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【見学】福光屋(石川・金沢) - 白山の百年水で仕込む「黒帯」、「加賀鳶」の蔵元

『黒帯』や『加賀鳶』などを製造する福光屋[ふくみつや]を見学しました。金沢に現存する最古の造り酒屋で、(四季醸造ではなく)冬場だけの寒造りを行っています。ちょうど酒造時期だったので、酒母や醪の製造風景を見学することができました。

日時:2016年3月18日(土) 15:00~16:30頃
場所:福光屋(石川県金沢市石引2丁目8番3号)
内容:映像鑑賞、蔵見学、試飲(ガイド付き)
料金:500円(蔵内コース)

★アクセス
160318 (45)福光屋_外観
金沢駅から北鉄バス(錦町方面行)に乗車し、小立野[こだつの]停留所で下車します(約20分、運賃220円)。バスの進行方向に向かって停留所から1分ほど歩くと、右側に福光屋があります。

★見学受付
160318 (10)福光屋_SAKESHOP
福光屋本社1階のアンテナショップ「SAKE SHOP福光屋」で受付をします。酒蔵見学(蔵内コース)は定員10名で事前予約制です。お店の一角にはスイーツを楽しめるコーナーがありました。

★映像鑑賞
160318 (11)福光屋_映像鑑賞、試飲会場
最初に映像を鑑賞しました。内容は福光屋の紹介と日本酒の原料や造りの流れなどです。
机にはパンフレットと工場見学用の帽子などが置かれていました。

<創業>
創業は寛永二年(1625年)。安永年間(1772年~1780年)に、六代目・塩屋太助が石引町(現在地)にある寛永二年創業の酒蔵を買い取り、七代目の太助が「塩屋」の屋号を越中・福光町(先代の出身地)にちなんで「福光屋」と改めました。金沢で最も長い歴史を誇る酒蔵です。

<純米蔵>
160318 (44)福光屋_純米酒
同社は2001年から全量純米づくりに切り替えています。生産高万石単位の酒蔵では唯一の純米蔵だそうです。醸造用アルコール等を使用しないため、原材料に占める米の割合が高くなっています(写真の右側のボトル)。

<原料>
160318 (40)福光屋_酒米
福光屋では生産農家と契約栽培することによって、高品質の酒造好適米を安定確保しています。
・山田錦(兵庫県中町。昭和35年~。同社初の契約栽培)
・金紋錦(長野県木島平)
・フクノハナ(兵庫県出石)
・五百万石(富山県福光町)

<調質[ちょうしつ]>
福光屋独自の酒造工程。精米後の米に二昼夜にわたって細かい霧を降りかけることで、米本来の自然な水分を取り戻します。米の性質にあわせて蒸米の吸水率を調整することで、常に最適な蒸米ができるそうです。

<蔵人>
酒造りに携わる蔵人は約15名。杜氏の板谷氏は40代後半の生え抜きの社員杜氏。今年で4造りめになるそうです。

★百年水(仕込み水)
160318 (33)福光屋_百年水 - コピー
映像鑑賞の後は、福光屋の仕込み水「百年水」の井戸を見学しました。
「(白山に)一世紀前に降った雨が地中深く浸み込み、幾重にも重なった貝殻層をくぐり抜け、カルシウムやマグネシウムなど酒造りには欠かせない成分をゆっくり溶け込ませて、蔵に辿り着いている」ことが金沢大学理学部の調査で裏付けられています。
水質は“やや硬め”であるため、アルコール発酵がしっかりと進み、辛口の酒を醸します。
この水は誰でも無料で取水できるため、見学時にも数人の方が水を汲みに来ていました。中には大量の水を汲むために軽トラで来る人もいるそうです。ただし、ろ過や加熱殺菌などを行っていないため、水質の管理は自己責任となります。
福光屋の百年水は「酒蔵の水」としてペットボトルでも販売されています。

★壽蔵[ことぶきぐら]の見学
160318 (14)福光屋_寿蔵 - コピー
続いて4階建ての壽蔵[ことぶきぐら]を見学しました。同社には壽蔵の他に、光蔵[ひかりぐら]、禄蔵[みどりぐら]、福蔵[ふくぐら]という計4つの酒蔵があります。1階で洗米を終えた原料はポンプで壽蔵の4階に運ばれ、蒸米、製麹、酛立て、発酵の順に階下の作業場におろされて処理され、1階で醪が搾られます。
衛生管理のため、見学者は帽子・白衣・靴カバーを着用して蔵内に入ります。

<麹>
160318 (15)福光屋_麹
4階の麹室は衛生管理のため見学できませんでした。製麹は酒造りで最も気を使う工程であり、特に納豆菌の侵入には気を付けているそうです。100℃の熱でも死なない納豆菌には煮沸が効かないため、薬剤散布で対応します。しかし、薬のにおいがついてしまうため、とにかく菌を持ち込まないことが大切なのだそうです。
3階の階段の踊り場で試食した”出来立ての麹”は、白っぽい外観で優しい甘みがありました。

<酛立て(酒母づくり)>
160318 (17)福光屋_酛立て
続いて3階の酒母タンクを見学しました。酛立ては酵母を大量培養するための工程で、蒸米に麹、水、酵母菌を投入して酒母をつくります。タンクに貼られた紙に「酵母菌:F6B」と書かれていたので質問したところ、Fは福光屋の頭文字を表しているそうです。同社では(きょうかい酵母ではなく)厳選された約200種類のオリジナル酵母を主に使用しているそうです。
160318 (19)福光屋_櫂入れ
酒母をかき混ぜる「櫂入れ」の作業は、品温を均一化させることが目的。仕込んだ直後は櫂が刺さらないほどカチカチですが、酒母を軟らかくするのは(人力ではなく)、あくまでも糖化酵素のチカラに任せるそうです。酛立てにかかる日数は、速醸で約15日、山廃で約30日です。
160318 (18)福光屋_暖気
経過日数の異なる酒母の状態を確認できて、とても参考になりました。

160318 (26)福光屋_木桶
福光屋では木桶仕込みの酒も販売しています。杉桶の表面には腐敗防止のため柿渋が塗られています。柿渋は非常にクサいため、桶に塗るのは新入社員の仕事となるそうです。

<発酵室>
160318 (27)福光屋_発酵室入口
続いて、メインの発酵室を見学しました。アルコール発酵時には炭酸ガスが発生するため、室内は「酸素欠乏危険作業主任者(国家資格)」により管理されています。
160318 (28)福光屋_発酵室内
発酵室内。1日にタンク2~3本分の酒を搾っているそうです。醪の仕込みは初・仲・留の三段仕込みで、通常は約20日間(15℃)、吟醸だと約30日間(10℃)かかります。
160318 (31)福光屋_仕込みタンク(落下防止器具) - コピー
タンクの口には、落下防止用の「十字の器具」が置かれていました。大量の炭酸ガスを吸うと気を失ってしまう為、誤ってタンクに落ちた場合は助けが来るまで呼吸をしてはいけないそうです。

<上槽室>
160318 (34)福光屋_上槽 - コピー
続いて、1階で醪を搾る器具を見学しました。
160318 (36)福光屋_槽、原酒
白いテーブルの上の山吹色の液体は搾りたての酒です。通常は活性炭でろ過を行うため、酒の色は透明に近づきます。福光屋の酒が少し黄色い色をしているのは、純米酒の風味が落ちないよう、極力炭を使わないためだそうです。

★旧精米工場
160318 (39)福光屋_旧精米工場
壽蔵から試飲会場に移動する途中で旧精米工場を通りました。現在は外部に精米を委託していますが、以前は8台の大型精米機で9t(150俵)分の処理を行っていたそうです。

★試飲
160318 (42)福光屋_試飲(福正宗)
映像を鑑賞した部屋に戻り、試飲をさせて頂きました。写真の『福正宗』の他にも、『黒帯』や『加賀鳶』をプラスチックカップに自由に注いで利くことができました。
160318 (43)福光屋_試飲(みりん)
「福みりん」は、もち米(石川県産)、米麹、米焼酎(自家製)でつくられる三年熟成の純米本みりん。原料米には兵庫県産のフクノハナを使用しています。麹の濃厚な甘さと強めのアルコール度数(13.5~14.5度)を持つみりんは、デザート酒として楽しみたいと思いました。

★JR金沢駅周辺
酒蔵見学の後はバスで金沢駅に戻り、夜行バスの出発時刻まで散策や利き酒などを楽しみました。

<北鉄金沢駅>
160318 (47)北陸鉄道浅野川線
JR金沢駅前の地下道を歩いていると、懐かしい車両が目に飛び込んできました。北陸鉄道・浅野川線の8000系車両は、昔の京王電鉄・井の頭線の3000系車両が使われています。北鉄金沢駅の構内は壁で遮断されていないため、入札しなくてもホームの様子を見ることができました。

<金沢地酒蔵の利き酒セット>
160318 (48)金沢地酒蔵
JR金沢駅ビル1階の百番街あんとには、石川県の地酒を気軽にテイスティングできる利き酒カウンターがあります。3種のお試しセットはおつまみ付きで税込864円(吟醸セットは1,620円)。地酒の購入もできる駅近の便利なお店です。

★移動と宿泊
東京⇔金沢の往復には、さくら観光の夜行高速バスを利用しました。
【往路】3/14 22:40→翌7:15 新宿ワシントンホテル本館1階→金沢駅西口 3,780円
【復路】3/18 21:30→翌7:00 金沢駅西口→新宿駅 4,940円

【宿泊】R&Bホテル金沢駅西口(3泊。税込15,100円)

(初稿)2016.12.13

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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