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ワイングラスで大吟醸を楽しむ!(東京・白鶴銀座スタイル)~日本酒道連盟の勉強会に初参加。ビルの屋上に実る白鶴錦の稲穂。

日本酒道連盟の勉強会にはじめて参加しました。同連盟は垰野兪[たおの-やすし]弁護士が発案され、総裁に竹田恒徳宮様を戴いて昭和63年に設立された日本酒の愛好会です。「お酒にも、(日本古来の文化である)華道・茶道と同様に『道』があってもよいのではないか」という趣旨のもとに、勉強会や懇親会、酒蔵見学などが行われています。

日時:2016年10月13日(木) 14:00~15:45
場所:白鶴銀座スタイル(東京都中央区銀座5-12-5白鶴ビルディング7階)
料金:4,000円(会員、ビジター同額)
参加:27名

★会場(白鶴銀座スタイル)
161013 (1)白鶴銀座スタイル(外観)
会場の「白鶴銀座スタイル」は、東銀座駅の近くの白鶴ビルディング7階にあります。兵庫県・東灘区に本社がある白鶴酒造が「銀座から日本酒文化の情報発信をする」ことを目的につくられた施設で、日本酒に関するセミナーやイベントが行われています。屋上の「白鶴天空農園」ではオリジナル酒米の“白鶴錦”が育てられています。

★勉強会の内容
①「白鶴銀座天空農園」見学
②日本酒基礎知識
③ワイングラスで大吟醸
④利き酒クイズ
⑤日本酒と料理の相性 

★白鶴天空農園
161013 (6)白鶴銀座スタイル_天空農園のかかし - コピー
7階のセミナールームで本日の予定などを確認した後に、階段で天空農園に移動しました。屋上に通じる扉を開けると、白鶴錦の稲穂と案山子[かかし]がお出迎えしてくれました。

161013 (18)白鶴銀座スタイル_屋上看板
屋上では、農園長の小田朝水さんが農園立上げの苦労話などをしてくださいました。

屋上で白鶴錦の稲を育てるというプロジェクトは、2007年6月にスタートしました。プランター100基と使用済みの酒樽40荷(樽は一度使うと廃棄する?)を屋上の空きスペースに配置し、社員5-6名で土づくりから始めたそうです。ビルの屋上での稲作は誰もが未経験だったので、試行錯誤の連続でした。最初はコンクリートの上にブロックを積み、防水シートをはって土を入れてみましたが、ふわふわして作業性が悪く、すこし引っ掛けただけでもシートが破れて水漏れしていたそうです(後に、アスファルトを地面に焼き付けることで解決しました)。土も当初はホームセンターで購入したものにJAの肥料を入れて使っていたそうですが、軽量で保水性がある屋上緑化型の土を何とか探し当て、土の深さが10センチほどの田んぼをつくれるようになったそうです。
「夜も明るい銀座での稲作は無理」という専門家もいたそうですが、屋上のネオンを22時に消すなどの配慮を重ねながら、なんとか9月頭の出穂を迎え、10kgちょっと(800株分)の稲の収穫にこぎつけたそうです。現在では、大体60kg、最高時で65-67kgの収穫ができるようになったそうです。

161013 (12)白鶴銀座スタイル_屋上(用具類)
稲作と並行して、白鶴銀座では醸造免許の申請準備も進めていました。2008年2月に小仕込み(試験醸造?)の免許を取得し、試行錯誤を重ね、2012年にようやく商品化にこぎつけたそうです。銀座の屋上で育った白鶴錦は、当初は“吟醸酒”、後に“大吟醸酒”に生まれ変わり、毎年30本が銀座のデパートで販売されているそうです(三越銀座店と松屋銀座店で15本ずつ。以前は松坂屋銀座店でも販売)。仕込みは毎年3月1日くらいに開始し、商品は5月に発売されます。大吟醸酒の販売価格は、税別10,000円(600ml)です。
日本酒道連盟の勉強会では、過去に銀座の白鶴錦を使ったお酒の仕込み体験と試飲を行ったそうです。

161013 (8)白鶴銀座スタイル_白鶴錦の稲穂 - コピー
収穫した米は銀座ビルの屋上で足踏み式の脱穀機を使って脱穀し、本社(農業試験場?)に送られて玄米にされます。後に、特定名称酒を名乗るために、全農パールライス八王子工場で穀物検定検査を受けますが、指定米以外では最高ランクとなる2等米を取得し続けているそうです。

161013 (11)白鶴銀座スタイル_屋上からの景色 - コピー
害虫については、「葉巻虫がよく飛んでいるけど見つけて手でつぶす程度。農薬を播くほどではない」そうです。近隣の紙パルプ会館でミツバチを飼っているため(銀座ミツバチプロジェクト)、なるべく農薬を使わないように配慮しているそうです。

屋上での農作業は、2009年より近隣の小学生にも体験してもらっているそうです。今年は10/25に60名ほどの生徒が来て白鶴錦の刈り取りを行う予定です。収穫した米は小学校に持っていき、おにぎりなどにして食べてもらうそうです。小田さんは「酒米は美味しくないと言われているけど、白鶴錦はおいしい。粒が大きくてもちもち感がある。小学生たちにとって、食べて初めて記憶に残ると思っている。地域密着の活動を目指している。」と仰っていました。

161013 (10)白鶴銀座スタイル_埼玉のくわい
屋上では白鶴錦以外にも、1都16県35品種ほどの植物が栽培されています。写真は埼玉県のくわい。年間を通じた屋上緑化を約束することで、中央区の助成金を得ているそうです。多い時はプランターで300ほどの植物を栽培しており、水やりだけでも2-3時間(朝の7時から9時ごろまで)かかるそうです。古いビルで屋上に貯水槽があるため、水圧が高い1階と違って、水やりに時間がかかるそうです。

161013 (19)白鶴銀座スタイル_お稲荷さん
屋上には商売繁盛を祈願するお稲荷さんも祀られていました。

<白鶴錦>
161013 (25)白鶴銀座スタイル_白鶴錦_純米大吟醸
白鶴錦は酒米の王様と呼ばれる「山田錦(母:山田穂×父:短稈渡船)」の兄弟品種です。山田錦と別のお米を交配した”子”や”孫”はたくさんありますが、山田錦と同じ父母を交配した”兄弟”の育種は初めてだったそうです。母の山田穂は、山田錦という優秀な子ができたため、昭和初期で栽培が途絶えていました。白鶴酒造は山田穂を60年ぶりに復活させることから始め、1995年に、山田穂と渡船(短稈渡船と同じ?)の交配品種の育種を始めました。そしてようやく、2004年に「白鶴錦」として品種登録申請・出願公表を行うに至りました。白鶴錦は現在、兵庫県と山口県(と銀座のビルの屋上)で育てられているそうです。
白鶴錦は、山田錦と比べて”背丈が短いため倒れにくい”、米粒や心白が大きい”、”タンパク質の量は同程度に低い”という特長を持ち、お酒にした時の味わいが”山田錦よりも深い”とされているそうです。
161013 (21)白鶴銀座スタイル_土壌 - コピー
山田穂の背丈は140cmもあり倒伏しやすかったため、山田錦は品種改良により130cmに抑えられたそうです。白鶴錦はさらに低い1mほどに抑えたため、より育てやすいそうです。山田錦は(背丈だけではなく)根も長かったと記憶していたため、屋上の深さ10cmの田んぼでは浅すぎないか質問したところ、根が横に張って一枚岩みたいになるため風にも強いとのご回答でした。

★日本酒基礎知識
161013 (5)白鶴銀座スタイル_セミナー資料など
屋上から7階のセミナールームに戻り、白鶴酒造の紹介と日本酒の講義を受けました。講義では、日本酒の原料、ラベルの読み方、日本酒の分類などのポイントを説明して頂きました。

★利き酒~ワイングラスで大吟醸
続いて、白鶴錦の純米大吟醸をテイスティングしました。
161013 (26)白鶴銀座スタイル_白鶴錦大吟醸とリーデルのワイングラス
「超特選 白鶴 純米大吟醸(白鶴錦)」Alc.15-16%、日本酒度+4、酸度1.4、アミノ酸度1.0、税別3,000円。
161013 (27)白鶴銀座スタイル_ワイングラスで大吟醸
使用するグラスは「リーデル大吟醸オーグラス」。リーデルは260年以上の歴史を持つオーストリアのメーカーで、世界で初めて”ブドウ品種ごとに”理想的な形状のグラスを開発しました。「大吟醸オーグラス」は縦長のボウル形状で、次のようなメリットがあるそうです。
①香りがわかる:ボウル型の形状で、香りが溜まり、上立ち香が強く感じられる。
②酒が見える:ガラス製で酒が光を通して見えることで、輝き(テリ・サエ)や色調、グラスを伝う酒の粘性あが見える。
③味の印象が変わる:ワイングラスは飲むときに顎が上がり、口径が広いので、酒が一直線に早く流れ込み、味わいの豊かさ、濃さが強調される。

レクチャーに従って外観を見たあとに香りを確認しました(まだ飲まないで下さいと何度も念押しがありました)。
まずワイングラスで香りをかぎ、続いてポリコップに酒を移します。後者だと香りがこもらずに逃げていってしまうそうです。
味わいも同様にワイングラスとポリコップで利き分けました。口径が広いワイングラスだと酒が一直線に奥まで流れ込んで舌の上にまんべんなく広がる一方で、ポリコップだと酒が口中の手前に落ちてしまい、味わいが奥まで伝わらないそうです。

ボウル型のグラスをテイスティングで使い慣れていないため、新鮮な体験でした。脚が付いているグラスと比べてスワリングがぎこちなくなってしまったので、ボウル型の取扱いにも徐々に慣れていきたいと思います。個人的には、大吟醸をブルゴーニュ型のゆったりとした脚付きのグラスで楽しんでみたいと思いました。

★利き酒クイズ
続いて、5種類の日本酒を利き分けるクイズがありました。
161013 (28)白鶴銀座スタイル_利き酒クイズ
①「大吟醸」Alc.15-16%、日本酒度+3、酸度1.3、アミノ酸度1.1。
②「山田錦」Alc.14-15%、日本酒度+3、酸度1.5、アミノ酸度1.2。
③「生貯蔵酒」Alc.13-14%、日本酒度+2、酸度1.2、アミノ酸度1.1。
④「樽酒」Alc.15-16%、日本酒度+1、酸度1.3、アミノ酸度1.3。
⑤「まる」Alc.13-14%、日本酒度+1、酸度1.2、アミノ酸度1.1。

下段の順不同のポリコップの酒が上段の何番に該当するかを利き分けます。まず、消去法で樽香のきいた④、酸味の強い②を消去し、残りの3種をじっくり利きました。香りが取りにくかったので、味わいのアタックと余韻の強弱を軸に判断したところ、なんとか全問正解できました。

★日本酒と料理の相性 
最後に日本酒と料理の合わせ方について説明がありました。

以下の「3つの基本形」がとても参考になりました。
①バランス:日本酒と料理の味の強さを合わせる。
②ハーモニー:日本酒と料理の両方がお互いに作用し、単品では得られない味になる。
③ウォッシュ:料理の後味や嫌味を日本酒で洗い流す。口の中がリフレッシュされる。

①は、甘い(濃い)味×甘口(濃醇)の酒、旨みが強い×濃醇な酒、塩辛み×辛口の酒
②は、酸味が強い×甘口の酒、香りが控えめ×吟醸タイプ、脂っこい×熟成タイプ
③は、脂っこい×淡麗タイプ
というように、組み合わせのコツをよく理解できました。

日本酒と料理の相性について、③のウォッシュ効果だけが語られたり、「料理の”邪魔をしない”酒がよい」、「料理が良い時は酒は二級酒でよい」という言葉を耳にするたびに寂しい思いをしていましたが、この「3つの基本形」を知って、日本酒と料理のマリアージュには無限の広がりがあることを再認識できました。

<本日のおつまみとの相性>
161013 (29)白鶴銀座スタイル_料理との相性
①ポテトサラダ×大吟醸→香りが控えめ×吟醸香(ハーモニー)
②ぶり照焼き×山田錦→塩辛さ×酒の酸味、魚の旨味×米の旨味(バランス)/生臭さ×キレのある味(ウォッシュ)
③やきとり×生貯蔵酒→タレの甘味・脂っこさ×すっきりとした味わい(ウオッシュ)
④ジャーマンポテト(カレー風味)×樽香→スパイシー×樽香(バランス)
⑤大根の田楽味噌×まる→タレの甘み×マイルドな味わい(バランス)

⑤はお店のご好意(?)によりローストビーフにグレードアップしたため相性の確認ができませんでした。しかし、女性講師の「⑤のまるは何にでも合います!」というナイスフォローが入り、楽しく食事と酒の相性を確認することができました。

★おみやげ
最後に、灘の白鶴酒造資料館で限定販売されている「白鶴蔵酒」をおみやげに頂きました。
「白鶴 蔵酒」Alc.17-18%、日本酒度+3、酸度1.9、アミノ酸度1.4。税別1,000円(500ml)。

★打ち上げ
勉強会の後は、「魚々十 銀座本店」での打ち上げに参加させて頂きました。粋に楽しく(たくさん)お酒を嗜まれる方々に囲まれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。最後に、有志で新橋の「信州おさけ村」に流れ、立ち飲みで〆めました。

学びがあり、交流があり、とても有意義な一日でした。

[追記]
白鶴錦のお酒は白鶴酒造しか造っていないと思い込んでいたところ、なんと、「十四代」(山形県・高木酒造)でも取り扱っていました。ぜひ利いてみたいと思い値段を調べたところ、1升瓶で2万円超えばかりだったので諦めました... 白鶴錦のお酒をリーズナブルに楽しむには、白鶴錦を100%使用した純米酒の「灘の生一本」(税別1,170円)がおすすめだと思います(秋だけの限定販売品です)。

(初稿)2016.10.28

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テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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