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【見学】東薫酒造(千葉・佐原) - 岩手の南部杜氏協会の元会長が千葉で冬場に仕込む酒。関東の水郷のまちに今も残る季節労働の杜氏文化

水郷のまち・佐原の東薫酒造[とうくん-]を見学しました。街中を流れる小野川が利根川に通じているため、佐原はかつて水運の要所として栄えていました。「小江戸」と呼ばれ、今も歴史的な街並みが残されている佐原の酒蔵では、なんと岩手県の南部杜氏が冬場だけ訪れて酒造りを行っていました。

日時:2016年4月28日(木) 10:00~10:30
場所:東薫酒造(千葉県香取市佐原イ627)
内容:見学、試飲(ガイド付き)
料金:無料

★アクセス
最寄り駅はJR成田線の佐原駅。駅から酒蔵までは約700mです。この日は自宅付近から車で連れて行ってもらいました。

★東薫酒造
160427 (1)東薫酒造_外観
創業は文政8年(1825年)。創業者の石毛卯兵衛が、酒造家の伊能家(全国の測量を行い、正確な日本地図を完成させた伊能忠敬の婿入り先)で修行をした後に独立したと伝えられています。現在の当主は8代目を数えるそうです。
160427 (39)東薫酒造_外観
入口から敷地内を写したもの。

★見学受付
160427 (3)東薫酒造_待合場所
ガイド付きの見学ツアーは10:00~15:30のほぼ30分おきにスタートします。予約なしでも大丈夫でしたが、団体さんと被ることもあるので事前予約をするのが無難だと思います。
160427 (4)東薫酒造_売店
入口のわきにある売店。suicaも使えるそうです。

★工場見学
この回は、シニアの男性ガイドさんが蔵内を案内してくれました。10:00の回に参加しましたが、小雨もぱらつく平日だったせいか、見学者は私たち3名だけでした。観光シーズンや、毎年7月と10月に行われる”佐原の大祭”の頃には、多くの観光客が訪れるそうです。歴史上の偉人の人形を乗せた山車が曳き回される”佐原の大祭”は、”川越氷川祭”、”常陸國總社宮大祭”とともに”関東三大祭り”の一つとされています。

<神棚>
160427 (26)東薫酒造_松尾様
蔵の入口の近くには、”松尾様”をまつる神棚がありました。

<酒造に恵まれた環境>
佐原には、”利根川の舟(船)便”、”水郷地帯の良質の早場米”、”良質な水”と、酒造に適した条件が揃っていたそうです。かつては35の酒蔵があったそうですが、現在は東薫酒造と(隣にある)馬場本店酒造の2軒にまで減ってしまったそうです。

<及川恒男杜氏>
160427 (8c)東薫酒造_賞状
杜氏の及川恒男氏は全国新酒鑑評会で金賞を15回も受賞しています(県内最多)。岩手県の南部杜氏協会の会長(現名誉会長)をつとめる大ベテランで、冬場のみ岩手から千葉にやって来て酒造りを行っているそうです。南部杜氏は越後・丹波・但馬と並ぶ日本4大杜氏のひとつです(丹波または但馬のかわりに能登を加える場合もあります)。及川氏は20歳の時に杜氏を志し、宮城県石巻市の酒造会社で13年間修業を積まれました。その時に「浦霞」の平野佐五郎杜氏の薫陶を受け、その後は富山県の蔵で6年を過ごし、この間に仙台国税局が実施した杜氏選考試験に合格したそうです。東薫酒造には39歳のときに入社されています。
東薫酒造のHPによると、及川杜氏にとって良い酒とは「花でたとえるなら桜のような馥郁たる香りの酒.....」とのことです。
及川杜氏は、「及川式醪冷却装置」を考案、実用化されています。

<原料処理:1階→3階>
160427 (28)東薫酒造_洗米
洗米・浸漬工程を経た原料米は蔵の3階に運ばれ、蒸きょう(蒸米)、製麹(麹づくり)、酒母づくりが行われます(洗米・浸漬も3階だったかもしれません...)。

<仕込み:2階→1階>
160427 (9)東薫酒造_仕込タンク
醪(もろみ)の仕込みは2階で行われます。蔵内には鯉のぼりが飾られていました。
160427 (11)東薫酒造_仕込みタンク上部
木製の蓋を外すと、醪を仕込むタンクの上部が顔を出します。1階に設置されている大きなタンクの中に、2階から原料を投入します。
160427 (17)東薫酒造_冷却装置
1階のタンク。温度調整用の管が巻かれているのが「及川式醪冷却装置」(だと思われます...)。

<上槽:1階>
160427 (21)東薫酒造_圧搾機
発酵を終えた醪は、1階の槽場で搾られて、酒になります。写真はメインで使われている圧搾機(ヤブタ式?)。
160427 (23c)東薫酒造_槽
槽[ふね]と呼ばれる、佐瀬式の圧搾機。

<貯蔵・熟成:1階>
160427 (6)東薫酒造_貯蔵タンク
写真のタンク1本の容量は6,681ℓ。1升瓶に換算して3,710本、金額にして742万円にもなるそうです。

東薫酒造での酒造りは、3階建ての蔵内を階上から階下へ原料を送るかたちで行われていました。

★試飲
蔵内を見学した後は、中庭の売店で試飲をさせて頂きました。
160427 (29)東薫酒造_甘酒
最初に甘酒(ノンアルコール)を頂きました。麹のやさしい甘さが口の中に広がりました。

160427 (35)東薫酒造_どぶろく
こちらの「十富禄酒(どぶろく酒)」はアルコール度が6%と低め。やさしい甘味と心地よい酸味の後にアルコールのほどよい辛味が感じられ、女性に喜ばれそうなお酒でした。

160427 (37)東薫酒造_試飲
清酒の試飲のラインナップ。大吟醸酒の「叶」は、1杯300円となります。

・「大吟醸 叶」。
・「夢とまぼろしの物語」大吟醸。
・「吟醸 二人静」十二単ラベル。吟。
・「卯兵衛 純米大吟醸」赤文字。総の舞(香取市佐原北地区で生産)、精米歩合50%。
・「卯兵衛 純米吟醸」緑文字。
・「原酒」。
・「本格辛口清酒」本醸造。
・「梅酒」。
・「柚子酒」。

★中庭の売店
160427 (34c)東薫酒造_売店
試飲コーナーは中庭の売店の一角にありました。ここでは東薫酒造の酒類の他に、千葉県の名産品なども販売されていました。

★ボイラーの蒸気
帰り際に「シューッ」という音がしたので振り返ると、蒸気が一面に立ち込めていました。
160427 (38)東薫酒造_蒸気
ガイドさんに質問したら、ボイラーの蒸気を抜いているとのことでした。
160427 (31)東薫酒造_蒸気前
蒸気が立ち込める前はこんな感じでした。

★感想など
昨年から酒蔵見学を始めましたが、日本酒の産地は寒い地方だろうとの先入観から越後、東北、北陸をメインに回っていました。地元の関東で”季節労働の杜氏文化”がいまだに残されているとは思ってもいなかったので、新鮮な驚きと感動を覚えました。

東薫酒造の後は、同じく水郷のまちにある茨城県・潮来の愛友酒造を訪ねました。
こちらの蔵でも、岩手の南部杜氏が冬場だけ酒造りに訪れていました。

(初稿)2016.8.23

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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