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【見学】カーブドッチ・ワイナリー(新潟・新潟市) - 欧州ぶどう栽培研究所が手掛ける新潟ワインコーストの主要ドメーヌ

ワイン専用のブドウ品種だけを栽培して自家醸造を行うカーブドッチ・ワイナリーを見学しました。敷地内にはおしゃれなレストランやスパなどがあり、ワインを楽しみながらゆったりとした時間を過ごせるようになっています。

日時:2016年12月30日(金) 11:10~12:30頃
場所:カーブドッチ・ワイナリー(新潟県新潟市西蒲区角田浜1661)
内容:見学、試飲(ガイド付き)
料金:1,080円(税込、1人当たり)

★アクセス
161230 (11)JR越後線・内野駅
往路はJR越後線で新潟駅から内野駅[うちの-えき]まで行き、ワイナリーの無料シャトルバスを利用しました(新潟駅12:20→12:42内野駅、7駅、237円)。
161230 (13)JR越後線・内野駅_送迎バス
内野駅の改札口を出て右側の階段を降りると、正面にシャトルバスが停車していました。シャトルバスは1日2往復で、平日のみの運行、事前予約が必要です(内野駅発10:50、11:50。ワイナリー発15:20、16:20)。内野駅からワイナリーまでは約20分(約13km)です。
161230 (76)JR越後線・越後曽根駅
ワイナリーの最寄駅はJR越後線の越後曽根駅(約7km。タクシーで2,380円)ですが、シャトルバスは列車の本数が多い内野駅に発着しています。帰路はタクシーを利用し、越後曾根駅から新潟駅に戻りました(越後曾根駅13:17→13:57新潟駅、10駅、410円)。
161230 (16)カーブドッチ・ワイナリー_ヴィネスパとシャトルバス
シャトルバスはワイナリー内のヴィネスパ前に発着します。ヴィネスパでは日帰り入浴やヘッドスパなどが楽しめ、宿泊施設(7部屋)も整っています。敷地内にはレストランやベーカリーカフェなどもあります。
161230 (15)カーブドッチ・ワイナリー_ワインショップと駐車場
ワイナリーツアーの受付はワインショップで行います。ヴィネスパの正面から駐車場の向こう側に見える建物です。

★ワイナリーツアー
161230 (69)カーブドッチ・ワイナリー_ワインショップ外観
スタッフがワイナリーを案内してくれる「ワイナリーツアー」は事前予約制で、毎日11:00スタート(60-90分)、15名以内、税別1,000円です。シャトルバスを使う場合は(ワイナリーへの到着が11:10頃になるため)途中からツアーに合流することになります。この日は他の見学者がいなかったので、ツアーのスタートを11:10頃にして頂けました。この日は(経営者のような貫禄のある)男性スタッフの方が案内をしてくださいました。

★欧州ぶどう栽培研究所
カーブドッチ・ワイナリーを運営するのは(株)欧州ぶどう栽培研究所。その名の通り、ワイン専用品種といわれる欧州系ブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ種)のみを手掛けるドメーヌです。同社はブドウ栽培・ワイン醸造の他に、新潟県内に複数の飲食店を展開しています。設立は1992年(平成4年)で、資本金は1,000万円。非上場会社ですが、5万円×20株(100万円)単位の出資で株主になれます(2015.10.1付のNEWS)。株主には自家製品(ワイン・パン・ソーセージ・ビール)の購入割引や施設の利用割引の特典があります。
カーブドッチ(CAVE D`OCCI)の名称は、落希一郎[おち・きいちろう]初代社長の苗字からつけられたそうです(カーブ・ド・オチ=落さんのワイン・カーブ)。

★ブドウ畑
161230 (22)カーブドッチ・ワイナリー_ぶどう畑
はじめに道路を隔てて南側にあるブドウ畑を案内して頂きました。背後の山は標高481.7mの角田山[かくだやま]。日本海から約1kmしか離れていない畑には強い風が吹きつけ、降雪は比較的少なめ。同社ではワイナリーの半径500m以内に計8haの畑を所有しており、さらに県内の契約栽培農家から生ブドウを仕入れているそうです。カーブドッチでは約30種の欧州系品種を手掛けており、単一のブドウ品種で造る”セパージュ・ワイン”に力を入れています。ワイナリー周辺の土壌は(海が近いため)サラサラとした砂地が主体ですが、契約栽培先には粘土質などの土壌もあるそうです。欧州系品種は多湿によるカビなどの病害に弱いため、1haあたりの植樹数は3千本(欧州では5千~1万本)と十分に間隔をあけて風通しがよくなるように配慮されています。
161230 (19)カーブドッチ・ワイナリー_ブドウ畑(アルバリーニョ) - コピー
小道を挟んで左側は、2005年に初めてこの地に植えられた白ブドウ「アルバリーニョ」の畑。主要産地であるスペインのリアス・バイシャスも海に近く、同社で最も期待されている品種です。残念ながら現在は(ワイナリーでの有料試飲も含めて)販売されていないそうです。
150218 (12)ワインフェスタin長野(アルバリーニョ)カーブドッチ
一昨年前のワインフェスタin長野で試飲したカーブドッチのアルバリーニョ。エレガントで気品を感じるワインだったので、強く印象に残っていました。
161230 (20)カーブドッチ・ワイナリー_ブドウ畑(カベルネ・ソーヴィニョン)
小道を挟んで右側はボルドーを代表する黒ブドウ「カベルネ・ソーヴィニョン」の畑。創業の頃に植えられたもので樹齢20年ほどになるそうです。通常は骨格がしっかりとしたフルボディのワインが造られますが、この地のテロワールや樹齢などを考慮して軽やかなワインに仕立てているそうです(長期熟成タイプを造るにはまだ樹齢が足りないそうです)。土壌はすぐ隣のアルバリーニョの畑と特に変わらないそうです。
161230 (24)カーブドッチ・ワイナリー_ぶどうのつる2
畑の手入れをしているのは主に5名の従業員とアルバイト。冬に剪定(今年実をつける新梢を残して不要な枝を切り落とす)作業を行い、収穫は9月から10月にかけて手摘みで行われます。最後に収穫されるのは晩熟のカベルネ・ソーヴィニョン。例年は10月最終週になりますが、気温の高かった今年は10月20日前後に前倒しされたそうです。ブドウは水分を嫌う為、雨の日は収穫をしないそうです。

★醸造施設
161230 (25)カーブドッチ・ワイナリー_外観
161230 (27)カーブドッチ・ワイナリー_醸造施設
ブドウ畑の後は、ワインショップの近くの醸造施設を案内して頂きました。
161230 (31)カーブドッチ・ワイナリー_除梗破砕機と圧搾機
除梗破砕機(奥)と圧搾機。収穫されたブドウはまず除梗破砕機で梗が取り除かれ、軽くつぶされます。この機械は、中のスクリューに引っかかって梗がとれるという単純な仕組みだそうですが、いかに実をとりきるかが重要なので良い機械を使っているそうです(この仕組みを考えた人はすごいと思います...)。続いて、白ワインは圧搾機で搾った果汁のみをアルコール発酵させます。赤ワインは写真左奥のステンレスタンクで1カ月くらい浸け込んで皮から色素成分、種子からタンニンなどを抽出し、アルコール発酵と醸しが終わってから圧搾します。酵母菌は野生酵母と純粋培養酵母を使い分けているそうです。

161230 (35)カーブドッチ・ワイナリー_仕込みタンク
仕込みは約3週間かけて行われます。室内には2千、3千、5千ℓと大きなタンクが並んでいました。基本的に1つのタンクには1つのブドウ品種のワインが仕込まれます。酵母菌がブドウの”糖分”をアルコールと炭酸ガスに分解するため、ワイン用ブドウの糖度は生食用ブドウよりも高いそうです(生食用が16-18度に対してワイン用は20度超。但し、果肉が小さく食べにくい)。カーブドッチでは原則、補糖(※)を行いませんが、タイ米輸入が社会問題となった1993年の冷夏の年には例外的に行ったそうです。
(※)ブドウの糖度が低い年にアルコールのもととして人工的に糖分を添加すること。

★熟成庫
161230 (42)カーブドッチ・ワイナリー樽熟成庫
続いて、木樽の熟成庫へ。ガイドの方が「この部屋に来るとホッとする」というように、癒し系の香りが漂っていました。樽の材質はすべてフレンチオークで毎年新樽を入荷しているそうです。1つの樽は5-6年使われ、その後はブランデーの熟成樽などに再利用されます。同社ではドイツ製の蒸溜機を所有しており、ワインを蒸溜して造る「オー・ド・ヴィ・ホワイト」(alc.40%、350ml、税別2,800円)と5年の樽熟成を経た「オー・ド・ヴィ・バレル」(alc.40%、350ml、税別3,200円)を手掛けています。ただし、バレルは品薄であと2年経たないと次の商品が販売されないそうです。
161230 (39)カーブドッチ・ワイナリー_フレンチオーク樽
カーブドッチでは赤ワインと白ワインをほぼ同じくらいの割合で生産していますが、木樽で熟成させるのは赤で約8割、白で約3割。フレッシュなワインが主力であるため、熟成期間は最長のカベルネ・ソーヴィニョンで12カ月程度となっているそうです。

161230 (47)カーブドッチ・ワイナリー_瓶熟成庫
続いて瓶詰ワインを長期熟成するための地下貯蔵庫へ。
161230 (46)カーブドッチ・ワイナリー_熟成庫(ペティヤン)
王冠の栓をしたボトルは発泡性のペティヤン。同社のスパークリングワインはすべて瓶内二次発酵で造られているそうです。

161230 (49)カーブドッチ・ワイナリー_地下の瓶熟成庫 - コピー
すぐに出荷できる商品や顧客に販売済の商品を保管している地下貯蔵庫。ワイナリーが50年後も続いているとの見通しのもとにしっかりと品質管理ができる大きな設備を整えたそうです。室温は夏場でも最高15℃になるように管理されています。
同社のワインの出荷量は年間で約8万本ですが、アイテム数が多いため、ラベルの貼付けは主に(機械ではなく)手作業で行っているそうです。

★どうぶつシリーズ
かわいい動物がラベルに描かれたボトルが並べられていました。醸造家の掛川史人[かけがわ・ふみと]氏が、レギュラー商品とは別に”趣味にはしって”造っているものだそうです。出荷量が少なく入手困難なブランドです(基本的には飲食店向け?)。
161230 (53)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_あなぐま、ぺんぎん、かわうそ
・あなぐま2015(サンジョヴェーゼ)
・ぺんぎん2015(北海道余市産ケルナー)。全房プレス、無ろ過。
・かわうそ2015(7種のアッサンブラージュ。シャスラー、ヘルダー、オーセロワ、アルバリーニョ、セミヨン、シャルドネ、シュナンブラン)
161230 (54)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_おうむ、みつばち、もぐら
・おうむ2015(ツヴァイゲルト)
・みつばち2015(シュナンブラン)
・もぐら2015(シャルドネ)
161230 (55)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_ふらみんご、くま、むささび
・ふらみんご2015(ピノ・ノワール)
・くま2015(5種のアッサンブラージュ。カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、プチベルド、マルベック)。2014はカベルネ・フランのセパージュ。
・むささび2015(発泡性のブラン・ド・ノワール?。カベルネ・ソーヴィニョン90%、シャルドネ10%)
161230 (56)カーブドッチ・ワイナリー_どうぶつシリーズ_裏ラベル
裏ラベルには”亜硫酸塩含有”と記されていますが、ワイナリーのHP (http://ffkake.wixsite.com/forhp/services2-c12zf) では以下のように説明されています。
”亜硫酸をまったく添加していないため、瓶詰後にサンプル瓶を27℃の保温庫にて2週間保管し微生物チェックをしています。微生物的な劣化は見られませんでしたが、可能であれば18度以下での保存をお勧めします。”
”無添加でも酵母は亜硫酸を精製するため、裏ラベルに亜硫酸含有と表記しています。”
同HPには、飲み手の心をくすぐるような”醸造家のこだわり”の数々がくわしく記されていてました。

★試飲
最後にワインショップのカウンターで6種のワインをテイスティングしました。
161230 (57)カーブドッチ・ワイナリー試飲_スパークリング
①スパークリングワイン ブラン・ド・ブラン N.V.。税別3,800円。
161230 (59)カーブドッチ・ワイナリー試飲_セミヨン - コピー
②セミヨン2015。alc.11.0%。税別2,500円。
161230 (61)カーブドッチ・ワイナリー試飲_シャルドネ
③シャルドネ2015。alc.12.0%。税別2,950円。樽熟成。
161230 (63)カーブドッチ・ワイナリー試飲_カベルネ・ソーヴィニョン
④Bijou カベルネ・ソーヴィニョン2015。alc.12.5%。税別4,200円。発酵時に数パーセントの全房を投入。
161230 (65)カーブドッチ・ワイナリー試飲_プチベルド
⑤Bijou プチベルド2015。alc.12.0%。税別4,200円。2011年以来の単一品種。
161230 (67)カーブドッチ・ワイナリー試飲_ピノノワール - コピー
⑥ピノ・ノワール2014。alc.11.0%。税別2,950円。

ブドウ品種や造りの違いがはっきりとわかるラインナップで、1杯ごとに新たな楽しみがありました。全体的にフレッシュな果実味を活かしながらエレガントに仕立てられている印象で、繊細な和食とも合わせやすそうに思いました。

★新潟ワインコースト
161230 (70)カーブドッチ・ワイナリー_敷地案内図
カーブドッチの周辺には新しいワイナリーが続々と登場しており、「新潟ワインコースト」を形成しています。
・「カーブドッチ」1992年~。醸造家:掛川史人氏(ワイナリー経営塾を主宰)
・「フェルミエ」2006年~。醸造家:本多孝[ほんだ・たかし]氏(1967年生)
・「ドメーヌ・ショオ」醸造家:小林英雄[こばやし・ひでお]氏
・「カンティーナ・ジーオセット」2013年~。醸造家:瀬戸潔[せと・きよし]氏
・「ルサンクワイナリー」2015年~。醸造家:阿部隆史[あべ・たかし]氏。

初代社長の落氏は、カーブドッチを開いた角田浜一帯を1970年代頃のアメリカのナパ・バレーと重ね、この地を一大ワイン産地に育てたいとの夢を抱きました(当時のナパ・バレーには30軒ほどのワイナリーしかありませんでしたが、わずか30年ほどで世界的なワイン産地に育ちました。『僕がワイナリーをつくった理由』ダイヤモンド社より)。落氏は2003年にワイナリー経営塾を立上げ、若くやる気のある醸造家たちを育ててきました。彼らはカーブドッチの周りに次々とワイナリーを開き、個性的なワイン造りに励んでいるそうです。
案内をしてくださった男性は、「若い醸造家たちは怖いもの知らずで『おいおい』と思うようなことにも積極的に取り組んでいる。モノ作りはセンスで、年齢は関係ない」と仰っていました。

ワイナリーの周辺には新潟麦酒(約200m北東)や、地ビール第1号のエチゴビール、日本酒の笹祝酒造(ともに約3km南東)などもあり、ワインとともに多様な日本産酒類が楽しめるエリアになりそうで、とても楽しみです。

(初稿)2017.1.8

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テーマ : ワイナリー見学
ジャンル : グルメ

【見学】竹田酒造店(新潟・上越市)- IWCでトロフィー賞に輝いた『かたふね』の蔵元。日本酒の本来の色は黄色!?

『かたふね』の蔵元、竹田酒造店を見学しました。明るくて勉強熱心な若奥様が丁寧に蔵の中を案内してくださいました。ろ過を(ほとんど?)していない酒の色が”鮮やかな黄色”であり、瑞々しい果物のような香りを放っていたことが衝撃的でした。

日時:2016年12月29日(木) 13:30~15:00頃
場所:竹田酒造店(新潟県上越市大潟区上小船津浜171)
内容:見学、試飲(ガイド付き)
料金:無料
交通:JR普通列車(18きっぷ、1日当たり2,370円)、北越急行ほくほく線(1,290円)


★アクセス
161229 (5)上越線の車窓(雪景色)
161229 (10)上越線車窓
この日はまず18きっぷを使って、東京都内から新潟県の越後湯沢駅まで行きました(上野駅6:26→8:16高崎駅8:24→9:31水上駅9:47→10:21越後湯沢駅。通常運賃3,350円)。写真は越後中里駅付近の車窓の雪景色。冬場の上越線は情趣に富んだ風景が楽しめます。
161229 (32)ほくほく鉄道_越後湯沢駅
161229 (33)ほくほく鉄道_切符
越後湯沢駅で少し休憩した後、北越急行ほくほく線の快速で犀潟駅[さいがた-]へ(越後湯沢駅11:48→12:49犀潟駅)。越後湯沢駅から犀潟駅まで1,290円の切符を新たに購入しましたが、六日町駅まではJR線の管轄だったので320円ほど二重払いだったようです...
161229 (84)犀潟駅
犀潟駅には、JR信越本線と北越急行ほくほく線の2線が乗り入れています。駅から竹田酒造店までは約2km。駅前にタクシーが常駐していなかったので、歩いて酒蔵を目指しました。
161229 (40)竹田酒造店_アクセス(新堀橋)
161229 (52)竹田酒造店_外観
犀潟駅前の横断歩道を渡って小道を直進し、突き当りを右折して県道129号線をまっすぐ進むと右側に酒蔵があります。


★酒蔵見学の概要
161229 (50)竹田酒造店_売店の外観
161229 (54)竹田酒造店_売店のカウンター
竹田酒造店では11月~2月の酒造期に蔵見学を行っています(少人数単位、事前予約制)。入口のインターホンを鳴らすと、1歳半のかわいい女の子を抱いた若奥様が出迎えてくれました。2年前にHPをリニューアルして以来見学者が増えており、年の瀬にもかかわらず前日と翌日にも予約が入っているとのことでした。


★竹田酒造店
161229 (43)竹田酒造店_かたふね、上小舟津
創業は1866年(慶応2年)。竹田清左衛門が漁舟の船着場である上小舟津[かみこふなづ]にて酒造業を開始したことにさかのぼります。創業以来の酒銘である『潟舟[かたふね]』は、砂丘に点在する”潟”と、漁船の発着場である上小舟津の”舟”に由来します。
現在の蔵元(代表社員)は9代目の竹田成典氏。9代目の奥様と10代目の竹田春毅専務ご夫妻の4人で400石の蔵を経営されています。酒造期には季節労働の蔵人が、近隣の市から4名ほどやってくるそうです。


★海辺の砂丘の上で醸す酒
161229 (46)竹田酒造店近隣の海岸への道
竹田酒造店は日本海から約200mほど内陸に位置しています。蔵が位置するところは砂丘ですが、道を一本隔てた海側は干潟を埋め立てているため、地震の際の揺れ方が全然異なるそうです。仕込み水は、砂丘でろ過された少し硬めの水を地下60mから汲み上げていますが、海に近くても、ヨードや潮の香りが酒に出ることはないそうです。
見学時の雪を心配していましたが、この辺りは海風が強く吹きつけるため、雪が積もることは少ないそうです。


★酒造工程
赤ちゃんをご家族に預けた若奥様が、蔵内を案内してくださいました。蔵内ではヘッドキャップを着用します。
口頭での説明に加え、蒸米、製麹、仕込みなどの重要なポイントはiPadを使って作業風景の動画を見せてくださいました。

<洗米、蒸米>
161229 (58)竹田酒造店_蒸米用の釜
精米所から届いた米は洗って水分を吸わせた後に、100度の蒸気で蒸されます。写真は甑を乗せる釜。iPadの動画ではボイラーの蒸気で一面が真っ白になっており、ピーッという大きな機械音?が響き渡っていました。
『かたふね』に使われる米は、越淡麗、こしいぶき、山田錦。米の特徴を引き出すために、一反につき八俵以上つくらないよう契約農家に依頼しているそうです。

<放冷>
161229 (65)竹田酒造店_放冷機
蒸し上がった米は、放冷機で30度台に冷却されます。
161229 (67)竹田酒造店_放冷機(送風部)
この部分から冷たい外気を取りこんで、、、
161229 (66)竹田酒造店_放冷機(網)2
網の下から冷たい風が送られ、この上でばらした蒸米を冷ましていきます。

<製麹>
161229 (68)竹田酒造店_麹室
写真奥は米麴を造る麹室。麹造りは社長親子が行っているそうです。

<酒母室>
161229 (77)竹田酒造店_酒母室
酒母室。米麹に水と乳酸菌と酵母菌を加えて酒母を造る部屋。

<仕込み>
161229 (64)竹田酒造店_仕込蔵
酒母に掛米と麹と水を加えて醪をつくる仕込蔵。青いベストを着ている方は杜氏さん。すれ違った社長さんは赤いベストを着ていました。
161229 (69)竹田酒造店_米を送るホース
蒸米は写真のホースを使って仕込蔵へ送られます。
161229 (73)竹田酒造店_仕込みタンク
161229 (72)竹田酒造店_仕込みタンク(内部)
はしごを昇って、仕込みタンクの中も覗かせて頂けました。

<ろ過>
161229 (70)竹田酒造店_ろ過作業2
大きな金属製のたらい?の中の酒の色は、なんと鮮やかな黄色!
滓引き後、ろ過をしていない(殆どろ過をしていない?すろ過?の)状態の酒は、このような色をしているそうです。ここまで鮮やかな黄色の酒をみたのははじめてだったので衝撃的でした。作業をされていた杜氏さん曰く、「ろ過をするごとに愛想がなくなる」ため、活性炭などを使いすぎないようにしているそうです。このような酒は「ボジョレーヌーボーよりうまい。」と仰っていましたが、確かに、もぎたての果物をぎゅっと絞ったような瑞々しくフルーティーな香りを放っていました。
161229 (71)竹田酒造店_ろ過機のアップ
ろ過機のアップ。ここで濁りの度合いを見ながら、再びろ過器を通すかタンクへ送ってよいかを判断するそうです。

<貯蔵>
161229 (78)竹田酒造店_貯蔵タンク
土蔵の仕込蔵を通り抜け、鉄筋コンクリート造りの貯蔵庫へ。蔵内には4本の貯蔵タンクが並んでいました。

<瓶詰、包装>
続いて受付(入口)の対面の建物へ。中では女性のスタッフさんが作業をされていました。
161229 (80)竹田酒造店_ラベルの手貼り作業
ラベル貼りは、ほぼ手作業で行っているそうです。寸分のゆがみなくスピーディーに作業されている様子は、思わず見とれてしまいます。ちなみに、酒を低温加熱殺菌する”火入れ”は、瓶詰後に徐々に加温する「瓶燗[びんかん]火入れ」にこだわっているそうです。
161229 (81)竹田酒造店_瓶の包装作業
包装紙で包む作業も職人技の速さでした。


★試飲
最後に受付に戻り、9代目の奥様が試飲をさせてくださいました。
161229 (83)竹田酒造店_試飲
①『かたふね 特別本醸造』こしいぶき・越淡麗、精米歩合60%、alc.16度
②『かたふね 純米吟醸』こしいぶき・山田錦、精米歩合55%、alc.16度
③『かたふね 純米』越淡麗・こしいぶき、精米歩合65%、alc.16度

口に含むと米のうま味が広がり、余韻にはしっかりとキレが感じられるある味わいでした。

新潟県は淡麗辛口のイメージがありますが、『かたふね』の身上は「コクのある旨口」。会社概要には、「本来日本酒は味があるもの。口に含んだときにパッと深みが広がり喉元でスッと切れる。そう言う幅のある酒が理想。需要はあっても水のような酒は造らない。」と紹介されていました。食中酒へのこだわりも強く、目指しているのは料理を”引き立てる”ような酒。若奥様によると、社長が案内文を考えている際に「料理の”邪魔をしない”ではないんだよなぁ...」とつぶやいていたそうです。

161229 (97)武田酒造店_かたふね生貯蔵酒
旅のお伴用に本醸造を2本購入しました。
①「かたふね 特別本醸造 ひやおろし 生詰」精米歩合60%、alc.16度
②「かたふね 本醸造 生貯蔵」精米歩合65%、alc.15度

『かたふね』の本醸造は2015年のIWC(※)で「トロフィー賞」を受賞しています(同部門には44銘柄、44蔵元がエントリー。2013年以来、2度目の受賞)。

(※)IWC(International Wine Challenge):英国ロンドンで毎年4月に開催されるワインの品評会。日本酒部門(Sake Category)は2007年に新設。9つのカテゴリー(純米大吟醸酒、純米吟醸酒、純米酒、大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒、普通酒、古酒、スパークリング)ごとに審査員がブラインド・テイスティングを行い、金メダル・銀メダル・銅メダル・大会推奨酒を選定。各カテゴリーにおいて金メダルを獲得した出品酒のうち、さらにそれ以上のレベルに達していると認められたものに、「トロフィー」が与えられ、さらに「トロフィー」のなかから、日本酒部門の最高賞(9部門の中での最高評価)「チャンピオン・サケ」が与えられます。また金メダルの中で日本での小売価格が1,000円以下、かつ、生産量が四合瓶換算で10万本以上の銘柄の中から 「グレートバリュー」が選ばれ、その中から優れていると評価されたものに「グレートバリューアワード」が与えられます。


★帰路
161229 (89)犀潟駅
帰路は再び18きっぷを使い、宿泊先の新潟市内に向かいました(犀潟駅15:17→16:38長岡駅17:02→18:19新潟駅。通常運賃2,270円)。
161229 (92)信越本線車窓
車窓からは間近に迫る日本海の風景が楽しめました。


(初稿)2017.8.15

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

【見学】キリンビール名古屋工場(愛知・清須市) - ジョッキ色の巨大なタンク、一番搾りの名古屋づくり

キリンビール名古屋工場を見学しました。ビール色の巨大なタンクや昔の貴重な広告など、見ごたえ充分の内容でした。ご当地ビール『キリン一番搾り 名古屋づくり』と通常の一番搾りの比較試飲ができて違いがよくわかりました。


日時:2016年12月21日(水) 11:10~12:20
場所:キリンビール名古屋工場(愛知県清須市寺野花笠100)
内容:一番搾り うまさの秘密体感ツアー
料金:無料


★アクセス
161221 (3)名古屋駅 - コピー
夜行バスで東京から名古屋へ(鍛治屋橋駐車場23:20→5:35名古屋駅ミッドランドスクエア前。SG103。2,000円)。名古屋駅周辺には、早朝から開いている入浴施設や飲食店があるので便利です。
161221 (5)枇杷島駅
名古屋駅から1駅の枇杷島駅[びわじま-えき]から、工場までの無料の定時運行バスが出ています。JR東海道線・普通列車の名古屋駅10:35→10:39枇杷島駅で向かいました(運賃190円)。
161221 (6)枇杷島駅_西口シャトルバス乗り場 - コピー
枇杷島駅の改札口を出て左側(西口)へ進み、右側の階段を降りたところにバス乗り場があります。11:10開始のツアーに合わせて、枇杷島駅10:45→10:55名古屋工場のバスに乗りました。ツアーの定員40名に対してバスの定員は28名なので、バスを利用する人は予約時にその旨を必ず伝えておくことをおすすめします。


★入館、見学受付
161221 (9)キリンビール名古屋工場_入口の金のしゃちほこ
工場にバスが着くと、スタッフの方が入口の外までお出迎えに来てくれていました。金のしゃちほこが”名古屋らしさ”をかもしだしています。
161221 (95)キリンビール名古屋工場_銅製の仕込釜 - コピー
入口の反対側には、創業時(1962年)から1980年代まで使われていた銅製の仕込釜が展示されていました。現在、工場内の釜はステンレス製に置き換えられています。
161221 (15)キリンビール名古屋工場_ストラップと荷物預り証
カウンターで受付をして見学者用のストラップを受け取ります。大きな荷物は預かってもらえます。
161221 (12)キリンビール名古屋工場_待合室
待合ホール。ツアー開始まで展示品や映像を観たり、記念撮影をして時間を過ごせます。
161221 (14)キリンビール名古屋工場_有名人のサイン
名古屋工場を訪れた有名人たちのサイン。
161221 (11)キリンビール名古屋工場_記念撮影スポット
記念撮影コーナー。
161221 (16)キリンビール名古屋工場_クリスマスツリー - コピー
クリスマスが近いのでツリーが飾られていました。


★映像鑑賞
161221 (10)キリンビール名古屋工場_映像鑑賞
最初に工場長のご挨拶や醸造フィロソフィー(ビールづくりは生命体との対話であり、芸術である)を紹介する映像を観ました。この回の見学者は8名(うち女性6名)でした。


★名古屋工場の昔と今
161221 (18)キリンビール名古屋工場_エスカレーターの仕込釜
映像鑑賞の後は、2階の展示コーナーへ。エスカレーターの天井には、この場所で使われていた仕込釜(1962年~1994年)が再利用されていました。
161221 (19)キリンビール名古屋工場_名古屋工場の歴史
名古屋工場の歴史コーナー。1960年代(1962年創業)からのパネル写真などが展示されています。
161221 (20)キリンビール名古屋工場_創業当時のラガービール瓶
創業当時のキリンラガービールのレプリカ。

161221 (21)キリンビール名古屋工場_昔の航空写真 - コピー
161221 (24)キリンビール名古屋工場_現在の航空写真 - コピー
航空写真の比較。古い写真(上段)には製麦工場と製栓工場が写っています。現在の写真(下段)では、原料タンクや発酵・貯蔵タンクに置き換わっていました。
名古屋工場の敷地面積は約26万㎡、生産能力は約39万㎘/年間(350ml缶×約4800万ケース)です。


★ビールの原料
続いてビールの原料を説明するコーナーへ。目の前にいるガイドさんが壁のスクリーンに映し出され、手元に次々とビールの原料が現われていきます。
161221 (25)キリンビール名古屋工場_麦芽とホップ - コピー
恒例の麦芽の試食とホップの香りの確認。
161221 (27)キリンビール名古屋工場_ホップの高さ
壁には、ホップのツルの長さをあらわすスケールが描かれていました。


★仕込み
161221 (30)キリンビール名古屋工場_仕込室のようす
続いて仕込室へ。写真は正面のスクリーンに映し出された見取り図。
161221 (31)キリンビール名古屋工場_糖化槽
ガイドさんの合図で壁がクリアになり、正面に実物の糖化槽があらわれました。
161221 (37)キリンビール名古屋工場_仕込みのプロセス
「糖化槽」では、砕いた麦芽を煮込み(デンプンを糖に変えて)甘い麦のおかゆ(もろみ)をつくります。次の「麦汁ろ過槽」で自然に流れ出てくるのが”一番搾り麦汁”、更にお湯を足して抽出するのが”二番搾り麦汁”です。『キリン一番搾り生ビール』は、一番搾り麦汁だけを使用したリッチでコクのあるビールです。続く「麦汁煮沸釜」では、ホップを加えて煮沸し、華やかな香りと苦味を麦汁に与えます。

161221 (38)キリンビール名古屋工場_麦汁の比較
一番搾り麦汁と二番搾り麦汁のサンプルの展示。『キリン一番搾り』用のもろみは二番搾り麦汁を煮出さずに家畜の飼料に再利用されます。従って、通常よりも栄養価の高い飼料になるそうです。

161221 (36)キリンビール名古屋工場_醸造技師
人型のスクリーンに醸造技師?の方が映し出されて説明をしてくれました。


★発酵、貯蔵
<発酵・貯蔵タンク>
161221 (44)キリンビール名古屋工場_発酵タンクの通路
発酵・貯蔵タンク(全長約23m)を再利用した黄色い通路を”ビールの中を泳いでいるような雰囲気で”通り抜けると、、、
161221 (84)キリンビール名古屋工場_発酵貯蔵タンクの半径
発酵・貯蔵タンクの半径(約4m)が床に描かれたコーナーにたどりつきます。
161221 (45)キリンビール名古屋工場_発酵貯蔵タンク
ガイドさんの合図でカーテンが開くと、ビール色に塗られた大きな発酵・貯蔵タンクが並んでいる様子が目の前にあらわれました。
161221 (97)キリンビール名古屋工場_発酵貯蔵タンク
見学後に撮影した写真。キリンビールの工場は国内に9箇所ありますが、”ビール色に塗られたタンク”があるのは名古屋工場だけだそうです。このタンクは、JR東海道線の車窓からも見えるそうです。

<発酵、貯蔵、ろ過の工程>
161221 (48)キリンビール名古屋工場_酵母菌
発酵タンク内では、麦汁の中の糖分を酵母菌がアルコールと炭酸ガスに変えていきます。ビールに含まれるガスは発酵時に生まれるもので、人工的に注入したものではありません。
161221 (50)キリンビール名古屋工場_発酵プロセス
発酵期間のようす(2日目、4日目、7日目)。約1週間で”主発酵”が終わり”若ビール”ができあがります。
161221 (51)キリンビール名古屋工場_貯蔵プロセス
貯蔵期間のようす(1日目~43日目)。若ビールをさらに低温で貯蔵して香味を調えます。
161221 (52)キリンビール名古屋工場_ろ過
熟成を終えたビールは、酵母菌などの不純物を取り除く”ろ過機”を通します。ろ過機では、1秒に350ml缶で約48本分もの処理が行えるそうです。


★缶づくりの工程
161221 (76)キリンビール名古屋工場_缶づくりの工程
161221 (77)キリンビール名古屋工場_缶づくりの工程(実物)
①アンコイラ→②ルプリケータ→③カッピングプレス→④ボディーメーカ→⑤トリマ→⑥ウォッシャ→⑦コータ・プリンタ→⑧スプレーマシン→⑨オープン→⑩ネッカ・フランジャ→⑪内外節検査機→⑫パレタイザ→ふた巻締め、納品


★パッケージング、出荷
161221 (71)キリンビール名古屋工場_樽詰ライン - コピー
161221 (70)キリンビール名古屋工場_パッケージライン - コピー
続いて、瓶や缶、樽などにビールを詰めるラインへ。平日なので機械類が動いているところを見学できました。
161221 (75)キリンビール名古屋工場_パッケージ工程の映像
ガイドさんの説明に加えて、横に長いスクリーンでパッケージングから出荷までの流れが紹介されました。

161221 (78)キリンビール名古屋工場_名古屋工場製品の出荷先
名古屋工場でつくられた製品は、愛知県、岐阜県、三重県、長野県、富山県と静岡県の一部に出荷されます。


★ビア・ミュージアム
161221 (83)キリンビール名古屋工場_ビヤ・ミュージアム
パッケージング・ラインの前後に、昔のラベルや広告、ビールの歴史、世界のめずらしいビヤマグなどを展示しているコーナーを見学しました。

<昔のラベルとポスター>
161221 (80)キリンビール名古屋工場_ラガービールのラベル(明治21年) - コピー
明治21年のラガービールのラベル。

161221 (81)キリンビール名古屋工場_ポスター展示
昔の広告の展示。
161221 (67)キリンビール名古屋工場_明治36年のポスター - コピー
明治36年(1903年)製作。石版刷りでつくられた日本の広告史上で最も古い資料の一つ。
161221 (79)キリンビール名古屋工場_まり千代、レモンシトロン
左は大正15年(1926年)製作。モデルは新橋の売れっ子芸者「まり千代」。
右は昭和3年(1928年)製作。キリンレモン(レモンシトロンサイダー)新発売のポスター。

<むかしのビールづくりのミニチュア>
161221 (55)キリンビール名古屋工場_古代エジプトのビールづくり
紀元前3000年頃の古代エジプトでは、麦芽で焼いたパンを砕いて水に溶かし、自然発酵させてビールを造っていました。左上の「楔形文字粘土板」は紀元前2112~2004年頃のメソポタミア文明・シュメールの都市国家の文書で、政府の使者たちが立ち寄り先でビールをもらったことが記録されています。
161221 (56)キリンビール名古屋工場_中世の修道院でのビールづくり
9~10世紀頃の中世ヨーロッパでは、修道院が中心になってビール造りが行われていました。ビールは大切な栄養源であり、修道院を訪れる人たちにも振舞われたそうです。
中世の酒造りはワイン(主にベネディクト修道院)や日本酒(僧坊酒)も宗教施設が中心になっているので、とても興味深く思えました。

<ビールづくりの近代化の3大発明>19世紀
・パスツール(フランス)の低温殺菌法(パスツリゼーション)。彼は発酵が微生物(酵母)により行われることも発見しています
・リンデン(ドイツ)の圧縮式アンモニア冷凍機
・ハンゼン(デンマーク)の酵母純粋培養

<日本で初めてのビール醸造所>
アメリカ人のW・コープランドが明治3年(1870年)に横浜山手の外国人居留地でおこしたスプリング・バレー・ブルワリーが初。キリンビールはこの事業を受け継いで明治40年(1907年)に設立されました。

<キリンビヤマグコレクション>
1979年にスタートした世界のビヤマグのコレクション・コーナー。22か国、89窯、総数114点。うち、名古屋工場では、重要無形文化財保持者(人間国宝)の稀少な作品などが展示されています。


★試飲
161221 (90)キリンビール名古屋工場_試飲ルーム
最後に試飲コーナーへ。試飲はひとり3杯までです。冬なので『午後の紅茶』はホットで提供されます。
161221 (91)キリンビール名古屋工場_試飲3種 - コピー
3杯同時に比較テイスティングしたいとお願いしたところ快く対応してくれました。
①『キリン一番搾り』 Alc.5.0%
②『キリン一番搾り 名古屋づくり』 Alc.5.5%
③『キリン一番搾り プレミアム』 Alc.5.5%
161221 (89)キリンビール名古屋工場_一番搾りプレミアム
『キリン一番搾り プレミアム』は、低温で丁寧に絞った一番搾り麦汁と東北産ホップ「かいこがね」の第一等品を使用し、”ブラウマイスター”の黒杭隆政氏の責任監修で造られたプレミアム・ビールです。ホップは(煮沸中に加えて)発酵中にも漬け込むことで、深く華やかな香りを引き出します。麦芽の濃厚なコクとうまみ、ホップの爽やかなハーブ香が楽しめるリッチなビールでした。
161221 (93)キリンビール名古屋工場_一番搾りと名古屋づくり
通常の一番搾り(左)と、濃い味付けの”なごやめし”に合うように造られた『一番搾り 名古屋づくり』。後者は色合いだけでなく、味わいも濃厚で、アルコール度数も少し高め。赤味噌ベースの味噌カツや煮込みうどんにとても良く合うように思いました。ガイドさんおすすめのマリアージュは手羽元。名古屋づくりも素晴らしく合いそうですが、カラッと揚げて塩だれで味付けした手羽元なら、ハーブが華やかに香る『一番搾り プレミアム』を合わせてもおもしろそうに思いました。


★売店
161221 (88)キリンビール名古屋工場_売店
試飲会場のすぐ下にある売店。


★レストラン
161221 (98)キリンビール名古屋工場_レストラン
工場併設のレストランBREWER'S HOUSE(ブルワーズ・ハウス)。メニューには4種ビールの飲み比べセット(一番搾り、一番搾りプレミアム、ラガー、スタウト)やハートランドとクラシックラガーの小瓶の他に、ヤッホーブルーイングのよなよなエールもありました。


★帰路
161221 (94)キリンビール名古屋工場_シャトルバス時刻表
帰りは名古屋工場12:40→12:50枇杷島駅のバスに乗りました。12:51発の名古屋行の電車に乗れるか心配していましたが、道が混んだりしていなければ大丈夫なようです(運転手さんがきちんと電車の時刻表も把握してくれていました)。バスが工場を出るときに、スタッフが外でお見送りをしてくれていたことに気付きました。ホスピタリティの徹底ぶりに感激するとともに、とてもあたたかい気持ちになれました。
161221 (100)枇杷島駅_城北線
枇杷島駅に停車中の城北線(東海交通事業)。名古屋工場の最寄駅は城北線の尾張星の宮駅(徒歩5分)ですが、日中は1時間に1本程度しか運行していません。枇杷島駅から尾張星の宮駅までは1駅、3分、運賃230円です。


★感想など
キリンビールの工場見学は横浜、取手、仙台、神戸に続く5か所めですが、工場ごとに見どころが異なり、今回もとても勉強になりました。『キリン一番搾り 名古屋づくり』は”なごやめし”に限らず濃厚でコクのある料理に合いそうなので、東京でも気軽に購入できれば嬉しいと思いました。

栄駅周辺のコンビニで名古屋づくりを探したところ、(セブン・イレブンとファミリーマートでは置いておらず、)3軒めのローソでやっと見つけることができました。


(初稿)2016.12.24

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テーマ : ビール工場見学
ジャンル : グルメ

【見学】味の素KK川崎工場(神奈川・鈴木町) - ほんだしコース

味の素KK川崎工場の見学ツアー「ほんだしコース」に参加しました。同工場では他にも、「味の素コース」(同日午前に参加)、「Cook Doコース」の計3種の見学コースが実施されています(各90分、すべて事前予約制)。「カツオ風味のほんだし~♪」のCMでおなじみの同商品は、カツオ節粉をベースに天然(由来)の原料を配合した風味調味料です。

日時:2016年12月13日(火) 13:00~14:30
場所:味の素KK川崎工場(神奈川県川崎市川崎区鈴木町3番4号)
料金:無料
内容:『ほんだしコース』(事前予約制)
・シアター見学
・工場見学
・カツオ節削り体験
・うま味効果体験

★アクセス
161213 (129)鈴木町駅と京急大師線
最寄駅の鈴木町駅[すずきちょう-](写真)は、京急川崎駅から京急大師線[けいきゅうだいしせん]で2駅、約5分です。
161213 (126)京急大師線・鈴木町駅
鈴木町駅は、味の素KK川崎工場に隣接しています。鈴木町という地名は、味の素グループ創始者の鈴木三郎助氏の名前に由来しています。
161213 (5)アジパンダの足跡 - コピー
駅から「うま味体験館」(見学者の集合場所)までは徒歩1分です。改札口から目的地まで「アジパンダの足跡」が描かれているので、迷わずに到着できます。

★味の素・うま味体験館
161213 (8)味の素グループうま味体験館
うま味体験館の外観。
161213 (122)味の素うま味体験館_受付カウンター
最初にカウンターで見学の受付を行います。午前の「味の素コース」に続いての参加だったので、スタッフの方が「おかえりなさいませ」とあたたかく迎えてくれました。
161213 (67)味の素川崎工場・ほんだしコースのストラップとパンフレット
見学者用のストラップとパンフレット。
161213 (17)味の素とほんだしのつくりかた
「味の素/ほんだしができるまで」。ほかにも同社商品のレシピ集が渡されます。
161213 (14)味の素うま味体験館_フロアガイド
うま味体験館のフロアガイド。

★アジパンダ(Ajipanda)とアジパンナ(Ajipanna)
161213 (119)アジパンダとアジパンナ
味の素のマスコット・キャラクター「アジパンダ」の像と、妹の「アジパンナ」の着ぐるみ。
161213 (120)アジパンダとアジパンナ
アジパンダ兄妹(の着ぐるみ)は愛嬌たっぷりで、たくさんの「決めポーズ」を持っていました。

★シアター見学
161213 (11)味の素うま味体験館_シアター
はじめに四方の壁がスクリーンになっているシアターで映像を観ました。うま味を含む食材(かつお、イワシの煮干し、昆布など)やダシの歴史などについて、迫力のある映像が楽しめました。シアター内は立ち見で、撮影は不可でした。

★ほんだし工場
161213 (70)アジパンダ・バス(ほんだしコース)
続いて、「アジパンダ・バス」に乗って、線路の反対側にあるほんだし工場へと移動します。
161213 (123)鈴木町駅と味の素川崎工場
ほんだし工場は、京急大師線の線路の向こう側にあります。車窓からの(工場敷地内の)写真撮影はできませんでした。

161213 (71)味の素川崎・ほんだし工場
ほんだし工場の1階の入口。内装は料亭風になっています。
161213 (71)2味の素川崎・ほんだし工場
7階建てのほんだし工場では、カツオ節の粉砕以降の工程が行われます。
最上階の7階に運ばれた原料は、製造工程に従って階下に下ろされて処理されます。
(6階:計量・配合 → 4階:粉砕・造粒 → 3階:乾燥 → 1階:充填・包装)

見学通路は5階と2階にあります。

★カツオ節ができるまで
161213 (73)味の素川崎工場・ほんだしコース_かつおの模型
エレベーターで5階に昇るとカツオの模型がお出迎え。ここでカツオの漁獲からカツオ節ができるまでの流れを学びます。

161213 (75)味の素ほんだしコース・水揚げの様子
太平洋の赤道付近で獲れたカツオはマイナス20度に冷却されて、静岡県の焼津港や鹿児島県の枕崎港などに運ばれます。
水揚げされたカツオは解凍、生切りされた後に92~98度の熱湯で1時間ほど煮熟[しゃじゅく]されます。煮汁は10分の1の量になるまで煮込まれ、ほんだしの原料のひとつである”カツオエキス”になります。
161213 (76)味の素ほんだしコース・焙乾の様子
煮熟、骨抜きされたカツオは、薪を燃やした煙で燻して乾燥させます(焙乾[ばいかん])。ほんだしには、3通りの燻し方(深燻し、極深燻し、浅燻し)でつくられたカツオ節がブレンドされています。
・深燻し=ほんだしのベースとなる最も一般的なカツオ節
・極深燻し=削りたての強いロースト香が特徴
・浅燻し=ふわっと広がるマイルドな香りが特徴

<カツオ節削り体験>
161213 (78)鰹節削り器と軍手
続いて、カツオ節を削る体験をしました。削るときにケガをしないよう軍手をはめてから作業します。
161213 (82)おぐらのカツオ節削り器1
161213 (83)おぐらのカツオ節削り器2
削り器は70余年の歴史をもつ「おぐらの弁次郎削器」製。「少し角度をつけると良い」、「逆目[さかめ]になると粉になりやすい」、「香りとうま味を逃さないため、料理の直前に削る」などのアドバイスが書かれた説明書きが添えられていました。
161213 (85)カツオ節削り器とカツオ節 - コピー
カツオ節はカビ付けをしていない「荒本節(荒節)」。削られる面はツルツルとしていました。
161213 (86)鰹節削り体験で削った鰹節 - コピー
削りたてのカツオ節。体験用のカツオ節は多くの見学者が素手で触れているため、試食用には味の素のグループ会社・ヤマキの「花かつお」が別に用意されていました。花かつおとは、荒本節を削ったものです。

<参考>カツオ節の分類(Wikipediaより)
・カツオ節とは、カツオ(サバ科)の魚体から頭、鰭[ひれ]、腹皮(腹部の脂肪の多い部分)を切り落とし、三枚以上におろして、節[ふし](と呼ばれる舟形)に整形してから加工されたものをいいます。
・カツオを三枚におろしたものを”亀節”、三枚から背と腹におろしたものを”本節”、本節の中でも背側を使ったものを”雄節(または背節)”、腹側を使ったものを”雌節(または腹節)”といいます。
・加工工程の差異によって、カツオを茹で干したのみの”生利節[なまりぶし]”、それを燻製にした”さつま節・荒節[あらぶし]”、荒節にカビを付けることにより水分を抜きながら熟成させる工程を繰り返した”本節・枯節[かれぶし]・本枯節[ほんかれぶし]・仕上げ節”などに区分されます。
・血合いをそのままにしたものと除いたもの(血合い抜き)があります。

<カツオを活かしきる>
カツオ節は魚の背中とおなかの部分からつくられます。味の素社ではカツオの頭部や内臓、骨も様々な製品等に加工して無駄なく活かしきる工夫がされています。
・魚醤[ぎょしょう](液体調味料)
・中骨から作ったカルシウムを配合した「毎日カルシウム・ほんだし」
・肥料(茶畑など)、飼料
焙乾で出た木炭も肥料として再利用されています。

<かつおが泳ぐスピード体験>
161213 (96)カツオが泳ぐスピード体験
カツオが泳ぐスピードと人間が泳ぐスピード(オリンピックの金メダル選手レベル)を映像で比較しました。前者は目で追うのが困難なほどあっという間に通り過ぎていきました。

★ほんだしの原料、製造工程
161213 (89)味の素川崎工場・ほんだしコース・タブレット
1人1台貸し出されるツアーガイド用のタブレット端末。

<ほんだしの原料>
161213 (101)ほんだしの原料
ほんだしの原料は、カツオ節粉[-ふしこ]を中心とした「粉の原料*6種」と「液体の原料*2種」。すべて天然(由来)のものが使われています。

<製造ラインの見学>
カツオ節を削った部屋の両側の窓越しに、ほんだしの製造ラインを見学しました。ガイドさんの指示に従ってタブレット端末の該当箇所をクリックすると機械の中の様子などが映し出されます(機械類の写真撮影はできませんでした)。

川崎工場に運ばれたカツオ節は、まず5㎜程度の大きさに砕かれ、さらに1㎜程度になるまで粉砕されます。このカツオ節粉を含む”粉の原料”(他に、小麦たんぱく発酵調味料、うま味調味料、食塩、砂糖類(砂糖、乳糖)など)は10分の1㎜以下に細かくされ、”液体の原料”(カツオエキス、酵母エキス)と混ぜ合わされます。さらに”果粒”状にすることで、湿気にくくお湯などに溶けやすい便利な状態になります。

<検査、梱包ライン>
エレベーターで5階から2階に移動し、検査室と梱包ラインを見学しました。

製品は官能検査、衛生検査、重量検査、金属検査など、様々な観点から厳しくチェックされます。

梱包ラインでは、階上からパイプで送られてくる製品が機械でつくられる袋などに自動的に詰められます。
作業員は部屋を出入りするたびに専用の室内着に着替えるそうです。ヘルメットの下には帽子とヘアネットを着用するなど、髪の毛1本たりとも混入しないように衛生管理が徹底していました。

★うま味効果体験、「ほんだし」おにぎりの試食
161213 (111)味の素・うま味ホールB
工場見学の後はうま味体験館に戻り、2階のうま味ホールBへ。
161213 (103)ほんだしコース・うま味効果体験
味噌をお湯に溶いただけの”味噌湯”と味の素のミニ瓶。ガイドさんの指示に従って最初に味噌湯だけを口に含むと、なんとなく物足りない味わいでした。次に、味の素を2、3振りしてから飲み直してみると、うま味が加わったおかげで奥行きのある美味しさに変化していました。
161213 (107)味の素・ほんだしおにぎりとほうじ茶
続いて、白米にほんだしを混ぜただけのおにぎりが配られました。カツオのうま味が口の中にあふれ、これだけでも十分に満足できる美味しさでした。口直し用のほうじ茶も出して頂きました。

161213 (105)味の素・うま味体験館(池田博士と鈴木社長)
池田菊苗[いけだ・きくなえ]博士は昆布だしの美味しさに着目して1907年に「うま味」を発見し、翌年に調味料製造法の特許を取得しました。鈴木三郎助氏は、池田博士の特許を工業化・商品化して、1909年にうまみ調味料の元祖「味の素」を世に送り出しました。
うま味は4つの基本的な味(甘・酸・塩・苦)に続く新たな原味[げんみ]として世界的に認められるようになりました。
161213 (62)味の素川崎工場・味を感じるしくみ
舌にある味蕾[みらい]という器官が味を脳に伝えます。うま味は(他の4原味と違って)感じ取りにくく、言葉で表現しにくい味ですが、素材の味を引き出して料理を美味しくするチカラがあります。また、うま味が加われば少ない塩分でも美味しく感じるため「減塩効果」が期待できます。

★おみやげ
161213 (110)味の素川崎工場・ほんだしコースのおみやげ
最後にほんだしの小袋と、味の素の6mg瓶、合わせ調味料「Cook Do」(アジアン鶏飯用)のおみやげが配られました。

★ほんだしのパッケージ・デザイン
161213 (110)味の素川崎工場・ほんだしパッケージ
パッケージのカツオの絵は当初は左向きでした(焼き魚などは頭を左側にして盛り付けるため)。しかし、ほんだしの文字にそっぽを向いているように見えることや、業績が右肩上がりになってほしいなどの理由から、2007年より右向きに変えられたそうです。背景の赤はカツオを燻す炎の色をあらわしているそうです。

★感想など
カツオ節を都度削れば香り高いダシがひけますが、手間や時間を圧倒的に節約できる「ほんだし」などの調味料という選択肢があれば、とても便利だと思いました。午前の「味の素」コースと重複したのはシアター鑑賞と味噌湯の飲み比べ、工場の説明くらいだったので、同日の参加でも十分に楽しむことができました。何よりも、清潔感のある施設とスタッフの方々の親切なご対応が印象的でした。
今回の工場見学を通して、和食の命でもある「うまみ」や「ダシ」についての興味がより深まりました。

(初稿)2016.12.18

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【見学】味の素KK川崎工場(神奈川・鈴木町) - 味の素コース

味の素KK川崎工場の見学ツアー「味の素コース」に参加しました。同工場では他にも、「ほんだしコース」(同日午後に参加)、「Cook Doコース」の計3種の見学コースが実施されています(各90分、すべて事前予約制)。うま味調味料の歴史や原料、つくり方などを楽しく学ぶことができました。

日時:2016年12月13日(火) 10:30~12:00
場所:味の素KK川崎工場(神奈川県川崎市川崎区鈴木町3番4号)
料金:無料
内容:『味の素コース』(事前予約制)
・シアター見学
・歴史展示・製造工程ジオラマ見学
・専用バスで工場内見学(発酵タンクなど)
・味の素6g封入体験
・うま味効果体験

★アクセス
161213 (1)京急川崎駅
最寄駅の鈴木町駅[すずきちょう-]は、京急川崎駅(写真)から京急大師線[けいきゅうだいしせん]で2駅、約5分です。
161213 (4)鈴木町駅ホーム
鈴木町駅は、味の素KK川崎工場に隣接しています。
161213 (5)アジパンダの足跡 - コピー
駅から「うま味体験館」(見学者の集合場所)までは徒歩1分。改札口から目的地まで「アジパンダの足跡」が描かれているので、迷わずに到着できます。

★味の素・うま味体験館
161213 (8)味の素グループうま味体験館
うま味体験館の外観。
161213 (122)味の素うま味体験館_受付カウンター
最初にカウンターで見学の受付を行います。
161213 (16)ストラップトリーフレット
見学者用のストラップとパンフレット。
161213 (17)味の素とほんだしのつくりかた
「味の素/ほんだしができるまで」。ほかにも同社商品のレシピ集が渡されます。
161213 (15)味の素うま味体験館_ロッカー
無料のロッカーには食材のイラストが描かれていました。

★アジパンダ(Ajipanda)
161213 (10)アジパンダ像
味の素のマスコット・キャラクター「アジパンダ」の像。見学者に大人気の撮影スポットです。
161213 (66)アジパンダ像(うしろ)
アジパンダの色は、味の素のイメージ・カラーの赤。体の白い部分は「エプロン」で、背中にはヒモの模様がちゃんとデザインされていました。

161213 (18)アジパンダ着ぐるみ
着ぐるみのアジパンダ。ホームページに「実は・・・ パンダのわりに機敏に動けます」と書かれている通り、積極的に動いて愛嬌を振りまいていました。

161213 (65)味の素・アジパンダ瓶のタワー
アジパンダは、味の素の瓶が現在のデザインに変更された2005年に誕生したキャラクターです。

★シアター見学
161213 (11)味の素うま味体験館_シアター
はじめにシアターで「おいしさの元をたどる」というテーマの映像を観ました。味の素の原料(サトウキビなど)や、うま味と日本人の最初の出会い(魚介類の煮汁)、だしへと進化する歴史などが360度の迫力あるスクリーンに映し出されます。シアター内は立ち見で、撮影は不可でした。

映像を観た後は、同時刻に出発した「ほんだしコース」の参加者と別れて、歴史展示コーナーへと案内されました。

★歴史展示コーナー
161213 (23)味の素の歴史展示
うま味調味料「味の素」は、東京帝国大学(現・東京大学)の池田菊苗[いけだ・きくなえ]博士と、味の素グループ創始者の鈴木三郎助(2代目)初代社長の2人の出会いと協力により誕生しました。

161213 (112)池田菊苗博士が発見したグルタミン酸
池田博士は湯豆腐の昆布だしの美味しさにヒントを得て、基本4原味(甘・酸・塩・苦)以外にも味(うま味)があると考えました。明治40年(1907年)、池田博士は約38kgの昆布から煮汁をとり、「うま味」の素であるL-グルタミン酸ナトリウム約30gを得ることに成功しました。うま味の発見が讃えられ、池田博士は「日本十大発明家」のひとりに数えられています(後述)。
写真の物質は池田博士が精製したグルタミン酸。東京大学から無期限に貸し出されているもので、展示コーナーの中で最も高価なものだそうです。
161213 (32)池田菊苗博士の特許取得証
明治41年(1908年)、池田博士は「グルタミン酸塩ヲ主要成分トスル調味料製造法」の特許を出願し、認められました。
161213 (116)味の素の初代パッケージ
鈴木三郎助氏は池田博士からこの特許の実施契約を得て、明治42年(1909年)に「味の素」として商品化を実現しました。
161213 (117)味の素・大正時代のパッケージ
大正6年(1917年)のパッケージ。この年に味の素社の前身の鈴木商店(1907年創業の鈴木製薬所より改名)が株式会社化されました
161213 (113)味の素商品のラベル
味の素グループは2016年現在、26の国や地域で126の工場を持つ規模にまで成長しました。館内には数多くの商品ラベル(下3段が国内向け)が展示されていましたが、これでも全てではないそうです。

★味の素の原料と製造工程
<味の素の原料>
161213 (118)味の素の原料・サトウキビ - コピー
同社では当初、小麦のタンパク質を分解してグルタミン酸を得ていました。以降、より効率的な製造法が研究され続け、現在ではサトウキビ、キャッサバの根茎(芋)、トウモロコシなどを原料としています。国内向けはすべてサトウキビを原料としている(はずだ)そうです。
161213 (28)味の素の原料・キャッサバ芋
キャッサバ(トウダイグサ科イモノキ属)は主に熱帯地方で栽培されています。タピオカの原料としても有名です。
161213 (114)味の素うま味体験館_キャッサバの葉
キャッサバの葉は、てのひらのような形をしています。
161213 (25)味の素の6g瓶と昆布300g
6gのグルタミン酸(うま味成分)を昆布から抽出しようとすると、50倍もの量(300g)が必要となってしまうため、味の素の原料としては使えなかったそうです。

<味の素の製造工程>
161213 (30)味の素の製造工程のジオラマ
味の素の製造工程をジオラマと映像で紹介するコーナー。右から、原料タンク、発酵タンク、粗製タンク、精製タンクの順にミニチュアが並んでいます。各工程の映像に合わせて、ピンクのバスの模型が該当タンクの前へと移動していきます。
161213 (37)味の素・グルタミン酸生産菌
サトウキビの搾り汁を煮詰めて不純物を取り除いたものから砂糖が作られ、その時に残る茶色い液体(糖蜜)が味の素の原料となります。発酵タンクでは、原料の糖分を「グルタミン酸生産菌」が分解してグルタミン酸が作られ、次の粗製タンクで、微生物や不純物が取り除かれます。精製タンクでは(調味料として使いやすくするために、)ナトリウムを加えてグルタミン酸ナトリウムの結晶に加工され、最後にパッケージング工程を経て出荷されます。
グルタミン酸を取り除いた後の発酵液は、肥料として再利用されています。

★工場内の見学
161213 (39)アジパンダバス
続いて、アジパンダ・バスに乗って、線路の向こう側の工場内へ移動しました。工場の敷地内は撮影不可でした。

<鈴木町駅>
161213 (123)鈴木町駅と味の素川崎工場
1929年に「味の素前駅」として開業しましたが、戦時中に敵襲の対象となることを危惧して「鈴木町駅」に改称されました(1944年)。隣の「港町駅」も同様の理由で、コロムビア前駅から改名されたそうです。鈴木町という地名は味の素グループ創業者の名前に由来しています。敷地のすべてを工場が占めているため、住民登録をしている人は一人もいないそうです。

<味の素KK川崎工場>
敷地は東京ドーム約8個分(約10万坪)で、京急大師線の港町駅から東門前駅の4駅にまたがります。工場内には、自転車で移動する社員のための駐輪場が到る所に設けられていました。以前は貨物用の線路も工場内に敷かれていたそうです。同社の工場は三重県・四日市市(東海工場)、佐賀県・佐賀市(九州工場)にもありますが、最も大きく歴史も古いのが川崎工場です。
川崎工場の従業員は約3,300名(2015年)で、うち3分の1が3つの研究所(食品、バイオファイン、イノヴェーション)で働く研究職。敷地内には東京ドーム1個分の大きさを誇る物流センターもありますが、コンピューター化が進んでいるため、わずか30名程度で業務をこなしているそうです。
川崎工場では、天然ガスを使って100%自家発電を行っており、余剰分は電力会社へ販売しています。また、多摩川の水を熱冷却などに利用していますが、取水前よりも水質を向上させてから川に戻しているそうです。同工場では環境保全のために約1割が緑地化されています。

<発酵タンク>
161213 (1)味の素川崎工場・発酵タンクのリーフレット写真
バスから降りて、味の素の「発酵タンク」を見学しました。高さ22メートル(7階建て相当)、容量500kl(風呂桶3千杯分)の大きな屋外タンクで、1994年まで稼働していたそうです。現在はすべての味の素が海外工場で作られており、川崎工場では包装などの一部工程のみを行っているそうです。

★「味の素」6g封入体験
161213 (40)味の素・うま味体験ホールA
アジパンダ・バスでうま味体験館に戻り、2階のうま味ホールAへ。6gの味の素を空瓶に封入する”体験ルーム”への入室準備をします。
161213 (42)味の素・体験ルーム入室・品質管理記録表
体験ルームへの持込み物を入出前後にチェックする用紙。カメラと携帯電話の持込みはOKです。
161213 (60)味の素・体験ルーム用マスク
白衣、ヘアネット、マスク、ゴム手袋(指輪、ケガ、ネイルをしている人のみ)を装着します。マスクは上下にヒモが付いているめずらしいタイプでした。
161213 (45)味の素・体験ルーム入室前
さらに、靴カバー、コロコロ、手洗い、エアシャワー、(手の)アルコール消毒の5つを経て、ようやく体験ルームへ入室できます。食品工場の衛生管理の徹底ぶりを肌身で感じることができました。

<味の素6gの封入体験>
161213 (52)味の素・封入体験セット
まず、チェックシートで必要なものが揃っているかを確認します。
161213 (53)味の素封入体験・充てん機へのセット
充填機の台座を手前に引き出し、くぼみに空瓶をセットして元の位置に戻します。
161213 (55)味の素封入体験・充てん機
黒いレバーを下げると、味の素が容器に充填されます。
161213 (54)味の素封入体験・充てん量確認
規定量(5.9g~6.3g)が正しく入っているかを計量器で確認します。6.38gでギリギリセーフでした。
161213 (57)味の素・金属検査
容器に中栓とキャップをして、金属検査機で検査をします。はじめに金属が貼られたサンプルをかざして音が鳴ることを確認し、続いてマイ・ボトルの検査をします。
161213 (59)味の素6g封入体験(完成) - コピー
台紙を組立て、マイ・ボトルをはめてから透明の袋に入れて封をします。係りの人の検査を受けて「アジパンダのはんこ」を押してもらうと完成です。
台紙に名前などを記入するカラーペンは(キャップ式ではなく)ノック式でした。食品を加工する場に異物が残らないよう、到る所に細心の注意が払われていることが伺えました。

★うま味効果体験
161213 (62)味の素川崎工場・味を感じるしくみ
うま味ホールAに戻り、五原味(甘・酸・塩・苦・旨)や味を感じる仕組みについて説明して頂きました。舌で味を感じて脳に伝えるのは味蕾[みらい]という器官。味蕾の数は子供の頃がピークで成長するにつれて減少します。子供が苦いものが嫌いなのは(味蕾の数が多いため)味を敏感に感じてしまうからだそうです。
161213 (61)味の素工場見学・うま味効果体験
味噌をお湯に溶いただけの”味噌湯”と味の素のミニ瓶。ガイドさんの指示に従って最初に味噌湯だけを口に含むと、なんとなく物足りない味わいでした。次に、味の素を2、3振りしてから飲み直すと、うま味が加わったおかげで奥行きのある美味しさに変化していました。
うま味には素材の味を引き出して料理を美味しくするチカラがあります。また、うま味が加われば少ない塩分でも美味しく感じるため「減塩効果」が期待できます。

★おみやげ
161213 (64)味の素工場見学のおみやげ(味の素コース) - コピー
最後にほんだしの小袋と、合わせ調味料「Cook Do」(青椒肉絲用)のおみやげが配られました。

★100周年記念の金色の瓶
161213 (68)味の素100周年記念ボトル
アジパンダホールの売店には、100周年記念の金色の瓶が販売されていました。ピンクの瓶と合わせて1つずつお土産に購入しました。

★感想など
和食の命ともいえる「うま味」について、見ごたえのある展示や様々な体験を通して楽しく学ぶことができました。駅から近く、スタッフの方々も皆親切で、至れり尽くせりの工場見学でした。石油由来成分を原料としていた時代(1960年代~1970年代)のイメージからうま味調味料(1990年代までは化学調味料)に対する漠然とした不安を感じていましたが、現在は天然(由来)の原料を使用していることを知って不安が和らぎました。過剰摂取に気を付ければ、(昆布などから毎回ダシをとる)時間や体力、金銭的な余裕がない時には使い勝手の良い調味料であると感じました。

<参考>日本の十大発明家/1985年、特許庁
・豊田佐吉(木製人力織機、自動織機)
・御木本幸吉(養殖真珠)
・高峰譲吉(タカヂアスターゼ、アドレナリン)
・池田菊苗(グルタミン酸ナトリウム)
・鈴木梅太郎(ビタミンB1、ビタミンA)
・杉本京太(邦文タイプライター)
・本多光太郎(KS鋼、新KS鋼)
・八木秀次(八木・宇田アンテナ)
・丹羽保次郎(NE式写真電送機)
・三島徳七(MK鋼)

午後は、「かつお風味のほんだし~♪」のCMでおあなじみの「ほんだしコース」のツアーに参加しました。

(初稿)2016.12.17

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テーマ : 工場見学
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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