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【見学】遠野ホップ収穫祭2016(岩手・遠野) - 念願のホップ畑初訪問で”旬の国産ビール”を楽しめる喜びを再認識。岩手県酒類の底力を知る。

キリンビール取手工場の見学で『キリン一番搾りとれたてホップ』に感動して以来気になっていた岩手県遠野のホップ畑にはじめて訪れました。つるになるみずみずしい生のホップを見て、”旬の国産ビール”を楽しめる喜びを再認識しました(2016年のとれたてホップの発売予定日は10月25日です)。一方で、自然の厳しさを目の当たりにして、作り手の方々が乗り越えて来た苦労の数々が”収穫の喜び”につながることを強く感じました。

内容:遠野ホップ収穫祭2016
日時:2016年8月28日(日) 12:30~15:15頃に訪問
場所:蔵の道ひろば(遠野駅から約300m)
料金:入場無料、飲食有料、ホップ見学バスツアー(500円)

★遠野ホップ収穫祭2016
160828 (183)遠野ホップ収穫祭(リーフレット) - コピー
コンセプトは”遠野産のホップと畑の恵みの収穫を祝う、ビールと食の祭典”。毎年恒例かと思っていたら、今年でまだ2回目でした(これからどんどん人気が上がっていくと思われます)。今年の収穫祭は8月27日・28日(11:00~21:00)に行われ、会場では遠野産ホップを使った生ビールや収穫祭限定のおつまみが楽しめます。また、生のホップに触れられるコーナーやホップ畑の見学バスツアー(←これが一番の目的)もあります。他にも、ドイツ楽団の生演奏やアーティストのスペシャルライブ、子供向けの体験型ゲームなどのイベントも盛り沢山です。

★アクセス
160828 (73)遠野駅 - コピー
収穫祭の会場はJR釜石線の遠野駅から約300m(徒歩約3分)。
160828 (180)遠野観光案内所
駅前の観光案内所。会場までの道順などを親切に教えて頂きました。
160828 (179)遠野城下町資料館
会場は遠野城下町資料館(写真)の向かい側です。観光案内所の近くの「ホテルきくゆう」さんの横の道を直進すると右手に会場が見えてきます。

★ホップゲート
160828 (86)遠野ホップ収穫祭_ホップゲート
160828 (87)遠野ホップ収穫祭_ホップゲート上部
会場の入口にある高さ5mのホップゲート。陽気な音楽が聞こえてきてお祭り気分が高まります。
160828 (83)遠野ホップ収穫祭_ホップゲートのホップ
ついに念願の”つるになるホップの毬花”とご対面!先月訪れたサントリー京都ビール工場にもつるの状態のホップがありましたが、毬花はつるの上部にあったため、肉眼では見ることができませんでした(写真を撮って拡大したものを後で確認しました)。

★ドイツ民謡の演奏
160828 (89)遠野ホップ収穫祭_ALPINA(ドイツ民謡)の生演奏
イベントステージでは、ALPINA(ドイツ民謡)の生演奏が行われていました。この後、民族衣装を着た女性の先導で、参加者が肩を組んで一列になって踊り歩いていました(横浜のオクトーバーフェストでも似たような光景を見たなぁ...)。

★ホップ体感コーナー
160828 (101)遠野ホップ収穫祭_ホップ体験 - コピー
生のホップに触れられるコーナー。ビール工場見学で体験する乾燥したホップと異なり、生のホップにはみずみずしい青草のような香りが感じられました。
160828 (100)遠野ホップ収穫祭_ホップ体感コーナーの生ホップ - コピー
ドライとフレッシュのホップにはそれぞれの良さがあるので、どちらのビールも楽しめるのは愛好家として嬉しい限りです。
160828 (111)遠野ホップ収穫祭_クイズ
クイズ用紙もあります。正解すると抽選で景品がもらえます。

★ホップ畑見学バスツアー(13:00~)
1日2回おこなわれる「ホップ畑見学バスツアー」は、開始時刻の30分前から整理券を配布します。料金は500円で、所要時間は約1時間。定員の20名がすぐに満員になったため、もう一台のバスが出ることになりました。

<ツアーバス>
160828 (113)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑見学ツアーのバス
ツアーの受付とバス乗り場は、会場の南側の入口付近にあります。
160828 (118)遠野ホップ収穫祭_バスツアー車窓 - コピー
会場からホップ畑までは約10分。車窓からは遠野ののどかな風景が楽しめました。

<ホップ畑>
160828 (122)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑 - コピー
ホップ畑に到着。周りを山々に囲まれたとても自然が豊かなところにありました。
160828 (148)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑 - コピー
160828 (124)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(上部) - コピー
高さ5mのホップが立ち並ぶ光景は圧巻です。
160828 (145)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑のホップ - コピー
収穫前のホップからはいきいきとした生命力が感じられました。
160828 (126)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(葉) - コピー
ホップの葉。サントリー京都ビール工場で見たものは虫食いだらけでしたが、ここではきれいな葉が多かったようでした。
160828 (129)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(地面のつる) - コピー
地面にはホップの長いつるが横たわっていました。
160828 (144)遠野ホップ収穫祭_畑の小道 - コピー
ホップの棚の間の小道。とても雰囲気があります。

<組合長のご説明>
現地ではなんと、遠野ホップ農業協同組合の組合長(佐々木悦男氏)が説明をしてくれました。ユーモアたっぷりの話しぶりで、ガイドさんいわく「今日は特にノッている」(微笑)とのこと。帰りのバスの中でも参加者の質問に答えてくださり、とても参考になるお話を伺うことができました。

・遠野では53年前からホップ栽培を手掛けている。夏に冷害が多いため、冷害に強い作物として導入(岩手県への導入は昭和31年。江刺市=現奥州市が栽培していたホップに遠野市が目を付けたのがきっかけ)。
・初代の栽培家たちはすでに引退しており、今は2代目(それでもキャリアは40年くらい)。
・栽培品種は”キリン2号”。全量をキリンビールが買い上げてくれるので、販売上の問題は全くない。
・ホップ農家は35件、栽培面積は約26ha。今年の計画は乾燥花で42トン(の収穫量?)。収穫は8/19頃から始め、9/6・9/7には終わらせたい。
・遠野にある小学校7校すべてが、3年次にホップ畑の社会科見学を行う(ホップ栽培は遠野の重要な産業の一つ)。
・全国には10のホップ栽培組合があるが、生ホップの出荷を行うのは遠野のみ(生で出荷出来るのは、遠野の気候がホップ栽培に非常に適しているため。三方を山に囲まれた盆地で、生育期の昼夜寒暖差が10℃以上(日中は30数℃、夜間は19℃くらい)に及び、ビールの香りと苦味のもととなる”ルプリン”がフルーティーかつフローラルな香りをまとう)。

・一般には”ホップの花”と呼んでいるが、本名は”毬花[まりはな・きゅうか]”。1つのつるには(数えたことはないが)300~500くらいの毬花がなる。その数に達するまでには、はじめて植えてから3年もかかる。
・ビール造りには雌花だけを使用する。1つのビールに使うホップは、乾燥花で4つくらい。使いすぎても苦味が強くなってしまう。
・つるの長さは13mにも及ぶため、高さ5mの棚の上部でターンさせて下におろしている。朝顔のように、糸を使ってつるが伸びるルートをコントロールしている。寒い日は5~10cmしか伸びないが、暑い日には1日で20~30cmも成長する。
・収穫にはドイツから導入した機械を使用。2トン車2台分を10分くらいで摘んでしまう。
・一番搾りとれたてホップは遠野産の単一品種のみを使用するため、年毎の香味の差が出る(通常は、いろいろな産地のホップをまぜて同じ味にする)。

<台風などによる被害>
160828 (139)遠野ホップ収穫祭_横倒しになっているホップ - コピー
畑の奥の方に歩いていくと、横倒しになっているホップのつるがありました。高さが5mにもおよぶホップ棚は強風に弱く、先日の台風7号と9号により多くのつるが倒れてしまったそうです。8/17頃までの天候が一段と恵まれていただけに、収穫を楽しみにしていた農家のみなさんは残念に思われているそうです。
160828 (132)遠野ホップ収穫祭_枯れたホップ - コピー
虫害にも気を使います。基本的には虫が付く前に毬花を収穫してしまいますが、例えばダニがつくと毬花が赤っぽくなってしまうそうです。他にも夜盗虫[よとうむし]やナナホシテントウムシによる被害が懸念されるそうです(写真のホップが傷んでいる原因は台風だと思われますが詳細は不明です)。
160828 (136)遠野ホップ収穫祭_倒れたホップ - コピー
本やWEBなどでは”きれいなホップ畑”の写真しか見たことが無かったので、「必ずしも豊作とは限らない」という農家の当たり前の苦労にあらためて気付かされました。

★ホップの資料
160828 (184)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑見学バスツアー資料
帰りのバスの車内では、ホップの資料が配られました。ホップの栽培・収穫・加工について説明した漫画や、栽培状況に関するデータが18ページにわたって簡潔にまとめられていて、とても参考になりました。漫画はキリンビールのHPでも閲覧できます(キリンビール大学醸造学科No.57~59:ホップ圃場見学(1)~(3) 日本のホップ王国「岩手県遠野」)。

<ホップの栽培・収穫・加工>
・株開き[かぶびらき]:株の上の土をよける(冬の間に土中に埋まってしまうため)。
・株拵え[かぶごしらえ]:去年から株に残っているつるをきれいに切り取る。
・選芽[せんが]:そのままだと1株から150~200本もの芽が出るため、4本位を選んで残す。
・ホップ棚づくり・つる上げ(5月上・中旬):つるを支える棚をつくり、つるが上に伸びていくように糸で巻き付けて固定する。
・つる下げ・つる巻き(6・7月):ホップ棚の決まった高さの中に一番花のつく節がおさまるように伸びすぎたつるを下げる(どの位つるを下げるかは4~6月の伸び方による)。棚の一番上の針金につるを巻き付けて、毬花がなって重みが増してもつるが下に落ちてこないようにする。
・収穫(8・9月):収穫用の機械の先端部分で棚の上の針金に巻き付いているつるを切って下に落とし、トラックで収穫センターに運ぶ。収穫期の目安は開花後45~50日。
・選別:収穫したホップを鎌で切ってほぐし、摘花機[てきかき]にかけて、花・葉・茎に分ける。その後、手作業で色の悪いものや葉のついたものをよける。
・乾燥:ベルトコンベアで2階の乾燥機に運び、60℃の熱風を下から当てて乾燥させる(60℃は世界共通。高いとココアみたいな匂いに、低いとカビ臭くなってしまう)。ただし、一番搾りとれたてホップには凍結加工したものを使用。

★スペシャルライブ
160828 (173)遠野ホップ収穫祭(ライブ)
バスツアーから戻ると、会場ではサンプラザ中野くん&パッパラー河合さんのスペシャルライブが行われていました(15:00~)。爆風スランプのヒット曲を久しぶりに聴くことができて、とても懐かしかったです。

★収穫祭のビール
バスツアーの前に1杯、後に2杯、収穫祭のビールを堪能しました。
160828 (105)遠野ホップ収穫祭_遠野麦酒ZUMONA
この日のお目当ては、遠野の地ビール「ZUMONA」。酒銘は『むかしむかしあったずもな』という昔話に由来するそうです。醸造元の上閉伊酒造[かみへい-]は寛政元年創業の老舗の酒蔵で、現在も「国華の薫」という清酒を醸しています。南部杜氏の酒造技術を活かし、平成11年より地ビールの製造も手掛けているそうです。
160828 (115)遠野ホップ収穫祭_サポーターズエコカップ
収穫祭では「サポーターズエコカップ制」が導入されています。1杯目のみエコカップ代(300円)が上乗せされ、2杯目からはビール代(500~600円)のみの支払いとなります(”リユース”と書かれているので、来年以降も使えるはず?)。このエコカップ代は、遠野のホップの保全や”ビールの里・遠野”を目指した取り組みなどに使われるそうです。ちなみに、目標の2,000個に達したら、その後の販売分は通常のプラスチックカップになるそうです。

160828 (104)遠野ホップ収穫祭_IBUKI(IPA)メニュー
160828 (107)遠野ホップ収穫祭IBUKI(IPA)
1杯目は限定醸造の「ZUMONA IPA~IBUKI PALE ALE~」(ビールのみ600円)。ホップの香りと苦味がガツンとくるIPAだけに、フレッシュなホップの存在感が際立っていました。

160828 (161)遠野ホップ収穫祭_ヴァイツェンと生ホップ
2杯目は小麦麦芽を使用した「ヴァイツェン」(ビールのみ600円)を、バスツアーのガイドさんおすすめの”生ホップのせ”で。なんという贅沢...

160828 (178)遠野ホップ収穫祭_フローズン生ヤマブドウ
3杯目は、「一番搾り フローズン<生>遠野産山ぶどう」(ビールのみ600円)。

★遠野産パドロン
160828 (156)遠野ホップ収穫祭_パドロンメニュー - コピー
スペイン原産のししとうに似た青唐辛子「パドロン」。ビールに合うおつまみとして、遠野での生産が広がっているそうです。
160828 (155)遠野ホップ収穫祭_遠野産パドロン
素揚げの「遠野パドロン」を初体験(写真はお店の見本です)。素材の風味~唐辛子のピリッとした刺激と柔らかな甘味、程よい苦味が、油で揚げることで見事にまとまっていました。塩加減が絶妙で、たしかにビールが進みます。

★遠野の老舗酒屋
講座用のお酒を購入しに会場の近くの酒屋を訪れたところ、とんでもない宝の山に満ちたお店でした。
160828 (170)昔の酒の看板
店頭には、”蜂印香竄葡萄酒”の昔の看板が!「日本の赤ワインの近現代史」、「大正浪漫と赤ワイン」の講座を開いた時にWebで調べた看板の実物が遠野の酒屋にあるとは思ってもいませんでした。
160828 (167)馬越恭平氏の感謝状
さらに、”日本のビール王”と呼ばれた大日本麦酒の馬越恭平社長[まこしきょうへい-](1844年~1933年)からの感謝状も!当初は他の看板の陰に隠れていましたが、お店の方がウィンドウの中に入ってまで見やすいようにしてくださいました。
160828 (169)酒屋の蔵
お店の隣には昔の蔵と神社もありました。来年90歳を迎えるという矍鑠とした女性が、他のお客様からのお呼び出しがあるまでの短い時間でしたが、色々なお話を聞かせてくれました。老舗の酒屋で”酒販の歴史”を見てきた方のお話はとても興味深く、もっと聞きたいと思いつつ、後ろ髪を引かれる思いでお店を後にしました。

★帰路
160828 (182)北上駅
遠野から北上駅[きたかみ-]まで約41kmの道のりを車で戻り、東北新幹線で帰京しました(はやぶさ108号。北上駅17:30→上野駅19:50)。お酒を飲めない運転手に申し訳ないので、このお祭りは電車かバスで行くことを強くおすすめします。今年は盛岡駅からの日帰りバスツアーも企画されていました(1人4,800円)。

★感想など
みずみずしいフレッシュな香りをかいで、生ホップは”鮮度が命”であることを痛感しました(もちろん乾燥ホップには違った良さがあります)。「一番搾りとれたてホップ」のように、収穫したての旬のホップを凍結加工した商品のバリエーションが増えることを願ってやみません。また、その年々の天候によってホップの出来が異なることを知り、ビールも”ヴィンテージの違い”を楽しめることがわかりました。新蕎麦のように、”旬のビール”を待ち遠しく思う気持ちがますます高まりました。

一口にホップといっても、たくさんの種類があるので、様々な香味を持つホップが国内で栽培されることを望む気持ちが一層強まりました(ホップの種類は”ベルギービール博物館”さまのHPにわかりやすくまとめられています)。さらに、いろいろな醸造法、例えば自然発酵のランビック(日本酒でいうなら生酛づくり?果汁との相性も抜群)のような個性の強い国産ビールも増えてくれたらどれだけ素晴らしいだろう...(足許はピルスナー、アルト、ケルシュが目立つような...)。

国産ビールへの期待がますます高まり、今回も心の底から「来てよかった」と感じる旅になりました。

★追記:岩手県は「日本産酒類」王国!?
好きなワインを学ぶほどに他のお酒や発酵食品全般への興味が広がり、節操なく(?)いろいろなお酒と出会う旅をしていますが、今回は”岩手県の底力”を見せつけられました。岩手県は”ビール”と”日本酒”で国内トップの分野を持ち、”ワイン”にも力を入れていて、三大醸造酒のすべてに大きな魅力がありました。

・ビールの魂と言われるホップの生産量は岩手県が全国1位。
・日本酒では、国内最大規模の杜氏集団である”南部杜氏”のふるさと。
・県産ぶどうを醸すワイナリーの存在(エーデルワイン、自園自醸ワイン紫波など)。

日本産酒類への取り組みは官公庁も力を入れているようですが、”商品”や”監督官庁”ごとにバラバラに分けず、”日本産酒類すべて(願わくば発酵食品も含む)”をひとつにまとめて”オールジャパン”で取り組めば、とんでもない魅力を持つ産業(しかも6次産業)になると思いました。

日本ワイン(農水省、国税庁、経産省)
國酒プロジェクト(国家戦略)
酒蔵ツーリズム(観光庁)

これらの取り組みが、酒類・発酵食品全般にわたって1本化されたら”日本の食文化の素晴らしさ”を国の財産として体系化できて、海外へも強力に発信できるようになるんだろうなぁ...(言うは易く行うは難し)。

(初稿)2016.8.30

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テーマ : ビール
ジャンル : グルメ

【見学】エーデルワイン(岩手県・大迫) - 岩手県産ぶどう100%で醸す良質な日本ワイン。漫画『神の雫』で紹介された「五月長根葡萄園」リースリング・リオンの醸造元

岩手県の早池峰山[はやちね-さん]のふもとに広がる自然豊かな地にあるエーデルワインを見学しました。社名(EDEL WEIN)のWEINはドイツ語で、英語のWINEではありません。「五月長根葡萄園[さつきながね-]」のリースリング・リオンは、講談社週刊モーニングの漫画『神の雫』にも登場したワインです。

日時:2016年8月28日(日)10:30~11:15頃
場所:エーデルワイン(岩手県花巻市大迫町[おおはさま-まち]大迫第10地割18-3)
内容:自由見学(ワインの瓶詰・醸造・樽熟庫等)、試飲
料金:無料(試飲は一部有料)

★アクセス
ワイナリーはJR東北本線の石鳥谷駅から東へ約13kmのところにあります。この日は車で連れて行ってもらいました。
160828 (10)エーデルワイン_ぶどうの樹(道路脇)
ワイナリーの手前の道路の歩道にはぶどうの樹が並んでいます。
160828 (7)エーデルワイン_ワインシャトー大迫(外観)
ワイナリーの外観。

★ワイナリーの概要
160828 (13)エーデルワイン_敷地内案内図
敷地案内図。ワイン直売所「ワインシャトー大迫」の奥に「ビン詰棟・見学コース」の建物があります。
160828 (12)エーデルワイン_ワインシャトー大迫(外観)
ワインシャトー大迫。館内には直売所の他に、ワイナリーやワイン造りの工程などを説明する映像コーナーがあります。
160828 (15)エーデルワイン_工場見学棟
工場見学コースがある建物。

★エーデルワインについて
・創業は1962年(昭和37年)。当時の大迫町と大迫農協の出資により、岩手ぶどう酒醸造合資会社が設立され、1973年(昭和48年)に株式会社エーデルワインに改変されました。
・名称はヨーロッパのアルプス山脈に咲く高山植物“エーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)”に由来しています。エーデルワイスは、大迫町にある早池峰山[はやちね-]に咲く“ハヤチネウスユキソウ”と姉妹花。その縁で大迫町はオーストリアのベルンドルフ市と友好姉妹都市となったそうです。

★工場見学
見学コース内は自由見学です。10名以上の団体で事前予約をした場合は、ガイドが案合してくれます。
160828 (16)エーデルワイン_見学コース(階段)
見学コースは階段を上がった2階にあります。
160828 (17)エーデルワイン_破砕・圧搾機など
1階の入口付近に展示されている破砕・圧搾機。
160828 (47)エーデルワイン_見学コース(2階)
2階の見学通路。各展示コーナーには説明書きがあります。設備の一部は、ガラス窓越しに見学できます。

<岩手県のぶどう栽培>
国分謙吉知事の「大迫はぶどう栽培の適地である」という昭和23年の言葉をきっかけに、昭和25年に“岩手県立農業試験場大迫葡萄試験地”が創設され、昭和37年にワイン造りがスタートしたそうです。

<大迫町のぶどう畑>
160828 (20)エーデルワイン_大迫町のぶどう畑
エーデルワインのある大迫地区を中心に、北東の内川目地区[うちかわめ-]、南東の外川目地区、西の亀ケ森地区の4地区でぶどうが栽培されています。大迫のぶどう生産者全員が低農薬・低化学肥料の”エコファーマー栽培”の認定を受け、安心・安全で良質なぶどうづくりに取り組んでいます。この地区は、”降雨量が少なく、昼夜の寒暖差が大きい気候、弱アルカリ性の石灰岩系土壌”というぶどう栽培に適した環境を有しています。

<大迫産のワイン用ブドウ>
ドイツの銘醸地と気候が似ているため、その条件を活かした品種などが栽培されています。

・リースリング・リオン(白):甲州三尺とリースリング(ドイツの代表的な品種)の交配種。
・ナイアガラ(白):生食用だがワイン醸造にも使用。
・キャンベル(黒):生食用だがワイン醸造にも使用。
・メルロー(黒):フランス・ボルドー地方の代表品種のひとつ。
・ツヴァイゲルトレーベ(黒):オーストリアで広く栽培されている品種。早熟で耐寒性あり。酸味が特徴的。
・ロースラー(黒):オーストリア原産。国内では大迫で初めて栽培された品種。

<圧搾・醸造コーナー>Expression / Brew
160828 (30)エーデルワイン_醸造

<貯蔵・樽熟成コーナー>Stock / Aged
160828 (29)エーデルワイン_見学コース(貯)
160828 (28)エーデルワイン_樽熟成

<洗浄コーナー>Washing
160828 (37)エーデルワイン_リンサー
リンサー。

<瓶詰コーナー>Package
160828 (42)エーデルワイン_トリブロック充填機、検瓶、外洗機 - コピー
トリブロック充填機、検瓶、外洗機。

<ラベル・箱詰めコーナー>Label / Ship
160828 (43)エーデルワイン_キャップディストリビューター、糊式ラベラー、タック式ラベラー
キャップディストリビューター、糊式ラベラー、タック式ラベラー。

<コレクション・コーナー>
故・伊藤行氏のワイングッズのコレクションや昔のボトルなども展示されています。
160828 (35)エーデルワイン_ぶどうの根でつくったオープナー - コピー
ぶどうの根でつくったオープナー。はじめて見ました。
160828 (39)エーデルワイン_ワインのオーデコロン - コピー
「コロン・エーデルワイス」は、ロゼ・ワインでつくられた日本初のオーデ・コロン。昭和60年に発売され、花巻温泉など近隣の観光地のお店などに置かれていたそうです。こんなものまであったんだ...
160828 (40)エーデルワイン_ボトルの歴史 - コピー
昔のワイン・ボトル。

★試飲
「ワインシャトー大迫」には無料試飲コーナーもありますが、この日は時間がなかったので有料試飲だけを行いました。
160828 (50)エーデルワイン_テイスティング・ルーム入口
有料試飲ができるテイスティング・ルームは、ワインシャトー大迫と工場見学棟の間にあります。7/15にリニューアルしたばかりでした。
160828 (51)エーデルワイン_テイスティング・ルーム(カウンター)
スタイリッシュなテイスティング・カウンター。
160828 (52)エーデルワイン_テイスティング・ルームMENU
テイスティング・メニュー。サイズは30ml(テイスティング)と100ml(バイザグラス)の2種類です。

<テイスティング・アイテム>すべて、30ml
160828 (62)エーデルワイン_テイスティング・アイテム(ボトル)
①白「2015 五月長根葡萄園 リースリング・リオン」Alc.11.5%。
②白「2015 試飲酒 シャイン・マスカット」300円。
③赤「2013 シルバー ロースラー」Alc.13.0%、200円。
④赤「2012 シルバー ツヴァイゲルトレーベ」Alc.13.0%、300円。
⑤赤「2012 ハヤチネゼーレ ツヴァイゲルトレーベ」Alc.13.0%、総酸度5.0g/l、原料糖度21.3Brix、収穫:2012年9月中旬、瓶詰:2014年7月9日、400円。
⑥赤「2012 ドメーヌ・エーデル 天神ケ丘メルロー」Alc.13.0%

①の色合いは輝きのあるイエロー。グラスに鼻を近づけると凝縮感のある豊かな果実香が感じられました。味わいはやわらかな甘みとしっかりとした酸味がバランスよくまとまっていて、余韻も長め。スタッフの方がおすすめするヴィンテージだけあって、エレガントで美味しいワインでした。この銘柄は漫画『神の雫』第353話「人よ、荒野を行け、花よ、荒地に咲け」(※)にも登場しています。

(※)五月長根葡萄園2010(リースリング・リオン)のテイスティング・コメント
・「この東北の地の美しいテロワールを写し取ったようだ」
・「東北の雪解けの大地から 力強く立ち上がって花を開かせる白く可憐な高山植物のような 清楚でありながら芯に強さを秘めたワインです」

②は試験醸造のシャイン・マスカットでボトルにラベルは貼られていません。色合いは①よりは淡いイエローで少しグリーンがかっています。マスカットの気品ある麝香の香りが感じられるのに、アフターにかけては冷涼地のソーヴィニヨン・ブランのような青いハーブの香りが感じられ、とても個性的で、夏にぴったりの清涼感のあるワインでした。個人的には、これをスパークリングにしてよく冷やして楽しみたいと思いました。

③のロースラーは紫の色調がしっかりしていて、特徴的な強めの酸が感じられました。

④と⑤はともにツヴァイゲルトレーベ。どちらにもしっかりとした果実味が感じられますが、④にはよりいきいきとした酸が感じられフレッシュな印象、⑤は樽熟成から生じる甘いバニラ香があり、複雑な香味を楽しめました。

⑥のメルローは熟したブルーベリーやブラックベリーのような香りがあり、果実味が豊かで凝縮感があるワインでした。飲みなれない品種を優先的に利きたかったので当初はパスしていましたが、スタッフの方がおすすめするだけあって美味しいワインでした。

160828 (60)エーデルワイン_テイスティング・アイテム6種
グラスはすべて国際規格のテイスティング・グラス。スタッフの方がこまめにワインの状態をチェックしながらサーブして下さり、提供温度にもこだわりを感じられました。特に赤ワインは注がれてから時間が経つにつれてどんどんと華やかな果実の香りが開いてきて、酸味もまろやかになり、タンニンもやわらいできました。わずかな温度と空気との接触により変化するワインのおもしろさを堪能できたテイスティングでした。

160828 (54)エーデルワイン_ロースラー
③ロースラー。

160828 (56)エーデルワイン_ツヴァイゲルトレーベ比較試飲
④⑤ツヴァイゲルトレーベの比較試飲。

★ワインまつり
9月の第3日曜日には、多彩な催しやワインの試飲などが楽しめる”ワインまつり”が開かれるそうです。

★感想など
今回の旅で岩手県のワイナリーをはじめて訪れましたが、とても魅力的な産地であり、ワイン造りにも前向きな取組みが行われていることを知りました。岩手県は国内最大の杜氏集団”南部杜氏”のふるさとであり、ビールの魂といわれる”ホップ”の国内最大の産地でもあるので、三大醸造酒のすべてに大きなポテンシャルを持つ産地であることを強く感じました。

160828 (69)南部曲り家千葉家 - コピー
160828 (71)南部曲り家千葉家 - コピー
ワイナリー訪問の後は、「南部曲り家千葉家」に立ち寄りました(外観のみ見学)。江戸時代に建てられた代表的な南部曲り家で、石垣の上に茅葺の建物がそびえ建つ荘厳な屋敷構えが特徴です。南部曲り家とは”オモヤとウマヤがL字状につながる”この地方独特の民家です。平成28年度から大修理工事が行われるため、約10年間は通常の公開ができなくなるそうです。

この後は、遠野で行われている遠野ホップ収穫祭2016に参加しました。

(初稿)2016.9.6

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テーマ : ワイナリー見学
ジャンル : グルメ

【見学】南部杜氏伝承館(岩手・石鳥谷) - 三大杜氏の筆頭”南部杜氏”の発祥地を訪ねて。

岩手県の石鳥谷[いしどりや]にある”南部杜氏伝承館”を見学しました。南部杜氏は、新潟県の越後杜氏、兵庫県の丹波杜氏(もしくは但馬杜氏)と並び称される”日本三大杜氏”の筆頭です。藩政時代に、石鳥谷の杜氏が代々「酒司[さかじこ]」(藩主の”御前酒”を造る藩庁公認の杜氏)をつとめていたため、この地が南部杜氏発祥の地とされています。

日時:2016年8月27日(土) 14:50~15:30頃
場所:南部杜氏伝承館(岩手県花巻市石鳥谷町中寺林第7地割17-2)
内容:自由見学、試飲
料金:400円

★アクセス
南部杜氏伝承館は、道の駅・石鳥谷の中にあります。最寄駅の石鳥谷駅(JR東北本線)からは、約1.4kmです。道の駅には他にも、“農業伝承館”や、“歴史民俗資料館”、地元の特産品を販売する“酒匠館”、郷土料理を楽しめる大型レストラン“りんどう亭”などがあります。

★南部杜氏伝承館
160827 (131)南部杜氏伝承館_外観
伝承館の建物は、岩手県玉山村で百数十年前に建てられた酒蔵を、石鳥谷町が譲り受けてこの地に移築・復元したものです。今では貴重な太い柱と梁、地元の土を使った昔ながらの土蔵造りの手法で仕上げられています。
160827 (133)南部杜氏伝承館_入館料
入館料は400円でした。
160827 (135)南部杜氏伝承館_杉玉
入口正面の壁には「南部杜氏の心」と書かれており、その脇には杉玉が置かれていました。

★展示の概要(1階)
160827 (145)南部杜氏伝承館_館内(1階)
館内は2階建てで、1階には”映像コーナー”の他に、”日本酒講座”や”造り酒屋の酒蔵にて”というテーマの展示物が並んでいます。
160827 (146)南部杜氏伝承館_仕込み桶
直径約2mの大きな仕込み桶。

★展示の概要(2階)
160827 (148)南部杜氏伝承館_階段
2階では”酒と人間のドラマをたどる”というテーマで、酒と肴、酒と健康、酒の雑学・エピソード、日本の酒・世界の酒の展示が行われています。
160827 (150)南部杜氏伝承館_南部藩の藩主の御前
南部藩主の御前の再現。一般的な大名料理をベースに南部藩の地域性を加味した料理が仕立てられています。

★南部杜氏(1階)
160827 (172)南部杜氏伝承館_菰樽
<南部杜氏の歴史>
・南部藩における本格的な酒造りは、17世紀中頃に領内に定住した近江商人と上方杜氏によって始められました。やがて地元南部の杜氏が続々と生まれ、酒造業はかなり早い時期に産業化したと言われます。酒造りがさかんになると「酒造株制度」(酒造業の認可制度)が施行され、藩内の造り酒屋には、公認許可料として御礼金[おれいきん]が課されました。17世紀末には藩内の酒造屋の数が一時300軒を超えたと記録されています。
・千把扱[せんばこき](脱穀機)の導入によって農作業が簡略化されると、(町人に加えて)農民が副業として酒造りに携わるようになりました。幕府は他領への出稼ぎを禁じていましたが、藩政時代末期から他領への出稼ぎがみられるようになります。「南部杜氏」とは、南部領からやってきた杜氏を他領の人たちが呼んだ名称です。

<伝説の名杜氏>
・稲村徳助翁(1819~1879):酒司を最後につとめた人物。南部流を完成させ、南部杜氏の祖先と言われています。
・鎌田伊代治[かまたいよじ](1859~?):秘伝の名酒造法を後世に残したと言われる名杜氏。

その他にも”酒造りの神様”と呼ばれた南部杜氏が数多くいたそうですが、ほとんどの名人が記録を残していないため、その技の再現が困難になっているそうです。

★杜氏の数(1階)
データ元により数値のばらつきはありますが、杜氏集団の構成数のイメージがつかめてとても参考になりました。

(a)H27.5末「南部杜氏・都道府県別・就職状況」(合計189名)
160827 (139)南部杜氏伝承館_都道府県別就職状況 - コピー
北海道(6名)から愛媛県(1名)や山口県(1名)に至るまで、九州・沖縄を除くほぼ全国に南部杜氏が在籍されている様子が伺えます。10名以上の在籍は、東北地方が岩手県(20名)、宮城県(16名)、福島県(12名)、青森県(11名)。関東地方が茨城県(16名)、千葉県(13名)、栃木県(11名)でした。

(b)H26.5末「各組織における杜氏数(日本酒造杜氏組合連合会)」(合計735名)
・南部杜氏:396名。南部杜氏協会:232名。
・越後杜氏:331名。新潟酒造技術研究会:105名。
・丹波杜氏:75名。丹波杜氏組合:34名。
・但馬杜氏:204名。但馬杜氏組合:45名。
・南但杜氏:9名。南但杜氏組合:3名。
・能登杜氏:87名。能登杜氏組合:75名。

(c)平成23酒造年度「現職杜氏総覧(都道府県・税務署管内別)」
各蔵元に在籍している南部杜氏の連絡先が閲覧できるようになっていました。

★杜氏の名前の由来に関する諸説(1階)
・平安時代に酒の保存容器として用いられた壺の名前(刀自[とうじ])より。
・古代に酒造りを行っていた女性の名前(刀自[とうじ])より。
・酒造りの名人「藤次郎[とうじろう]」の名前より。
・酒造りは神や神社と関係が深いため、刀自にかわり杜氏の字が用いられるように?

★南部杜氏の祭神(1階)
南部杜氏の祭神は、京都の松尾神社の大山咋尊[おおやまぐいのみこと]と市杵島毘売尊[いちきねしまひめのみこと]です。18世紀の初めに松尾神社から御神体を勧請[かんじょう]し、盛岡に神社を建立して領内の酒造神としたそうです。

「勧請」:「勧め請う」の意。 (1) 真心こめて仏に願って説法を請い、仏が永遠にこの世にあって人々を救ってくださるようにと請願するのが本来の意。 (2) 日本では、仏神の霊や像を寺社に新たに迎えて奉安することをもいう。引用:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

★酒の名言(2階)
・「君子微醺[びくん]を楽しむ」(孔子)
・「酒は恋を育てるミルクのようだ」(アリスト・ファネス)

★「万葉人の酒讃歌」大伴家持(2階)
験[しるし]なき物を思はずは一坏[ひとつき]の 濁れる酒を飲むべくあるらし
古の七の賢[さか]しき人どもも 欲[ほ]りせしものは酒にしあるらし
賢しみと物いふよりは酒飲みて 酔泣するしまさりたるらし
あな醜[みにく]賢しらをすと酒飲まぬ 人をよく見れば猿にかも似る
夜光る玉というとも酒飲みて 情[こころ]をやるにあに若[し]かめやも
価無き宝といふも一坏の 濁れる酒にあに益[ま]さめやも
酒の名を聖[ひじり]と負[おほ]せし古の 大き聖の言[こと]のよろしさ
なかなかに人とあらずは酒壺に 成りにてしかも酒に染[し]みなむ
生者[いけるもの]つひにも死ぬるものにあれば 今[こ]の世なる間[ま]は楽しくをあらな

★試飲(酒匠館)
160827 (173)南部杜氏伝承館_酒匠館(試飲)
伝承館の隣にある売店(酒匠館)では、4種の日本酒の試飲コーナーがありました。ただし、購入の検討を前提とした試飲となります。

★感想など
茨城県・潮来の愛友酒造千葉県・佐原の東薫酒造を見学した際に、今も南部杜氏が冬の間だけ酒造りのために岩手からやってくる文化が残されていることを知りました。また、灘の大手酒造会社でも、いまだに丹波杜氏が冬の間だけ遠方からやってきて、一部の酒を手造りで醸していました。世の中が豊かになり、すでに”出稼ぎ”は消滅していると思い込んでいただけに、強い衝撃を受けました(現在の季節労働は貧困を背景としたものではないでしょうが...)。将来的にはこの文化も消滅してしまうのでしょうが、家族と一時離れてまでも、故郷に伝わる卓越した酒造技術を他所で継承していこうという杜氏の心意気に改めて敬意を感じました。いまだに伝統的な慣習が一部で残されており、その文化に触れられることは愛好家としてとても幸せなことだと思いました。
展示物の中に「どれほど酒造りの方法が計算し尽くされたとしても、子供を慈しみ育てるように酒を造る杜氏の心や感性の代わりになれる機械はありません。」という文言がありました。やはり「酒は人が醸す」のだなぁとあらためて思いました。

(初稿)2016.8.31

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【見学】自園自醸ワイン紫波(岩手・紫波町) - おらほのブドウだけを地元で醸すこだわり。紫波フルーツパークのワイナリー

岩手県紫波町[しわ-ちょう]の紫波フルーツパークを見学しました。園内のワイナリーでは、町内産のブドウを100%使用して造る「自園自醸ワイン紫波」ブランドを展開しています。盛岡市の南20kmに位置する同町では、県産ブドウの約半数が生産されています。

日時:2016年8月27日(土) 13:30~14:30頃
場所:紫波フルーツパーク(岩手県紫波郡紫波町遠山字松原1番11)
営業:9:00~17:00。年末年始は休業(土日は営業)
内容:自由見学(ワイン醸造・瓶詰器具など)、試飲
料金:無料

★アクセス
160827 (59)秋田自動車道の渋滞2
ワイナリーはJR東北本線の紫波中央駅から東へ約4.8kmのところにあります。この日は秋田県南部の由利本荘市から約140kmの道のりを車で連れて来てもらいました。大曲の花火大会(第90回全国花火競技大会)の開催日だったので、秋田自動車道の反対車線はすでに渋滞していました。
160827 (60)自園自醸紫波ワイン_フルーツパーク入口 - コピー
紫波フルーツパークの中にブドウ畑とワイン醸造所があります。

★紫波フルーツパーク
160827 (118)2自園自醸紫波ワイン_外観
紫波フルーツパークは紫波町の果樹栽培を体感できる多目的な農業公園として2004年に開園しました。ワイナリーやワイン直売所の他に、ぶどうやさくらんぼなどが植えられている体験農園、ピザや蕎麦などを手作りできる体験工房があります。
ワイナリーでは、製造ラインを専用通路から自由に見学できます(予約不要、無料)。他にも、ブドウ畑の見学とランチが付いたワインツーリズムがあります(完全予約制、税別1,800円)。

★自園自醸ワイン紫波
160827 (62)自園自醸紫波ワイン_直売所案内看板
”町産の良質なブドウを100%使用して(自園)、地元のワイナリーで醸す(自醸)”紫波のワイン造りは、町内の農家が株主となり、第3セクターとして始まりました。紫波町長を4期16年つとめた藤原孝氏(現在の(株)紫波フルーツパーク社長)が技術者を雇って欧州に派遣し、土づくりからワイン造りのノウハウを学ばせて自園自醸のベースを築いたそうです。現在は自園と町内の契約農家20数件からワイン用ブドウを調達しているそうですが、「おらほ(おら方。うちの方を意味する方言)のブドウで自分たちのワインを造りたい」という思いから、生産量不足で苦しい時でも他所からの原料調達は行っていないそうです。

<沿革>
・1998年、ブドウ栽培農家有志が土づくりの研究開始。
・2001年秋、ワイン専用種による自園自醸ワインの開発表明。
・2004年春、「ワイン開発研究会」設置。同年秋にメルローなど約440kgを初収穫し、岩手県工業技術センターで試験醸造。
・2005年秋、約1,100kgを収穫。自社ワイナリーで赤・白・ロゼの5種を仕込み、2006年より販売。

<栽培品種>
黒ブドウ:メルロー、カベルネ・フラン、ヤマ・ソーヴィニヨン、マスカット・ベーリーA、カベルネ・ソーヴィニヨン、,ツヴァイゲルトレーベ、ピノ・ノワール
白ブドウ:リースリングリオン、ミューラー・トゥルガウ、ケルナー、リースリング、シャルドネ

★紫波町のテロワール(気候と土壌)
160827 (102)自園自醸紫波ワイン_地図
紫波ワインの原料ブドウのすべては北上川の東側の”赤沢・佐比内・長岡地区”で栽培されています。北国特有の冷涼な気候、適度な寒暖差、比較的少ない降水量(年間1,000ミリ程度)がブドウ栽培に適しているそうです。
この地域の土壌は非火山灰性の粘土質が多く、深層には古生代の粘板岩、蛇紋岩、花崗岩が拡がる日本でも珍しい地質。ミネラル感に溢れ、エレガントで余韻の長いワインを生み出すテロワールを備えているそうです。

台風の影響を男性スタッフの方に質問したところ、「強風による枝折れも怖いが、多湿によるカビ(晩腐病など)の被害がやっかい。今年見つけられず、翌年以降に影響することがある」そうです。畑の風通しを良くすることがとても重要だと仰っていました。

★製造ラインの見学
160827 (64)自園自醸紫波ワイン_見学通路
直売所の奥にある階段を昇ると、製造ラインの見学通路があります。
160827 (101)自園自醸紫波ワイン_見学通路
ガラス窓越しに醸造・瓶詰ラインを見学できます。反対側の壁には、醸造工程やブドウの生育などに関するパネルが展示されています。

160827 (70)自園自醸紫波ワイン_タンク - コピー
発酵・熟成用のステンレスタンク。容量100ℓ~7,000ℓのタンクが55基あるそうです。
160827 (68)自園自醸紫波ワイン_製造ライン2
この日は土曜日だったので機械は止まっていました。

160827 (100)自園自醸紫波ワイン_瓶詰ライン
瓶詰ライン。
160827 (99)自園自醸紫波ワイン_コルク打栓、ワイン充填
コルク打栓、ワイン充填機。

<醸造器具のパネル写真>
160827 (72)自園自醸紫波ワイン_除梗・破砕 - コピー
コンベアー、除梗・破砕機、もろみポンプ。
160827 (73)自園自醸紫波ワイン_圧搾 - コピー
圧搾機。
160827 (75)自園自醸紫波ワイン_ろ過機 - コピー
ろ過機。

<ブドウの生育記録のパネル展示>
160827 (78)自園自醸紫波ワイン_ブドウ生育 - コピー
白ブドウ(シャルドネ)と黒ブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン)の生育記録のパネル展示(4/27-9/18)。共に開花は6月24日ですが、白ブドウは黒ブドウと比べて萌芽が11日早く、成熟は22日も早くなっていました。

白05/04 黒05/15 → 萌芽
白05/11 黒05/22 → 展葉
白06/24 黒06/24 → 開花
白06/29 黒07/03 → 結実
白08/20 黒08/27 → ベレーゾン(色付き)
白08/27 黒09/18 → 成熟

160827 (94)自園自醸紫波ワイン_CS2開花結実
黒ブドウの開花、結実。

160827 (83)自園自醸紫波ワイン_CHヴェレゾン_完熟
160827 (95)自園自醸紫波ワイン_CS3 - コピー
ベレーゾン前は白ブドウ(上段)も黒ブドウ(下段)も同じような色調の果皮でした。また、白ブドウはベレゾンと成熟の区別が、パッと見ではわかりませんでした(成熟すると実の透明感が増す?)。

★試飲
160827 (65)自園自醸紫波ワイン_直売所
直売店の一角には無料の試飲コーナーがあります。
160827 (110)自園自醸紫波ワイン_試飲コーナー - コピー
160827 (114)自園自醸紫波ワイン_試飲コーナー
この日は12銘柄の試飲アイテムが揃えられていました。
160827 (116)自園自醸紫波ワイン_試飲グラス - コピー
試飲用のグラス。

160827 (104)自園自醸紫波ワイン_ツヴァイゲルトレーベ2015
前日のイベントで抜栓した「ヴァン・ド・紫波 ツヴァイゲルトレーベ2015」(Alc.11度。税込1,944円/750ml)の残りを試飲させて頂きました。自社畑のブドウ100%を野生酵母でゆっくり醸し、酸化防止剤の添加を最小限にして、無濾過・非加熱で瓶詰めされたものです。
外観は落ち着きのあるガーネット。ブルーベリーやカシスなどの熟した黒系果実に加えて、爽やかなメントール系の香りが微かに感じられました。フレッシュな果実味ときれいな酸味が心地よく、おだやかなタンニンと野生酵母が生み出す複雑な香味が楽しめました。
スタッフの方も一押しの銘柄で、「冷涼で寒暖差が大きい紫波町では、酸味がきれいに残るブドウを作ることができる」とのことでした。ツヴァイゲルトレーベ(オーストリアの品種)のような冷涼地向けの黒ブドウを北日本で育てる試みはとても興味深く感じられました。じっくり味わいたかったので、自宅用に1本購入しました。

★ブドウ畑
160827 (119)自園自醸紫波ワイン_小屋とぶどう畑
直売所の近くにはブドウ畑が広がっています。
160827 (121)自園自醸紫波ワイン_垣根式の畑
直売所へ続く道路を挟んで斜面上部には垣根式でブドウが栽培されていました。
160827 (120)自園自醸紫波ワイン_棚式のぶどう畑2
道路を挟んで斜面下部は棚式。

160827 (125)自園自醸紫波ワイン_ぶどう - コピー
160827 (124)自園自醸紫波ワイン_ぶどう - コピー
生命力を感じる若いブドウの実。

★紫波町での日本酒造り
岩手県は日本三大杜氏の筆頭・南部杜氏のふるさとです。紫波町にも4件の造り酒屋があることを、スタッフの方に教えて頂きました。
・月の輪酒造店
・吾妻峰酒造店[あがつまみね-]
・高橋酒造店
・廣田酒造店

★感想など
町長の旗振りのもとに良質なブドウ産地の農家が集い、「本格的な地酒造り」で地場産業の育成を目指す動きは、愛好家としてとても頼もしく感じられました。また、ドメーヌ(自社畑のブドウでワインを醸す生産者)を意味する「自園自醸」という言葉は、生産者が目指す方向性がストレートに伝わる、とても良い響きの言葉だと思いました。
見学通路で作業をしていた男性スタッフの方が親切に色々と教えてくださったおかげで、岩手県のワインを知る良い機会となりました。

この後は、同じく岩手県の石鳥谷にある南部杜氏伝承館を見学しました。紫波フルーツパークから車で約16分(12km)です。

(初稿)2016.12.12

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テーマ : ワイナリー見学
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【見学】東北銘醸・蔵探訪館(山形・酒田) - 生酛造りにこだわる『初孫』の蔵元。充実の利き酒コーナー

東北銘醸の酒造資料館「蔵探訪館」を見学しました。伝統的な生酛[きもと]造りにこだわる『初孫[はつまご]』の蔵元です。


日時:2016年8月26日(金) 15:30~16:30
場所:東北銘醸[とうほくめいじょう](酒田市十里塚字村東山125-3)
内容:自由見学、試飲
料金:無料


★アクセス
160826 (220)東北銘醸・蔵探訪館_工場
東北銘醸は、JR酒田駅から約7kmのところにあります。


★東北銘醸
160826 (219)東北銘醸・蔵探訪館_外看板(初孫)
回船問屋を営んでいた初代・佐藤久吉氏が庄内藩の酒井家より酒造技術を学び、1893年(明治26年)に酒造会社を興しました。代表銘柄は『初孫』。当初の酒銘は『金久[きんきゅう]』でしたが、当家に長男が生まれたのを機に、皆に愛され喜ばれるような酒にしたいとの願いを込めて、昭和のはじめに改名したそうです。シンボルマークの「やぶこうじ」は、秋から冬にかけて赤い実をつける縁起の良い植物です。


★蔵探訪館
160826 (222)東北銘醸・蔵探訪館_外観
同蔵では、酒造りの工程などが学べる資料館「蔵探訪館」が一般向けに開放されています(製造工程の見学はできません)。充実した利き酒コーナーもあります。
160826 (228)東北銘醸・蔵探訪館_全景図
蔵探訪館は、平成6年より稼働している新工場の敷地の一角にあります。創業時は酒田市中心部の本町に蔵がありましたが、設備拡張とより良い水を求めて、この地に新工場を建設したそうです。


★エントランスと志るしの杉玉
160826 (223)東北銘醸・蔵探訪館_エントランス
エントランスには米俵や菰樽[こもだる]などが飾られています。向かって右側に展示室、左側に利き酒コーナーと売店があります。
160826 (226)東北銘醸・蔵探訪館_志るしの杉玉
造り酒屋の軒先に吊るされている杉玉は、「酒ばやし(酒林)」、「三輪ばやし」、「志るしの杉玉」とも呼ばれています。奈良県の大神神社[おおみわじんじゃ]のご神木である杉にあやかってつくられたもので、酒造りの安全や商売繁昌、子孫繁栄などを祈る「奇す玉」として、鄭重に祀られています。
160826 (224)東北銘醸・蔵探訪館_神棚
事務スペースの上部には祭壇がありました。酒神といえば京都の松尾大社が有名ですが、こちらでは大神神社の三輪明神が祀られているそうです。


★展示室
160826 (227)東北銘醸・蔵探訪館_展示室
酒造工程のパネルや原料のサンプル、酒器、初孫の輝かしい受賞歴などが展示されている展示室。

<稲のサンプル>
160826 (245)東北銘醸・蔵探訪館_稲 - コピー
山形県農業試験所から提供された稲のサンプル。
160826 (246)東北銘醸・蔵探訪館_稲のラベル
山形県のオリジナル酒米も展示されていました。
・出羽燦々(山形酒49号)、育成年:H6、♀美山錦×♂青系97号「華吹雪」。
・出羽の里(山形酒86号)、育成年:H13、♀滋系酒56号「吟吹雪」×♂「出羽燦々」。

<麹菌>
160826 (235)東北銘醸・蔵探訪館_種麹2種(拡大) - コピー
種こうじのサンプル。左は大吟醸用。

<酒造器具の写真や酒造工程のパネル>
160826 (233)東北銘醸・蔵探訪館_精米機(写真) - コピー
精米機の写真。平成3年(1991年)に精米工場が新築され、5台の全自動精米機が導入されたそうです。
160826 (238)東北銘醸・蔵探訪館_ろ過機の型
ろ過機の構造。一般的な日本酒の本にはここまで詳細に記載されていないので参考になりました。
160826 (237)東北銘醸・蔵探訪館_醪の標準的な品温経過
醪の標準的な品温経過のグラフ。酒造りがいかに繊細で緻密な作業を必要とするかがわかります。


★受賞歴
160826 (241)東北銘醸・蔵探訪館_賞状の数々
数々のコンクール等で獲得した賞状などの展示コーナー。
160826 (250)東北銘醸・蔵探訪館_全国新酒鑑評会の賞状(金賞)
第98回の全国新酒鑑評会(平成22年)にて金賞を受賞した際の賞状。


★生酛造りの資料
160826 (235)_東北銘醸・蔵探訪館_生酛造りの資料
同蔵がこだわる「生酛造り」や日本酒のしくみについてわかりやすく説明したオリジナルの資料もあります。

<生酛造り>
アルコールをつくる酵母菌は(雑菌が苦手とする)酸に強いため、酒母を造る際に”乳酸を活用”して原料を酸性にします。市販の乳酸を添加する簡易な方法が「速醸系酒母」、空気中の乳酸菌に乳酸をつくらせる手間も時間もかかる方法が「生酛系酒母」です。

生酛系酒母と速醸系酒母(カッコ内が速醸系)
仕込温度:6-7℃(20℃)
製造日数:20-30日(7-15日)
アミノ酸:5-8(2-3)
酸度:10(7)

★利き酒コーナー
160826 (258)東北銘醸・蔵探訪館_試飲コーナー
利き酒コーナーには8種類のお酒が用意されていました。小さなプラスチックカップを受け取り、自由に試飲ができるスタイルです。

①『初孫 生酛純米吟醸 旬香』Alc.15.5%、出羽燦々(精米歩合60%)、日本酒度+4、酸度1.4、1,458円/720ml
②『初孫 生酛純米吟醸 いなほ』Alc.15.5%、美山錦(精米歩合55%)、日本酒度+4、酸度1.4、1,458円/720ml
③『初孫 辛口本醸造 峰の雪渓』Alc.15.5%、美山錦(精米歩合60%)、日本酒度+4、酸度1.3、1,134円/720ml
④『初孫 生酛純米』Alc.15.3%、美山錦(精米歩合60%)、日本酒度+3、酸度1.4、1,172円/720ml
⑤『初孫 純米本辛口 魔斬』Alc.15.5%、美山錦(精米歩合55%)、日本酒度+8、酸度1.5、1,323円/720ml
⑥『初孫 生酛純米大吟醸 祥瑞』Alc.16.5%、日本酒度+3、酸度1.4、2,808円/720ml
⑦『初孫 大吟醸』Alc.16.5%、山田錦(精米歩合40%)、日本酒度+2、酸度1.2、3,348円/720ml
⑧『初孫 生酛特別本醸造原酒 古酒三歳』Alc.18.0%、日本酒度+2、酸度1.6、2,268円/720ml

④『初孫 生酛純米酒』
160826 (266)東北銘醸・蔵探訪館_初孫_生酛純米酒
初孫の代表作品。飲み飽きのしない定番酒。ぬる燗にしても美味しそうでした。

①『初孫 生酛純米吟醸 旬香[しゅんか]』
160826 (260)東北銘醸・蔵探訪館_試飲_旬香
出羽燦々を100%使用し、搾ったままの酒を氷温で貯槽した純米吟醸。上立ち香は上品でフレッシュ、純米ならではのふくよかさと旨味があり、余韻にスッキリとしたキレが感じられました。季節限定商品。

⑤『初孫 純米本辛口 魔斬[まきり]』
160826 (268)東北銘醸・蔵探訪館_試飲_魔斬
魔斬とは、酒田に伝わる切れ味の鋭い小刀(主に漁師が使用)。魔を斬ることから、魔除けの縁起物とされています。日本酒度は+8で、名前の通りスッキリとした辛口の酒でした。

⑧『古酒三歳』
160826 (275)東北銘醸・蔵探訪館_試飲_古酒三歳
3年以上熟成させた生酛造りの特別本醸造。外観はほんのりと琥珀色。熟成による複雑な香りとまろやかな口当たりが楽しめました。


★売店
160826 (279)東北銘醸・蔵探訪館_売店
利き酒コーナーの一角には、お酒や特産品などの売店コーナーがあります。
160826 (280)東北銘醸・蔵探訪館_商品ケース - コピー
旅のお伴用に『旬香』の4合瓶を購入しました。

160826 (276)東北銘醸・蔵探訪館_鉄釜
売店の外に展示されていた釜。

★杜氏
東北銘醸の杜氏は、後藤英之[ごとうひでゆき]氏。昭和55年に東京農業大学・農学部醸造学科を卒業され、翌年に初孫本店(現、東北銘醸)に入社し、29歳で杜氏に就任されています。


(初稿)2017.9.1

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テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

【見学】オードヴィ庄内(山形・酒田) - 庄内の自然の恵みで”命の水”を醸す蔵。米、梨、メロン、そしてこんなものまでも...。造り手の方の酒造歴は「まだ40(年)」。

亀ノ尾の里資料館、熊谷神社に続き、酒田市のオードヴィ庄内を見学しました。
前日の電話予約にもかかわらず、快くご対応してくださいました。

日時:2016年8月26日(金) 14:00~
場所:オードヴィ庄内(山形県酒田市浜中乙123)
内容:見学(ガイド付き)、試飲
料金:無料

★アクセス
160826 (170)オードヴィ庄内_外観
酒蔵は、庄内空港から2.2km、酒田駅から約13kmのところにあります。この日は車で連れて行ってもらいました。
160826 (218)オードヴィ庄内_蔵の煙突
蔵の煙突。雰囲気があります。

★オードヴィ庄内
160826 (171)オードヴィ庄内_入口
明治8年(1875年)に醤油・味噌の麹醸造業から衣替えして創業。代表銘柄の「清泉川[きよいずみがわ]」は、付近より湧き出る泉の水を用いて仕込みを行った事に由来するそうです。酒蔵は日本海に面する庄内砂丘の近くにあり、一帯には庄内空港、湯の浜温泉、土門拳記念館、庄内夕日の丘オートキャンプ場、山居倉庫などがあります。清酒以外にも地元の果物を使ったワインなどを造るようになったため、1991年の庄内空港の開港を機に、社名を清泉川酒造(ある雑誌では、佐藤酒造場)からオードヴィ庄内に変更しています。現在の当主は6代目の佐藤晴之氏。酒造りのモットーは「酒に手のぬくもりを伝える」こと。

★蔵見学
最初に、蔵の中を案内して頂きました。

<神棚>
160826 (186)オードヴィ庄内_松尾様
酒造の神・松尾様をまつる神棚。

<蒸きょう、放冷>
160826 (173)オードヴィ庄内_鉄釜 - コピー
米を蒸すのはなんと鉄釜!大小2つの釜は米の量によって使い分けているそうです。この釜に甑[こしき]をはめて米を蒸します。
160826 (175)オードヴィ庄内_ボイラー - コピー
蒸気を発生させるボイラー。
160826 (172)オードヴィ庄内_放冷機
蒸し上がった米は放冷機で冷まします。
160826 (176)オードヴィ庄内_蒸米を運ぶパイプ
冷やした米はポンプで仕込み用のタンクに運びます。麹米や酒母用の蒸米は、別途、人の手で運ぶそうです。

<麹室>
160826 (184)オードヴィ庄内_麹室の入口
麹室の入口。煉瓦造りの佇まいが歴史を感じさせます。扉にも松尾大社の御守がありました。
160826 (180)オードヴィ庄内_麹室の中
麹室の中。吟醸系の麹は手作り(蓋麹)で行うそうです。
160826 (182)オードヴィ庄内_麹を砕く機械
固まっている麹を砕く機械。

高温・多湿の室の中での製麹作業はただでさえ過酷なものですが、あらゆる作業を手で行っていた時代は本当に大変だったそうです。案内してくれた方が「昔はぜんぶ手でやって泣いた記憶がある。」と仰ったので酒造歴を伺ったところ、少し考えられた後のお答えが、

「まだ40(年)前後じゃないかな...」

「天の無い酒造り」という言葉がありますが、技を究めようとする方の謙虚かつ真摯な姿勢に心を打たれました。

<仕込み>
160826 (178)オードヴィ庄内_タンク
仕込み用のタンク。

<上槽・火入れ>
160826 (187)オードヴィ庄内_槽
上槽は写真の槽[ふね]で行い、ヤブタ式の圧搾機は(保有はしているものの)使わないそうです。ヤブタ臭とよばれる匂いやゴム臭が入らないよう(加えて、その匂いを消すために炭を使いすぎることがないよう)、敢えて手間のかかる圧搾法にこだわり、火入れも一本一本、人の手で行っているそうです(ろ過はSFフィルターという非常に目の細かいフィルターを使用)。

少ない人数で作業をしているため、造りは秋口から翌年の5~6月までかかるそうです。蔵のモットーにも掲げられている通り、手間を惜しまず手造りを貫くこだわりが感じられました。

★酒造り
米は基本的に山形県・庄内産の「出羽燦々」、「美山錦」、「出羽の里」などを中心に使い、水は”鳥海山の伏流水(地下水)”で仕込んでいるそうです。酵母菌も山形酵母(の中にも色々と種類があるそうです)がほとんどで、麹菌も山形産(オリーゼ山形?)を使うものがあり、”オール山形”へのこだわりが感じられました。酒質としては、香りが高いものよりも、味がしっかりしたものを目指しており、食事の邪魔をしない”究極の食中酒”を理想としているそうです。

★試飲
160826 (191)オードヴィ庄内_試飲カップ
蔵見学を終えると、社長が直々に試飲のご対応をしてくださいました。テーブルにご用意頂いたのは3つのカップとやわらぎ水。カップ数から試飲は3種だろうと思っていたら、なんと4種も出して頂きました(そして、これがオードヴィの物語のまだ”第1章:Chapter1”であることに、この時点では全く気付きませんでした...)。

<Chapter1~山形米の純米編>酒米と一般米、吟醸造りの違い
160826 (193)オードヴィ庄内_試飲4種_雪女神 - コピー
最初は酒造好適米を使った①「出羽の里(酒米)の”純米”」と②「出羽燦々(酒米)の”純米吟醸”」の比較試飲。どちらもやわらかな米のうま味があり、②にはやさしい吟醸香が感じられました。続いて、③は酒米ではない「つや姫(一般米)の”純米”」。やや甘口で、心地よい酸味も感じられました。
これで終わりだろうと思っていたら、なんと④「大吟醸用の酒造好適米「山形酒104号」を使った”純米大吟醸”」を出して頂きました。登録名が「雪女神」に決まったばかりだそうですが、純潔で気品のある名前通りの、エレガントできれいな酒でした。手に入りにくい米なので、使っているのは10社程度しかないそうです。

(参考)山形酒104号(農研機構HPより):大吟醸酒用酒造好適米の育成を目標に、短稈で心白発現が極良の「庄酒2560,出羽の里」を母、高度精米での砕米率が低い「蔵の華」を父として、2001年に人工交配し、その後代から育成した品種。【長所】①玄米千粒重が大きい、②玄米粗タンパク質含有率が低い、③大吟醸酒としての醸造適性が良好。【短所】①葉いもち圃場抵抗性が”やや弱”、②耐冷性が”中”。

①「清泉川」純米、Alc.15.0%、出羽の里100%(精米歩合60%)、山形酵母、日本酒度+4、酸度1.4、1,296円/720ml。
②「清泉川・銀の蔵」純米吟醸、Alc.15.0%、出羽燦々100%(精米歩合50%)、山形酵母、日本酒度+4、酸度1.4、1,512円/720ml。
③「清泉川・つや姫様」純米、Alc.15.0%、つや姫(精米歩合70%)、明利酵母、日本酒度-2、酸度1.4、1,132円/720ml。
④「清泉川・山形酒壱〇四号」純米大吟醸、Alc.16.0%、山形酒104号(精米歩合40%)。

<Chapter2~日本酒のバリエーション編>王道の大吟醸、辛口と甘口の対極。
4種も利かせて頂いて満足!と思っていたら、なんとさらに4種も出して頂きました(しかも、すべて新しいカップです)。
160826 (201)オードヴィ庄内_試飲8種 - コピー
①~④までが山形米の純米系であったのに対し、⑤は「山田錦(兵庫原産の酒米の王様)の”大吟醸”」。純米大吟醸とは異なる、アル添で引き出された華やかな吟醸香とスッキリとしたキレが楽しめました。
続いて辛口の2種へ。⑥は「出羽きらり(酒米)の”純米吟醸”」で、日本酒度は+8、⑦は「麹米が出羽の里(酒米)の”原酒”」で、日本酒度は+10。後者は酒好きにはたまらない”アルコール度数が19度のガツンとくる酒”でした。
”辛口の階段”を上りきったら、今度は⑧の「つや姫(一般米)の”にごり酒”」で、甘口の世界へストーンと落とされます。あぁ、この組み立てがたまらない...

⑤「清泉川・金の蔵」大吟醸、Alc.15.0%、山田錦(精米歩合35%)、山形酵母、日本酒度+5、酸度1.2、2,268円/720ml。
⑥「清泉川・夏の辛口酒」純米吟醸、出羽きらり、日本酒度+8。
⑦「占飲」極辛原酒、Alc.19.0%、麹/掛:出羽の里/酒造用米(精米歩合70%、酒母55%)、きょうかい9号酵母、日本酒度+10、酸度1.3、1,134円/720ml。
⑧「つや姫 にごり酒」Alc.11.0%、つや姫(精米歩合70%)。

<Chapter3~日本酒のクライマックス編>円熟の極み。
160826 (218)オードヴィ庄内_古酒
160826 (218)オードヴィ庄内_古酒(説明書)
さらにお出し頂いたのが、なんとタンクで25年も寝かせた純米原酒。これだけの年数を経ているのに色合いは輝きのあるゴールドを保っています。ナッツやシェリー酒(アモンティリャード)のような複雑な香りで、まろやかな甘味と果物のような酸味があり、カラメルのニュアンスも感じられました。ワインの世界ではヴィンテージものが高い価値のひとつとされていますが、”穀物酒の古酒”には、果実酒の古酒とは違った良さがあり、日本酒の古酒もワインと同様に高い評価を得られる(べきである)ことを再認識しました。

⑨「清泉川・長期熟成酒25年・純米原酒」Alc.17.0%、雪化粧、今野種麹(秋田今野?)、きょうかい9号酵母、日本酒度±0、酸度1.8。

<Chapter4~果物の恵み編>フルーツの華やかな香味をワインとリキュールに
160826 (202)オードヴィ庄内_梨のミューズ - コピー
さらに物語は続きます。次にお出し頂いたのは、山形県・刈屋の梨で醸したワイン。和梨だけでは狙いの香味が出せないため、なんと洋梨(ラ・フランス)もブレンドしたそうです。白ワインに果汁を混ぜたものではなく、梨の果汁を酵母菌で発酵させた”本物の梨ワイン”。華やかな梨の香りと、極上のはちみつのような気品のある甘さが印象的でした。ミューズ(ギリシア神話の女神、「ムーサ」の英語名・複数形)という酒銘も洒落ています。
160826 (204)オードヴィ庄内_メロンリキュール
さらに、メロンのワインをベースにしたリキュールも利かせて頂きました。同社ではメロンのワインも造っていますが、リキュールにすることで、ワインとは違う魅力~凝縮した甘味と香りに、アルコールの力強さが加わり、甘口ながらもしっかりとした酒質~が感じられました。ワイン(果物の醸造酒)が”ぶどうの独壇場”であるのはもったいないとあらためて思いました。

⑩「梨のミューズ」ワイン、Alc.10.0%、刈屋の梨(和梨・洋梨)、1,440円/720ml。
⑪「メロンリキュール」リキュール、Alc.7.0%、メロンワイン・醸造アルコール・香料・糖類、410円/300ml。

<Chapter5~謎のリキュール?編>
満足感のダメ押しに次ぐダメ押しに酔いしれていたら(←利き酒なのに...)、次の一杯は、

「何の酒か当ててみてください。」

枯れた青草のような香りがしたので、ハーブ系(もしくは笹?)かと思い考え込んでいたら、答えはなんと、

「松」

アカマツの新芽を砂糖水に溶かして一升瓶の中で発酵させたものを原液としたリキュールでした。これはさすがに思いつきません。松ならではの清涼感のある香りがあり、体の中がスーッときれいになっていく感じがしました。成分的にも、約30種のアミノ酸やテルペン酸(精油)、葉緑素などを含んでおり、「薬酒」のひとつとしても期待できそうでした。ちなみに、「松酒」は酒田市西荒瀬地区の住民によって伝承されてきたそうです。商品の共同企画者は、山形県環境アドバイザーの守屋元志氏、リーフレットの内容の問い合わせ先はNPO法人庄内海岸のクロマツをたたえる会(蔵の近くの庄内砂丘は”白砂青松”の景勝地としても有名ですが、海岸線の松林はアカマツではなくクロマツだそうです)。

(参考)アカマツとクロマツの違い:アカマツは”雌松[めまつ]”とも呼ばれ、”雄松[おまつ]”と呼ばれるクロマツよりも葉がやや細くて柔らかく、手で触れてもクロマツほど痛くない。アカマツのほうが目に触れる機会が多く、樹皮は赤褐色(クロマツは比較して黒っぽい樹皮)。クロマツとアカマツの交じっている林では、稀に雑種の間黒松[あいぐろまつ]が生じる。

⑫「森のセラピー」リキュール、Alc.15.0%、松葉・清酒・スピリッツ・砂糖、2,100円/500ml。

<Chapter6~〆のデザート・カクテル編>柿と日本酒のマリアージュ
160826 (216)オードヴィ庄内_試飲(ワイン、リキュール) - コピー
最後(←本当にラスト)はやはり甘口のデザート酒。濃厚な甘みの”庄内柿の果汁”と、米麹のやさしい甘さを持つ”日本酒”を使ったカクテル(リキュール)。日本酒を介在させることで、アルコールと柿の果汁がよりまろやかに(しかも和のテイストに)まとまるのかなと感じました。あぁ、日本人に生まれて良かった...

⑬「柿滴カクテル」リキュール、Alc.7.0%、庄内柿・日本酒・醸造アルコール、1,028円/360ml。

160826 (217)オードヴィ庄内_試飲13種
結局、13種もの唎き酒をさせて頂きましたが、数の多さ以上に、その”物語の組み立て”に感動と興奮を覚えました。

★感想など
殆ど予備知識がない状態で訪れましたが、蔵の持つ”世界観”に圧倒されました。酒造りへのこだわりは言うまでもないことですが、社名のみならず、商品名にも洗練された響きがあり、ボトルの形状からパッケージに至るまで、あらゆる面へのこだわりが感じられました(社長さんの服装もシックでおしゃれでした)。13種すべての試飲に新しいカップをご用意くださり、運転手にも「香りだけでも」とすべてのお酒を注いでくださいました。細やかなお心遣いの数々にも感激しました。

山形の自然の恵みを余すことなく”命の水”に変える蔵。
数々の貴重な体験をさせて頂き、心身ともに心地よい酔いを感じながら酒蔵を後にしました。

(初稿)2016.8.31

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【見学】亀ノ尾発祥の地(熊谷神社)と阿部亀治翁頌徳碑(八幡神社) - 漫画『夏子の酒』に登場する幻の米「龍錦」の発祥地へ

亀ノ尾の里資料館に続き、八幡神社[はちまん-]の阿部亀治翁頌徳碑[あべかめじおうしょうとくひ]と、”亀ノ尾発祥の地”である熊谷神社[くまがい-]を訪ねました。阿部亀治氏が創選した水稲の”亀ノ尾”は、尾瀬あきら氏の漫画『夏子の酒』に登場する幻の米「龍錦」のモデルです。


日時:2016年8月26日(金) 10:30頃~
場所:山形県東田川郡庄内町 [ヒガシタガワグン・シヨウナイマチ]
(八幡神社)小出新田ニタ縄29 [コイデシンデン・フタナワ]
(熊谷神社)肝煎丑ノ沢71 [キモイリ・ウシノサワ]
料金:無料
交通:車(亀ノ尾の里資料館-約3,9km→八幡神社-約20.5km→熊谷神社)


★八幡神社の「阿部亀治翁頌徳碑」
160826 (87)小出新田
資料館を後にし、約4kmほど北側にある小出新田の八幡神社へ。写真は小出新田のバス停。神社の近くには阿部亀治氏の生家があります(一般住居であるため見学はできません)。

160826 (88)八幡神社(阿部亀治翁頌徳碑)遠景
160826 (91)八幡神社の鳥居(阿部亀治翁頌徳碑)
阿部亀治翁頌徳碑は、八幡神社の境内にあります。頌徳は、徳をたたえるという意味です。

160826 (106)2八幡神社(阿部亀治翁頌徳碑と案内板の全景)
この頌徳碑は、阿部亀治氏が昭和2年(1927年)に藍綬褒章[らんじゅほうしょう](公衆の利益に寄与した者、または公共の事務に尽くした者に藍色の綬の記章とともに授与されるもの)を受章した際の記念として建立されました。除幕式には彼も列席しましたが、翌年に61歳の生涯を閉じています。
160826 (92)八幡神社(阿部亀治翁頌徳碑)案内板の説明書き
明治元年(1868年)、阿部亀治氏は小山新田の農家の長男として生まれました。彼は寺子屋くらいでしか教育を受けていませんが、独学で研究を行い、水稲の品種改良に取り組みました。明治26年(1893年)、彼は熊谷神社を訪れた際に冷害にも関わらず元気に育つ3本の稲を見つけ、それを品種改良した結果、「亀ノ尾」を生み出しました。

160826 (107)八幡神社(阿部亀治翁頌徳碑)石碑のアップ
毎年9月5日には顕彰祭が行われ、彼の偉業が讃えられています。
160826 (98)八幡神社(阿部亀治翁頌徳碑)背面の碑文
石碑の背面の碑文。


【余談】余目八幡神社と鯉川酒造
160826 (16)余目八幡神社の外観
亀ノ尾の里資料館に行く前にグーグル地図で探し当てた八幡神社を訪ねましたが、亀ノ尾の記念碑が見当たりませんでした。資料館に電話をして尋ねたら、そこは”余目八幡神社”で、記念碑のある八幡神社とは全く別の神社でした(しかも、その時は八幡神社と熊谷神社の記念碑を混同していました)。
160826 (21)鯉川酒造
160826 (20)鯉川酒造
遠回りをしましたが、間違えたおかげで、近くにある鯉川酒造の外観をみることができました。亀ノ尾を復活させた蔵としては新潟県の久須美酒造が有名ですが、上原浩氏(元酒類鑑定官)の著書『純米酒を極める』(初版、P78)には、「そのことの話題性を積極的に利用しようとは考えていないようだが、私の知るなかで、亀の尾の復活にもっとも熱心に取り組んでいたのは鯉川酒造である。」と言及されています。


★熊谷神社「亀ノ尾発祥の地碑」
160826 (113)最上川
八幡神社を後にして、南東約20kmのところにある熊谷神社へ。途中、最上川の川沿いの道を通りました。
160826 (114)熊谷神社への標識
熊谷神社への標識。

<熊谷神社>
160826 (117)熊谷神社への入口
熊谷神社への入口。冬季は雪に覆われるため、閉社期間が設けられています(1月6日〜3月31日。積雪量により変更)。
160826 (140)熊谷神社の鳥居
熊谷神社に守護神として祀られているのは、熊谷三郎兵衛[くまがいさぶろべえ]氏。江戸初期の慶安事変の際、由比正雪の高弟として、過酷な藩政に苦しむ人々を救おうと活躍した義民です。
160826 (145)熊谷神社の駐車場copy
鳥居の左側には2つの石碑が立ち、階段下の左側には亀ノ尾のミニ水田があります。

<石碑>
160826 (139)熊谷神社の石碑全景
160826 (134)熊谷神社の石碑の裏側
「亀之尾発祥乃地」の石碑と「水稲品種亀之尾由来」が刻まれた記念碑。

160826 (128)亀之尾発祥乃地の石碑
「亀之尾発祥乃地」の石碑。

160826 (135)熊谷神社_水稲品種亀之尾由来の記念碑
160826 (129)熊谷神社_水稲品種亀之尾由来の碑文
「水稲品種亀之尾由来」が刻まれた記念碑。

<亀ノ尾のミニ水田>
160826 (144)熊谷神社に奉納された亀ノ尾copy
11代当主の阿部耕祐氏から奉納された亀ノ尾の稲。
160826 (141)熊谷神社の亀ノ尾の稲
160826 (122)熊谷神社の亀ノ尾の稲copy
明治26年(1893年)9月29日、熊谷神社を訪れた阿部亀治氏は、神社付近の水田の水口(みなくち。水の取入口)に植えられていた稲の在来品種”惣兵衛早生”の中から、冷害にも関わらず倒伏していない3本の穂を見つけました(彼は、父の友人より「月山の雪解け水の冷たさに耐えて秋に立派に穂を実らせる水口稲(惣兵衛早生)がある」と聞き、ずっと気になっていたそうです)。持ち主からその穂を譲り受けた彼は数年にわたる研究を重ね、ついに「亀ノ尾」の創選に至りました。

160826 (119)熊谷神社_亀ノ尾発祥の地の説明書きcopy
ミニ水田の説明書きには、「このあたりの稲作りは大変で、冷水がかかり、昔の地名の旦那腰[だんなごし]と言う強風が吹く。なかなか稲はそだたない。今も旦那腰の強風が参道を通り抜ける」と記されていました。
この地には日本三大局地風(悪風)のひとつに数えられる「清川だし[きよかわだし]」が吹きおろし、今も農作物などに悪影響を与えることがあります。因みに、岡山県那岐山麓に吹く「広戸風[ひろとかぜ]」と、四国山地を吹きおろす愛媛県伊予三島付近の「やまじ風」が残りの日本三大悪風に数えられます。

160826 (147)庄内町の風力発電
庄内町(旧立川町)ではこの局地風を逆手にとり、小型風車による農業への利用(温室ハウスなど)を目的とした風エネルギー実用化実験事業や、科学技術庁が実施した風力発電の実験事業の受け入れなどに取り組んでいます。


★庄内町新産業創造館クラッセ
160826 (149)余目クラッセ
熊谷神社の帰りに、JR余目駅[あまるめえき]の近くにあるクラッセに立ち寄りました(熊谷神社から約22km)。米倉庫を活用した庄内観光の拠点施設で、館内には庄内町情報館や、アルケッチァーノの奥田政行シェフが監修するレストラン「やくけっちゃーの」、なんでもバザール「あっでば」、カフェ「余目製パン」などがあります。
160826 (151)余目製パンのももサンド
余目製パンの名物、ももサンド。みずみずしい桃の果肉と生クリームがたっぷり入って美味しかったです。
160826 (152)余目駅
JR余目駅は羽越本線[うえつほんせん]と陸羽西線[りくうさいせん]の接続駅。陸羽西線は「奥の細道最上川ライン」と呼ばれ、路線の大部分が最上川沿いを走ります。


★ランチ(ブリラーノ:庄内町余目三人谷地12-2)
160826 (154)ブリラーノ_外観
地元の方に薦められたイタリアン・レストラン「ブリラーノ」へ。余目駅から約450mのところにあります。お昼時で満席でしたが、20-30分ほどで席につくことができました。
160826 (155)ブリラーノ_ランチメニュー
ランチはサラダとドリンクがついて1,100円。メインはA、B、パスタの3品から選べます。
160826 (161)ブリラーノ_海の幸とミニトマト、バジリコのパスタ
海の幸とミニトマト、バジリコのパスタ。
160826 (163)ブリラーノ_白イチジクとくるみのチョコレートケーキ
デザートはなんと、7種類の中から選べます。写真は、白イチジクとくるみのチョコレートケーキ。

160826 (168)庄内町の水田
この後は、酒田市の酒蔵、オードヴィ庄内(余目駅から約15km)を訪ねました。道中には広大な水田が広がっており、この地が日本有数の米どころであることを実感しました。


(初稿)2017.8.17

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【見学】合資会社八丁味噌[カクキュー](愛知・岡崎) - NHK「純情きらり」のロケ地、宮崎あおいさんの手形がある八丁蔵通り、豊臣秀吉ゆかりの矢作橋

まるや八丁味噌に続き、「カクキュー」の屋号の合資会社八丁味噌を見学しました。八丁味噌の名前は、岡崎城から八丁(約870m)西に離れたところにある八丁村(現在の八帖町[はっちょう-ちょう])でつくられてきたことに由来します。NHKの連続ドラマ小説「純情きらり」の舞台ともなった八丁味噌の蔵元は、全国にわずか2軒しかないそうです。岡崎は徳川家康の生誕地でもあり、この地には戦国武将ゆかりの地や数々の言い伝えも残されていました。

日時:2016年8月19日(金) 15:00~15:40頃
場所:合資会社八丁味噌(愛知県岡崎市八帖町字往還通69)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京駅⇔岡崎駅、1日あたり2,370円)、愛知環状鉄道(岡崎駅⇔中岡崎駅、往復460円)

★アクセス
160819 (3)愛知環状鉄道_中岡崎駅
最寄駅は愛知環状鉄道の中岡崎駅(写真)。名鉄名古屋本線の岡崎公園前駅と接続しています。この日はまるや八丁味噌、大正庵釜春本店(うどん屋)を経由して徒歩で向かいました。
160819 (75)カクキュー八丁味噌_アクセス
中岡崎駅から目的地までは、愛知環状鉄道の高架沿いに歩いて約300mです。

★本社事務所
160819 (78)カクキュー八丁味噌_外観
昭和2年に建てられた本社事務所は、白い柱を強調した教会風の個性的なデザイン。木造2階建てのトタン葺き(トタンは亜鉛をめっきした薄い鋼板)で、面積は339平方メートル。2棟が南北につながる構造で、南棟(1階建て)が主たる事務所、北棟(2階建て)が応接室や倉庫として使われています。本社事務所は、現・史料館の建物とともに国の登録文化財に登録されています(平成8年)。
160819 (7)カクキュー(旧東海道沿い)
昔は旧東海道沿いの古い建物が事務所だったそうです(この建物だと思われます)。

★見学受付
160819 (186)カクキュー八丁味噌_売店
工場見学の受付は売店のカウンターで行います。ツアーは10:00(土日祝は9:30)~16:00の間の毎時00分と30分にスタートします(12:30はお昼休み)。少人数の場合は予約不要です。
160819 (82)カクキュー八丁味噌_工場見学受付書
まず工場見学受付書に氏名等を記入します。
160819 (185)カクキュー八丁味噌_売店の出口(見学待合場所へ)
ツアーの待合所は中庭のテント下。売店の入口と反対側にあるドアを出てすぐのところです。
160819 (83)カクキュー八丁味噌_待合所
待合所には、大人から子どもまでたくさんの見学者がツアーの開始を待っていました(写真はひとけの無いはじっこの方の椅子です)。

★工場見学
女性ガイドさんの案内で工場見学がスタートしました。ガイドさんは全部で20数名いるそうです。工場内の写真撮影は自由ですが、ドラマ「純情きらり」に関するものは、肖像権の関係で撮影不可との注意がありました。
160819 (88)カクキュー八丁味噌_カクキュー商標
屋号の「カクキュー」は、当主の名前”早川久右衞門”に由来します。創業は1645年頃と言われており、現当主(呼称は代表社員)で19代目になるそうです。隷書体[れいしょたい](※)の”久”の文字を正方形の枠で囲ったロゴが目立っています。

(※)隷書体:漢字の書体の一つ。八分隷、八分、分書。古文に対して今文[きんぶん]と呼ばれています。

160819 (89)カクキュー八丁味噌_パック詰め
左の建物は、”赤だし”味噌の袋詰めをするところ。大豆(と塩と水)だけで造られる”八丁味噌”に、米味噌を合わせたものが”赤だし”です。八丁味噌は水分がとても少なく硬い味噌であるため、袋詰めはすべて従業員による手作業で行われるそうです。

160819 (153)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
160819 (99)カクキュー八丁味噌_敷地内建物(資料館手前)
敷地内には趣きのある建物が立ち並んでいました。
160819 (100)カクキュー八丁味噌_資料館手前(見学者の列)
史料館へ向かう見学者の列。これだけの人数をさばくガイドさんは大変だろうなぁ...

★史料館
160819 (152)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
明治40年に建てられた味噌蔵を改築した史料館。平成8年には本社事務所とともに”文化庁の登録文化財”に登録されています。史料館を含む工場内の施設には、ツアー参加時のみ立ち入りが可能です(後から気になったところを個人でゆっくり見直すことはできないそうです)。

<昔の看板>
160819 (110)カクキュー八丁味噌_昔の看板
旧国鉄(現在のJR)時代の岡崎駅に飾られていた宣伝用の看板。右に描かれているのは、幼少期の豊臣秀吉(日吉丸)と蜂須賀小六。2人は、工場のすぐそばを流れる矢作川[やはぎがわ]にかかる矢作橋で出会ったと伝えられています。橋の上で菰[こも]をかぶって寝ていた日吉丸は、この出会いで出世の糸口をつかみます。日吉丸がかぶっていた菰は、カクキューの店から盗んだものと言い伝えられているそうです。

<昔の仕込みのようす>
史料館の中には、明治中期頃(1900年前後)の仕込みの様子がマネキンで再現されています。昔の用具類などの展示も充実していました。
160819 (115)カクキュー八丁味噌_鉄製大釜
160819 (113)カクキュー八丁味噌_こしき
まず、鉄製の大釜(蒸気を発生させます)に、菰[こも]が巻かれた大きな大桶=甑[こしき]をはめて(のはず...)、約2トンの大豆が蒸されます。釜と甑を使って原料を蒸す工程は、昔の日本酒造りと同じように見受けられました。
160819 (144)カクキュー八丁味噌_史料館(二階の室へ)
蒸した大豆は潰して”こぶし大の大きさ”に握り固められます。これを「味噌玉」といいます。味噌玉は2階の室[むろ]に運ばれた後に”麹菌”が付けられ、発酵過程に入ります。発酵した味噌玉は、「豆麹[まめこうじ]」へと変わります。
160819 (129)カクキュー八丁味噌_史料館天井
2階の室とつながる天井は”竹”でできています。昔は収穫した大豆を冬場に仕込む「寒づくり」が主流でしたが、寒すぎては発酵が進まないため、焚き火や七輪を使って1階で温めた空気を2階に送っていたそうです。現在は空調機器で温度管理ができるため、1年を通して仕込みが可能です。発酵時の温度を下げようと苦労していた昔の吟醸酒造りやワイン醸造と真逆だったことが興味深かったです。
160819 (120)カクキュー八丁味噌_仕込 - コピー
たらいの中の石ころみたいな塊が豆麹(発酵させた味噌玉)。これに塩と水を加えてよくかきまぜ、職人たちが大きな桶に運び入れて熟成させます。豆麹の入ったたらいは40kgもの重さになるそうです。これを、職人が2人がかりで肩にかついで運びます。
160819 (137)カクキュー八丁味噌_仕込2
桶に乗っている職人は、足袋をはいて、中の味噌を足で踏み固めています。しっかりと踏み込んで空気を抜くことで、雑菌の繁殖を防いでいるそうです。八丁味噌は水分が少ないため、人が乗っても味噌の中に沈みこまないとか。桶の中の味噌の重さは約6トンで、味噌汁だとおよそ30万人分にもなるそうです。桶が満たされたら、蓋をして石を積み、二夏二冬[ふたなつふたふゆ]=約2~3年かけて熟成させます。

<昔の桶>
160819 (125)カクキュー八丁味噌_桶と樽のコーナー
史料館の奥に横たわっている大きな杉桶は、天保10年(1839年)につくられたもの。カクキューでは、天保15年につくられた杉桶が現役最古のものとしていまだに活躍しているそうです。大きな杉桶はその高さから「六尺」(高さ約1.8m)と呼ばれているそうです。
160819 (127)カクキュー八丁味噌_天保10年作の桶 - コピー
170年以上の歴史を歩んできた桶の内部。ロマンだなぁ...

<正直かんな>
160819 (139)カクキュー八丁味噌_正直かんな
桶屋などが用いる長さ1m~2mのかんな。木をかんなの上に乗せて(かんなではなく木を)押して削ります。

★熟成蔵
160819 (157)カクキュー八丁味噌_熟成蔵内
続いて、熟成蔵の中を見学しました。大きな杉桶がたくさん並んでいます。
160819 (158)カクキュー八丁味噌_蔵内温度計
八丁味噌は天然醸造で造られるため、蔵内の温度は自然任せです。職人さんたちは、夏は暑く、冬は寒い室温の中で大変な作業を行っています。この日の蔵内の温度は約34℃でした...
160819 (156)カクキュー八丁味噌_熟成庫(杉桶)
1つの桶には約6トンの味噌が仕込まれており、その上に約3トン(およそ350個)の石が円錐状に積み上げられています。石積みは、まず小石を蓋の周りに積み、次に大きな石を内側に重みがいくように積んでいきます。石積みだけで5~10年の修行が必要と言われており、職人によって積み上げられた石は、過去の地震でも崩れたことがないそうです。たくさんの丸石を積み上げるのは、味噌の水分や塩分が均等に混ざるようにするためで、3トンの石をぽんと1個置くだけでは効果がないそうです。ちなみに、味噌造りと同じ職人さんが石積みも行っているそうです(まるや八丁味噌さんでは別々だったように見受けられました)。

160819 (163)カクキュー八丁味噌_竹製のタガ - コピー
桶の寿命は約100年と言われる一方で、竹製の箍[タガ]の寿命は約70年。竹製の箍を作れる職人さんはもう(ほとんど?)いないため、現存するものはとても貴重なのだそうです。寿命を迎えた箍は順次、鉄製のものに変えられています。伝統の技が失われていくのは少し寂しい感じがしました...

★屋外の仕込み桶
160819 (167)カクキュー八丁味噌_貯蔵蔵の出口
貯蔵蔵の外に出ると、大きな杉桶がたくさん並べられており、次に使う時のために天日干しされていました。
160819 (172)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶
1つの桶の値段は、およそ200万円ほどするそうです(かなりアバウトな数字だそうですが...)。
160819 (169)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶の中
使用済みの仕込み桶は、中に味噌が付いている状態のままで干されます。桶を洗ってからだと、乾燥によってすき間ができたり割れたりすることもあるため、再び使う直前に中をきれいに洗うそうです。見学者の中には、この桶の中に残った味噌を食べてしまう人も”多々”いるとか...(←突っ込みポイント)。

★防火用水
160819 (86)カクキュー八丁味噌_防火用水
水路があったので仕込み水なのか質問したところ、防火用水とのことでした。雨水を溜めてつくられたもので、深さはなんと1.6mほどもあるそうです。使うことを想定されていないせいか、中にはめだかが飼われていました。火事になった時は、かわいそうだけど焼き魚になってもらうことになるとか...(←突っ込みポイント)。
パンフレットによると、この地は花崗岩質の地盤からの良質な天然水に恵まれているそうです。

★試食
160819 (176)カクキュー八丁味噌_試食コーナー
ツアーの最後に、セルフサービスの試食があります。
160819 (180)カクキュー八丁味噌_試食(八丁味噌の味噌汁)
八丁味噌のお味噌汁。赤だしのお味噌汁と比較試飲ができます。通常の味噌よりも旨味と酸味が強く、ほのかな渋味も感じられて複雑な味わいでした。
160819 (179)カクキュー八丁味噌_試食(味噌田楽)
丸いこんにゃくに八丁味噌のタレをかけたもの。

★矢作川と矢作橋
160819 (197)矢作川
工場見学の後は、敷地の西側を少し歩いた所を流れる矢作川を訪れました。この川があったから三河の発酵文化が育ったのだと思うと感慨深くなりました。
160819 (198)矢作橋
慶長6年(1601年)に土橋として架けられた「矢作橋」は、江戸時代における日本最長の大橋だったそうです。橋のそばには日吉丸と蜂須賀小六の「出合之像」があるそうですが(気付かなかった...)、この橋ができた1601年には、豊臣秀吉は既に亡くなっていたそうです。結構アバウトな言い伝えが多いなぁ...。現在の矢作橋には国道1号線が通っています。

★八丁蔵通り
矢作川を見た後は、工場の敷地の西側の小道を歩きました。この道は「八丁蔵通り」と呼ばれており、風情のある建物を見ながらの散策が楽しめます。
160819 (191)カクキュー八丁味噌_八丁蔵通り(東海道側)
八丁蔵通りの北限はちょうどカクキューの敷地の北西の角(国道1号線沿い)になります。
160819 (192)カクキュー八丁味噌_東海道側の外観
カクキューの北側の建物。屋外には石や桶が天日干しされていました。
160819 (201)八丁蔵通り
160819 (203)八丁蔵通り
黒塗りの板張り壁面と漆喰塗の白い土壁の色彩のコントラストが美しい...
160819 (202)八丁蔵通り
風情があります。
160819 (205)八丁蔵通り
八丁味噌の看板も。
160819 (206)八丁蔵通り - コピー
八丁蔵通りの南限は旧東海道に接しています(写真の右側の建物はまるや八丁味噌の事務所)。通りの角には、「純情きらり」で主演をつとめた宮崎あおいさんの手形がありました。

★帰路
160819 (211)愛知環状鉄道(切符)
愛知環状鉄道で岡崎駅まで戻り(中岡崎駅16:04→岡崎駅16:10)、その後は18きっぷで普通列車と快速を乗り継いで東京を目指しました(岡崎駅16:17→16:39豊橋駅(充電休憩)17:02→17:38浜松駅17:50→19:03静岡駅(休憩)20:50→22:04熱海駅22:09→23:46東京駅)。東海道線は乗り継ぎ駅の近くに充電できる喫茶店がいくつかあるのでPC作業がはかどります。
160819 (214)しぞーか酒場(静岡) - コピー
静岡駅で途中下車して、”しぞーかおでん”で一杯...

(初稿)2016.8.23

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テーマ : 味噌
ジャンル : グルメ

【見学】まるや八丁味噌(愛知・岡崎) - 丸い石を積み上げた大きな杉桶が並ぶ味噌蔵はインパクト大!二夏二冬の熟成が生み出す旨味・酸味・渋味のハーモニー

愛知県岡崎市にある八丁味噌の蔵をはじめて見学しました。八丁味噌の名前は、岡崎城から八丁(約870m)西に離れたところにある八丁村(現在の八帖町[はっちょう-ちょう])でつくられてきたことに由来するそうです。

日時:2016年8月19日(金) 13:30~14:15頃
場所:(株)まるや八丁味噌(愛知県岡崎市八帖町往還通52)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京駅⇔岡崎駅、1日あたり2,370円)、愛知環状鉄道(岡崎駅⇔中岡崎駅、往復460円)

★アクセス
160819 (1)愛知環状鉄道_岡崎駅
最寄駅は、愛知環状鉄道の「中岡崎駅」。JR東海道線の岡崎駅から2駅です(岡崎駅12:46→中岡崎駅12:51、230円。写真は岡崎駅)。東京都内から岡崎駅までは、18きっぷで普通列車と快速を乗り継いで訪れました(東京駅5:20→7:27沼津駅7:31→8:29静岡駅8:30→9:41浜松駅(休憩)11:44→12:17豊橋駅12:21→12:41岡崎駅)。
160819 (62)岡崎公園前駅
中岡崎駅は、名鉄名古屋本線の「岡崎公園前駅」と接続しています。

★車内でのアクシデント!?
静岡駅~浜松駅の車内でアイフォンをいじっていたら、突如りんごマークの画面で固まってしまいました(こんな時に限って…)。浜松駅構内のドトールコーヒーに立ち寄り、パソコンをWi-Fiにつないで調べていたら、いわゆる“りんごループ”といわれる状態でした。再起動(音量+ボタンを押したセーフモードを含む)を何度しても直らず、修理センター行きも覚悟しましたが、家族のアイフォンから電話をかけてもらったら復活しました(自身のウィルコムでかけた時はダメでした…)。直ってくれて本当によかった...

★中岡崎駅~まるや八丁味噌
160819 (6)中岡崎駅前_純情きらりの手形 - コピー
中岡崎駅の駅前には、八丁味噌の蔵を舞台にしたNHK連続テレビ小説「純情きらり」(放映:2006年4月3日~2006年9月30日)のオブジェがありました。左の手形は室井滋さん(有森磯役)のものです。

160819 (4)中岡崎駅前
中岡崎駅の改札を出て右側の出口から「八丁味噌」の文字が書かれた建物が目に入りました。その建物を目指して歩きましたが、どこにも入口が見当たりません...
160819 (11)まるや八丁味噌_看板(屋外)
建物の外周をほぼ3/4周してようやく「まるや八丁味噌」の看板を見つけました。中に入って見学に来た旨を伝えると、ツアーの待合場所はなんと線路の高架沿い、つまり、駅を出て右手に進めばすぐに着く所にあるとのこと。駅の近くだからと油断せずに地図をよく確認すべきでした...ちなみに、この看板のある建物は事務所でした。
160819 (207)旧東海道(中岡崎) - コピー
遠回りしたおかげで事務所の前の”旧東海道”を歩くことができました(後でガイドさんの説明を聞いてわかりました)。岡崎城の近くにはかつて東海道五十三次の38番目の宿場があり、この道を通る旅人たちが八丁味噌をお土産に買っていたそうです。この細い道を挟んで、全国に2軒しかない八丁味噌のメーカーが向かい合っています(もうひとつは、カクキューの合資会社八丁味噌)。ほぼ同じ場所にあっても、蔵付きの微生物が異なるためか、両社の味噌の味は異なるそうです。
160819 (209)まるや八丁味噌_外観
事務所の脇から工場内を写したもの。金属製のドアの上部には2列の縦長の丸い穴が並んでいます。碧南市の白醤油メーカーのヤマシン醸造で見たものとほぼ同じデザインでした。

★見学受付
160819 (14)まるや八丁味噌_見学受付
工場の敷地をぐるっと一周してようやく見学受付の建物へ。こんなに駅の近くだったんだ...
160819 (15)まるや八丁味噌_見学受付
建物の中に入り、まず受付用紙に氏名等を記入します。ツアーは9:00~16:20(12:00~13:00はお昼休み)の間の毎時00分と30分にスタートし、少人数の場合は予約不要です。13:30からの見学者は、男性3名でした。

★DVD鑑賞
ツアー開始時間まで、会社と八丁味噌の紹介映像を観せて頂きました。

<まるや八丁味噌>
南北朝時代の延元2年(1337年。えんげん-)、太田弥治右衛門がこの地で醸造業を始めたのが創業とされています。戦国時代には同社の味噌が徳川家康の兵食にもなり珍重されたそうです。現在の社長は21代目の浅井信太郎氏(1949年生まれ)。主力商品の八丁味噌は有機やオーガニックも手掛けており、味噌ういろなどの菓子類や赤だしなども製造しています。同社の八丁味噌は”Hacho Miso”として世界20数か国に輸出されています。

<八丁味噌の特徴と八丁村>
八丁味噌は徳川家康の生誕地・岡崎市で長年造られている豆味噌の一種です。原料は大豆・塩・水のみで、色合いは濃い赤褐色。普通の味噌は米や麦の麹を加えて甘味を付けていますが、大豆のみで造られる八丁味噌は旨味が強く、乳酸菌が生む酸味、熟成による渋味と重なって、より複雑でコクのある味わいです。普通の味噌よりも水分が少ないため、塩分は見た目ほど高くなく、触感は硬めです。
八丁村は矢作川[やはぎがわ]の運搬船と旧東海道が交わる流通の拠点で、原料の調達や商品の出荷に適した立地でした。また、矢作川には土場(船着き場)と塩座(塩の専売)があり、良質な伏流水にも恵まれていました。

<工場のスタッフ>
工場長の星野さんは、蔵内を常に走り回っているほどの働き者で、32歳の若さで工場長に抜擢されたそうです(DVD作成時で35歳)。670年の蔵の歴史の中でも、異例の大抜擢だったそうです。星野さんは、八丁味噌を「手間のかかる愛すべき話し相手」と表現されていました。DVDでは、石積み職人の染次さんも紹介されました。桶1つにつき、4トンの石を積む作業をたった一人で担っているそうです。DVDでスタッフの方の職人気質に触れ、見学への期待が高まりました。

DVDを観た後は、女性ガイドさんが蔵内を案内してくれました。

★八丁味噌の製造工程
160819 (17)まるや八丁味噌_
大豆の選別→洗浄・浸漬・水切り→蒸煮・冷却→”みそ玉”をつくる(乳酸菌が付く)→こうじの種を振りかけて”みそ麹”にする→みそ麹に塩と水を加えて大桶(六尺)に仕込む→重石を乗せて約2~3年かけて熟成させる→八丁味噌の完成

<原料処理>
160819 (34)まるや八丁味噌_原料の大豆
原料の丸大豆を洗って水を吸わせる”浸漬”は、製品の良し悪しの八割を決めるほどの重要な工程だそうです。約2時間の吸水時間は分刻みで管理されており、5分の誤差が命取りになるそうです(水の抜き遅れで大豆をすべて捨てることもあるほどシビアな世界とか)。吸水具合は、浸漬前後の大豆の重さ=重量差を計って確認します。重さだけではすべてを判断できないため、爪を大豆に刺した時の感触など、”職人の勘”も駆使されるそうです。

<味噌玉・味噌麹づくり>
160819 (35)まるや八丁味噌_味噌玉(味噌麹)
160819 (36)まるや八丁味噌__味噌玉(味噌麹)アップ
浸漬した後の大豆は、巨大な釜で蒸煮します。程よい硬さのあめ色に蒸し上がった大豆は、特殊な穴が開いた”製玉機”に運ばれて、こぶし大の「味噌玉」がつくられます。味噌玉の中には”蔵付きの乳酸菌”が入り込み、雑菌の繁殖を抑えてくれるとともに、味噌にほどよい酸味を与えてくれます。
その後、味噌玉に”麹菌”をまぶして製麹室へと運ばれます。味噌玉の表面には白っぽい麹菌が一面にびっしりと生え、「味噌麹」になります。
2003年に最新の製麹機械を導入した際に、長年蔵にいた乳酸菌がなぜか味噌玉に根付かなかったことがあるそうです。調査を重ねて何とか改善したそうですが、蔵付きの微生物がいかに繊細な環境下で生きているかが伺えました。

<石積み・熟成>
160819 (27)まるや八丁味噌_味噌蔵内
味噌麹は高さ六尺(約1.8m)の大きな杉桶の中で、約2~3年(二夏二冬[ふたなつふたふゆ])かけて熟成させます。桶1つの中の味噌の重さはおよそ6トン(6,000kg)にもなり、4人家族が1日1杯の味噌汁を飲んだとして、空にするのに205年もかかるそうです。空気が少しでも残ると雑菌が入ってしまうため、職人さんが根気よく味噌を足で踏み固めていきます。桶の中に味噌麹を少しずつ入れては足で踏み固め、また少し入れては足で踏むという地道な作業を繰り返していくそうです。
160819 (23)まるや八丁味噌_杉桶のアップ - コピー
まるや八丁味噌には8つの味噌蔵があり、全部でおよそ200もの杉桶があるそうです。杉桶の寿命はなんと100年以上で、蔵の中には150年ものの桶もあるそうです。桶の木材の色はまちまちで、使用年数の違いが外見にもあらわれていました。
160819 (22)まるや八丁味噌_箍のアップ - コピー
桶の周りに巻かれている”箍[たが]”は元はすべて竹製でしたが、今は職人が殆どいなくなってしまったため、鉄製の箍に順次入れ変わっているそうです。

160819 (20)まるや八丁味噌_杉桶上部の積み石
桶の中を味噌麹で満たしたら、蓋をして、上に3~4トン(500~600個)の石を積んでいきます。まず、円を描くように土台をつくり、石の重みが中心にかかるように円錐型に積んでいきます。石積みのコツは、「石の顔を見せるように積む」こと。石積みには10年近くの修行が必要で、職人さんは「この顔じゃねーよ!」と何度も親方に怒られながら技を磨いてきたそうです。きちんと積まれた石の山は、過去の地震でも崩れることがなかったそうです。

八丁味噌は非常に水分が少ないため、石を積むことで塩水の対流を促し、熟成がうまく進むように手助けをしているそうです。

160819 (37)まるや八丁味噌_八丁味噌
積み石をした後は、人の手を加えずに、自然の力で熟成させます。蔵内の温度も自然任せ。文字通り、”天然醸造”です。
長期熟成で塩のカドが取れてまろやかな味わいになりますが、熟成期間は長ければ良いというものではないそうです(蔵内では、奥に向かって1列に並ぶ桶が同じ年に仕込んだものだそうです。味噌は奥の桶から詰めて、手前の桶から出していくため、奥の桶の熟成期間がやや長くなるそうです)。

出来上がった味噌は桶の中にスタッフが入ってスコップでかき出すそうです(お隣のカクキューでは、桶を傾ける機械を導入しているとか)。大変な重労働なので、女性のガイドさんに手伝うことがあるのか質問したところ、むしろ「触らせてくれない。近づくな。」と言われるそうです。ここでも、職人さんの強いこだわりを感じました。

現在は1年中つくれますが、昔は冬にできた大豆を夏にかけて仕込む”寒づくり”が主流だったそうです。

<石積みに使う石>
160819 (40)まるや八丁味噌_石積み説明
・積石(約60kg):石積みの外壁。職人は石の顔を瞬時に判断し、積み場所を決めます。
・中石(約11kg):石積みを中から支えます。
・まんじゅう石(約9kg):ピラミッドの頂点で全体のバランスを取ります。
160819 (41)まるや八丁味噌_積石
160819 (42)まるや八丁味噌_中石とまんじゅう石
積み石は、矢作川や静岡県の天竜川の上流から運ばれた天然の河原の石を使っているそうです。いまは石を運べなくなったため、昔からあるものを大事に使い続けているそうです。
たくさんの丸石を積むのではなく、大きな岩やレンガなどを機械でポンと置けないのか質問したところ、伝統を守るということに加えて、細かい石だからこそ細やかな調整に対応できるとのことでした。味噌づくりは自然の力を利用するものなので、職人の勘による柔軟な対応が必要であり、大きな石だと逆に調整が難しくなるそうです。

★赤だし
160819 (39)まるや八丁味噌_八丁味噌と赤だし
「赤だし」とは、豆味噌の”八丁味噌”と米糀で造った”白味噌”を混ぜ合わせた”合わせ味噌”を指すそうです。八丁味噌の濃厚な旨味と白味噌の甘味が折り重なった使い勝手の良い味噌で、八丁味噌単体よりも水分が多くなるため、柔らかくなるそうです。赤みそに鰹や昆布などの出汁を加えたものが”赤だし”だと思っていました...

★日吉丸・石投の井戸
160819 (32)まるや八丁味噌_日吉丸石投の井戸
かつて日吉丸という少年がこの店に忍び込んで、勝手に飯を食べていました。それを見つけた蔵男から逃げようとした少年は、この井戸に石を放りこみ、井戸に落ちたと思わせて逃げることに成功したと伝えられています。この少年が後の豊臣秀吉で、大人になってからこの店を通り過ぎた際に、当時のことを謝りに来られたそうです。話の真偽はともかく、このような言い伝えが岡崎には多々残されているそうです。

★味噌蔵の外壁
160819 (33)まるや八丁味噌_下見板張り
味噌蔵の外壁は、趣きのある”下見板張り”でした(石川県の宗玄酒造を見学した際に覚えました)。

★江戸時代の蔵
160819 (45)まるや八丁味噌_江戸時代の蔵 - コピー
続いて、江戸時代の後期に建てられた蔵を見学しました。屋根は修復していますが、天井や梁などは昔のまま残っているそうです。白っぽくなっているところが、蔵付きの微生物だそうです。
160819 (47)まるや八丁味噌_土壁のアップ - コピー
土壁のアップ。
160819 (46)まるや八丁味噌_江戸時代の蔵(縦) - コピー
「純情きらり」のロケでこの蔵が使われた際の裏話も教えて頂きました。物語の舞台となった昭和12年頃には鉄製のタガが存在しなかったため、NHKのスタッフがウレタンで竹製のタガのイミテーションを作り、それをかぶせて撮影したそうです。今もこの蔵内の竹製(に見える)タガは、その時のイミテーションが残されているそうです。

★昔の看板
160819 (44)まるや八丁味噌_看板
かつてお店の正面に掲げられていた看板。”皇国無比”の文字が刻まれていたため、戦後に屋内へ移されたそうです。

★売店・試食
160819 (52)まるや八丁味噌_味噌田楽の試食 - コピー
最後に「味噌田楽」の試食がありました。こんにゃくに「まるやのみそだれ」をかけただけのシンプルなものですが、旨味のある甘辛いタレが絶妙の美味しさでした。
160819 (51)まるや八丁味噌_味噌の試食
売店の試食コーナー。”八丁味噌(粒)”、”有機八丁”、”無添加八丁”、”サガミのみそだれ”を小さなスプーンですくって味の確認ができます。
160819 (55)まるや八丁味噌_売店
売店では、八丁味噌の他にも、菓子類などが販売されています。
160819 (64)まるや八丁味噌_八丁味噌(粒) - コピー
ここでしか買えないという「粒入りの八丁味噌」(800g、税込1,080円)を購入しました。粒を残している八丁味噌は流通量も少ないそうです。
160819 (65)まるや八丁味噌_八丁味噌(粒)裏面 - コピー
パッケージの裏面。

★出口へ
160819 (54)まるや八丁味噌_昔の写真
出口へ向かう通路には、昔の写真が展示されています。
160819 (57)まるや八丁味噌_用具の天日乾燥 - コピー
160819 (58)まるや八丁味噌_用具の天日乾燥 - コピー
建物の外では、積み石や用具類などが天日乾燥されていました。
160819 (60)まるや八丁味噌_出口建物
最初に入口だと思っていたところは出口でした... 建物の壁に描かれた徳川家の家紋「丸に三つ葉葵」に重みを感じます。

★八丁味噌を使った料理のレシピ
最初の紹介映像に登場したレシピ。どれも酒に合いそう...
・「野菜の味噌煮」:ざくぎりの野菜に八丁味噌を乗せて煮込むだけ。味噌の酸味・旨味・渋味が野菜の味を引き立てます。
・「田楽味噌」:八丁味噌にざらめと味醂をまぜて練り込んだものを、揚げ茄子などにたっぷりかけて...
・「ふりかけ」:八丁味噌を乾燥させて砕き、ゴマの風味を加えて...(電子レンジを使う時は焦げないようにご注意を)

小さなレシピブックももらえます。これも美味しそう...
・「焼き味噌」:ネギ・生姜・大葉を刻んで八丁味噌に混ぜ、直径3㎝厚さ1㎝ほどに固めたものを網で焼くだけ。

★大正庵釜春本店[たいしょうあんかまはるほんてん]
遅めのランチは、中岡崎駅の反対側のロータリー脇にある手打ちうどんのお店で取りました。
160819 (63)大正庵釜春本店_外観
岡崎周辺に7店舗を有する元祖・釜揚げうどんの本店だそうです。
160819 (66)大正庵釜春本店_メニュー
「八丁味噌煮込みうどん」(税込1,080円)を注文。うどんの茹で加減と紙エプロンが必要かどうかを聞かれます。
160819 (67)大正庵釜春本店_カウンター
炉端風のカウンター席。予め小口切りのネギがセットされていました。
160819 (68)大正庵釜春本店_手打ちのようす
うどんを手打ちする職人さん。
160819 (69)大正庵釜春本店_八丁味噌煮込みうどん - コピー
八丁味噌煮込みうどん。茹で加減は硬めで注文しましたが、コシの強い讃岐うどんよりもやや柔らかい感じでした。独特のコクがある八丁味噌のスープがよく浸みています。具材は鶏肉、たまご、しいたけ、かまぼこ、揚げ、ネギ。お好みで小口切りの生ネギ、唐辛子、ゴマをかけて頂きます。

★感想など
予備知識が殆どない状態で八丁味噌の蔵を見学しましたが、とても興味深い製造法と歴史を持っている発酵食品だと思いました。紹介映像や女性ガイドさんの説明がわかりやすかったので、わずかな時間で八丁味噌のことが理解でき、とても有意義な蔵見学でした。
金沢で八丁味噌(厳密には八丁味噌ではなかったわけですが...)をお土産に買った際に少し調べたはずでしたが、ほとんど頭に知識が残っていませんでした。やはり、書物で勉強する前に実際に現場を見た方がよく身に付くと思いました。

食事の後は、「カクキュー」の合資会社八丁味噌の見学ツアーに参加しました。

(初稿)2016.8.21

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テーマ : 味噌
ジャンル : グルメ

【見学】キッコーマンもの知りしょうゆ館(千葉・野田) - しょうゆにはリンゴやバラの香りがある!?

しょうゆメーカーの最大手、キッコーマン(株)の野田工場を見学しました。パネル展示やガイドさんの説明がとてもわかりやすく、しょうゆの基礎を学ぶのにとても役立ちました。また、しょうゆにはワインや吟醸酒と同じ香り成分が含まれており、その表現方法がワインのテイスティング用語と似ていることが興味深かったです。


日時:2016年8月7日(日) 14:00~15:00
場所:キッコーマンもの知りしょうゆ館(千葉県野田市野田110。キッコーマン食品野田工場内)
料金:無料
内容:工場見学


★アクセス
160807 (2)野田市駅ホーム
最寄駅は東武野田線(アーバンパークライン)の野田市駅。JR常磐線の柏駅から約20分です(7駅、運賃247円)。
160807 (3)野田市駅
野田市駅の改札口は、柏駅寄りの1箇所です。
160807 (4)野田市駅周辺図
野田市駅の周辺案内図。「キッコーマンもの知りしょうゆ館」(見学者の集合場所)までは約200-300mです。
160807 (107)野田市駅_駅舎とコンビニ
野田市駅の駅舎。近くにはコンビニのミニストップがあります。
160807 (8)キッコーマン野田工場_工場外壁
駅から工場の外壁沿いに歩くとすぐに目的地にたどり着けます。


★キッコーマンもの知りしょうゆ館
160807 (12)キッコーマンもの知りしょうゆ館_入口
「もの知りしょうゆ館」の入口。
160807 (101)キッコーマンもの知りしょうゆ館_工場見学
工場見学は、9:00~15:00の1時間毎にスタートします(12:00を除く)。内容は映像視聴15分と工場内見学45分(合計約60分)で、料金は無料、事前予約が必要です。見学受入は2名からですが、1名でも対応して頂けました(他に参加者がいれば可能?)。


★キッコーマンについて
160807 (10)ものしり醤油館入口と屋外タンク
キッコーマン(株)の前身の野田醤油(株)の設立は1917年(大正6年)。野田におけるしょうゆの醸造開始は1661年(寛文元年)にまでさかのぼります。
「亀甲萬」の商標は、(千葉県香取市の亀甲山[かめがせやま]と呼ばれる丘陵上に鎮座する)香取神社の『亀甲』に『(鶴は千年、)亀は萬年』をかけたとされています。
キッコーマン(株)は、2009年に純粋持株会社に移行し、3つの事業子会社(キッコーマン食品、キッコーマン飲料、キッコーマンビジネスサービス)を設立しています。


★映像視聴
160807 (37)キッコーマン野田工場_映像ルーム
最初に15分の映像を観ました。しょうゆの原料や造り方、微生物の働きなどがわかりやすくまとめられていました。

映像視聴の後は、ガイドさんが工場内を案内してくれました。


★しょうゆの原料
160807 (39)キッコーマン野田工場_醤油の原料2
マンパック1本(1L入りペットボトル)の濃口しょうゆをつくるために必要な原料は、
・大豆:約180g(豆腐約2丁分)
・小麦:約180g(食パン約0.8斤分)
・食塩:約165g(海水約5L分)
です。

160807 (40)キッコーマン野田工場_大豆と小麦のアップ2
大豆は米国産(国産よりも小粒)、小麦は米国産とカナダ産、塩は国産(一部メキシコ産)が主に使われています。

160807 (24)キッコーマン野田工場_丸大豆と脱脂大豆
大豆には丸大豆(油分18-20%)と脱脂加工大豆(油分1%以下)があり、前者は素材の風味を活かしたい時に、後者は素材のクセを抑えたい時に使い分けるとよいそうです。

160807 (28)キッコーマン野田工場_減塩醤油
塩分濃度は濃口しょうゆで約16%、淡口しょうゆで約18%と高めです。これより低いと微生物の働きが活発になり過ぎて、香味のバランスが崩れたり、有害な微生物が優勢になったりするそうです。
塩分濃度が約8%の「減塩しょうゆ」はふつうの濃口しょうゆを造ってから(電気透析法という脱塩装置などにより)食塩分だけを取り除きます。手間がかかるため、価格は高めになります。また、塩分が低いため冷蔵庫で保管するのが無難です。キッコーマンの減塩醤油は、「保健しょうゆ」として1965年にはじめて発売されました。


★しょうゆを造る微生物
160807 (36)キッコーマン野田工場_キッコーマン菌
しょうゆ造りで活躍するのは、麹菌、乳酸菌、酵母菌という3つの微生物。”麹菌”の酵素は、主に大豆のタンパク質をアミノ酸に、小麦のデンプン質をブドウ糖に分解します。キッコーマンでは、しょうゆ造り専門の麹菌「キッコーマン菌」を(江戸時代から?)大切に守り育ててきたそうです。乳酸菌は主にブドウ糖を乳酸に変え、しょうゆの味を引き締めます。酵母菌はアルコールやエステル類などしょうゆ独特の香味となる成分を生成します。


★製麹[せいきく]
160807 (41)キッコーマン野田工場_製麹装置
蒸した大豆と炒った小麦を細かくしたものにキッコーマン菌を植え付け、しょうゆ麹を造ります。これらの原料はまず、ベルトコンベアーでステンレス製の大きな丸い部屋(麹室。撮影不可)に送られます。麹室の床(円盤)の細かい穴からは熱く湿った空気が送りこまれ、約3日間かけてしょうゆ麹が造られます。しょうゆ麹は熱を持ちすぎたり固まったりしないよう、ターナーで1日1回かき混ぜられます。
160807 (44)キッコーマン野田工場_醤油麹3種2
1日目、2日目、3日目のしょうゆ麹のサンプルの展示。
160807 (47)キッコーマン野田工場_1日目の麹2
1日目の麹。しょうゆ麹は茶色くて粉っぽく、清酒用の米麹(粒状で真っ白)とはずいぶんと外観が異なっていました。

160807 (48)キッコーマン野田工場_麹蓋
昔のしょうゆ麹造りに使われていた麹蓋[こうじぶた]は、酒造りのものと同じような外観でした。積み方には、煉瓦積、すぎなり積、すきばい積、棒積など色々あるようです。


★仕込み(分解、発酵、熟成)
しょうゆ麹に塩水を加えて諸味[もろみ]を仕込みます。諸味の中では麹菌、乳酸菌、酵母菌らが活躍し、約6か月かけてしょうゆの香味成分などがつくられていきます。しょうゆ造りに向かない微生物は塩分に負けて当初の1週間くらいで消えていきます。
160807 (54)キッコーマン野田工場_仕込み工程2
仕込みたて、2-3か月後、4-6か月後の3段階の諸味のサンプルが展示されていました。諸味の色合いは、発酵・熟成が進むにつれて褐色化していきます。

160807 (65)キッコーマン野田工場_諸味の香りコーナー
続いて、諸味の香りが確認できるコーナーへ。
160807 (59)キッコーマン野田工場_諸味の香り確認(初期)
初期(1か月後)、発酵期(2-3か月後)、熟成期(4-6か月後)の3段階の香りを実際に確認することができます。

160807 (60)キッコーマン野田工場_諸味の香り確認(初期)拡大2
初期(1か月後)の諸味。
160807 (62)キッコーマン野田工場_諸味の香り確認(発酵期)拡大2
発酵期(2-3か月後)の諸味。
160807 (64)キッコーマン野田工場_諸味の香り確認(熟成期)拡大2
熟成期(4-6か月後)の諸味。


★仕込みタンク
160807 (66)キッコーマン野田工場_屋外タンクの見学コーナー
続いて、通路から屋外の仕込みタンクを見学しました。工場内には大小約600本のタンクがあり、最大のもので約360klの容量があるそうです。
160807 (96)キッコーマン野田工場_屋外タンクの半径
通路に描かれたオレンジ色の半円は、最大タンクの直径(7m)をあらわしています。


★圧搾
熟成した諸味は圧搾装置で搾られます。工場内には世界最大の圧搾装置(撮影不可)が置かれていました。1日にマンパック約30万本分もの処理が行えるそうです。
160807 (72)キッコーマン野田工場_ナイロン製のろ布
ナイロン製の「ろ布」のサンプル。実際に使われているものは”長さ2,800m×幅3m”もあり、それを700段に折りたたんで、その中に諸味を入れて搾ります。ナイロン製のろ布は丈夫なので5-6年は繰り返して使えるそうです。最初に自然に流れ出てくる液体は「一番しぼり」という贈答商品として年に1度だけ販売されるそうです。その後、圧搾装置で圧力をかけながら、諸味はおよそ1日かけてゆっくり搾られます。
160807 (75)キッコーマン野田工場_しょうゆ粕アップ2
搾り終わった後の”しょうゆ粕”は、細かく砕いて家畜の飼料や、燃料、便箋・封筒などに再利用されます。
160807 (74)キッコーマン野田工場_しょうゆ油と醤油粕
原料に丸大豆を使った場合に出る”しょうゆ油”も、機械油や石鹸の材料として再利用されます。


★火入れ
搾りたてのしょうゆ=生揚げ[きあげ]しょうゆは、プレートヒーターを通して加熱し、色や香味を整えたり、微生物の働きを止めて品質を安定化させます。この工程を「火入れ」と呼びます。
160807 (82)キッコーマン野田工場_生揚げしょうゆ
火入れ前の生揚げしょうゆは、淡い赤褐色で、穏やかな香り。
160807 (83)キッコーマン野田工場_火入れ後のしょうゆ
火入れをすると、カラメルのような色調が濃くなり、香りは華やかになります。

<生[なま]しょうゆと生[き]じょうゆ>
160807 (27)キッコーマン野田工場_生醤油、生醤油、火入れ醤油
日本酒の世界では、火入れをしていない酒を生酒[なまざけ]、混じりけの無い酒(ひとつの製造場だけで醸造した純米酒)を生一本[きいっぽん]と呼びます。しょうゆの世界でも、”生”という漢字が”なま”なら火入れをしていないもの、”き”なら混じりけのないものを指していました。

・生揚げしょうゆ:搾りたてのしょうゆ。
・生しょうゆ:生揚げしょうゆをろ過したもの。火入れ前。
・火入れしょうゆ:火入れをしたしょうゆ。
・生じょうゆ:だしや調味料などが入っていないしょうゆ。


★パッケージング
160807 (85)キッコーマン野田工場_敷地略図
しょうゆを容器に詰めるパッケージング工程は、東武線の線路を挟んだ向こう側の工場で行われます。しょうゆはなんと、線路の下を通っているパイプで輸送されているそうです。

160807 (90)キッコーマン野田工場_容器の歴史、世界のしょうゆ
むかしの容器と世界のしょうゆの展示コーナー。 


★お土産
160807 (92)キッコーマン野田工場_お土産2
最後に「しぼりたて生しょうゆ」と、うちのごはんシリーズ「豚バラ黒酢煮」のお土産をいただきました。


★しょうゆのパネル展示
<3種類の造り方>
160807 (29)キッコーマン野田工場_本醸造、混合、混合醸造
①本醸造方式:原料を微生物のチカラで分解・発酵・熟成させる方式。
②混合醸造方式:発酵・熟成の過程でアミノ酸液などを加える方式。
③混合方式:生揚げしょうゆにアミノ酸液などを加える方式。
日本のしょうゆは約85%が本醸造方式(キッコーマンしょうゆはすべて本醸造しょうゆ)です。

<しょうゆの色>
160807 (17)キッコーマン野田工場_しょうゆの色度
しょうゆの色はあざやかな赤橙色[せきとうしょく]。この色調はメラノイジン(醸造している間や火入れによってできる物質)によるものです。

<しょうゆの香り>
160807 (18)キッコーマン野田_しょうゆの香り - コピー
しょうゆには300種類以上の香り成分が含まれています。
【エステル類】リンゴ(吉草酸エチル、カプロン酸エチル)、パイナップル(酢酸メチル)、モモ(ギ酸メチル)、洋なし(酢酸イソアミル)
【アルデヒド類・ケトン類】バニラ(バニリン)、シナモン(シンナムアルデヒド)、バター(アセトイン)、アーモンド(ベンズアルデヒド)
【アルデヒド類・エステル類など】ヒヤシンス(ベンズアセトアルデヒド)、ゼラニウム(デカン酸エチル)、バラ(2-フェニルエタノール)
【アルコール類・含硫化合物】マツタケ(マツタケオール)、キュウリ(5-ノネナール)、肉(メチオナール)、青海苔(ジメチルスルフィド)
【ラクトン類・フラノン類】甘いカラメル/醸造醤油の特徴香(HEMF)、焼き栗(HMMF)、メープルシロップ(シクロテン)、糖蜜・黒砂糖(HDF)

160807 (21)キッコーマン野田工場_しょうゆの香り確認
開栓直後と数か月後のしょうゆの色や香りの違いを確認できるコーナーもありました。

<しょうゆの味>
160807 (19)キッコーマン野田工場_しょうゆの味わい
1:甘味(ブドウ糖、アミノ酸など)
2:旨味(アミノ酸。グルタミン酸など)
3:塩味(食塩)
4:酸味(有機酸。乳酸、酢酸など)
5:苦味(アミノ酸、ペプチド)
6:こく・深み(ペプチド、メラノイジン)

<しょうゆの産地>
160807 (15)キッコーマン野田工場_しょうゆの産地
日本には1,400軒以上のしょうゆ工場があり、県別では福岡県97軒、広島県67軒、石川県65軒が上位3位を占めます。一方で生産量のランキングでは、千葉県34%(18軒)、兵庫県15%(43軒)、愛知県7%(39軒)となり、大きく順位が入れ替わります。千葉県にはキッコーマンの他にも、上位5社にはいるヤマサ醬油、ヒゲタ醤油(ともに銚子市)があります。
野田がしょうゆの一大産地になれた背景には、2つの大きな川(利根川と江戸川)が原料や製品の輸送で重要な役割を果たしたことが挙げられます。野田市には白しょうゆを造るキノエネ醤油(株)もあります。


★樽づくり
160807 (32)キッコーマン野田工場_樽づくり職人
この日は、売店の横のスペースで、木樽づくりの実演がありました。


★わくわくしょうゆ体験「まめカフェ」
160807 (94)キッコーマン野田工場_まめカフェ
売店の奥には、軽食を楽しめる「まめカフェ」があります。入口の券売機で食券を購入し、奥のカウンターで商品を受け取るシステムです。
160807 (103)しょうゆソフトクリーム(ハーフ)
ハーフサイズのしょうゆソフトクリーム180円。ほのかに醤油の甘辛さとコクが感じられ、食べ飽きのしない美味しさでした。他にも、生しょうゆうどん(180円)、特製もろみ豚汁(180円)、せんべい焼き体験(1組3枚。250円)などのメニューがありました。
160807 (102)しょうゆの味見コーナー
カウンターには、「しょうゆの味見コーナー」も。


★売店
160807 (105)しょうゆの不思議と御用醤油
売店で購入した「しょうゆの不思議」(日本醤油協会。税込1,080円)と、宮内庁に納められている「御用醤油」(税込542円)。


★御用醤油と御用蔵
160807 (89)キッコーマン野田工場_キッコーマン野田工場_御用蔵醤油
「御用醤油」は野田工場内の御用醤油醸造所(通称、御用蔵)で造られています。
160807 (11)キッコーマン野田工場_御用蔵
御用蔵は宮内省(現宮内庁)に納める醤油の専用醸造所として、1939年(昭和14年)に建設されました。当初は江戸川沿い(千葉県野田市中野台)にありましたが、老朽化に伴い、2011年(平成23年)に野田工場内に移築されています。しょうゆを仕込む木桶、屋根の小屋組み、屋根瓦、石垣、門などは移築前のものを使用し、原形に近い形で再現されています。現在でも宮内省に納める醤油が造られており、蔵内にはむかしの醸造道具などが展示されています。平日は御用蔵の中も公開されていますが、この日は日曜日だったので見学できませんでした。


★感想など
白しょうゆメーカーに続いて濃口しょうゆの工場を見学し、複雑なしょうゆ造りの流れをようやくイメージできるようになりました。特に今回のパネル展示は様々なトピックスについてわかりやすくまとめられていて、とても勉強になりました(小学生の社会科見学でも訪問したはずですが、諸味の強烈な臭い以外はほとんど記憶に残っていませんでした...)。
同じ醸造モノである日本酒との共通点も多く見られましたが、生(なま)と生(き)という言葉の使い分けが共通している点が特に興味深かったです。また、しょうゆの香りにはワインや吟醸酒と同じ成分が数多く含まれることを学んだので、的確に表現できるようになりたいと思いました(しょうゆの香りをワインと同じようにリンゴやバラ、ゼラニウムなどであらわすとは思いませんでした...)。

それにしても日本の発酵文化は奥が深くておもしろい...


(初稿)2017.1.2

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テーマ : しょうゆ工場見学
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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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