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【見学】カーブドッチ・ワイナリー(新潟・新潟市) - 欧州ぶどう栽培研究所が手掛ける新潟ワインコーストの主要ドメーヌ

ワイン専用のブドウ品種だけを栽培して自家醸造を行うカーブドッチ・ワイナリーを見学しました。敷地内にはおしゃれなレストランやスパなどがあり、ワインを楽しみながらゆったりとした時間を過ごせるようになっています。

日時:2016年12月30日(金) 11:10~12:30頃
場所:カーブドッチ・ワイナリー(新潟県新潟市西蒲区角田浜1661)
内容:見学、試飲(ガイド付き)
料金:1,080円(税込、1人当たり)

★アクセス
161230 (11)JR越後線・内野駅
往路はJR越後線で新潟駅から内野駅[うちの-えき]まで行き、ワイナリーの無料シャトルバスを利用しました(新潟駅12:20→12:42内野駅、7駅、237円)。
161230 (13)JR越後線・内野駅_送迎バス
内野駅の改札口を出て右側の階段を降りると、正面にシャトルバスが停車していました。シャトルバスは1日2往復で、平日のみの運行、事前予約が必要です(内野駅発10:50、11:50。ワイナリー発15:20、16:20)。内野駅からワイナリーまでは約20分(約13km)です。
161230 (76)JR越後線・越後曽根駅
ワイナリーの最寄駅はJR越後線の越後曽根駅(約7km。タクシーで2,380円)ですが、シャトルバスは列車の本数が多い内野駅に発着しています。帰路はタクシーを利用し、越後曾根駅から新潟駅に戻りました(越後曾根駅13:17→13:57新潟駅、10駅、410円)。
161230 (16)カーブドッチ・ワイナリー_ヴィネスパとシャトルバス
シャトルバスはワイナリー内のヴィネスパ前に発着します。ヴィネスパでは日帰り入浴やヘッドスパなどが楽しめ、宿泊施設(7部屋)も整っています。敷地内にはレストランやベーカリーカフェなどもあります。
161230 (15)カーブドッチ・ワイナリー_ワインショップと駐車場
ワイナリーツアーの受付はワインショップで行います。ヴィネスパの正面から駐車場の向こう側に見える建物です。

★ワイナリーツアー
161230 (69)カーブドッチ・ワイナリー_ワインショップ外観
スタッフがワイナリーを案内してくれる「ワイナリーツアー」は事前予約制で、毎日11:00スタート(60-90分)、15名以内、税別1,000円です。シャトルバスを使う場合は(ワイナリーへの到着が11:10頃になるため)途中からツアーに合流することになります。この日は他の見学者がいなかったので、ツアーのスタートを11:10頃にして頂けました。この日は(経営者のような貫禄のある)男性スタッフの方が案内をしてくださいました。

★欧州ぶどう栽培研究所
カーブドッチ・ワイナリーを運営するのは(株)欧州ぶどう栽培研究所。その名の通り、ワイン専用品種といわれる欧州系ブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ種)のみを手掛けるドメーヌです。同社はブドウ栽培・ワイン醸造の他に、新潟県内に複数の飲食店を展開しています。設立は1992年(平成4年)で、資本金は1,000万円。非上場会社ですが、5万円×20株(100万円)単位の出資で株主になれます(2015.10.1付のNEWS)。株主には自家製品(ワイン・パン・ソーセージ・ビール)の購入割引や施設の利用割引の特典があります。
カーブドッチ(CAVE D`OCCI)の名称は、落希一郎[おち・きいちろう]初代社長の苗字からつけられたそうです(カーブ・ド・オチ=落さんのワイン・カーブ)。

★ブドウ畑
161230 (22)カーブドッチ・ワイナリー_ぶどう畑
はじめに道路を隔てて南側にあるブドウ畑を案内して頂きました。背後の山は標高481.7mの角田山[かくだやま]。日本海から約1kmしか離れていない畑には強い風が吹きつけ、降雪は比較的少なめ。同社ではワイナリーの半径500m以内に計8haの畑を所有しており、さらに県内の契約栽培農家から生ブドウを仕入れているそうです。カーブドッチでは約30種の欧州系品種を手掛けており、単一のブドウ品種で造る”セパージュ・ワイン”に力を入れています。ワイナリー周辺の土壌は(海が近いため)サラサラとした砂地が主体ですが、契約栽培先には粘土質などの土壌もあるそうです。欧州系品種は多湿によるカビなどの病害に弱いため、1haあたりの植樹数は3千本(欧州では5千~1万本)と十分に間隔をあけて風通しがよくなるように配慮されています。
161230 (19)カーブドッチ・ワイナリー_ブドウ畑(アルバリーニョ) - コピー
小道を挟んで左側は、2005年に初めてこの地に植えられた白ブドウ「アルバリーニョ」の畑。主要産地であるスペインのリアス・バイシャスも海に近く、同社で最も期待されている品種です。残念ながら現在は(ワイナリーでの有料試飲も含めて)販売されていないそうです。
150218 (12)ワインフェスタin長野(アルバリーニョ)カーブドッチ
一昨年前のワインフェスタin長野で試飲したカーブドッチのアルバリーニョ。エレガントで気品を感じるワインだったので、強く印象に残っていました。
161230 (20)カーブドッチ・ワイナリー_ブドウ畑(カベルネ・ソーヴィニョン)
小道を挟んで右側はボルドーを代表する黒ブドウ「カベルネ・ソーヴィニョン」の畑。創業の頃に植えられたもので樹齢20年ほどになるそうです。通常は骨格がしっかりとしたフルボディのワインが造られますが、この地のテロワールや樹齢などを考慮して軽やかなワインに仕立てているそうです(長期熟成タイプを造るにはまだ樹齢が足りないそうです)。土壌はすぐ隣のアルバリーニョの畑と特に変わらないそうです。
161230 (24)カーブドッチ・ワイナリー_ぶどうのつる2
畑の手入れをしているのは主に5名の従業員とアルバイト。冬に剪定(今年実をつける新梢を残して不要な枝を切り落とす)作業を行い、収穫は9月から10月にかけて手摘みで行われます。最後に収穫されるのは晩熟のカベルネ・ソーヴィニョン。例年は10月最終週になりますが、気温の高かった今年は10月20日前後に前倒しされたそうです。ブドウは水分を嫌う為、雨の日は収穫をしないそうです。

★醸造施設
161230 (25)カーブドッチ・ワイナリー_外観
161230 (27)カーブドッチ・ワイナリー_醸造施設
ブドウ畑の後は、ワインショップの近くの醸造施設を案内して頂きました。
161230 (31)カーブドッチ・ワイナリー_除梗破砕機と圧搾機
除梗破砕機(奥)と圧搾機。収穫されたブドウはまず除梗破砕機で梗が取り除かれ、軽くつぶされます。この機械は、中のスクリューに引っかかって梗がとれるという単純な仕組みだそうですが、いかに実をとりきるかが重要なので良い機械を使っているそうです(この仕組みを考えた人はすごいと思います...)。続いて、白ワインは圧搾機で搾った果汁のみをアルコール発酵させます。赤ワインは写真左奥のステンレスタンクで1カ月くらい浸け込んで皮から色素成分、種子からタンニンなどを抽出し、アルコール発酵と醸しが終わってから圧搾します。酵母菌は野生酵母と純粋培養酵母を使い分けているそうです。

161230 (35)カーブドッチ・ワイナリー_仕込みタンク
仕込みは約3週間かけて行われます。室内には2千、3千、5千ℓと大きなタンクが並んでいました。基本的に1つのタンクには1つのブドウ品種のワインが仕込まれます。酵母菌がブドウの”糖分”をアルコールと炭酸ガスに分解するため、ワイン用ブドウの糖度は生食用ブドウよりも高いそうです(生食用が16-18度に対してワイン用は20度超。但し、果肉が小さく食べにくい)。カーブドッチでは原則、補糖(※)を行いませんが、タイ米輸入が社会問題となった1993年の冷夏の年には例外的に行ったそうです。
(※)ブドウの糖度が低い年にアルコールのもととして人工的に糖分を添加すること。

★熟成庫
161230 (42)カーブドッチ・ワイナリー樽熟成庫
続いて、木樽の熟成庫へ。ガイドの方が「この部屋に来るとホッとする」というように、癒し系の香りが漂っていました。樽の材質はすべてフレンチオークで毎年新樽を入荷しているそうです。1つの樽は5-6年使われ、その後はブランデーの熟成樽などに再利用されます。同社ではドイツ製の蒸溜機を所有しており、ワインを蒸溜して造る「オー・ド・ヴィ・ホワイト」(alc.40%、350ml、税別2,800円)と5年の樽熟成を経た「オー・ド・ヴィ・バレル」(alc.40%、350ml、税別3,200円)を手掛けています。ただし、バレルは品薄であと2年経たないと次の商品が販売されないそうです。
161230 (39)カーブドッチ・ワイナリー_フレンチオーク樽
カーブドッチでは赤ワインと白ワインをほぼ同じくらいの割合で生産していますが、木樽で熟成させるのは赤で約8割、白で約3割。フレッシュなワインが主力であるため、熟成期間は最長のカベルネ・ソーヴィニョンで12カ月程度となっているそうです。

161230 (47)カーブドッチ・ワイナリー_瓶熟成庫
続いて瓶詰ワインを長期熟成するための地下貯蔵庫へ。
161230 (46)カーブドッチ・ワイナリー_熟成庫(ペティヤン)
王冠の栓をしたボトルは発泡性のペティヤン。同社のスパークリングワインはすべて瓶内二次発酵で造られているそうです。

161230 (49)カーブドッチ・ワイナリー_地下の瓶熟成庫 - コピー
すぐに出荷できる商品や顧客に販売済の商品を保管している地下貯蔵庫。ワイナリーが50年後も続いているとの見通しのもとにしっかりと品質管理ができる大きな設備を整えたそうです。室温は夏場でも最高15℃になるように管理されています。
同社のワインの出荷量は年間で約8万本ですが、アイテム数が多いため、ラベルの貼付けは主に(機械ではなく)手作業で行っているそうです。

★どうぶつシリーズ
かわいい動物がラベルに描かれたボトルが並べられていました。醸造家の掛川史人[かけがわ・ふみと]氏が、レギュラー商品とは別に”趣味にはしって”造っているものだそうです。出荷量が少なく入手困難なブランドです(基本的には飲食店向け?)。
161230 (53)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_あなぐま、ぺんぎん、かわうそ
・あなぐま2015(サンジョヴェーゼ)
・ぺんぎん2015(北海道余市産ケルナー)。全房プレス、無ろ過。
・かわうそ2015(7種のアッサンブラージュ。シャスラー、ヘルダー、オーセロワ、アルバリーニョ、セミヨン、シャルドネ、シュナンブラン)
161230 (54)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_おうむ、みつばち、もぐら
・おうむ2015(ツヴァイゲルト)
・みつばち2015(シュナンブラン)
・もぐら2015(シャルドネ)
161230 (55)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_ふらみんご、くま、むささび
・ふらみんご2015(ピノ・ノワール)
・くま2015(5種のアッサンブラージュ。カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、プチベルド、マルベック)。2014はカベルネ・フランのセパージュ。
・むささび2015(発泡性のブラン・ド・ノワール?。カベルネ・ソーヴィニョン90%、シャルドネ10%)
161230 (56)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_裏ラベル
裏ラベルには”亜硫酸塩含有”と記されていますが、ワイナリーのHP (http://ffkake.wixsite.com/forhp/services2-c12zf) では以下のように説明されています。
”亜硫酸をまったく添加していないため、瓶詰後にサンプル瓶を27℃の保温庫にて2週間保管し微生物チェックをしています。微生物的な劣化は見られませんでしたが、可能であれば18度以下での保存をお勧めします。”
”無添加でも酵母は亜硫酸を精製するため、裏ラベルに亜硫酸含有と表記しています。”
同HPには、飲み手の心をくすぐるような”醸造家のこだわり”の数々がくわしく記されていてました。

★試飲
最後にワインショップのカウンターで6種のワインをテイスティングしました。
161230 (57)カーブドッチ・ワイナリー試飲_スパークリング
①スパークリングワイン ブラン・ド・ブラン N.V.。税別3,800円。
161230 (59)カーブドッチ・ワイナリー試飲_セミヨン - コピー
②セミヨン2015。alc.11.0%。税別2,500円。
161230 (61)カーブドッチ・ワイナリー試飲_シャルドネ
③シャルドネ2015。alc.12.0%。税別2,950円。樽熟成。
161230 (63)カーブドッチ・ワイナリー試飲_カベルネ・ソーヴィニョン
④Bijou カベルネ・ソーヴィニョン2015。alc.12.5%。税別4,200円。発酵時に数パーセントの全房を投入。
161230 (65)カーブドッチ・ワイナリー試飲_プチベルド
⑤Bijou プチベルド2015。alc.12.0%。税別4,200円。2011年以来の単一品種。
161230 (67)カーブドッチ・ワイナリー試飲_ピノノワール - コピー
⑥ピノ・ノワール2014。alc.11.0%。税別2,950円。

ブドウ品種や造りの違いがはっきりとわかるラインナップで、1杯ごとに新たな楽しみがありました。全体的にフレッシュな果実味を活かしながらエレガントに仕立てられている印象で、繊細な和食とも合わせやすそうに思いました。

★新潟ワインコースト
161230 (70)カーブドッチ・ワイナリー_敷地案内図
カーブドッチの周辺には新しいワイナリーが続々と登場しており、「新潟ワインコースト」を形成しています。
・「カーブドッチ」1992年~。醸造家:掛川史人氏(ワイナリー経営塾を主宰)
・「フェルミエ」2006年~。醸造家:本多孝[ほんだ・たかし]氏(1967年生)
・「ドメーヌ・ショオ」醸造家:小林英雄[こばやし・ひでお]氏
・「カンティーナ・ジーオセット」2013年~。醸造家:瀬戸潔[せと・きよし]氏
・「ルサンクワイナリー」2015年~。醸造家:阿部隆史[あべ・たかし]氏。

初代社長の落氏は、カーブドッチを開いた角田浜一帯を1970年代頃のアメリカのナパ・バレーと重ね、この地を一大ワイン産地に育てたいとの夢を抱きました(当時のナパ・バレーには30軒ほどのワイナリーしかありませんでしたが、わずか30年ほどで世界的なワイン産地に育ちました。『僕がワイナリーをつくった理由』ダイヤモンド社より)。落氏は2003年にワイナリー経営塾を立上げ、若くやる気のある醸造家たちを育ててきました。彼らはカーブドッチの周りに次々とワイナリーを開き、個性的なワイン造りに励んでいるそうです。
案内をしてくださった男性は、「若い醸造家たちは怖いもの知らずで『おいおい』と思うようなことにも積極的に取り組んでいる。モノ作りはセンスで、年齢は関係ない」と仰っていました。

ワイナリーの周辺には新潟麦酒(約200m北東)や、地ビール第1号のエチゴビール、日本酒の笹祝酒造(ともに約3km南東)などもあり、ワインとともに多様な日本産酒類が楽しめるエリアになりそうで、とても楽しみです。

(初稿)2017.1.8

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テーマ : ワイナリー見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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