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第6回 飲酒と健康に関する講演会(東京・国立がん研究センター)- ①アルコール健康障害対策基本法施行後の動き等、②アルコール健康障害対策推進基本計画、③女性と飲酒、④アルコールと肝臓

(公社)アルコール健康医学協会が主催する講演会に参加しました。過去に「女子とお酒と東洋医学と」という講座を行ったことがあるので、「女性と飲酒」の講演が特に興味深かったです。

テーマ:第6回 飲酒と健康に関する講演会
日 時:2016年10月31日(月) 13:00~16:45
場 所:国立がん研究センター内・国際研究交流会館(東京都中央区築地5-1-1)
料 金:無料(事前登録制)
主 催:(公社)アルコール健康医学協会
後 援:厚生労働省、国税庁、(公財)日本学校保健会、健康日本21推進全国連絡協議会

★会場
161031 (4)第6回飲酒と健康に関する講演会(国立がん研究センター)会場入口
国立がん研究センター・国際研究交流会館は、都営地下鉄・大江戸線の築地市場駅(A3出口)から徒歩3分です。この日は地下鉄の東銀座駅から歩きました(約850m、徒歩11分)。事前予約者に郵送される”受付票”を担当者に渡して入場します。

★プログラム
161031 (6)第6回飲酒と健康に関する講演会(国立がん研究センター)レジュメ
主催者あいさつ(10分)
【1】アルコール健康障害対策基本法施行後の動き等(30分)
【2】アルコール健康障害対策推進基本計画(55分)
【3】女性と飲酒(55分)
【4】アルコールと肝臓(55分)

★講演
161031 (5)第6回飲酒と健康に関する講演会(国立がん研究センター)会場内
(公社)アルコール健康医学協会の田中慶司理事長の開会あいさつに続いて、4本の講演が行われました。


【1】アルコール健康障害対策基本法施行後の動き等
講師:吉見 逸郎氏(厚生労働省 健康局 たばこ対策専門官)
※同局の正林督章氏(健康課長)が急遽欠席されたため代役

<抄録より>
・厚生労働省では平成25年度から”健康日本21(第二次)”を中心に、飲酒に関する正しい知識の普及啓発や未成年者の飲酒防止対策等の取組みを行っている。

・第63回WHO総会で「アルコールの有害な使用を軽減するための世界戦略」が採択された(平成22年5月)。国際的な流れを追い風に国内でも法整備を求める声が高まり、「アルコール健康障害対策基本法」が平成25年12月に成立、平成26年6月1日より施行されている。

・”アルコール健康障害対策推進基本計画”は、14回の関係者会議を経て、平成28年5月に公表された。

《基本計画の基本理念》
①発生・進行・再発の各段階での防止対策/当事者やその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むための支援
②アルコール健康障害に関連して生ずる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に関する施策との有機的な連携への配慮

《基本計画の基本的な方向》
①正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり
②誰もが相談できる相談場所と、必要な支援につなげる相談支援体制づくり
③医療における質の向上と連携の促進
④アルコール依存症者が円滑に回復、社会復帰するための社会づくり

《健康日本21(第二次)から引用した目標設定》
①生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の者)の割合の減少(目標:男性13.0%、女性6.4%)
②未成年者の飲酒をなくす
③妊娠中の飲酒をなくす
基本計画は平成32年度までであり目標達成時期を2年間前倒ししている。

・同省では、国民一人一人が自ら健康づくりに取り組むことのできる社会環境の整備を含めて、関係者各位と連携し、健康づくり施策を推進していく意向。


【2】アルコール健康障害対策推進基本計画(55分)
講師:杠 岳文[ゆずりは・たけふみ]氏(肥前精神医療センター 院長)

<抄録より>
(1)わが国のアルコール健康障害対策の課題
・アルコール専門医療が久里浜医療センターで始まってから半世紀が過ぎるも、なお多くの課題。

・アルコール依存症患者数107万人(推計)のうち、専門医療機関を依存症の病名で受診している者は4万人程度と少ない。
→専門医療機関の整備とともに、一般医療機関(患者の8割以上が過去1年間に受診している)での”過量飲酒”への積極介入と専門医療機関との連携強化が求められる。

・これまでは重症の依存症患者に対する断酒治療が中心で、軽度の依存症や(1千万人にも及ぶとされる)依存症の手前の段階にある者への介入が行われていない。さらに(学校教育等でアルコール健康障害が取り扱われるも)一般住民のみならず保健医療従事者の理解も不十分。飲酒運転事故は未だ止まず、アルコール依存症への偏見も根強く残る。
→”不適切な飲酒が様々な健康障害や事故を招く”ことや、”過量飲酒を続ければ誰でもアルコール依存症になり得る”ことの再啓発、保健医療従事者に対する研修強化が必要。

・トラブルを抱える家族の相談窓口が周知されておらず、身近に整備もされていない。
(参考)基本法第1条「不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる」

(2)推進基本計画に掲げられた対策
・基本計画で示された2つの重点課題
①「飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し、将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防」
→数値目標を設定(生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者を男性13.0%、女性6.4%まで減少させる。未成年者の飲酒をなくす。妊娠中の飲酒をなくす。)
②「アルコール健康障害に関する予防、相談から治療、回復支援に至る切れ目ない支援体制の整備」
→目標を設定(都道府県における”地域の相談拠点”と”アルコール依存症に対する専門医療機関”をそれぞれ1箇所以上定める)

・これまでアルコール健康障害の早期介入、二次予防についての取組みがなかったが、今回の基本計画では(早期介入の手法として)ブリーフインターベンションの調査研究、早期発見や早期介入のための研修プログラムや人材育成に触れられている。


【3】女性と飲酒(55分)
講師:真栄里 仁[まえさと・ひとし]氏(久里浜医療センター 教育情報部長)

<抄録より>
・女性の飲酒は、増加傾向(経済成長や女性の社会進出)。
・一方で女性は男性と比べてアルコールに脆弱。様々な問題が生じやすい。

《急性アルコール中毒》男性よりも体格が小さく、水分量も少ないため、血中アルコール濃度が高くなりやすい。肝臓も小さいためアルコール代謝速度も低い。
《肝障害》男性の半分程度の飲酒から肝障害をきたす可能性あり。脂肪肝に至る期間も短い。
《乳がん》飲酒量に比して増加することが明らかになっている。
《骨粗鬆症》大量飲酒は骨密度を低下させる。
《胎児への影響》低体重、顔面等の奇形、精神発達遅滞などが生じる胎児性アルコール症候群。
《精神科領域》女性アルコール依存症が近年増加。若年発症、他の精神疾患(摂食障害など)の合併が多い等の傾向。

・女性の飲酒問題については男性以上に予防が重要(上記の健康障害に加え、社会的偏見も強いため)。また、男性とは異なるアプローチが望ましい(自責感の強さ、対人緊張の高さ、家族の非協力などの特徴)。

・健康日本21(第二次)の数値目標
①中学3年女子11.7%、高校3年女子19.9%の月飲酒率を0%に。
②生活習慣病のリスクを上げる飲酒(男性40g/日、女性20g/日)をしている者の割合を女性では7.4%から6.3%に。
③妊娠中の飲酒を平成22年の8.7%から0%にする。

・女性の飲酒問題への認識はまだまだ不十分。健康日本21やアルコール健康医学協会等の各種取組が、社会的な認知度を高めるきっかけとなることを期待。


【4】アルコールと肝臓(55分)
講師:坪内 博仁氏(鹿児島市立病院長)

<抄録より>
・肝がんの原因:B型やC型肝炎ウイルスが大部分→非B非Cの肝がんが20%超まで増加。
・(肝がんの背景となる)肝硬変では非B非Cが26%、うちアルコール性は半数以上。

《アルコールの代謝》
・アルコールの大部分は小腸(一部は胃)から速やかに吸収され、肝臓に運ばれて分解される。
・アルコールは主に肝細胞のアルコール脱水素酵素(ADH)の働きで、まずアセトアルデヒド(毒性が強く、悪酔いの原因になると考えられている)に分解される。
・アセトアルデヒドは主に2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きで酢酸に分解され、筋肉などで炭酸ガスと水になる。

《アルコールに強い人と飲めない人》
・ALDH2の活性は、遺伝的に決まっている(ALDH2活性が高い=アセトアルデヒドの分解が早い=お酒に強い)。
・ALDH2の活性は、517個のアミノ酸のうち504番目(以前は487番目)のアミノ酸が”野生型(グルタミン酸)”か”変異型(リジン)”かにより規定されている。

(*1/*1)野生型ホモ接合体→活性が高い。日本人の50%強。
(*1/*2)ヘテロ接合体→活性が低い。日本人の40%弱。
(*2/*2)変異型ホモ接合体→ほとんど活性がない。日本人の約5%。

・この遺伝子多型はがんの発生や薬の効果とも関連する。また、ADHにも遺伝子多型があることがわかってきている。

《アルコール性肝障害》
・長期(5年以上)の過剰の飲酒(1日平均純アルコール60g以上)により生じる肝臓の病気。脂肪肝、肝繊維症、肝炎、肝硬変、肝がん。
・女性やALDH2活性欠損者はこれより少ない飲酒量で肝障害が起きるので要注意。

・アルコール性肝障害の年齢調整死亡率は、男女とも高く(特に女性が高く)なっている。
・重症型アルコール性肝炎(常習飲酒者が大量に連続飲酒をして発症する)は生存率約60%と重篤な病気。
・肝硬変(アルコール性肝障害の末期像)は最近高齢化している。肝がんの発生リスクも高い。

・アルコール性肝障害の治療は、まず断酒。アルコール依存症に対しては、ALDH2を阻害する薬や、最近は飲酒欲求を抑制する薬も使用できるようになってきている。


★日本の酒情報館(東京都港区西新橋1-1-21)
講演会の後は、内幸町の「日本の酒情報館」で利き酒を楽しみました。
161031 (20)日本の酒情報館_大吟醸セット
大吟醸セット3種(税込500円)。
①大吟醸「正雪」神沢川酒造場(静岡県清水市)
②大吟醸「王者」三宅本店(広島県呉市)
③純米大吟醸「花美蔵」白扇酒造(岐阜県川辺町)

華やかな吟醸香と芳醇な味わいが、長時間の聴講の疲れを癒してくれました。
30ml×3杯なので、十分に適正飲酒の範囲内です。

(初稿)2016.10.31

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テーマ : お酒と上手につきあう
ジャンル : ヘルス・ダイエット

オーストラリアのワイン産業を学ぶ(千葉・松戸商工会議所)- ホワイトホース市との姉妹都市45周年記念イベント。全米ナンバー1の豪州ワイン「イエローテイル」とブルー・オーシャン戦略。

松戸市の国際交流協会が主催するオージーワインセミナーに参加しました。旧ボックス・ヒル市(現在のホワイトホース市)との姉妹都市提携45周年を記念したイベントのひとつです。

テーマ:オーストラリアのワイン産業を学ぶ~オージーワインセミナー
日 時:2016年10月21日(金)18:30~20:30
場 所:松戸商工会議所4F中会議室
料 金:2,000円(非会員。会員は1,500円)
定 員:35名
主催者:松戸市国際交流協会
協 力:サッポロビール㈱

★アクセス
161021 (4)オージーワインセミナー松戸_会場
会場の松戸市商工会議所は松戸駅から約400m、徒歩5分です。大学を卒業するまで松戸市に住んでいたので懐かしかったです。

★プログラム
161021 (6)オージーワインセミナー松戸_レジュメ
①主催者挨拶
②講義「ワインの歴史について」講師:合津浩則氏
③講義「オーストラリアワインセミナー」講師:田村祐介氏
④ワインのテイスティング方法とオージーワインの紹介
⑤食文化(ベジマイト)の紹介&参加者交流会

★講義「ワインの歴史について」
講師は、㈱栗原酒販の合津浩則氏。ワインの起源に始まり、ワインが欧州各地やニューワールドへ広がる過程を説明してくださいました。
161021 (20)オージーワインセミナー松戸(ぶどうの口噛み酒)
テレビアニメ「はじめ人間ギャートルズ」で”果実の口噛み酒”が登場したエピソードが興味深かったです。果実には糖分(アルコールの原料)がたくさん含まれるため、猿が木のくぼみなどに溜め込んだものが自然発酵して酒になるという説があります。これを「猿酒(別名、ましら酒)」といいます。一方で、穀物の場合は主原料のデンプンを糖分に変える必要があるため、大昔は口の中で原料をかみ砕いて(唾液の酵素を利用して糖化をして)いたといわれています。これを「口嚙み酒」といいます。同アニメでは猿が果実を”口噛み”していますが、その工程が必要ないほど、果実(特にぶどう)は酒造りに恵まれた条件を備えています。

★講義「オーストラリアワインセミナー」
講師はサッポロビール㈱の田村祐介氏(ワインアドバイザー)。オーストラリアのワインの概要や本日のテイスティング銘柄などについて説明してくださいました。

<オーストラリアについて>
・国土面積は世界6位(日本の約20倍)で、ヨーロッパとほぼ同じ大きさ。
・名目GDPは世界12位(日本の約1/3)で、人口は2,305万人(日本の約1/5)。
・1人当たりの国民所得は世界5位(世界でも裕福な国の一つ)。

<オーストラリアのワインについて>
・生産量は世界6位。60以上の産地で100種以上のぶどうを栽培。
・輸出量は世界4位(輸出が6割)。
・ワイナリー数2,572社(2012年)のうち、上位22社で約8割を占める。

2015年1月に日豪EPA(経済連携協定)が締結され、ボトルワインの関税が2021年3月末までに撤廃されることが決まりました。従来の税率は15%もしくは125円のいずれか低いほうでしたが、同年より毎年2%ずつ逓減されており、同国のワインがさらに注目される見通しです。

<オーストラリアのワインの歴史>
1788年、英国人のA.フィリップ大佐がシドニーへ入植した際に最初のぶどう樹が持ち込まれました。1832年にはジェームズ・バズビー(豪ワインの父)がスペインやフランスからブドウ樹を持ち帰り、ワイン産業がスタートしています。1951年にはオージーワインの名声を世界に轟かせたペンフォールズ社の「グランジ(当時の表記はGrange Hermitage BINI)」が試験生産され、以降、現在のワイン産業の基礎ができあがったとされています。同国ではステンレスタンクを利用したリースリング(日本のシニア世代がおなじみの甘口ではなくドライ・タイプ)や、冷涼産地でのぶどう栽培などの試みが行われています。高級ワイン「グランジ」はサッポロビールが日本への輸入を扱っているそうです。

★イエローテイル~本日のテイスティング銘柄
161021 (11)オージーワインセミナー松戸_赤ボトル
イエローテイルは、豪州のカセラ・ワインズ(Casella Wines)が「PLAY BY YOUR RULES.(ワインくらい自由じゃないと)」をテーマに、誰でも気軽に飲めるワインとしてリリースされました。2001年にアメリカで発売したところ、瞬く間に輸入ワイン全米No.1の売り上げを記録し、”伝説を造ったワイン”と呼ばれています。イエローテイルの成功物語は、有名なビジネス書「ブルー・オーシャン戦略」でも紹介されています(後述)。
日本国内でも15万函の実績があり、オージーワインNo.1の座を占めています。国内で発売されている1,000以上のブランドのうち、15万函を超えるのは12ブランドのみだそうです。
イエローテイル(黄色いしっぽ)の名称は、オーストラリアで人気の動物”ワラビー”の同国での愛称にちなんでつけられたものです。

<カセラ・ワインズ~イエローテイルの醸造元>
1969年にイタリア移民のフィリッポ&マリア・カセラ夫妻がニュー・サウス・ウェールズ州に設立した家族経営のワイナリー。約500の栽培農家と契約を結んでおり、オーストラリアのワイン用ブドウの約10%を同社が使用しています。瓶詰マシーンの処理速度は1時間に36,000本で世界最速。通常は8,000本でも早い方とされているそうです。110万ℓのタンクを100本(1,200万ケース分)も所有する大規模なワイナリーです。

★テイスティング
161021 (8)オージーワインセミナー松戸_カベルネ・ソーヴィニヨン
細長いプラスチック・カップが一人ひとつ配られ、テイスティングのレクチャーを受けながら3種のワインをテイスティングしました。ブルーのラベルは7万人の応募の中から選ばれた日本向けのオリジナルで、今年9月より限定販売されているそうです。

<テイスティング・アイテム>
①白:「イエローテイル シャルドネ」alc.13.0%
②赤:「イエローテイル カベルネ・ソーヴィニヨン」alc.13.0%
③赤:「イエローテイル シラーズ」alc.13.0%
価格はすべて、税別1,007円(750ml、希望小売価格)。

どのワインも果実味が非常に豊かで、気候に恵まれた産地のぶどうで造られているように感じられました。個人的には、パイナップルやマンゴーのような南国フルーツの香りが豊かなシャルドネが好みでした。赤は少し甘みが強く感じられましたが、どの銘柄も充分にコストパフォーマンスの良いワインだと思われました。
講師の方は、甘めのソース系の料理(焼きそば、お好み焼き、タレの焼き鳥など)と赤ワインの組み合わせをおすすめしていました。

★おみやげ
161021 (10)オージーワインセミナー松戸_イエローテイル(ハーフボトル)
アンケート用紙と引き換えに、イエローテイルのハーフボトルがお土産に渡されました。

★ブルー・オーシャン戦略
イエローテイルのサクセスストーリーは、有名なビジネス書「ブルー・オーシャン戦略」でも紹介されています。以下、Wikipediaからの引用です。

”(ブルー・オーシャン戦略とは)INSEAD(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが著したビジネス書、およびその中で述べられている経営戦略論。
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説く。そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だとしている。そのための具体的な分析ツールとして、「戦略キャンバス」などを提示している。従来からよく知られているマイケル・ポーターの競争戦略が「事業が成功するためには低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のいずれかを選択する必要がある」としている一方、ブルー・オーシャン戦略では「「減らす」「取り除く」ことによる低コスト化と「増やす」「付け加える」ことによる顧客にとっての高付加価値は両立し得る」と主張している。”

(初稿)2016.10.27

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テーマ : ワインイベント
ジャンル : グルメ

[JSA]プレミアム・チリワイン - ワイン9種類をテイスティング(東京・目黒雅叙園) - コスタ、エントレ・コルディリェラス、アンデスの垂直区分。パイス種のロゼ・スパークリング

日本ソムリエ協会(JSA)のセミナーに参加しました。チリという細長い国のワイン産地を「垂直に区分する」という新しい原産地呼称の考え方がとても興味深かったです。

テーマ:「プレミアム・チリワイン」《ワイン9種類をテイスティング》
種 別:JSA関東支部 分科会セミナー
日 時:2016年10月19日(水) 14:00~16:00
会 場:目黒雅叙園2F華つどい(東京都目黒区下目黒1−8−1)
講 師:野坂 昭彦氏(JSA理事。2014年第7回全日本最優秀ソムリエコンクール準優勝)
協 力:ワインズ・オブ・チリ(チリワイン協会)、チリ大使館商務部
料 金:無料(JSA会員価格。一般2,000円)
定 員:150名

★会場
161019 (1)プレミアムチリワイン目黒_会場
会場は目黒雅叙園。大きな部屋がほぼ満席で、チリワインに対する注目度の高さが伺えました。

★チリワインの状況
最初に、野坂理事による講義がありました。チリワインの5つのトピックスにつき、スライドを使ってわかりやすく説明して頂きました。近年、ソムリエ協会教本のチリの項目が拡充されており、復習の際にとても役立ちました。

【1】チリワインの輸入量
2015年の日本への国別ワイン輸入量において、チリワインはフランスワインを抜いて1位になりました。2016年1~8月の最新数値でも、チリワインの416万ケースは、フランスワインの325万ケースを大きく上回っています。ただし、金額ベースではフランスに軍配が上がるため、チリからは安価なワインが多く輸入されていることが伺えます。チリワインは他国のワインと比べてボトル1本につき関税が60円ほど安いため(※)、コンビニやスーパーなどで売られているような安価なワインほどメリットを享受する状況となっています。
(※)2007年7月に日本とチリの2国間で経済連携協定(EPA)が締結され、ワインにかかる関税は2019年9月までに撤廃される予定(足元は逓減中)です。

【2】歴史
チリのブドウ栽培は16世紀半ば、スペインのカトリック伝道者が聖餐用ワインを造るためにパイス種を植えたことに始まります。1818年にスペインから独立した後は、いわゆる鉱山富豪らがワイン産業のスポンサーとなり、チリワインの新しい時代が始まりました。1850年代にはフランスから大量の苗木が輸入され、マイポ・ヴァレーをはじめとするセントラル・ヴァレーの各地にブドウが植え付けられています。当時(19世紀半ば)のブルゴーニュ・ワインはまだ田舎のワインという認識であったため(?)、輸入されたのはすべてボルドー品種でした。このため、1980年代から1990年代にかけての世界的なヴァラエタル・ワインブームの際に、(カベルネ・ソーヴィニヨンと並ぶメイン品種であった)シャルドネが植えられていないという問題が発生しました。栽培家たちは、セミヨンやソーヴィニヨンの樹を切って、そこにシャルドネを接ぐことで生産量を増やそうとしたそうです。
19世紀後半にはフィロキセラの被害に喘ぐヨーロッパのワイン産地から栽培家や醸造家たちがチリに移住してきました。彼らの造るワインはヨーロッパへと輸出され、1889年のパリ万博ではチリワインの品質が大いに評判になったそうです。
1970年代から1980年代初にかけては、チリのブドウが深刻な生産過剰状態に陥りました。ブドウ価格はほとんどタダ同然になりましたが、農産物の価格引上げ策などが功を奏し、1980年代半ばにはワイン産業に活気が戻りました。
現代のチリワイン産業は「シンプルでマーマレードのようなヴァラエタル・ワイン」と言われる状況から抜け出すべく、テロワールをより重視した付加価値のあるプレミアムワイン造りへと舵を切っています。

【3】ブドウ品種
栽培面積(2014)の上位3位は、ボルドー品種が占めています。
1位:カベルネ・ソーヴィニヨン 41,522ha
2位:ソーヴィニヨン・ブラン 14,132ha
3位:メルロ 11,649ha
4位:シャルドネ 10,571ha
全体:128,638ha(黒: 95,095ha, 白:33,543ha)

フィロキセラ被害も秋雨の心配もないチリでは、19世紀半ばの状態が手つかずのまま引き継がれています。畑の新陳代謝は「プロヴィナージュ(成木の枝を誘引して土中に埋め、発根したら切り離して新株を得る手法)」で行われるため、接ぎ木の手間もかかりません。
チリの農業省農牧庁SAGの植物検疫は非常に厳しく、新品種を外国から輸入する際は検疫所で2~3年かけてウイルス・チェックなどを行うことが義務付けられています。

<フィロキセラ・フリーの理由>
「ブドウの生育期間を通じて乾燥状態が続く」という恵まれた自然環境こそが、チリがフィロキセラ被害から免れた理由であるようです。
2016年のソムリエ協会の教本には、“「東をアンデス、西を太平洋、北をアタカマ砂漠、南を南氷洋に囲まれているチリは自然の要塞でフィロキセラを寄せ付けない」と説明されることがしばしばある。だが、フィロキセラの住む(アルゼンチンの)メンドーサとは、毎日たくさんのトラックが往来しているから、いつでもフィロキセラは侵入できるはずだ。だからこの説明には無理がある。”と記されていました。
現在に至るまでチリにフィロキセラの被害は報告されていませんが、以下の理由から北米台木への接ぎ木を取り入れる栽培家も増えているそうです。
・水田のようなナチュラル灌漑からドリップ・イリゲーションに切り替えるとフィロキセラが発生するリスクが高まる。
・ネマトーダ(ネコブセンチュウ)という害虫対策。
・ヴィティス・ヴィニフェラの根は怠惰で地表近くに水分があるとそこに居座り、地中深くまで入り込もうとしない。

<ヴィーニョ VIGNO ~ ひそかなカリニャン・ブーム>
1939年のイタタ・ヴァレーの大地震でカウケネスのパイス種が壊滅した際、代替品主としてフランス・ラングドック地方のカリニャンが導入されました。大量生産の時代だったため、収穫量の多い品種が選ばれたそうです。
戦後からヴァラエタル・ワインの全盛期にかけて、需要が減少したカリニャンはすっかり放置されていました。しかし、ほんの少ししか実を付けなくなった古木のカリニャンをワインにすると凝縮したすばらしい品質であったため、ヴィユー・カリニャンを売り出すVIGNOが誕生しました。
VIGNOの製造基準:カリニャンのヴァラエタル・ワインであり、以下のブドウを65%以上使用していること。
・樹齢30年以上。
・灌漑をしていない(ドライ・ファーミング)畑で株仕立て(エンバソ)。
・マウレ・ヴァレーのブドウ。

【4】ワイン法と品質分類
<原産地呼称>
チリの原産地呼称はD.O.。ただし、フランスのA.O.C.のような収穫量の制限や栽培品種の特性、熟成期間などの醸造法等に関する規制はありません。また、州>県>市町村に分割されていますが、A.O.C.のようなピラミッド型の品質階層ではなく、栽培面積の大小を表しているにすぎません。

<ラベル表記>
原産地D.O.、ブドウ品種、収穫年のラベルへの表記は、75%以上使用されている場合に限られます。

【5】気候風土の優位性
161019 (4)プレミアムチリワイン目黒_map - コピー
<新しい原産地呼称表示 ~ 垂直区分>
チリのブドウ栽培地域は国土のほぼ中間部分(南緯27~39度までの約1,400km)にあり、産地ごとの特徴は北部、中央部、南部と“水平に区分”して捉えられてきました。しかし、1,000kmも離れているD.O.リマリ・ヴァレーとD.O.ビオビオ・ヴァレーの栽培品種やワインに共通項が多い一方で、東西に50kmしか離れていないD.O.マイポ・ヴァレーとD.O.カサブランカ・ヴァレーでは大きく異なる等の現象があり、チリのワイン産地は(水平区分よりも)気候の特徴や土壌の組成に沿って“(東西に)垂直に区分するほうが適している”という考え方が生まれました。そこで、2011年より、従来の原産地呼称表記に「コスタ」、「エントレ・コルディリェラス」、「アンデス」というニ次的な産地表示を付記することができるようになりました(当該産地のブドウを85%以上使用している場合に限られます)。

①コスタCosta ~ 海岸に面した畑。コースタル。
海から内陸に向かって冷たい海風が吹く地域(南極海から流れるフンボルト寒流の影響。真夏でも海水が冷たいため人々は海水浴ではなく浜辺での日光浴を楽しむ)。土壌にもカルシウムなど海洋性の要素を多く含んでおり、ワインにミネラルや塩味、心地よいシャープな酸味などをもたらす。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールなど冷涼地に適した品種が主体。独特の香味を持つ冷涼地シラーや冷涼地メルロも注目を浴びている。

②エントレ・コルディリェラスEntre Cordilleras ~ 海岸山脈とアンデス山脈の間。中央部の平地。
地中海性気候で肥沃な沖積土壌に恵まれた地域。テロワールは多様で北部と南部では大きく異なる。チリワイン生産の約60%を占め、同国を代表する赤ワインの多くがこの地で造られている。スペインの開拓者が初めてブドウ畑を開いた地。

③アンデスAndes ~ アンデス山脈側の斜面。ヒルサイド。
崩積土(斜面の麓に溜まった土壌)や火山性土壌で構成されており、凝縮した高品質のブドウを生む地域。早朝にアンデス山中で形成された冷気の塊が、朝日とともに麓へ吹き下ろす(ラコ)。そのため、山の麓のブドウ畑は比較的涼しく風通しも良い。遅霜の降りる心配もない。日中は強い日射しを受ける斜面も夜には急激に冷えるので昼夜の寒暖差が大きい。アンデスの雪解け水があるため灌漑も容易。

★テイスティング・アイテム
161019 (11)プレミアムチリワイン目黒_テイスティングアイテム(ボトル9本)
1. 「Sauvignon Blanc Aconcagua Costa 2015」D.O. Aconcagua “Costa” (Errázuriz) 3,800円
2. 「Chardonnay Reserva de Familia 2014」D.O. Límari “Costa”(Santa Carolina) 2,920円
3. 「Riesling Single Vineyard Block 23 2015」D.O. Bío Bío“Entre C.” (Cono Sur) 1,950円
4. 「Pinot Noir Marea 2013」D.O. Leyda “Costa” (Luis Felipe Edwards) 2,300円
5. 「Syrah Valle de Aconcagua 2014」D.O. Aconcagua “Entre C.” (Arboleda) 非売品
6. 「Cabernet Sauvignon Montes Alpha 2007」D.O. Colchagua “Entre C.” (Montes Alpha) 非売品
7. 「Coyam 2012」D.O. Colchagua “Entre C.” (Emiliana) 3,500円
8. 「Carmènere Carmin de Peumo 2010」D.O. Cachapoal “Entre C.” (Concha y Toro) 23,000円
9. 「País Santa Digna Estelado Rosé N.V. 」D.O. Secano Interior (Miguel Torres) 2,200円

<白ワイン>3種
161019 (6)プレミアムチリワイン目黒_白3種

1.アコンカグア(33°S.。コスタ)のソーヴィニヨン・ブラン100%。Alc.13.5%、ph3.18、残糖1.08g/l。ステンレスタンク発酵、3カ月シュール・リー。品種特性のパッションフルーツやツゲのような香りががしっかり感じられる。味わいのアタックは強く、凝縮した果実感があり、中盤からしっかりした酸味が口中を引き締める。ミネラルも豊か。余韻にはコスタの特徴である少しの苦味と塩味を残す。エラスリス社。

2.サンタカロリーナ社のシャルドネ。ブドウはリマリ・ヴァレー産90%と、石灰質土壌のレイダ・ヴァレー産10%をブレンド(前者は31°S.。アンデス、後者は34°S.。コスタ)。Alc.14%。発酵はフレンチオーク樽90%、ステンレスタンク10%。MLFは10-30%でヴィンテージ毎に比率を変えている。外観は輝きのある濃いめのイエローで粘性は高め。香りには熟した黄色いりんごや洋梨のコンポート、ストーンフルーツ系の果実に加えて、MLF由来のアーモンド、樽からの香ばしいトースティーさも感じられ複雑でリッチ。アタックは力強くヴォリューム感があり、ふくよかな果実味ときれいな酸のバランスとれている。

3.ビオビオ・ヴァレー(37°S.。エントレC.)のリースリング。カルシウムを多く含む粘土石灰質土壌でドライ・ファーミング。Alc.13.6%、ph2.9、残糖5.95g/l。ステンレスタンクで低温発酵し、MLFも樽熟成も行わない。外観は緑がかったイエローで、粘性はしっかり。トップノーズはアロマティックで、黄色い果実やカモミール、ジンジャーなどの香り。ふくよかな果実味とヴォリューム感が感じられるが、鋭角な酸味がボディを引き締め、余韻にかけてフレッシュ感を残す。コノスル社。

<赤ワイン>5種
161019 (9)プレミアムチリワイン目黒_テイスティングアイテム9種(グラス)

4.レイダ・ヴァレー(34°S.。コスタ。海岸山脈の西側にあり、海からわずか7km)のピノ・ノワール。クローンは777を使用。海からの冷たい風を受け、ぶどうは酸をキープしながらゆっくりと糖度を上げる。Alc.14%、ph3.4。ホールバンチ(全房)20-50%と残りをホールベリー(除梗破砕後)で別々に発酵。オーク樽で10カ月ほど熟成。外観には熟成を感じさせるグラデーションが見られ、粘性はしっかり。香りは非常に複雑でサワーチェリーなどの赤系果実に加えてスパイス、クローブ、熟成した生肉、湿った土などを感じさせる。上品な果実味と繊細な酸、心地よい熟成香が楽しめるエレガントなワイン。

5.アコンカグア(33°S.。アンデス)のシラー。若干海風の影響も受ける半地中海性気候。Alc.14%、ph3.56。ステンレスタンク発酵後にフレンチオーク樽で12カ月熟成(新樽10%)。外観は黒みがかった濃いめのルビーで、エッジには紫のトーン。粘性はしっかり。濃縮感のあるブラックベリーやスパイス、樽由来のバニラやビターチョコレートの香り。わずかにメントールのニュアンスも。味わいは濃縮感のある果実味が主体だが、余韻にしっかりした上品な酸が残るためフレッシュでエレガントな印象に。アルボレダはカリフォルニアのロバート・モンダヴィとエラスリス社5代目当主エデュアルド・チャドウィックにより誕生したチリのブティック・ワイナリー。

6.プレミアム・チリ・ワインの元祖であるモンテス・アルファ社のカベルネ・ソーヴィニヨン。メルローを10%ブレンド。コルチャグア・ヴァレー(34°S.。エントレC.)。Alc.14.5%。フレンチオーク樽で12カ月熟成。中心部の黒味がしっかりした濃い色調で、エッジにはわずかにオレンジのニュアンス。ブラックベリーやカシスリキュールのような黒系果実の濃縮した香りに加え、甘苦いリコリス、樽由来のビターチョコ、スパイス、土、レザーなどの複雑な香り。ローズマリーやセージなど温暖地のハーブの清涼感も。ふくよかな果実味、円みのある酸味、成熟したタンニンのバランスが良く、熟成のポテンシャルを感じさせる。同社では風水も導入。建物入口には中国語の言葉も。

7.コルチャグア・ヴァレー(34°S.。エントレC.)。ブレンド比率はシラー39%、カルメネール32%、メルロ17%、カベルネ ソーヴィニョン9%、ムールヴェードル2%、マルベック1%。エミリアーナ・ヴィンヤーズは2001年にチリのワイナリーとして初のISO14001を獲得し、所有する1,117haの畑のうち約600haが有機栽培(IMO認定)とバイオダイナミック(デメター認定)で、残りも有機栽培に移行中。同国最大の有機栽培畑を持つ100%自社畑のワイナリー。商品名の「コヤム」はアルゼンチン南部の先住民の言葉で”多くの樹”を表し、畑が多くの樹で囲まれていることに由来。土壌は崩積土。Alc.14.9%、ph3.59.グラヴィティ・フロー(重力を利用して果実やワインを移動させる方法)などの近代醸造技術を導入。6度でコールド・プレマセレーションを行った後、ステンレスタンクで22-25℃で28日発酵。MLFは木樽内で自然に行い、熟成は13カ月。外観は濃いめのルビー色でエッジには若々しい紫のトーン。カシスやブラックベリーの黒系果実に加え、スパイス、リコリス、シナモン、樹皮などの複雑な香りが層をなすレイヤーのある香り。豊かな果実味となめらかな酸、丸みのある成熟したタンニンのバランスがよい。

8.カチャポアレ・ヴァレー(34°S.。エントレC.)のカルメネール。年間3千本しか造らないコンチャ・イ・トロ社のアイコニック・ブランドで、エラスリス社のカイ(KAI)と双璧を為すカルメネールの傑作と言われる。カルメネール86%、カベルネ・ソーヴィニヨン7.5%、カベルネ・フラン6.5%。チリではカルメネールの収穫を最後の5月下旬に行う(早く収穫するとメトキシピラジン由来の青っぽい香りが出てしまうため)。Alc.14.5%、ph3.54。ステンレスタンク発酵でMLFは自然に行い、熟成はフレンチオークの新樽を100%使用。瓶熟12カ月。ノン・フィルター。外観は濃いガーネットでグラデーションは見られずまだ発展段階。香りはカシスリキュールやブラックベリー、ブラックチェリーなどの凝縮感の強い黒系果実に加え、木樽由来のロースト香やバニラビーンズ、ビターチョコ、スパイスなどの複雑な香り。微かなメントール香が爽やかさを与える。味わいのアタックには濃縮感のある果実味を感じ、上品な酸味と滑らかなタンニンのバランスが見事でフィネスを感じさせるワイン。提供の2時間前にダブル・デキャンタ済み。

<ロゼ・スパークリング>1種
161019 (10)プレミアムチリワイン目黒_パイス - コピー
9.16世紀にチリに持ち込まれた伝統品種「パイス種」を100%使用したロゼのスパークリング・ワイン。パイス種の需要激減に悩む約50,000軒の栽培農家を救うため、2008年よりミゲル・トーレス社、タルカ大学、チリ政府が共同研究を行い、3年がかりで同商品を開発。商品名の「エステラード」はスペイン語で星を意味する「Estrella」に由来した造語。Alc.12%、ph3.0、残糖9.0g/l。一次発酵は17℃で19日間、二次発酵は瓶内で9カ月間。外観は桜の花びらのような淡いピンク色で、きめ細やかな泡立ち。ラズベリーなどの赤系果実やピンク・グレープフルーツなどの果実香に加えてバラの花のような香りも。爽やかなフルーツ・フレーヴァ―と心地よい炭酸ガスの刺激、余韻にほのかな滓由来の旨味が感じられる。

(初稿)2016.12.10

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テーマ : ワイン
ジャンル : グルメ

ワイングラスで大吟醸を楽しむ!(東京・白鶴銀座スタイル)~日本酒道連盟の勉強会に初参加。ビルの屋上に実る白鶴錦の稲穂。

日本酒道連盟の勉強会にはじめて参加しました。同連盟は垰野兪[たおの-やすし]弁護士が発案され、総裁に竹田恒徳宮様を戴いて昭和63年に設立された日本酒の愛好会です。「お酒にも、(日本古来の文化である)華道・茶道と同様に『道』があってもよいのではないか」という趣旨のもとに、勉強会や懇親会、酒蔵見学などが行われています。

日時:2016年10月13日(木) 14:00~15:45
場所:白鶴銀座スタイル(東京都中央区銀座5-12-5白鶴ビルディング7階)
料金:4,000円(会員、ビジター同額)
参加:27名

★会場(白鶴銀座スタイル)
161013 (1)白鶴銀座スタイル(外観)
会場の「白鶴銀座スタイル」は、東銀座駅の近くの白鶴ビルディング7階にあります。兵庫県・東灘区に本社がある白鶴酒造が「銀座から日本酒文化の情報発信をする」ことを目的につくられた施設で、日本酒に関するセミナーやイベントが行われています。屋上の「白鶴天空農園」ではオリジナル酒米の“白鶴錦”が育てられています。

★勉強会の内容
①「白鶴銀座天空農園」見学
②日本酒基礎知識
③ワイングラスで大吟醸
④利き酒クイズ
⑤日本酒と料理の相性 

★白鶴天空農園
161013 (6)白鶴銀座スタイル_天空農園のかかし - コピー
7階のセミナールームで本日の予定などを確認した後に、階段で天空農園に移動しました。屋上に通じる扉を開けると、白鶴錦の稲穂と案山子[かかし]がお出迎えしてくれました。

161013 (18)白鶴銀座スタイル_屋上看板
屋上では、農園長の小田朝水さんが農園立上げの苦労話などをしてくださいました。

屋上で白鶴錦の稲を育てるというプロジェクトは、2007年6月にスタートしました。プランター100基と使用済みの酒樽40荷(樽は一度使うと廃棄する?)を屋上の空きスペースに配置し、社員5-6名で土づくりから始めたそうです。ビルの屋上での稲作は誰もが未経験だったので、試行錯誤の連続でした。最初はコンクリートの上にブロックを積み、防水シートをはって土を入れてみましたが、ふわふわして作業性が悪く、すこし引っ掛けただけでもシートが破れて水漏れしていたそうです(後に、アスファルトを地面に焼き付けることで解決しました)。土も当初はホームセンターで購入したものにJAの肥料を入れて使っていたそうですが、軽量で保水性がある屋上緑化型の土を何とか探し当て、土の深さが10センチほどの田んぼをつくれるようになったそうです。
「夜も明るい銀座での稲作は無理」という専門家もいたそうですが、屋上のネオンを22時に消すなどの配慮を重ねながら、なんとか9月頭の出穂を迎え、10kgちょっと(800株分)の稲の収穫にこぎつけたそうです。現在では、大体60kg、最高時で65-67kgの収穫ができるようになったそうです。

161013 (12)白鶴銀座スタイル_屋上(用具類)
稲作と並行して、白鶴銀座では醸造免許の申請準備も進めていました。2008年2月に小仕込み(試験醸造?)の免許を取得し、試行錯誤を重ね、2012年にようやく商品化にこぎつけたそうです。銀座の屋上で育った白鶴錦は、当初は“吟醸酒”、後に“大吟醸酒”に生まれ変わり、毎年30本が銀座のデパートで販売されているそうです(三越銀座店と松屋銀座店で15本ずつ。以前は松坂屋銀座店でも販売)。仕込みは毎年3月1日くらいに開始し、商品は5月に発売されます。大吟醸酒の販売価格は、税別10,000円(600ml)です。
日本酒道連盟の勉強会では、過去に銀座の白鶴錦を使ったお酒の仕込み体験と試飲を行ったそうです。

161013 (8)白鶴銀座スタイル_白鶴錦の稲穂 - コピー
収穫した米は銀座ビルの屋上で足踏み式の脱穀機を使って脱穀し、本社(農業試験場?)に送られて玄米にされます。後に、特定名称酒を名乗るために、全農パールライス八王子工場で穀物検定検査を受けますが、指定米以外では最高ランクとなる2等米を取得し続けているそうです。

161013 (11)白鶴銀座スタイル_屋上からの景色 - コピー
害虫については、「葉巻虫がよく飛んでいるけど見つけて手でつぶす程度。農薬を播くほどではない」そうです。近隣の紙パルプ会館でミツバチを飼っているため(銀座ミツバチプロジェクト)、なるべく農薬を使わないように配慮しているそうです。

屋上での農作業は、2009年より近隣の小学生にも体験してもらっているそうです。今年は10/25に60名ほどの生徒が来て白鶴錦の刈り取りを行う予定です。収穫した米は小学校に持っていき、おにぎりなどにして食べてもらうそうです。小田さんは「酒米は美味しくないと言われているけど、白鶴錦はおいしい。粒が大きくてもちもち感がある。小学生たちにとって、食べて初めて記憶に残ると思っている。地域密着の活動を目指している。」と仰っていました。

161013 (10)白鶴銀座スタイル_埼玉のくわい
屋上では白鶴錦以外にも、1都16県35品種ほどの植物が栽培されています。写真は埼玉県のくわい。年間を通じた屋上緑化を約束することで、中央区の助成金を得ているそうです。多い時はプランターで300ほどの植物を栽培しており、水やりだけでも2-3時間(朝の7時から9時ごろまで)かかるそうです。古いビルで屋上に貯水槽があるため、水圧が高い1階と違って、水やりに時間がかかるそうです。

161013 (19)白鶴銀座スタイル_お稲荷さん
屋上には商売繁盛を祈願するお稲荷さんも祀られていました。

<白鶴錦>
161013 (25)白鶴銀座スタイル_白鶴錦_純米大吟醸
白鶴錦は酒米の王様と呼ばれる「山田錦(母:山田穂×父:短稈渡船)」の兄弟品種です。山田錦と別のお米を交配した”子”や”孫”はたくさんありますが、山田錦と同じ父母を交配した”兄弟”の育種は初めてだったそうです。母の山田穂は、山田錦という優秀な子ができたため、昭和初期で栽培が途絶えていました。白鶴酒造は山田穂を60年ぶりに復活させることから始め、1995年に、山田穂と渡船(短稈渡船と同じ?)の交配品種の育種を始めました。そしてようやく、2004年に「白鶴錦」として品種登録申請・出願公表を行うに至りました。白鶴錦は現在、兵庫県と山口県(と銀座のビルの屋上)で育てられているそうです。
白鶴錦は、山田錦と比べて”背丈が短いため倒れにくい”、米粒や心白が大きい”、”タンパク質の量は同程度に低い”という特長を持ち、お酒にした時の味わいが”山田錦よりも深い”とされているそうです。
161013 (21)白鶴銀座スタイル_土壌 - コピー
山田穂の背丈は140cmもあり倒伏しやすかったため、山田錦は品種改良により130cmに抑えられたそうです。白鶴錦はさらに低い1mほどに抑えたため、より育てやすいそうです。山田錦は(背丈だけではなく)根も長かったと記憶していたため、屋上の深さ10cmの田んぼでは浅すぎないか質問したところ、根が横に張って一枚岩みたいになるため風にも強いとのご回答でした。

★日本酒基礎知識
161013 (5)白鶴銀座スタイル_セミナー資料など
屋上から7階のセミナールームに戻り、白鶴酒造の紹介と日本酒の講義を受けました。講義では、日本酒の原料、ラベルの読み方、日本酒の分類などのポイントを説明して頂きました。

★利き酒~ワイングラスで大吟醸
続いて、白鶴錦の純米大吟醸をテイスティングしました。
161013 (26)白鶴銀座スタイル_白鶴錦大吟醸とリーデルのワイングラス
「超特選 白鶴 純米大吟醸(白鶴錦)」Alc.15-16%、日本酒度+4、酸度1.4、アミノ酸度1.0、税別3,000円。
161013 (27)白鶴銀座スタイル_ワイングラスで大吟醸
使用するグラスは「リーデル大吟醸オーグラス」。リーデルは260年以上の歴史を持つオーストリアのメーカーで、世界で初めて”ブドウ品種ごとに”理想的な形状のグラスを開発しました。「大吟醸オーグラス」は縦長のボウル形状で、次のようなメリットがあるそうです。
①香りがわかる:ボウル型の形状で、香りが溜まり、上立ち香が強く感じられる。
②酒が見える:ガラス製で酒が光を通して見えることで、輝き(テリ・サエ)や色調、グラスを伝う酒の粘性あが見える。
③味の印象が変わる:ワイングラスは飲むときに顎が上がり、口径が広いので、酒が一直線に早く流れ込み、味わいの豊かさ、濃さが強調される。

レクチャーに従って外観を見たあとに香りを確認しました(まだ飲まないで下さいと何度も念押しがありました)。
まずワイングラスで香りをかぎ、続いてポリコップに酒を移します。後者だと香りがこもらずに逃げていってしまうそうです。
味わいも同様にワイングラスとポリコップで利き分けました。口径が広いワイングラスだと酒が一直線に奥まで流れ込んで舌の上にまんべんなく広がる一方で、ポリコップだと酒が口中の手前に落ちてしまい、味わいが奥まで伝わらないそうです。

ボウル型のグラスをテイスティングで使い慣れていないため、新鮮な体験でした。脚が付いているグラスと比べてスワリングがぎこちなくなってしまったので、ボウル型の取扱いにも徐々に慣れていきたいと思います。個人的には、大吟醸をブルゴーニュ型のゆったりとした脚付きのグラスで楽しんでみたいと思いました。

★利き酒クイズ
続いて、5種類の日本酒を利き分けるクイズがありました。
161013 (28)白鶴銀座スタイル_利き酒クイズ
①「大吟醸」Alc.15-16%、日本酒度+3、酸度1.3、アミノ酸度1.1。
②「山田錦」Alc.14-15%、日本酒度+3、酸度1.5、アミノ酸度1.2。
③「生貯蔵酒」Alc.13-14%、日本酒度+2、酸度1.2、アミノ酸度1.1。
④「樽酒」Alc.15-16%、日本酒度+1、酸度1.3、アミノ酸度1.3。
⑤「まる」Alc.13-14%、日本酒度+1、酸度1.2、アミノ酸度1.1。

下段の順不同のポリコップの酒が上段の何番に該当するかを利き分けます。まず、消去法で樽香のきいた④、酸味の強い②を消去し、残りの3種をじっくり利きました。香りが取りにくかったので、味わいのアタックと余韻の強弱を軸に判断したところ、なんとか全問正解できました。

★日本酒と料理の相性 
最後に日本酒と料理の合わせ方について説明がありました。

以下の「3つの基本形」がとても参考になりました。
①バランス:日本酒と料理の味の強さを合わせる。
②ハーモニー:日本酒と料理の両方がお互いに作用し、単品では得られない味になる。
③ウォッシュ:料理の後味や嫌味を日本酒で洗い流す。口の中がリフレッシュされる。

①は、甘い(濃い)味×甘口(濃醇)の酒、旨みが強い×濃醇な酒、塩辛み×辛口の酒
②は、酸味が強い×甘口の酒、香りが控えめ×吟醸タイプ、脂っこい×熟成タイプ
③は、脂っこい×淡麗タイプ
というように、組み合わせのコツをよく理解できました。

日本酒と料理の相性について、③のウォッシュ効果だけが語られたり、「料理の”邪魔をしない”酒がよい」、「料理が良い時は酒は二級酒でよい」という言葉を耳にするたびに寂しい思いをしていましたが、この「3つの基本形」を知って、日本酒と料理のマリアージュには無限の広がりがあることを再認識できました。

<本日のおつまみとの相性>
161013 (29)白鶴銀座スタイル_料理との相性
①ポテトサラダ×大吟醸→香りが控えめ×吟醸香(ハーモニー)
②ぶり照焼き×山田錦→塩辛さ×酒の酸味、魚の旨味×米の旨味(バランス)/生臭さ×キレのある味(ウォッシュ)
③やきとり×生貯蔵酒→タレの甘味・脂っこさ×すっきりとした味わい(ウオッシュ)
④ジャーマンポテト(カレー風味)×樽香→スパイシー×樽香(バランス)
⑤大根の田楽味噌×まる→タレの甘み×マイルドな味わい(バランス)

⑤はお店のご好意(?)によりローストビーフにグレードアップしたため相性の確認ができませんでした。しかし、女性講師の「⑤のまるは何にでも合います!」というナイスフォローが入り、楽しく食事と酒の相性を確認することができました。

★おみやげ
最後に、灘の白鶴酒造資料館で限定販売されている「白鶴蔵酒」をおみやげに頂きました。
「白鶴 蔵酒」Alc.17-18%、日本酒度+3、酸度1.9、アミノ酸度1.4。税別1,000円(500ml)。

★打ち上げ
勉強会の後は、「魚々十 銀座本店」での打ち上げに参加させて頂きました。粋に楽しく(たくさん)お酒を嗜まれる方々に囲まれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。最後に、有志で新橋の「信州おさけ村」に流れ、立ち飲みで〆めました。

学びがあり、交流があり、とても有意義な一日でした。

[追記]
白鶴錦のお酒は白鶴酒造しか造っていないと思い込んでいたところ、なんと、「十四代」(山形県・高木酒造)でも取り扱っていました。ぜひ利いてみたいと思い値段を調べたところ、1升瓶で2万円超えばかりだったので諦めました... 白鶴錦のお酒をリーズナブルに楽しむには、白鶴錦を100%使用した純米酒の「灘の生一本」(税別1,170円)がおすすめだと思います(秋だけの限定販売品です)。

(初稿)2016.10.28

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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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