FC2ブログ

【見学】うすくち龍野醤油資料館(兵庫・たつの市) - ヒガシマル醬油の旧本社を活用した日本初の醤油資料館

うすくち醤油のトップ・メーカー、ヒガシマル醬油の「うすくち龍野醤油資料館」を見学しました。うすくち醤油は、こいくち、たまり、しろ、さいしこみと並んで、5種類の醤油のひとつに数えられています(JAS法)。

日時:2016年9月15日(木) 11:10~12:10頃
場所:うすくち龍野醤油資料館(兵庫県たつの市龍野町大手54-1)
内容:自由見学
料金:10円

★アクセス
うすくち龍野醤油資料館は、JR姫新線[ひめしんせん]の本竜野駅から約1.5km、徒歩約20分です(姫路駅から本竜野駅までは4駅、約20分、運賃240円)。
この日は但馬杜氏のふるさと・湯村温泉(兵庫県美方郡)から約130km(2時間10分)の道のりを車で連れてきてもらいました。

★ヒガシマル醤油の第一工場と揖保川[いぼがわ]
160915 (90)ヒガシマル醤油工場_外観
駅から資料館へ向かう途中に、ヒガシマル醤油の第一工場があります。工場見学もできますが、この日(と前日)は予約が埋まっていて見学できませんでした。
160915 (89)揖保川
工場のそばを流れる揖保川。手延べそうめんの「揖保乃糸[いぼのいと]」は、たつの市を含む揖保川中流域の名産品です。

★うすくち龍野醤油資料館(本館)
160915 (16)うすくち龍野醤油資料館_入口
ヒガシマル醬油の旧・本社屋を活用した同資料館(本館)は、全国初の醤油資料館として1979年(昭和54年)に開館しました。少し離れたところに別館があります。
160915 (83)うすくち龍野醤油資料館__外観
本館、別館ともに国の登録有形文化財に指定されています。

★ヒガシマル醤油㈱の歴史
1942年に菊一醤油、浅井醤油が合併して龍野醤油(株)が誕生し、1964年にヒガシマル醤油㈱に改称されました。創業は天正年間(1580年頃)にさかのぼります。龍野にうすくち醤油が誕生したのは1666年頃といわれています。
160915 (77)うすくち龍野醤油資料館_菊一醤油造合資会社の木製看板
160915 (78)うすくち龍野醤油資料館_菊一の看板と菊花紋 - コピー
菊一醤油の前身の幾久屋は、文禄年間(1592~1596年)に宮中から「菊屋」の屋号と菊花紋を賜りました。

★ライブラリー・コーナー(映像鑑賞)
160915 (17)うすくち龍野醤油資料館_映像ライブラリー
館内のライブラリー・コーナーでは、「昔と今の醤油造り」(約17分)の映像を鑑賞できます。

★うすくち醤油(淡口-、薄口-)
160915 (19)うすくち龍野醤油資料館_ヒガシマル醤油のできるまで
こいくち醤油は、蒸した”大豆”と炒った”小麦”に種麹をつけて、”塩水”で仕込みます。
うすくち醤油はさらに、仕込みの終盤に”(米麹から造った)甘酒”を加えてから搾ります。また、小麦を浅めに炒る、塩水の割合を増やす(約1割)、仕込み期間を短めにする(約3割)等の色を淡くする工夫がなされています。

★うすくち醤油の原料
館内の組合資料室には様々な大豆、小麦、塩のサンプルが展示されていました。素材の違いが、醤油の香味にどのような影響を与えるかが気になりました。
160915 (37)うすくち龍野醤油資料館_大豆サンプル - コピー
大豆のサンプル。
160915 (38)うすくち龍野醤油資料館_小麦サンプル - コピー
小麦のサンプル。
160915 (39)うすくち龍野醤油資料館__塩のサンプル
塩のサンプル。

揖保川の水や播州の穀物、赤穂の塩などの良質の原料が、うすくち醬油や揖保乃糸などの地場産業を育んだそうです。

★醤油をかもす微生物
160915 (33)うすくち龍野醤油資料館_醤油をかもす微生物 - コピー
醤油造りで主に活躍する微生物は麹菌、酵母菌、乳酸菌です。

★昔の醤油造り
<ボイラー>
160915 (65)うすくち龍野醤油資料館_コルニッシュ・ボイラー(横型丸ボイラー)大正11年 - コピー
蒸気を発生させるためのコルニッシュ・ボイラー(横型丸ボイラー)。
160915 (64)うすくち龍野醤油資料館_ボイラーの銘
”AUGUST 1922”(大正11年8月)の銘が記されていました。

<井戸水>
160915 (21)うすくち龍野醤油資料館_井戸地下水 - コピー
地下水を汲み上げる井戸。揖保川の水は”全国まれにみる鉄分の少ない軟水”で、色が淡く香味が良いうすくち醤油づくりに欠かせない原料の一つです。

<原料処理場>
160915 (23)うすくち龍野醤油資料館_原料処理場の地釜 - コピー
地面に埋められた”地釜”。左の釜で大豆をたき(蒸し?)、右の釜で米が蒸されていました。龍野地方では大豆の処理を煮熟[しゃじゅく](別名、地獄だき)と呼んでいたそうです。

160915 (69)うすくち龍野醤油資料館_唐箕
風を送って小麦とゴミを選び分ける装置(唐箕[とうみ])。
160915 (26)うすくち龍野醤油資料館_麦炒機 - コピー
160915 (27)うすくち龍野醤油資料館_麦炒釜 - コピー
麦炒機(上)と麦炒釜(下)。麦を炒る目的は、ひき割りやすくすることと、でんぷんを麹菌が消化しやすいように変化させることです。うすくち醤油の場合は、色が濃くなり過ぎないように浅めに炒ります。

<麹室>
160915 (41)うすくち龍野醤油資料館_麹室
レンガ造りの麹室。藁室、土蔵室などもありますが、この地方ではレンガ室が多かったそうです。室の出入り口と窓は二重になっており、天井には温度調節のための天窓が設けられています。また、保温材としてもみがらが使用されていました。
160915 (45)うすくち龍野醤油資料館__麹室の説明書き - コピー
麹室のレンガは長手積み。説明書きの横には、現在の麹室の写真が貼られています。
160915 (42)うすくち龍野醤油資料館_麹蓋
室内の麹蓋。大豆と小麦に種麹をつけ、麹蓋に盛って室内で麹菌を繁殖させて醤油麹をつくります。甘酒用の米麹も同じように、蒸した米に種麹をつけて麹蓋に盛り、麹室のなかでつくられます。
160915 (40)うすくち龍野醤油資料館_麹蓋の積みかた2
4通りの麹蓋の積み方(棒積、すぎなり積、めんどり積、すきばい積)。

<仕込み蔵>
160915 (43)うすくち龍野醤油資料館_仕込み桶
醤油麹と塩水を合わせて諸味[もろみ]を仕込みます。昔は空調設備がなかったため、発酵熟成におよそ1年もかかったそうです。

160915 (44)うすくち龍野醤油資料館_仕込み蔵の天井 - コピー
仕込み蔵の天井。

<圧搾場>
160915 (50)うすくち龍野醤油資料館_圧搾場
醤油の諸味を搾る圧搾機。

160915 (52)うすくち龍野醤油資料館_棒締式圧搾機
天井近くまで"はね棒"が伸びた巨大な「棒締式圧搾機」もありました。
160915 (47)うすくち龍野醤油資料館_阿弥陀車
天井の阿弥陀車。

160915 (57)うすくち龍野醤油資料館_垽桶
垽桶[おりおけ]。しぼった醤油の中の垽(沈殿物)を分離するための桶(江戸~昭和初期)。

<醤油の色>
160915 (35)うすくち龍野醤油資料館_色時計
資料室の色度計。一番右は、搾りたての醤油の色「赤(褐)色」のようでした。

<出荷>
160915 (62)うすくち龍野醤油資料館_青い竹のタガ(映像)
出荷用の樽を作っているようす(館内映像)。仕込み桶と同様に、秋田杉でつくられた容器に”竹のタガ”を巻いています。

<運搬船と醸造道具>
160915 (29)うすくち龍野醤油資料館_浅井丸
醤油を運んでいた「浅井丸」。浅瀬でも航行できうように船底が平らになっている高瀬舟(小型の木造船)です。
160915 (28)うすくち龍野醤油資料館_醸造道具の展示
160915 (30)うすくち龍野醤油資料館_醸造道具の展示
昔の醸造道具の展示。

<帳場>
160915 (60)うすくち龍野醤油資料館_帳場
明治時代の醤油蔵の帳場を再現したコーナー。主に番頭さんが帳面を付けたり、お金の授受をしていました。

★北王子魯山人が語るうすくち醬油
160915 (73)うすくち龍野醤油資料館__ - コピー
160915 (74)うすくち龍野醤油資料館__ - コピー
北王子魯山人が、料理を作るときにうすくち醤油を使うことを薦めていました。彼はこいくち醤油に対して批判的ですが、各々の特長を活かした使い分けをする方が、より楽しみ方が広がると思いました(好みに合わないものを”こき下ろす”ような文調は、個人的には少し苦手です...)
昨夏の「和食とワイン」セミナーでの、「うすくち醤油とこいくち醤油はまったく使い方が違う。前者は最後の方に使ってスパイスのように香りを付け、後者はフォンドヴォーのように素材にしっかり味をつける」という指摘を思い出しました。

★その他
160915 (72)うすくち龍野醤油資料館_中庭の神社
中庭には神社がまつられていました。
160915 (58)うすくち龍野醤油資料館__館内の半円窓からの景色
半円窓からの、風情のある眺め。
160915 (85)龍野・資料館周辺
資料館周辺のようす。

★感想など
充実した展示物や映像を通して、うすくち醤油の複雑な製造工程をイメージすることができました。昔の酒造道具と同じつくりのものも多く見られ、とても興味深かったです。

160915 (96)姫路駅の新幹線ホーム
資料館を見学した後は、法事に出席するために山口県に向かいました。写真は姫路駅に入線するのぞみ107号(姫路駅13:55→14:53広島駅)。
翌16日にはさいしこみ醤油の資料館を見学し、5種類の醤油の関連施設を一通り訪ねることができました。

(初稿)2016.12.19

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : しょうゆ工場見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR