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[JSA]ポルトガルワイン・マスタークラスセミナー(東京・目黒)

日本ソムリエ協会(JSA)技術研究部が主催するセミナーに参加しました。
今年度のWines of Portugal Challenge受賞ワイン6種のテイスティングを通して、ポルトガルワインの潮流などを学べました。

テーマ:2017 Wines of Portugal Challenge受賞ワインのテイスティング
種 別:JSA特別マスタークラスセミナー
日 時:2017年7月7日(金) 12:30~14:00
会 場:ホテル雅叙園東京 3Fペガサス(東京都目黒区下目黒1-8-1)
講 師:石田博氏(JSA副会長)ほか
料 金:無料(JSA会員価格)
協 力:Wines of Portugal


★会場
170707 (1)ホテル雅叙園東京
会場はホテル雅叙園東京(目黒雅叙園)3Fの「ペガサス」。別室ではWines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2017のコンクールが開かれていました。
170707 (5)WOPセミナー_テーブルセット
セミナーのテーブルセッティング。


★2017年度のWines of Portugal Challenge(以下、WPC2017)
110名超の審査員が、1,373種のポルトガルワインの中から優れた341種(Great Gold=Premium Gold=30種、Gold=121種、Silver=190種)を選出。さらにGread Goldの中から、7部門の最重要賞が選ばれています。

以下、2017.5.22付の記事、”Alentejo and Dão are the winners of 2017 Wines of Portugal Challenge”からの参照です。

<Great Gold30種のエリア別ランキング>
9種=Alentejo(アレンテージョ。南部)
9種=Douro e Porto(ドウロとポート。北部)
4種=Dão(ダォン。中部)
3種=Lisboa(リスボン。中部)
2種=Bairrada(バイラーダ。中部)原文では3種
2種=Vinho Verde(ヴィーニョ・ヴェルデ。北部)
1種=Tejo(テージョ。中部)

DouroとPortoは同じエリアのD.O.C.(原産地呼称)で、前者はスティルワイン、後者は酒精強化ワインに付与されます。

<7種の最重要賞(The seven most important awards)>
・Best Wine of the Year=Villa Oliveira Touriga Nacional,2011(Dão)
・Best Varietal Tinto= 同上
・Best White Wine Blend=Quinta dos Carvalhais Reserva,2012(Dão)
・Best Red Wine Blend=Quinta do Crasto Vinha Reserva,2014(Douro)
・Best Varietal White= Muros Antigos Loureiro wine,2016(Vinho Verde)
・Best Liqueur=KOPKE Porto Colheita,1967(Port)
・Best Sparkling =Quinta do Ortigão Cuvée,2012(Bairrada)

Great Goldのエリア別獲得数はAlentejoの9種、Douroの6種(酒精強化のPorto3種を除く)、Dãoの4種と続き、3位のDãoは最重要賞7部門のうち3部門を併せて獲得しています。同国には31のD.O.C.が認可されていますが、この3エリアは特に注目度が高まりそうです。


★テイスティング・アイテム
170707 (21)WOPセミナー_テイスティングアイテム(glass)
セミナーでは、WPC2017で受賞した341種の中から6種(白1、赤5)が提供されました。1~5はGrand Gold、6はSilverを受賞、2は最重要賞7つのうちのBest Red Wine Blendに輝いています。

<テイスティング・アイテム>
1.SOCALCOS DO BOURO, 2016(Vinho Verd)
2.Quinta do Crasto Reserva Vinhas Velhas, 2014(Douro)
3.QUINTA DA ESCUSA TINTO, 2015(Tejo)
4.HERDADE SÃO MIGUEL TOURIGA NACIONAL, 2015(Alentejo)
5.QUINTA DO CARMO RESERVA TINTO, 2012(Alentejo)
6.QUINTA DA PONTE PEDRINHA TOURIGA NACIONAL, 2014(Dão)


★個別銘柄について
セミナーでは、講師の石田副会長に加えて、現地を訪れたばかりのコンクール参加者の臨場感あふれるコメントを聞くことができました。

①SOCALCOS DO BOURO, 2016
生産地:Vinho Verd
生産者:CORINA ALMEIDA
ブドウ:Loureiro、Arinto(=Pedernã)、Trajadura
アルコール度数:12.5%、pH:3.24
メモ:ブドウは(有名なアルバリーニョではなく)、ロウレイロ、アリント(ペデルナァ)、トラジャドゥーラの3種をブレンド。限定区画のブドウを使用し、発酵温度は低めの12度。フローラルの香り、ピュアな果実香が印象的。スワリングするとVinho Verdらしいミネラルや石灰のニュアンスも。活き活きとした酸、余韻にかけては心地よい苦味へとフォーカス。

②Quinta do Crasto Reserva Vinhas Velhas, 2014
生産地:Douro
生産者:QUINTA DO CRASTO, SA
ブドウ:古木(Old vines)のブドウ25~30種のブレンド
土壌:Schist(片岩)
アルコール度数:14.5%、pH:3.65
メモ:凝縮感のある古木のブドウを多数ブレンド。外観にはっきりとしたグラデーションが見られ、黒系果実やスパイス、樹脂など様々な要素が層(レイヤー)をなす複雑な香り。凝縮した果実味、きれいな酸、緻密なタンニン。シスト土壌はブドウに繊細さやエレガンスを与えるそうです。Melhor Vinho Tinto Blendを受賞。D.O.C.のDouroは、酒精強化ワインで有名なPortoと同じエリアで造られるスティル・ワインに付与されるもの。歴史が浅いため、現代的で洗練された造りを行う傾向があるそうです。

③QUINTA DA ESCUSA TINTO, 2015
生産地:Tejo
生産者:ROMANA VINI - VINHOS E CULTURAS LDA
ブドウ:Touriga Nacional20%, Alicante Bouschet35%, Sousão15%, Syrah20%
アルコール度数:13.0%、pH:3.27
メモ:ブドウはトウリガ・ナショナル、アリカンテ・ブーシェ、ソウザォン、シラーの4種をブレンド。”タンテュリエ(仏語で染色)”と呼ばれる果肉まで赤いブドウ=アリカンテ・ブーシェを使用しているため、しっかりとした色調。余韻にかけてタンニンが乾いていかず、豊かな果実味が最後までしっかりと楽しめるワイン。
170707 (23)JSAポルトガルワイン目黒_HERDADE SÃO MIGUEL TOURIGA NACIONAL, 2015
グラスを回すと濃厚な色素がまとわりつくのがわかります。

④HERDADE SÃO MIGUEL TOURIGA NACIONAL, 2015
生産地:Alentejo
生産者:CASA AGRÍCOLA ALEXANDRE RELVAS
ブドウ:Touriga Nacional
アルコール度数:13.8%、pH:3.53
メモ:ステンレスタンクで発酵後、フレンチ・オーク樽で9カ月熟成。ブルーベリーやスミレのフレッシュで若々しい香りに加えて、樹脂や甘苦系スパイスなどのニュアンスも。単一品種とは思えない複雑な香りを持つ個性的なワイン。前評判の高かった生産者のひとつ。2015年のAlentejoは乾燥と程よい暑さに恵まれ高い成熟度のブドウが収穫できたそうです。

⑤QUINTA DO CARMO RESERVA TINTO, 2012
生産地:Alentejo
生産者:BACALHÔA VINHOS DE PORTUGAL
ブドウ:Aragonez(=Tinta Roriz、Tempranillo)38%、Alicante Bouschet32%、Cabernet Sauvignon20%、Syrah10%
アルコール度数:14.0%、pH:3.54
メモ:ブドウはアラゴネス(ティンタ・ロリス、テンプラニーリョ)、アリカンテ・ブーシェ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーの4種をブレンド。アリカンテ・ブーシェをブレンドしているため、3と同様に濃い色調。フレンチ・オークの新樽で18カ月熟成しており、黒系果実に加えて、バニラやダークチョコレート、インクなどの香りも。凝縮感のある果実味としっかりとした酸、緻密なタンニンが調和。Alentejoらしさを感じる伝統的なブレンド。

⑥QUINTA DA PONTE PEDRINHA TOURIGA NACIONAL, 2014
生産地:Dão
生産者:MARIA DE LOURDES MENDES OLIVA NUNES OSÓRIO
ブドウ:Touriga Nacional, Tinta Roriz, Alfrocheiro
アルコール度数:14.0%
メモ:ブドウはトウリガ・ナショナル、ティンタ・ロリス、アルフロシェイロの3種をブレンド。外観にはやや発展的な印象。凝縮感のある果実香に加えて、フレンチオーク由来のバニラ香や、シナモン、ナツメグの香りも。Dãoは高い山に囲まれた平均標高が400mの産地で、スミレの花やオレンジピール、明るいスパイスなどの特長的なトーンが出やすいそうです。


★感想など
ポルトガルワインを飲む機会が少なかったため、「温暖地らしい厚みが期待できる一方で、ややカジュアルなワイン」という印象(先入観)を持っていましたが、この日のアイテムは程よい凝縮感にコントロールされ、洗練された印象でした。
石田副会長が「世界的に、”オーバーがつくもの(overripe、overmature=過熟など)”が敬遠され、アルコール度数も高過ぎないものが歓迎されている」と指摘されていましたが、その傾向がテイスティングを通して伺えました。

また、コンクール参加者の中には、白ワインを美味しく感じたと指摘した方がいました(赤ワインの試飲が続いた後だったからという可能性も示されていましたが...)。確かに1番の白ワインは気品のあるフローラルな香りが印象的で、程よい厚みと複雑さがあり、カジュアルなイメージを持っていたVinho Verdの印象が変わりました。


★Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2017
170707 (17)WOPJSOY決勝進出者
セミナーの最後には、別室で行われていたコンクールの決勝進出者5名の発表がありました。今年は80名のソムリエがエントリーし、11名が準決勝に進みました。
170707 (26)WOPJSOY公開決勝
14:30から行われた公開決勝のようす。順位は以下の通りでした。

優勝 森本美雪さん
2位 野坂昭彦さん
3位 谷川雄作さん
4位 瀧田昌孝さん
5位 吉原隆行さん


★ポルトガル・ワインについて(メモ) JSA教本2016、Wikipediaより

<ポルトガルの原産地呼称>
同国の原産地呼称は2014年現在、31のD.O.C.(D.O.P.)と14のV.R.=Vinho Regional(I.G.P.)が認可されています。教本を見返していて、以下がややこしいと感じました。

・D.O.C.のAlentejo(アレンテージョ)をカバーするV.R.は、Alentejano(アレンテジャーノ)
・D.O.C.のDouroとPortoをカバーするV.R.は、Duriense(デュリエンセ)

D.O.C.のDãoはダンともよばれ、同じ読み方であることから、作家の檀一雄氏(女優の檀ふみさんの父。著書『火宅の人』ほか)が同地のワインを好んで飲んでいたそうです。

<ポートワイン(酒精強化ワインの1種)>
Great Goldを受賞したポートワイン3種はすべて「トゥニー・タイプ」で、うち2種が「コリェイタColheita」でした。

ポートワインには黒ブドウから造られる「レッド・ポート」と白ブドウが原料の「ホワイト・ポート」があり、前者は更に「ルビー・タイプ」と「トゥニー・タイプ」に分類されます。
「ルビータイプ」は平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされる若いタイプで、特に優れた年のブドウから造られる「ヴィンテージ・ポート」と、それに続く品質の「レイト・ボトルド・ヴィンテージ・タイプ」などのスペシャルタイプがあります。
「トゥニー・タイプ」は、酸化熟成を促して外観が”黄褐色(=Tawny)”になったもので、スペシャルタイプとして、収穫年を表示する「コリェイタ」と平均熟成年数(10/20/30/40年)を示した「熟成年数表記トゥニー・ポート」があります。

<ポルトガルの食文化>
ポルトガルの1人あたりの魚介消費量は日本に次ぐ世界第6位、米の消費量は欧州最多。日本と食文化の共通性が見られるため、ポルトガルワインは和食との相性も良さそうです。

(初稿)2017.7.17

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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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