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【見学】雄町米元祖岸本甚造翁碑、雄町の冷泉、岡山雄町郵便局 - オマチストの聖地巡り

現存する最古の酒米といわれる「雄町[オマチ]」の発祥地を訪ねました。オマチスト(雄町で造られた酒をこよなく愛する人)の聖地は”名水が湧く地”でもあり、米と水に恵まれた地が”良酒のふるさと”であることを実感しました。

日 時:2017年9月7日(木)11:00頃~
場 所:岡山県岡山市中区雄町

ルート(徒歩で約3km):
・JR東岡山駅
↓1.5km
・おまちアクアガーデン(雄町305-8)
↓70m
・岡山雄町郵便局(雄町134-4)
↓150m
・雄町の冷泉(雄町61)
↓100m
・雄町米元祖岸本甚造翁碑(雄町74)
↓1.4km
・JR高島駅


★宮下酒造から東岡山駅へ
170907 (85)東岡山駅
宮下酒造の見学後、JR山陽本線で雄町の発祥地の最寄駅へ(西川原・就実駅10:50→10:56東岡山駅)。雄町米を普及させた岸本甚造[きしもと・じんぞう]翁の石碑が目当てでしたが、付近に「雄町の冷泉[れいせん]」という名水が湧いていることを知り、米と水の名所をまとめて巡ることにしました。
どちらも東岡山駅と高島駅のほぼ中間地点にありますが、この日は道順がわかりやすそうな東岡山駅からスタートしました。


★東岡山駅からおまちアクアガーデンへ
170907 (88)東岡山駅_高島駅(新幹線のガード下)
東岡山駅の改札を出て右側に進み、線路沿いの県道384号を歩いて岡山方面へ。この日は雨が断続的に降っていましたが、新幹線のガード下に歩道があったので、あまり濡れずに移動できました。

170907 (89)雄町東停留所
今はなき「雄町東」の停留所跡。”雄町”という地名を見ただけでテンションが上がります。

170907 (90)Platz駐車場_雄町のふるさと
目的地の近くの大型スーパー(Platz)の駐車場には、「雄町米のふる里」という看板が掲げられていました。スーパーの中にも入ってみましたが、酒米・雄町の展示コーナーなどは特にありませんでした。

170907 (93)おまちアクアガーデンの横の田んぼ
Platzの手前を右折し、写真の十字路を左折すると、雄町の名水と親しむために造られた親水公園「おまちアクアガーデン」にたどり着きます。正面の田んぼの稲が雄町なのかどうかが気になりましたが、結局わかりませんでした...


★おまちアクアガーデン
170907 (109)おまちアクアガーデン全景
170907 (96)おまちアクアガーデン_水車
1985年(昭和60年)、この公園の西側約200mのところに湧く「雄町の冷泉」が環境庁の名水百選のひとつに選ばれました。おまちアクアガーデンは、この名水との親水を目的に平成9年に開かれた公園です。園内には水汲み場や足踏み水車、シーソーなどの遊具があります。
170907 (99)おまちアクアガーデン_水時計
園内の水時計。

170907 (100)おまちアクアガーデン_水汲み場全景
170907 (105)おまちアクアガーデン_給水場 - コピー
水汲み場の石には”雄町の稲の絵”が刻まれていました。この公園では「雄町の冷泉」の源泉と同じ帯水層から汲み上げた水が無料で提供されています。
170907 (107)おまちアクアガーデン_給水場の注意書き
こちらで汲んだ水は煮沸をしてから飲むことが求められています。他の訪問者のブログを読んでいると、そのまま飲んでいる方もいらっしゃるようでした。
170907 (103)おまちアクアガーデン_おまちの水
この水は岡山市内を流れる旭川上流からの伏流水が(旭川原から雄町まで連続している)礫質土層の帯水層を流下し、粘性土層によって被圧されて湧出するものと推定されています。

170907 (108)おまちアクアガーデン利用案内
おまちアクアガーデンへの入場は無料ですが、9時~18時の開園時間以外は施錠されます。休園日は、第1・第3金曜日。夏場は水遊びをする家族連れなどで賑わうそうです。


★岡山雄町郵便局
170907 (114)岡山雄町郵便局_外観
170907 (112)岡山雄町郵便局_局名
続いて、オマチストの会話に度々登場するスポットへ。オマチスト定番のQUIZネタ(?)、「雄町の地に実際に存在する施設は?小学校?警察?それとも・・・」の答えとなる”郵便局”。
170907 (115)岡山雄町郵便局_ポスト型のはがき
局内は普通の郵便局で、雄町米の展示コーナーなどは(付近のスーパーと同様に)特に設けられていませんでした。局名の入ったポスト型のはがきが販売されていたので、記念に購入しました(185円。東京都までの切手は120円)。


★雄町の冷泉 源泉
170907 (118)雄町郵便局から雄町の冷泉・源泉への道のり
郵便局の正面の小道を更に西方面に進み、「雄町の冷泉」の源泉へ。
170907 (137)雄町の冷泉・源泉への入口
170907 (121)雄町の冷泉・保存会の注意書き
写真の看板の手前の小道を左折し、少し進むと右側に源泉があります。

170907 (123)雄町の冷泉・源泉の全景
170907 (130)雄町の冷泉 - コピー
「雄町の冷泉」は、岡山藩・池田家の5代藩主・池田綱政公によって江戸時代の貞享3年(1686年)につくられました。藩主の御用水として使われ、備前国一の名水として知られていたそうです。

170907 (131)雄町の冷泉_由来伝説
「雄町の清水、炎天に滅せず、露雨に増さず、常に地上にあふれて田畑にそそげり。味はきわめて美味にして、然も深く軽きこと他の水と大いに異なれり。世に得難き良水なり」(『東備群村誌』)。

170907 (132)雄町の冷泉_源泉内部 - コピー
170907 (127)雄町の冷泉・源泉の取水口
源泉の汲水時間は7時~18時。取水者には維持運営のための協力金の寄付が呼びかけられています。住宅地の奥にある源泉は車などでのアクセスが不便であるため、前述のおまちアクアガーデンが近くにつくられたそうです。


★雄町米元祖岸本甚造翁碑
170907 (146)雄町米元祖岸本甚造碑_全景
170907 (149)雄町米元祖岸本甚造碑_碑名拡大
源泉を後にし、雄町米を普及させた篤農家・岸本甚造翁の石碑へ。

170907 (145)雄町米元祖岸本甚造碑_碑文拡大
1859年(安政6年)、備前国上道郡高島村雄町(現在の岡山市中区雄町)の岸本甚造氏は、伯耆大山(ほうきだいせん。現・鳥取県)への参拝の帰り道に、あぜ道に覆いかぶさるように頭を垂らすひときわ重そうな稲を見つけました。この稲穂を2本ほど譲り受けた彼は、雄町の地に戻って栽培・選別(純系分離)を重ね、1866年(慶應2年)に「二本草」と名付けた新種を選出しました。彼は「この稲を分けてほしい」という希望者に快く分配したため、二本草は県南部をはじめ広く一帯で栽培されるようになりました。米の名前もいつしか甚造翁の地元の名をとり「雄町(米)」と呼ばれるようになったそうです。

170907 (148)雄町米元祖岸本甚造碑_正面
雄町は9月上旬に出穂し、10月下旬に成熟する晩生[おくて]品種。大粒で心白の発現率がよいため、良質な酒造好適米として重宝されてきました。しかし草丈[くさたけ]が115cmと著しく長いため倒伏しやすく、収量性が低いこと、いもち病などの耐病性に弱いことなどと併せて栽培は困難とされています。昭和40年代には栽培面積がわずか6ha(出典によっては3ha)まで落ち込みましたが、岡山県の酒造会社などの尽力により、平成9年には430haまで回復・拡大しています。
雄町は”岡山県中部及び中部以南の花崗岩の崩壊した壌土もしくは砂壌土で、土壌が深く排水の良好な水田での栽培に適する”とされています。

170907 (142)雄町米元祖岸本甚造碑_背面
優れた酒造好適米であった雄町は各地で交配種として利用されました。山田錦や五百万石を含む酒米の約6割には雄町の血が受け継がれているとされています。百年以上も前に発見されて現在も栽培されている唯一の品種であるため、雄町は現存する最古の酒米といわれています。

170907 (154)岡山県の用水路 - コピー
石碑を後にし、宮下酒造に戻るため高島駅へ。写真は道中でみかけた剝き出しの用水路。ネットニュースなどで度々話題になっていましたが、夜間や増水時などは確かに危険だと思いました。


★高島駅から宮下酒造へ
170907 (158)高島駅(赤穂線・山陽本線接続)copy
高島駅から山陽本線に乗り、再び宮下酒造の最寄駅へ(高島駅12:25→12:28西川原・就実駅)。酒蔵のレストラン「独歩館」の開店までのすき間時間を効率よく使うことができました。宮下酒造では高島地区の雄町を使った清酒『極聖 高島雄町』シリーズを発売しています。


★姫路駅での角打ち
170907 (193)タツリキショップ_左雄町、→山田穂
独歩館での食事を終えた後は、18きっぷで大阪駅を目指しました。夜行バスの発車時間まで時間がたっぷりあったので姫路駅で途中下車し、前夜に続いて「タツリキショップ」(銘酒『龍力』で有名な本田商店のアンテナショップ)へ。
写真は雄町(左)と山田穂(右)の生酒の飲み比べ。山田穂の上品ですっきりとした印象に対し、雄町は濃醇でコクのある味わい。一口に生酒といっても香りも味わいもこんなに違うのかと改めて感動しました。
受け皿にこぼれるまでなみなみと注いでくれて、お値段は1杯なんと200円。近所にあったら毎日でも通いたくなるお店です。


★感想など
私たちが良い米(から造られた酒)を当たり前のように楽しめるようになった背景には、優れた篤農家や周囲の人々の尽力があることを再認識しました(亀ノ尾を創選した阿部亀治氏のふるさとを訪ねた時と同じ感動を覚えました)。
訪問前は雄町米発祥の地が岡山の山奥にあるようなイメージを持っていましたが、実際には岡山駅から普通列車で2,3駅というアクセスのよい所にありました。最寄り駅から目的地までも徒歩圏なので、岡山近辺を訪れる日本酒愛好家の方にはぜひお薦めしたいスポットです(雄町の冷泉と同様に、雄町米に関する案内板や展示コーナーなども整備して頂ければ嬉しいのですが...)。

追記:帰京後に、『純正雄町米特産之地碑』(岡山市中区四御神343-7)という石碑が別にあることを知りました。おまちアクアガーデン_の北東約2.0kmの辺りにあるそうです。


(初稿)2017.9.22


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テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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