FC2ブログ

【見学】自園自醸ワイン紫波(岩手・紫波町) - おらほのブドウだけを地元で醸すこだわり。紫波フルーツパークのワイナリー

岩手県紫波町[しわ-ちょう]の紫波フルーツパークを見学しました。園内のワイナリーでは、町内産のブドウを100%使用して造る「自園自醸ワイン紫波」ブランドを展開しています。盛岡市の南20kmに位置する同町では、県産ブドウの約半数が生産されています。

日時:2016年8月27日(土) 13:30~14:30頃
場所:紫波フルーツパーク(岩手県紫波郡紫波町遠山字松原1番11)
営業:9:00~17:00。年末年始は休業(土日は営業)
内容:自由見学(ワイン醸造・瓶詰器具など)、試飲
料金:無料

★アクセス
160827 (59)秋田自動車道の渋滞2
ワイナリーはJR東北本線の紫波中央駅から東へ約4.8kmのところにあります。この日は秋田県南部の由利本荘市から約140kmの道のりを車で連れて来てもらいました。大曲の花火大会(第90回全国花火競技大会)の開催日だったので、秋田自動車道の反対車線はすでに渋滞していました。
160827 (60)自園自醸紫波ワイン_フルーツパーク入口 - コピー
紫波フルーツパークの中にブドウ畑とワイン醸造所があります。

★紫波フルーツパーク
160827 (118)2自園自醸紫波ワイン_外観
紫波フルーツパークは紫波町の果樹栽培を体感できる多目的な農業公園として2004年に開園しました。ワイナリーやワイン直売所の他に、ぶどうやさくらんぼなどが植えられている体験農園、ピザや蕎麦などを手作りできる体験工房があります。
ワイナリーでは、製造ラインを専用通路から自由に見学できます(予約不要、無料)。他にも、ブドウ畑の見学とランチが付いたワインツーリズムがあります(完全予約制、税別1,800円)。

★自園自醸ワイン紫波
160827 (62)自園自醸紫波ワイン_直売所案内看板
”町産の良質なブドウを100%使用して(自園)、地元のワイナリーで醸す(自醸)”紫波のワイン造りは、町内の農家が株主となり、第3セクターとして始まりました。紫波町長を4期16年つとめた藤原孝氏(現在の(株)紫波フルーツパーク社長)が技術者を雇って欧州に派遣し、土づくりからワイン造りのノウハウを学ばせて自園自醸のベースを築いたそうです。現在は自園と町内の契約農家20数件からワイン用ブドウを調達しているそうですが、「おらほ(おら方。うちの方を意味する方言)のブドウで自分たちのワインを造りたい」という思いから、生産量不足で苦しい時でも他所からの原料調達は行っていないそうです。

<沿革>
・1998年、ブドウ栽培農家有志が土づくりの研究開始。
・2001年秋、ワイン専用種による自園自醸ワインの開発表明。
・2004年春、「ワイン開発研究会」設置。同年秋にメルローなど約440kgを初収穫し、岩手県工業技術センターで試験醸造。
・2005年秋、約1,100kgを収穫。自社ワイナリーで赤・白・ロゼの5種を仕込み、2006年より販売。

<栽培品種>
黒ブドウ:メルロー、カベルネ・フラン、ヤマ・ソーヴィニヨン、マスカット・ベーリーA、カベルネ・ソーヴィニヨン、,ツヴァイゲルトレーベ、ピノ・ノワール
白ブドウ:リースリングリオン、ミューラー・トゥルガウ、ケルナー、リースリング、シャルドネ

★紫波町のテロワール(気候と土壌)
160827 (102)自園自醸紫波ワイン_地図
紫波ワインの原料ブドウのすべては北上川の東側の”赤沢・佐比内・長岡地区”で栽培されています。北国特有の冷涼な気候、適度な寒暖差、比較的少ない降水量(年間1,000ミリ程度)がブドウ栽培に適しているそうです。
この地域の土壌は非火山灰性の粘土質が多く、深層には古生代の粘板岩、蛇紋岩、花崗岩が拡がる日本でも珍しい地質。ミネラル感に溢れ、エレガントで余韻の長いワインを生み出すテロワールを備えているそうです。

台風の影響を男性スタッフの方に質問したところ、「強風による枝折れも怖いが、多湿によるカビ(晩腐病など)の被害がやっかい。今年見つけられず、翌年以降に影響することがある」そうです。畑の風通しを良くすることがとても重要だと仰っていました。

★製造ラインの見学
160827 (64)自園自醸紫波ワイン_見学通路
直売所の奥にある階段を昇ると、製造ラインの見学通路があります。
160827 (101)自園自醸紫波ワイン_見学通路
ガラス窓越しに醸造・瓶詰ラインを見学できます。反対側の壁には、醸造工程やブドウの生育などに関するパネルが展示されています。

160827 (70)自園自醸紫波ワイン_タンク - コピー
発酵・熟成用のステンレスタンク。容量100ℓ~7,000ℓのタンクが55基あるそうです。
160827 (68)自園自醸紫波ワイン_製造ライン2
この日は土曜日だったので機械は止まっていました。

160827 (100)自園自醸紫波ワイン_瓶詰ライン
瓶詰ライン。
160827 (99)自園自醸紫波ワイン_コルク打栓、ワイン充填
コルク打栓、ワイン充填機。

<醸造器具のパネル写真>
160827 (72)自園自醸紫波ワイン_除梗・破砕 - コピー
コンベアー、除梗・破砕機、もろみポンプ。
160827 (73)自園自醸紫波ワイン_圧搾 - コピー
圧搾機。
160827 (75)自園自醸紫波ワイン_ろ過機 - コピー
ろ過機。

<ブドウの生育記録のパネル展示>
160827 (78)自園自醸紫波ワイン_ブドウ生育 - コピー
白ブドウ(シャルドネ)と黒ブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン)の生育記録のパネル展示(4/27-9/18)。共に開花は6月24日ですが、白ブドウは黒ブドウと比べて萌芽が11日早く、成熟は22日も早くなっていました。

白05/04 黒05/15 → 萌芽
白05/11 黒05/22 → 展葉
白06/24 黒06/24 → 開花
白06/29 黒07/03 → 結実
白08/20 黒08/27 → ベレーゾン(色付き)
白08/27 黒09/18 → 成熟

160827 (94)自園自醸紫波ワイン_CS2開花結実
黒ブドウの開花、結実。

160827 (83)自園自醸紫波ワイン_CHヴェレゾン_完熟
160827 (95)自園自醸紫波ワイン_CS3 - コピー
ベレーゾン前は白ブドウ(上段)も黒ブドウ(下段)も同じような色調の果皮でした。また、白ブドウはベレゾンと成熟の区別が、パッと見ではわかりませんでした(成熟すると実の透明感が増す?)。

★試飲
160827 (65)自園自醸紫波ワイン_直売所
直売店の一角には無料の試飲コーナーがあります。
160827 (110)自園自醸紫波ワイン_試飲コーナー - コピー
160827 (114)自園自醸紫波ワイン_試飲コーナー
この日は12銘柄の試飲アイテムが揃えられていました。
160827 (116)自園自醸紫波ワイン_試飲グラス - コピー
試飲用のグラス。

160827 (104)自園自醸紫波ワイン_ツヴァイゲルトレーベ2015
前日のイベントで抜栓した「ヴァン・ド・紫波 ツヴァイゲルトレーベ2015」(Alc.11度。税込1,944円/750ml)の残りを試飲させて頂きました。自社畑のブドウ100%を野生酵母でゆっくり醸し、酸化防止剤の添加を最小限にして、無濾過・非加熱で瓶詰めされたものです。
外観は落ち着きのあるガーネット。ブルーベリーやカシスなどの熟した黒系果実に加えて、爽やかなメントール系の香りが微かに感じられました。フレッシュな果実味ときれいな酸味が心地よく、おだやかなタンニンと野生酵母が生み出す複雑な香味が楽しめました。
スタッフの方も一押しの銘柄で、「冷涼で寒暖差が大きい紫波町では、酸味がきれいに残るブドウを作ることができる」とのことでした。ツヴァイゲルトレーベ(オーストリアの品種)のような冷涼地向けの黒ブドウを北日本で育てる試みはとても興味深く感じられました。じっくり味わいたかったので、自宅用に1本購入しました。

★ブドウ畑
160827 (119)自園自醸紫波ワイン_小屋とぶどう畑
直売所の近くにはブドウ畑が広がっています。
160827 (121)自園自醸紫波ワイン_垣根式の畑
直売所へ続く道路を挟んで斜面上部には垣根式でブドウが栽培されていました。
160827 (120)自園自醸紫波ワイン_棚式のぶどう畑2
道路を挟んで斜面下部は棚式。

160827 (125)自園自醸紫波ワイン_ぶどう - コピー
160827 (124)自園自醸紫波ワイン_ぶどう - コピー
生命力を感じる若いブドウの実。

★紫波町での日本酒造り
岩手県は日本三大杜氏の筆頭・南部杜氏のふるさとです。紫波町にも4件の造り酒屋があることを、スタッフの方に教えて頂きました。
・月の輪酒造店
・吾妻峰酒造店[あがつまみね-]
・高橋酒造店
・廣田酒造店

★感想など
町長の旗振りのもとに良質なブドウ産地の農家が集い、「本格的な地酒造り」で地場産業の育成を目指す動きは、愛好家としてとても頼もしく感じられました。また、ドメーヌ(自社畑のブドウでワインを醸す生産者)を意味する「自園自醸」という言葉は、生産者が目指す方向性がストレートに伝わる、とても良い響きの言葉だと思いました。
見学通路で作業をしていた男性スタッフの方が親切に色々と教えてくださったおかげで、岩手県のワインを知る良い機会となりました。

この後は、同じく岩手県の石鳥谷にある南部杜氏伝承館を見学しました。紫波フルーツパークから車で約16分(12km)です。

(初稿)2016.12.12

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : ワイナリー見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR