”エンマー小麦”をよみがえらせて、麦芽と共に使用。Alc.5%。
・「ブルー・ナイル」:紀元前1000年頃、古代エジプトで栽培されるようになった”デュラム小麦”(エンマー小麦の近縁種)と麦芽を主原料に、ゆずとコリアンダーを副原料として使用。Alc.5%。
・「ルビー・ナイル」:1920年代まで栽培され、その後忘れられた謎の小麦 ”ピラミダーレ”をよみがえらせて、麦芽・カラメル麦芽と共に使用。赤銅色。Alc.7%。

この飲み比べセット(690円)を利くべきだった...

★黄桜の社名の由来
創業者の松本治六郎[まつもと・じろくろう]氏が”黄桜の花”を好んだことに由来します。黄桜は、「鬱金桜」と呼ばれるサトザクラの一種で、淡く緑色がかった白い花を咲かせます。春の黄桜広場では、満開に咲き誇る黄桜が楽しめるそうです。

★黄桜の沿革
1925年(大正14年)、伏見の蔵元・澤屋(現:松本酒造)の分家として創業
1951年(昭和26年)、法人化して、株式会社松本冶六郎商店を設立
1964年(昭和39年)、社名を黄桜酒造株式会社に変更
2006年(平成18年)、10月1日、現在の社名・黄桜株式会社に変更

この後は、黄桜の本家、松本酒造を訪ねました。

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テーマ : ビール工場見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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