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【見学】浜福鶴・吟醸工房(兵庫・東灘) - 〆は濱田屋で角打ち

兵庫県の伊丹、西宮に続いて、灘の浜福鶴[はまふくつる]・吟醸工房を訪れました。

日時:2016年5月24日(火) 16:00頃~
場所:浜福鶴・吟醸工房(兵庫県神戸市東灘区魚崎南町4-4-6)
内容:自由見学(ガイド無し)
料金:無料
URL:http://www.hamafukutsuru.co.jp/kobo/index.html

★アクセス
160524 (255)魚崎駅
最寄り駅は阪神電鉄の魚崎駅[うおざき-]。工場までは約700mです。
魚崎駅から大阪の梅田駅までは、特急で25分(280円)です。

★外観
160524 (197)浜福鶴_外観
吟醸工房は、(株)小山本家酒造[こやまほんけしゅぞう]の灘浜福鶴蔵の中にあります。小山本家酒造は埼玉県さいたま市西区指扇[さしおうぎ]に本社を置く、酒類の製造・販売企業。世界鷹小山家グループ(せかいたかこやまやグループ)の中核企業であり、傘下に北鹿(秋田県大館市)、雪椿酒造(新潟県加茂市)、越後桜酒造(新潟県阿賀野市)、賜杯桜酒造(茨城県取手市)、京姫酒造(京都市伏見区)、浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)を有しています。

★吟醸工房の入口
160524 (198)浜福鶴_吟醸工房入口
2階ではガラス越しに酒造工程を見学できるほか、昔の醸造道具などが展示されています。1階には売店や有料きき酒処などがあります。


★酒造工程(パネルの説明文より転記・抜粋)
①精米
160524 (199c)浜福鶴_稲
酒造好適米とうるち米の稲。

160524 (235c)浜福鶴_酒米
玄米と精白した米のサンプル。醸造用玄米は特上/特等/1等/2等/3等と規格外に区分(農産物検査法による玄米の検査規格)されており、特定名称酒には3等以上が使われます。

②洗米

③浸漬
160524 (207c)浜福鶴_浸漬室
<浸漬タンク:お米を蒸すために白米に水分を吸収させる場所>
高精白米(吟醸米)は吸水時間が短いため、ザルなどの小さな容器を使って、時間を計測しながら浸漬していました。この工程を再現するために、工房では小型の浸漬タンクを使用することで、米の特徴を把握しながら秒単位の吸水が出来るようにしています。室温:10℃、浸漬水温度:10℃。

④蒸米、⑤放冷(冷却)
160524 (209)浜福鶴_蒸米・放冷
蒸米は酒造りの中で重要な位置を占める工程であり、その良し悪しはお酒の発酵に微妙な影響を与えます。昔はコシキ「甑」と呼ばれる桶を大きな釜の上に置いて蒸し上げました。工房では、この基本理念を守りコシキを再現しています(400kg×3段積み)。この段階で技術者は蒸米の香りを判断し、蒸し上げの時間を決定します(青竹の香りが出るまで・・・・蒸し時間約45~65分)。
蒸し上げたお米は冷却され、用途別にそれぞれの工程に移されます(1.麹になるため麹室へ、2.蒸米として発酵タンクへ)。放冷は冷たい外気を使う必要があるため、かつては冬の早朝に行われていました。工房ではその冷気を再現して放冷しています。

⑥麹
160524 (234)浜福鶴_麹室
<麹室:種麹の繁殖工程>
麹造りは酒造工程の中でも、蒸米、酒母造りと並び非常に重要なものです。
麹は米にカビの一種(種麹)を植え付け、湿度と温度を厳しくコントロールした製麹室で繁殖させます。麹は米の液化や糖化に関係するため、その出来は酒の繊細な味わいを大きく左右します。
米に希望通りの麹をうまく繁殖させるため、技術者は約2日間昼夜を通して管理をします。工房では室温や湿度を自動コントロールすることで、深夜の作業をなくしました。大吟醸の場合は小箱(麹蓋)を使用し繁殖させます。工房の中でも、麹造りは昔の工程に近い形で行われています。この麹室だけが昔ながらの杉の木を使用し、木の緩衝性によって湿度をうまくコントロールしているのです。

160524 (236c)浜福鶴_麹蓋
<麹蓋>
麹を製造する際に使用する杉製の箱。1枚で約2kgの麹が製造できます。空の蓋と合わせて使用し、麹から出る熱・水分・炭酸ガスを巧みに調整します。

⑦酒母
160524 (212c)浜福鶴_酒母室
<酒母室:優良酵母の培養工程>
蒸米と麹米、仕込み水(自社井戸水)、さらに発酵をつかさどる当社開発の酵母を使用して培養します。工房ではそれぞれの種類にあった当社開発の酵母を使用し、安定した発酵を行います。酒母造りは、酵母と酒の旨味の成分を育てるための工程で、小さな単位で培養されます。まさに、「酒の母」の字のごとく、優しく大事に育てられるのです。日数:12~15日間、室温:10℃。

⑧醪
160524 (217)浜福鶴_仕込みタンク
<もろみ発酵:微生物による営み>
主発酵の様子は、まさに米と微生物との共演。もろみは活動し発酵が盛んな時には泡が高く上がります。発酵の初期は固形分が多く、やがて米が麹の力によって溶けて高い泡を形成します。米も溶け、アルコール分が多くなってくると、泡も下がり流動性もなくなってきます。1階の出口付近では、タンクに設けた窓からもろみ発酵の様子を見学できます。

<もろみの移り変わり~日数による状態・香りの変化>
(1)筋泡:留後2~3日でもろみの表面にできる数本の筋となった泡。発酵が始まったことを示します。
(2)水泡:留後3~4日でできる石鹸泡のような薄い膜の泡。
(3)岩泡:泡の粘膜度が増し表面が岩のように見える泡。
(4)高泡:発酵が盛んになると、発生する炭酸ガスのため粘りのある細かい泡(高泡)ができ、5~7日間続きます。
(5)落泡:高泡の後期には、泡は大きく軽くなり、かき回すと落ち込みながら消えるようになります(落泡)。この時期、アルコールが12~13%で発酵が最高に達します。
(6)玉泡:落泡の次の玉泡は。状態によって前泡、本泡、絞り玉や地玉などに区別されます。
(7)地:玉泡が次第にしぼんで表面にしわが寄った状態。坊主、チリメン泡、渋皮、厚蓋、飯蓋などに分けられます。

<浜福鶴1700kgの3段仕込み>左から酒母 - 初添 - 仲添 - 留添 - 合計
総米(kg):120 – 270 – 510 – 800 - 1700
蒸米(kg): 80 - 200 - 400 – 680 - 1360
掛米(kg): 35 - 75 – 110 - 120 - 340
水  (L) :130 – 260 – 610 – 1270 - 2270

160524 (218)浜福鶴_もろみ体感コーナー
<もろみ体感コーナー>
ボタンを押すともろみの音と香りが体感できます。香りは勢いよく噴出されるので、体験した人はみな驚いていました。

160524 (214c)浜福鶴_吟醸室
<吟醸室:大吟醸酒と呼ばれる精白50%以下のお米の発酵室>
工房で造られるお酒は、すべて特定名称酒(大吟醸・吟醸・純米吟醸等)。中でも、精白50%以下(玄米を50%まで精米し米の芯のみ残す)のお米を使用して造るお酒を大吟醸と言います。お米の芯を利用するため管理が非常に難しく、かつては手造りでなければ難しいとされていました。そのため工房でも、大吟醸については発酵タンクを別室とし、細かい管理が出来るようにしています。室温:9℃、発酵温度(最高):11℃、発酵日数:20~40日。

⑨圧搾、⑩調合・火入れ
160524 (216)浜福鶴_圧搾室
<圧搾室:お酒と酒粕に分ける工程>
発酵の終了したもろみ(溶けた米と液体とが混和した状態)を、お酒と酒粕に分離する工程。この機械の中には何枚もの濾過板があり、空気の圧力によって搾り上げます。酒粕はこの機械の中に残り、搾られた原酒は貯蔵タンクへ移されます。通常の商品の場合はさらに細かい濾過を行い、火入れと呼ばれる殺菌工程を経て、各タンクに貯蔵されます、

⑪貯蔵、⑫瓶詰め

★水
160524 (241)浜福鶴_魚崎の名水
<魚崎の名水~日本を代表する酒造用の名水>
水は日本酒の80%を占めており、世界の酒の中でも日本酒ほど水を厳しく選ぶ酒はありません。そして酒造用としてひときわ名高いのがこの地の水、即ち「宮水水系」による井戸水で、酵母の栄養源となるミネラル質を多量に含んでおり、最終段階まで活発に発酵が行われるため、コクがありキレの良い酒を醸し出します。
宮水は天保11年(1840年)に発見され、麹菌や酵母菌の増殖を助けるカリウム、リン酸、マグネシウム、カルシウムなどの成分を多く含む反面、鉄分をはじめ酒造りに有害な成分がほとんど含まれていないのが大きな特徴です。

160524 (205c)浜福鶴_六甲の名水
<六甲の名水>
六甲山は花崗岩と風化砂礫で構成された山です。そこに降る雨は地中深く浸み込んで、いくつもの地層をくぐり抜ける際に、自然のミネラルが豊富に蓄えられます。「浜福鶴」で造られる酒は、すべてこの六甲山の伏流水で醸されます。口当たりの良いまろやかな地下水は辛口でコクのある酒を生み出します。

160524 (244)浜福鶴_浜福鶴井戸
<浜福鶴井戸>
かつて洗瓶用水として利用されていた深さ5m、水位2.4mの井戸。平成7年1月17日の阪神大震災による液状化現象で、井戸底が見えないくらい砂が盛り上がってしまいました。砂を引き上げ(井戸替え)て復元していますが、現在は使用されていません。


★昔の酒造道具
160524 (224)浜福鶴_狐桶
<狐・狐桶>上槽に際し、もろみを酒袋に詰めるための小桶。一方が尖って酒袋に詰めやすいようになっていて、狐の顔を連想させるのでこの名があります。

160524 (225c)浜福鶴_担い桶ほか
<にない桶>容器に綱を付け、天秤棒の両端に担って清酒・もろみ・水などを運ぶ桶。
<ぐり枡[ぐります]>水場で水を汲みながら計量する枡の役をする桶。把手は棒に竹筒を通してあり、竹筒が握りとなるため枡自身は自在に動き、水を汲んだとき常に水平に保って水の計量が正確にできるようになっています。
<分司[ぶんじ]>蒸米を甑内から掘出す際に使用するスコップ状の道具。米が蒸し上がった時、検蒸といって蒸米をこねてひねり餅を作り、米の蒸加減を見ます。

160524 (227c)浜福鶴_水樽ほか
<水樽[みずたる]>容量は約2斗(36リットル)。約100年前までの宮水の輸送は、牛車に水樽を積載して行われていました。
<汲掛枠[くみかけわく]>仕込み後、もと卸桶の中央に筒を入れ筒内の蒸米を掘り出します。筒内には液だまりができ、その液を物料にふりかけることにより、麹の酵素と蒸米が接触し、溶解糖化を促進させます。

160524 (231c)浜福鶴_鬼棒ほか
<鬼棒[おにぼう]>山廃酒母の仕込み後、物量が固くてつぶれにくい時につぶして撹拌するための道具。鬼の金棒に似ていることから名付けられました。
<ぼいまわし>木桶を寝かせて桶の外側胴の部分を洗う道具。蔵人の自作で材質は竹と藁。
<汲杓[くみじゃく]>別名、三味線[しゃみせん]。待桶から狐桶にもろみを汲み込む道具。作業は待ち桶の足場の上で行うので、杓を胸元で使う形となり、三味線をひく姿に連想されたもの。


★濱田屋で角打ち
160524 (247)濱田屋外観
吟醸工房からの帰り道、「地酒とワインの濱田屋」さんで浜福鶴を利きました。昨春に続き、2回目の訪問です。

160524 (248)濱田屋空蔵
会計はキャッシュ・オン・デリバリー方式。冷蔵庫の酒を自分でグラスに注ぎ、代金はその都度、支払います。
酒は浜福鶴の『空蔵[くぞう] 純米吟醸 袋吊り 新酒しぼりたて』。兵庫県産山田錦100%、精米歩合60%、アルコール分17度、日本酒度+4、酸度1.6。

160524 (254)濱田屋_酒肴
お手頃価格で酒に合いそうな酒肴の数々。お目当てのおでんは、残念ながら冬季のみの販売でした。

160524 (251)濱田屋
店の奥の角打ちスペース。電子レンジやトースターもあるので、つまみを温めることもできます。

160524 (252c)濱田屋
「空蔵」1杯350円と、酒蔵パン(クリームチーズ)1切れ80円。


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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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