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【見学】宮水発祥の地(兵庫・西宮) - 六甲山系の軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙。灘酒の名声を高めた名水が湧き出る地。

兵庫県の銘醸地、伊丹・西宮・灘を巡る旅。
この日は伊丹の長寿蔵ミュージアムに続いて、灘酒の名声を高めた”宮水[みやみず]”の発祥地を訪ねました。

日時:2016年5月24日(火) 14:00頃~
場所:宮水発祥の地(兵庫県西宮市久保町4−6。酒造会館の近く)
内容:自由見学
料金:無料

★アクセス
160524 (133)阪急今津線_今津駅
宮水発祥の地の最寄駅は阪神電鉄の西宮駅(目的地まで約800m)ですが、この日は阪急今津線の今津駅から歩きました。目的地までは"酒蔵通りレンガ館"を経由して約1.5kmです。伊丹駅から今津駅までは阪急電鉄で約25分、運賃は220円でした(伊丹駅13:25→13:31塚口駅13:34→13:39西宮北口駅13:45→13:48今津駅)。

160524 (137)日本盛_赤レンガ館
日本盛の”酒蔵通りレンガ館”。この日は定休日でした。

★宮水発祥の地
160524 (150)宮水発祥の地_遠景
”宮水発祥の地”は、西宮酒造家十日会酒造会館(酒造会館)の近くにあります。正面の道路を挟んで左側が酒造会館、右側が宮水発祥の地です。

160524 (147c)宮水発祥の地_全景
敷地内には、宮水発祥の井戸(櫻正宗の旧・梅の木蔵の井戸)と石碑があります。

160524 (148c)宮水発祥の地_石碑
宮水発祥の地の石碑。

160524 (149c)宮水発祥の地_梅の木井戸
”梅の木井戸”は、石碑の右側手前にあります。

★各酒造メーカーの宮水井戸(5/28再訪分を追加)
宮水発祥の地から1ブロック東側の、石在町[いしざいちょう]交差点の南側の通りには、灘の酒造会社が宮水を汲み上げる井戸(宮水井戸)が集中しています。星野珈琲店・西宮店の近くです。
160528 (252)星野珈琲西宮店
星野珈琲店・西宮店。

(a)国道43号線沿い(石在町交差点のやや西側)
160524 (141)宮水_沢の鶴
”沢の鶴”の宮水井戸。

(b)石在町交差点~星野珈琲店の北側
160528 (255)菊正宗_宮水井戸
160528 (256)菊正宗_宮水井戸
”菊正宗”の宮水井戸。

160524 (143)宮水_日本盛
”日本盛”の第三宮水井戸場。

160528 (236c)大関_宮水井戸
”大関”の宮水井戸場。

160524 (146c)宮水_白鹿
”白鹿”の宮水井戸。敷地内には、”はね釣瓶[つるべ]”が野外展示されています。星野珈琲店の南側にも別の宮水井戸があります。

(c)星野珈琲店の南側
160528 (234c)櫻正宗_宮水井戸
”櫻正宗”の宮水井戸。

160528 (233)灘自慢_美亜水井戸
”灘自慢”の宮水井戸。

160528 (232)白鹿_宮水井戸(南)
”白鹿”の宮水井戸。

★宮水とは
兵庫県・西宮市の海岸付近の一帯だけ(約500m四方)に湧き出る酒造用に適した水を「宮水」(”西宮の水”の略)といいます。宮水は環境庁の名水百選にも選ばれています。「播州米[ばんしゅうまい]に宮水、丹波杜氏に六甲颪[ろっこうおろし]、男酒の灘の生一本」と言及されるよう、灘の酒の名声を高める一因となりました。

<宮水の発見>
灘の老舗酒蔵「櫻正宗」の6代目当主・山邑太左衛門[やまむらたざえもん]が、天保11年(1840)頃に宮水を発見したといわれています。当時の櫻正宗は魚崎と西宮の両蔵で酒造りを行っていましたが、常に西宮の酒の出来が良かったそうです。不思議に思った太左衛門は、同じ米を使ったり、蔵人を入れ替えたりしてみたそうですが、結果は変わりませんでした。そこで、西宮の水(梅の木蔵の井戸水)を魚崎に運んで酒を仕込んだところ、ようやく西宮と同等の良い酒ができたため、その原因が“西宮の水”にあると結論づけました。
それ以降、灘の酒蔵は競ってこの地の水(宮水)を使うようになりました。しかし、井戸を掘っても同じ水脈に当たるとは限らなかったため、同じ味の水を掘り当てた地域の農民らが宮水を売る商売(水屋)がうまれたそうです。

<宮水の成分>
宮水は酵母菌の栄養となるミネラル分を多く含む”硬水”で、リンの含有量は一般の酒造用水の約10倍もあります。一方で、酒色の濁りや不快な香りのもととなる鉄分は極めて少ないため、酒造に非常に適した水といわれています。
宮水は3つの伏流水が混じり合って生まれます。東からの“法安寺伏流”と北からの“札場筋[ふだばすじ]伏流”は、かつて海だった地層を通るため、海が持つ栄養(リン、カリウム、塩分など)をたっぷり含みます。一方で、西からの“戎[えびす]伏流”は六甲山からの傾斜で流れが速く、酸素を多く含むため、酒造の敵である鉄分を除去(酸素と結合して酸化鉄を形成)します。

<宮水の危機と保全>
宮水地帯の井戸の水面は地表からわずか2~3mで、海水面とほぼ同じです。従って海水浸透の影響を受けやすく、過去に2度、宮水地帯が大きく縮小(塩素の含有量が激増)する危機が発生しています。
[第1の危機]明治末~大正:西宮港修築工事のため、海水が浸透。「第1次宮水撤収地帯」で発生。
[第2の危機]昭和9年秋:室戸台風が直撃し、高潮で宮水地帯が浸水。「第2次宮水撤収地帯」で発生。
また、揚水量増加により、宮水地帯の家庭用の井戸水が枯渇したこともありました。酒造家は上下水道を全町に寄付することで、宮水を守りました(大正13年)。
酒造会社や市は「宮水保存調査会」を結成し、建物などを建設する際は井戸に影響が出ないよう、建設会社などと協議をしています。ある大規模マンションの工事では、酒の仕込みの時期を避け、地下駐車場の位置を変更して影響を食い止めたそうです。 
160528 (131c)白鹿酒造稈_宮水地帯地図
斜線部分が宮水撤収地帯(橙:第1次、青:第2次)。黒は第3次宮水地帯。赤い点線は大昔の海岸線(推定)を表します(白鹿記念酒造資料館のパネルより)。

★感想など
”男酒”として有名な灘の酒を特徴づける名水が、わずか500m四方の区画にしか湧き出ないことにとても驚きました。また、六甲山系のまろやかな軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙、さらに、その水質の違いを利き分ける造り手の技量と、良酒を極めようとする情熱に、深い感銘を受けました。

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テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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