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【見学】宮崎本店(三重・四日市) - キンミヤ焼酎が関東で人気があるのはなぜ?

三重県の宮崎本店を見学しました。
東京下町の大衆酒場でおなじみの「キンミヤ焼酎(亀甲宮焼酎)」の蔵元で、人情味溢れるエピソードが伺えました。
見学は主に日本酒「宮の雪」の製造工程でした。

日時:2016年4月7日(木) 13:00~
場所:宮崎本店(三重県四日市市楠町南五味塚972)
内容:見学、試飲(ガイド付き、約1時間)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京→名古屋駅ほか。1日あたり2,370円)、近鉄名古屋線

★アクセス
160407 (9)近鉄四日市
最寄駅は近鉄名古屋線の楠[くす]駅。近鉄名古屋駅11:41発、楠駅12:34着(片道690円)。酒蔵までは徒歩約10分。写真は近鉄四日市駅での乗り換え時に撮影したものです。

★蔵の外観
160407 (37)宮崎本店外観
国の登録有形文化財にも指定されている趣のある建物。黒壁に白いキンミヤのロゴが映えていてとても印象的でした。
160407 (12)
敷地が広かったので、受付を探すのに少し迷いました。近隣の酒蔵の土地を買い取り、今や7,300坪にわたるそうです。ただし、公道を挟んでいるので使い勝手は良くないとか...
160407 (16)宮崎本店外観
見学は、この建物の対面にある資料館からスタートしました。
ガイドは総務部長のMさん。とても丁寧に説明してくださいました。

★蔵の歴史と概要
160407 (34)
創業は弘化3(1846)年。もとは近隣で採れた芋を焼酎にしており、楠の港から関東へ出荷していたそうです。以前は周囲に30以上の酒蔵が存在していたそうですが、現在残っているのは同社のみです。
160407 (35)宮崎本店資料館
資料館内には昔の酒造りの道具が展示されていました。鉄分が増えると酒が濁るので木製の道具を使用していたそうです。

★総合酒類メーカー
同社は(ビールとブランデーを除く、)焼酎、日本酒、ウイスキー、みりんなどを手掛ける三重県下最大の総合酒類メーカー。出荷量は1升瓶換算で年間約340万本で、うち7割はキンミヤ焼酎、そのうち9割が関東向けに出荷されているそうです。いかにキンミヤが主力商品であるかが伺えます。日本酒は約1割強、海外への輸出はごく一部とのことでした。

★日本酒の造り手と酒質
当初は越後杜氏、後に但馬杜氏、そして5年程前までは南部杜氏を招いていましたが、今は15、6名の社員が造りを行っているそうです。杜氏にあたる製造部醸造課長は40代。南部杜氏を採用していた理由は、同社の求める酒質に合っていたことに加え、社員に技術を継承してくれたからだそうです。
「宮の雪」の酒質は”淡麗”。酒米は主に富山県産の五百万石(吟醸系は三重県伊賀上野産の山田錦)を使用し、仕込水は軟水、そして南部杜氏の技のすべてが淡麗な酒質に表れているそうです。

★日本酒の製造工程
資料館の後は、平成7年より稼働している工場内を案内して頂きました。
160407 (18)宮崎本店_酒米の袋 - コピー
酒米を入れる袋。精米は自社で行っているそうです。
160407 (19)宮崎本店_洗米
酒米をポンプで2階に送り、”洗米”の工程へ。
160407 (22)宮崎本店_浸漬
米に水分を吸収させる”浸漬”の機械。
160407 (20)宮崎本店_蒸鏹
蒸鏹機。蒸米は放冷機を経て、約2割が麹米として自動製麹機へ運ばれます。
160407 (23)自動製麹
製麹機。写真の容器(ガラス製のロート)から自動的に種麹をふりかけるそうです。
160407 (25)麹室
2つの麹室。手前の小さい部屋は麹をクールダウンさせる出麹[でこうじ]用。
160407 (29)宮崎本店_仕込みタンク(1fより)
仕込みタンクは33,000ℓ×6本。1階から見上げるとかなり大きく感じます。
酵母は701、1501などを使用し、約3週間かけて仕込むそうです
160407 (24)宮崎本店_仕込みタンク
仕込みタンクを上部から覗いたところ。もろみはモーターシャフトで自動的にかきまぜているそうです。
160407 (27)宮崎本店_吟醸用タンク
吟醸系は小さめのタンクで仕込み、洗米や製麹なども手作りで行っているそうです。
160407 (30)宮崎本店_ヤブタ
上槽はヤブタを使用。約3日かけて徐々に圧をかけてもろみを搾るそうです。

★試飲
工場見学の後は再び資料館に戻り試飲をさせて頂きました。
160407 (31)宮崎本店_試飲
<試飲アイテム・宮の雪>
①本醸造酒
②純米酒
③山廃仕込 特別純米酒
④純米吟醸酒
⑤大吟醸酒
160407 (32)_宮崎本店_みりん梅酒
⑥純米みりん仕込み梅酒「三乃三[さんのさん]」、Alc.8.0%。三重県産の米、同県産の米焼酎のみで造ったみりん、三重県南紀産の南高梅から造った梅酒。

★単式蒸溜機(旧乙類焼酎用)
160407 (28)_宮崎本店_単式蒸留器
旧乙類焼酎(本格焼酎)を蒸溜する機械。冬場は日本酒造りで忙しいため、焼酎は主に夏場に造るそうです。同社では麦、米、酒粕、ごぼうなどから本格焼酎をつくっています。
ウイスキーも手掛けていますが、自社で蒸溜したものではなく、輸入モルト原酒とグレーン原酒を自社でブレンドしているそうです。

★連続式蒸溜機(旧甲類焼酎用)と仕込み水
現在は連続式蒸溜機を保有していないため、近隣の工場に蒸溜を委託し、自社で調合(加水)しているそうです。国内メーカーの旧甲類焼酎はほとんどが原料アルコールを海外から輸入し、国内で精製したものを使用しているとか。25度の焼酎だと7割以上が水となるため”仕込み水の違い”が味わいに与える影響はとても大きいようです。同じ町内で同じ原料アルコールを使用していても、同社と蒸溜委託先の焼酎の味わいは異なるそうで、酒造の奥深さが感じられました。
同社の仕込み水は鈴鹿山系の伏流水で非常にやわらかい軟水。キンミヤ焼酎にはなぜか甘みを感じるというお客様が多いそうですが、確かに”ほんのりとしたやわらかい甘み”を余韻に感じました。水は敷地内の2本の井戸(深さ150m)から採取。仕込み水の商品化は行っていないそうです(地盤沈下などを防ぐための取水制限、酒と比べて水は規制が強いなどの理由から)。

★なぜ、関東でキンミヤ焼酎が人気なのか?
三重県の酒蔵なのに、なぜ東京下町を中心に人気があるのか不思議に思っていました。質問したところ、人情的なお答えが返ってきて納得しました。大正12年の関東大震災の際、他の酒蔵は売掛金の回収に走る一方で、宮崎本店は自社運搬船に救援物資を積み込んで現地に向かったそうです。その心遣いに感激した問屋などが現在に至るまで同社を贔屓にするようになったそうです。

★下町酎ハイ・ワークショップ
160324 (9)
見学に先立ち、3月後半に「東京下町酎ハイの謎に迫る!?」というワークショップを開きました。キンミヤ焼酎とウイスキーをベースに天羽飲料の5種のエキスを用意し、参加者が自由に組み合わせて好みの酎ハイを見つけてもらうという内容です。キンミヤ焼酎への思い入れが強い参加者もいらっしゃったので、今回の訪問で得たものを今後の講座などで紹介していきたいと思いました。

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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