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【見学】神戸酒心館(兵庫県・東灘) - ノーベル賞晩餐会で楽しまれたSAKE・「福寿」

白鶴資料館に続いて、福寿の蔵元・(株)神戸酒心館[こうべしゅしんかん]を訪ねました。昨年3月に続いて2回目の訪問です。今回はガイド付きの蔵見学に参加できました。

日時:2016年5月28日(土) 11:00~11:40
場所:神戸酒心館(神戸市東灘区御影塚町1-8-17)
内容:見学(ガイド付き)、試飲
料金:無料

★アクセス
最寄駅の阪神電鉄・石屋川[いしやがわ]駅から神戸酒心館までは約800mです。この日は白鶴資料館から約1.5kmの道のりを歩きました。途中で菊正宗や剣菱、泉酒造などの工場の前を通ります。道中には、六甲の水を使った手作り豆腐の店”おかげとうふ庵”もあります。

★外観
160528 (75)神戸酒心館_豊明蔵
敷地裏側からの写真。手前は多目的ホールの”豊明蔵”。奥の高い建物は、左が売店などがある”東明蔵”、右が酒造を行う”福寿蔵”です。
160528 (77)神戸酒心館_入口
入口の”長屋門”。ギャラリーにもなっています。

★大桶
160528 (80)神戸酒心館_大桶
長屋門をくぐって右側にある2つの大桶は、お酒の仕込みに使われていました。容量は32石(約6kl)。昔は造りが終わると洗った桶を蔵の外で干していたため、子供の格好の遊び場になったそうです。

★蔵見学の集合場所
160528 (82)神戸酒心館_売店入口
蔵見学の集合場所は、東明蔵(売店)の入口の中にある長椅子付近です。開始時間の少し前に女性ガイドが迎えに来てくれました。この日の見学者は5名でした。

★福寿蔵の入口
160528 (109)神戸酒心館_東明蔵入口
見学コースの福寿蔵は酒造を行う施設です。21年前の阪神大震災で木造の建物が全壊してしまったため、新たに建てられたものです。

★神戸酒心館の紹介
はじめにビデオルームで蔵の説明を受けました。
160528 (100)神戸酒心館_ビデオルーム
・神戸酒心館の創業は、江戸時代中期の宝暦元年(1751)。現在の当主は13代目。
・灘五郷の御影郷(後述)にて260年余り酒造りを行う。
・代表銘柄は「福寿」。七福神の”福禄寿”に由来し、顧客の健康長寿と財運を祈願する名称。
・ノーベル賞授賞式の晩さん会で「福寿 純米吟醸酒」が提供されて一躍有名に。
・酒造に携わる社員は男性7人、年齢は20~50代。

★酒造工程の見学
次にエレベーターで4階に移動し、スリッパに履き替えて、酒造工程を見学しました。津波による被害を避けるため、酒造設備は2階より上に作られているそうです。2~4階は吹き抜け式になっていて、3階にエレベーターは止まらないそうです。

①蒸鏹・放冷
160528 (87)神戸酒心館_蒸米
ドア越しに蒸鏹室を見学。奥に2つの甑が並んでいます。米は下から約100℃の蒸気を当てて約1時間ほど蒸されます。蒸し上がった米は、甑を斜めに傾けてベルトコンベアーの上にかき出され、放冷室へ運ばれます。蒸米の約2割は温度を30℃に下げて麹米に、残りは約10℃まで冷やして掛米に使われます。現在は放冷機を使いますが、昔は、六甲山から吹き下ろす寒風(六甲おろし)を利用して蒸米を冷やしていたそうです。作業は午前3時頃から行うという厳しいものだったようです。

②製麹・酛立て(見学なし)
麹は箱麹法による完全手造り(箱麹法)。酒母は、速醸だけでなく、生酛も手掛けています。

③仕込み
160528 (88)神戸酒心館_仕込・醗酵室
仕込・発酵室。室内奥には、酒造の神・松尾様を奉る神棚がありました。
160528 (90)神戸酒心館_仕込みタンク
仕込みタンクの容量は9,000ℓですが、泡が立つ等の理由から、実際に仕込むのは約6,000ℓ程度。純米酒で約20日、大吟醸系で約35日かけて発酵させます。

④上槽
もろみを搾って、清酒と酒粕に分ける機械。酒造りは1年中行いますが、酒粕の販売は冬季のみとなります。
160528 (96)神戸酒心館_上槽室
メインで使われている圧搾機。横から圧力をかけて醪を搾ります。
160528 (95c)神戸酒心館_上槽室
槽[ふね]。醪を酒袋に入れて箱の中に並べ、上から圧力をかけて搾ります。昔は桜などの堅い木でできた槽を使っていました。
大吟醸系は、醪を酒袋にいれて吊り、まったく圧力をかけずに自然にしたたり落ちる酒だけを斗瓶に集める”袋しぼり”も行います。

⑤火入れ・貯蔵
160528 (99)神戸酒心館_貯蔵タンク
奥の大きいタンクには約60℃で加熱殺菌(火入れ)した酒が貯蔵されており、手前の温度調節ができるサーマルタンクには、火入れをしていない生酒が入っています。

★試飲
160528 (104)神戸酒心館_試飲
最後に売店で試飲をさせて頂きました。

<試飲アイテム>
①「福寿 大吟醸」Alc.15度、精米歩合50%。
②「福寿 純米大吟醸」Alc.15度、精米歩合50%
③「福寿 御影蔵 純米」Alc.15度、精米歩合70%
④「福寿 夏辛80」生酒、Alc.15度、精米歩合80%
⑤「福寿 大吟醸」生原酒、Alc.18度、精米歩合50%
⑥「ゆず酒」、Alc.14度、日本酒・ゆず果汁・氷砂糖・醸造アルコール

・①と②の違いはアル添の有無。醸造用アルコールを添加している①は、吟醸香がより華やかに感じられ、純米の②は米のうまみがしっかりと余韻に残りました。
・⑤は②の生原酒。火入れと加水をしていないため、香りも味わいもより力強く印象的。
・③は②と同じ純米でも、香りは穏やか。食事と合わせやいすっきりとした辛口。
・④は2割しか精白していない生酒。心地よい酸味とアフターのキレ。

★世界に認められた「福寿」
(a)ノーベル賞晩餐会に供出
スウェーデンのストックホルムで開かれるノーベル賞の晩餐会や公式行事にて、「福寿 純米吟醸」が2008年、2010年、2012年、2014年、2015年に提供されています。同国のソムリエが輸入されていた福寿を気に入り、推薦してくれたそうです。

(b)世界最優秀ソムリエがコンクールにて選出
第14回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール(2013年、東京)で優勝したパオロ・バッソ氏は、最終決戦の最初の銘柄に(ワインではなく)福寿のSAKEを選びました。

★原料
(a)酒米:山田錦
酒米の王様といわれる山田錦は兵庫県が原産地。同社では、兵庫県北区大沢[おおぞう]地区の農家と特別契約(村米制度)した米を使用しています。山田錦は大粒で、低たんぱく・低脂肪・高でんぷん、吸水率がよい等の利点を備えています。一方で、稲の背が高く倒れやすい、農作業に手間がかかり育てにくい等の苦労が伴う酒米です。
160528 (103)神戸酒心館_酒米サンプル
酒米のサンプル。精米歩合が下がるに従ってサンプルの量も少なくなっていて、とてもわかりやすかったです。
160528 (81c)神戸酒心館山田錦栽培田
売店入口の手前にある”山田錦の栽培田”。この小さな田んぼで、地元の小学生が田植え・稲刈りの体験をしているそうです。今年は田植えが6月中旬、稲刈りが10月中旬を予定しているそうです。

(b)仕込み水:宮水
西宮の宮水地帯(後述)から、酒造に適した水をタンクローリーで運んでくるそうです。

★灘五郷について
”灘の生一本”で知られる兵庫県の日本酒の生産地。以下の5つのエリアから成ります。
(1)西郷[にしごう]:沢の鶴など
(2)御影郷[みかげごう]:白鶴、菊正宗、剣菱、福寿など
(3)魚崎郷[うおざきごう]:櫻正宗、浜福鶴など
(4)西宮郷[にしのみやごう]:白鹿、白鷹、日本盛など
(5)今津郷[いまづごう]:大関など

灘が“日本一の酒どころ”として栄えた理由(同社の案内板『当蔵の歴史と灘五郷』より)
①宮水:西宮の宮水地帯に湧出する水で、他の地方の酒造水に比べ、酵母の増殖に欠かせないリンの成分が約10倍と多く、またアルカリ成分も豊富で、塩分を適度に含み、酒造りに害を及ぼす鉄分が極めて少ないという理想的な水です。
②酒米:六甲山の北側の田園地帯は昼夜の温度差が大きく、粘土質の土壌であり、米づくりに最適の自然条件を備えています。酒米には、大粒で、たんぱく質や脂肪が少なく、また、心白(米粒中央部にある白斑)が大きいうえに吸水や酵素による消化の良さが要求されますが、なかでも「山田錦」は理想の米として、日本一の酒米と言われています。この「山田錦」も灘の酒造家が農家と「村米契約」という制度をつくり育ててきました。
③吉野杉(桶や樽づくり):各地の杉の中でも、吉野杉は香り、材質ともに酒造りには最高のものとされ、大いに利用されました。特に江戸積みの酒は樽に入れられ、富士山を左手に見ながら江戸へ下りましたので、江戸に着く頃には丁度良い木香がつき、「下り酒」、「富士見酒」として大変人気を博しました。
④六甲おろし:酒造りには寒い気候が必要です。六甲山から吹き下ろす六甲おろしの寒気を酒蔵へ取り込む為、酒蔵の設計にも工夫が凝らされています。
⑤杜氏(丹波や但馬杜氏の技術):灘伝承の酒造りの技術が優秀な杜氏や蔵人に継承されていきました。
⑥水車(水車精米):当地は六甲山と海がせまり、川は急な流れで、住吉川や都賀川には沢山の水車小屋がありました。全国で初めて精米に水車による動力を利用しましたので、これまでの足踏みでは八分搗きが限度でしたが、水車では約2割まで精白度を高めることができました。これにより酒の品質が飛躍的に良くなるとともに、大量の精白が可能となりました。(明治の中頃が最盛期で、近辺には水車場が277場、4647臼があったと記されています)。
⑦樽廻船:一大消費地に発展してきた江戸への酒の輸送方法では、灘五郷は沿岸部に位置するため、船積みの便に恵まれました。樽廻船という酒樽専用の船が出現し、積荷量と速さを競って江戸新川へ運ばれました。


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【見学】白鶴酒造資料館(兵庫・東灘) - 昔の酒造り

兵庫県・灘の白鶴酒造資料館を見学しました。2階建ての館内では”昔の酒造り”の様子が再現されています。昨年3月に続く2回目の訪問です。

日時:2016年5月28日(土) 9:40頃~
場所:白鶴酒造資料館(神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5)
内容:自由見学、試飲
料金:無料
URL:http://www.hakutsuru.co.jp/community/shiryo/index.shtml

★アクセス
160528 (2)住吉駅
最寄駅は阪神電鉄の住吉駅です。この日は大阪市内から、阪神電鉄の特急と普通列車を乗り継いで訪れました(梅田駅9:00→9:15西宮駅9:17→9:29住吉駅。運賃300円)。駅から目的地までは約450mです。

★外観
160528 (3)白鶴酒造資料館_本社
白鶴酒造の本社。資料館は同じ敷地内にあります(写真の右下)。

160528 (5)白鶴酒造資料館_外観
資料館の建物は大正初期に建造されたもので、昭和44年3月まで本店壱号蔵として稼働していました。

★昔の酒づくりの工程
館内には昔の酒造りの様子が再現されており、パネル展示も充実していました。
以下は、白鶴資料館のパンフレットや説明書きからの引用・抜粋です。

①洗米:
精白した米を踏桶[ふみおけ]に入れて洗います。半袖シャツにサルマタ、鉢巻姿の二人の若者が素足で踏桶に入り、勇ましい掛け声に合わせて、踏んでは水を流す作業を続けます。

②蒸米:
甑[こしき]を大釜[おおかま]の上に乗せて米を蒸します。甑の底には小さな穴があり、沸騰した釜の蒸気が上がるようになっています。蒸気が勢いを持って昇るまで釜屋は気を許せません。
160528 (8)白鶴酒造資料館_蒸米
<甑取り>甑靴をはき、大分司[おおぶんじ]を手にした”掘手”が、もうもうと蒸気の立つ甑の中に入り、蒸米の取り出しがはじまります。休座[きゅうざ](休台)へ上がった”取手[とりて](補助役)”から、蒸米を受け取った”飯かつぎ”が、急な階段をかけのぼって放冷場へ走ります。掘手と取手、取手から飯かつぎへと、活気に満ちた早朝の流れ作業がすすめられていきます。

160528 (11)白鶴酒造資料館_大釜
<大釜>蒸米用の鉄製釜。約10石(1升びん約1000本)。昭和初期から軽銀大釜と呼ばれるアルミニウム製の釜も使われるようになりました。

160528 (27)白鶴酒造資料館_櫓
<櫓[やぐら]>大釜の上に乗せた甑で米を蒸すと、蒸米から摂氏百度もの蒸気が勢いよく上がります。その蒸気を抜くために、1階から2階天井を突き抜ける櫓が設けられています。

③放冷:
蒸米は添[そえ]、仲[なか]、留[とめ]、酛[もと]・麹[こうじ]用に区分し、それぞれ放冷場で冷やします。飯冷やしにもルールがあり、莚[むしろ]に移した蒸米をまず釜屋が両端から一本筋を描き、2回目に2本、3回目に3本と、冷却を均等に行うため繰り返して行います。

④麹取込み:
麹は室[むろ]という高温・多湿の特別な部屋でつくられます。品質の良い麹菌を均等に繁殖させるために、2~3時間おきに蓋打ち[ふたうち]、仲仕事、仕舞仕事と続け、麹の積み替えを2回行います。
160528 (12)白鶴酒造資料館_
麹室の様子。手前の道具は、左から、「盛枡[もります]」、「麹蓋」、「もやしつぶし(種麹から米粒を取り除く道具。こするように胞子を落とす)」、「もやし振り(もやしつぶしですりつぶされた種麹=もやしを噴霧状に振る道具)」。

160528 (25c)白鶴酒造資料館_麹冷まし
<麹冷まし>約2日間かかって出来上がった麹は品温が約42℃位あるため、莚の上に広げて冷まします。麹は午前零時30分に取り出し、夕方6時頃まで莚の上に広げておきます。添麹[そえこうじ]は午前4時頃取り出し、午後11時まで広げておきます。仲麹・留麹は午前零時頃取り出し、午前7時頃まで留麹は広げておき、仲麹の方は翌朝3時頃まで広げておきます。

⑤酛仕込み:
麹と蒸米を半切[はんぎり]に計り分けます。水は龍の口で調節しながら大半切り[おおはんぎり]に入れ、棒櫂[ぼうかい]でよくかきまぜる「山起こし」を行います。
160528 (29)白鶴酒造資料館_酛摺り
<酛摺り[もとすり]>半切桶に仕込まれた酛(酒母)をすりつぶします。最初は3人、次に2人1組になっておこないます。櫂で撹拌する調子を揃えるため、また、作業の時間を限定するために、地方によって独特の酛摺り唄が歌われていました。

160528 (18)白鶴酒造資料館_半切
<半切桶>半切の名称は、桶を半分に切った形に由来し、用途別に以下の名前が付けられています。
・酛半切:酛の製造に使用。
・水半切:仕込み水に使用。
・洗半切:小道具を洗う時に使用。
・胴半切:雑半切。雑巾など雑物を洗うのに使用。

⑥醪仕込み・醪出し:
醪の仕込みは、原則として添・仲・留の三段仕込。発酵を終えた醪は仕込桶に汲み出し、担桶[にないおけ]で小出桶[こだしおけ]に移します。
160528 (33)白鶴酒造資料館_仕込み
<櫂入れ[かいいれ]>蒸米・麹・水が仕込まれると、4人の若者が桶の上にあがり、発酵調整のための撹拌作業が行われます。作業は声を張り上げて歌いながら行われます。
<大桶>約33石(1升瓶3300本)。醪の仕込みや酒の貯蔵などに使用。
<うどん屋、歩み板、馬>3つを組み合わせて大桶の側に置き、この上で作業しました。うどん屋の名称は夜泣きうどんの屋台に似ていること、馬の名称は側面から見ると二等辺三角形をした四つ足の支台で馬を連想させる形であることに由来。
<大神楽[おおかぐら]>一種の大きなじょうご。大桶にひっかけて醪を汲み出す時に使用。

160528 (41)白鶴酒造資料館_担い桶
<担桶[にないおけ]>約27ℓ(1升瓶約15本)。水・酒・醪などを入れ、天秤棒の両端に担って運びました。
<枝桶[えだおけ]・三尺桶>約7石(1升瓶約700本)。醪を仕込む時に最初から1本の容器に全量を仕込まず、数本の桶に分割して仕込まれました。大きい桶は”親桶”、親桶の側に据えられた小さい桶は”枝桶(小桶・三尺桶)”と呼ばれました。

160528 (20)白鶴酒造資料館_阿弥陀車
<阿弥陀車[あみだぐるま]>手摺り[てすり]から下を覗くと、蔵人2人が直径3mほどある大きな仕込み桶を1階から2階へ上げる作業が見られ、阿弥陀車の下で大桶を受ける蔵人が作業をしています。梁[はり]に取り付けられた阿弥陀車により滑車の原理を利用して、6kl(1升瓶で約3300本)もある大桶(約800㎏)を2階へと上げています。本来1階の天井は閉じられており、必要な時に開閉できる仕組みになっています。狭い蔵を上手に使った先人達の工夫を垣間見ることができます。

⑦上槽:
醪を酒袋[さかぶくろ]に入れ、酒槽[さかぶね]でしぼって酒と粕とに分離します。最初は約千枚の酒袋を荒しぼり、翌日は責槽[せめぶね]に集めてしぼり直します。さらに、一日圧搾して粕を抜きとり、清酒が生まれます。
160528 (65)白鶴酒造資料館_酒槽
<酒槽(槽)>醪の入った酒袋を酒槽に並べ重ねて入れて搾ります。最初の4~6時間は酒袋から酒が自然に流出し、袋の高さも低くなるのでかさ(層枠)を取りはずし圧搾を始めます。一昼夜過ぎると酒の流出量が少なくなり、部分的に搾り切れない箇所ができているので、酒袋を積み替えて強い力でもう一日搾ります(槽直し[ふねなおし])。最初に搾る槽を”揚槽[あげふね]”と呼び、槽直しの後に袋を積み替えて搾る槽は”責槽[せめぶね]”と呼ばれました。
<かばち>酒槽の上縁部の木枠の名称。一般には桜材が多く使用されました。かばちは「框[かまち]」のなまりとされています。
<押蓋[おしぶた]・鬼蓋・大蓋>堅固な木製の大きな蓋。厚板を幾枚も並べてその直角方向に長い角材5~6本を平行に置き、釘止めしたもの。

160528 (48)白鶴酒造資料館_銚子口
<銚子口>酒槽で搾った酒が槽から垂壺に流れ出る部分。
<よだれかけ>銚子口から出る酒を垂壺に導くための用具で、一種の架け橋。銚子口によだれかけのように取り付けるところに由来。
<すいのう>酒槽から流れ出る新酒の中の米粒などを、こし受けるのに使用。

160528 (47c)白鶴酒造資料館_垂壺
<垂壺[たれつぼ]・垂がめ>酒槽の中で搾られた酒は、銚子口から流れ出てこの垂壺に受けられます。

⑧滓引き火入れ:
しぼりたての酒は、白く濁っています。これを、約1週間おいて沈殿させ、上澄みを他の桶へ移す作業が滓引きです。そして、殺菌や熟度香味などの調節のために、酒を釜に入れて約60℃に加熱します。これを火入れ(煮込み)といいます。
160528 (53)白鶴酒造資料館_呑箱
<呑箱[のみばこ]>滓引き用の小道具類(竹呑、雀など)を入れる木箱。

⑨貯蔵:
火入れの終わった酒は囲い桶(貯蔵桶)に入れ、酒の上に浮いている泡をすくい取り、フタをします。この時、フタの上に、重石を10個並べ、桶とフタを密着させ、秋まで貯蔵するのです。

⑩樽詰:
清酒は、厳選された吉野杉の四斗樽に詰め、出荷します。銘柄商標などをいれた藁菰[わらごも]を樽に巻き、とじ縄をかけると菰冠樽[こもかむりだる]のでき上がりです。
160528 (63)白鶴酒造資料館_樽
樽づくりの様子。

★試飲
1階の売店の近くに無料の試飲コーナーがあります。
160528 (68)白鶴酒造資料館_試飲
①「蔵酒 特別純米原酒」Alc.17%、日本酒度+3、酸度1.9、アミノ酸度1.4、兵庫県産山田錦100%使用、1,080円(500ml)
②「本醸造 辛口」Alc.15-16%、白鶴ファーム生産米100%使用、丹波杜氏:小佐光浩氏、1,512円(720ml)

★感想
昔の作業風景の展示が充実していて、機械化される以前の酒造りがいかに過酷で重労働であったかが伺えました。また、昔の酒造道具のバラエティが豊かで、名称の由来なども含めて、とても興味深かったです。

この後は、「福寿」の蔵元、神戸酒心館を訪れました。


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【見学】浜福鶴・吟醸工房(兵庫・東灘) - 〆は濱田屋で角打ち

兵庫県の伊丹、西宮に続いて、灘の浜福鶴[はまふくつる]・吟醸工房を訪れました。

日時:2016年5月24日(火) 16:00頃~
場所:浜福鶴・吟醸工房(兵庫県神戸市東灘区魚崎南町4-4-6)
内容:自由見学(ガイド無し)
料金:無料
URL:http://www.hamafukutsuru.co.jp/kobo/index.html

★アクセス
160524 (255)魚崎駅
最寄り駅は阪神電鉄の魚崎駅[うおざき-]。工場までは約700mです。
魚崎駅から大阪の梅田駅までは、特急で25分(280円)です。

★外観
160524 (197)浜福鶴_外観
吟醸工房は、(株)小山本家酒造[こやまほんけしゅぞう]の灘浜福鶴蔵の中にあります。小山本家酒造は埼玉県さいたま市西区指扇[さしおうぎ]に本社を置く、酒類の製造・販売企業。世界鷹小山家グループ(せかいたかこやまやグループ)の中核企業であり、傘下に北鹿(秋田県大館市)、雪椿酒造(新潟県加茂市)、越後桜酒造(新潟県阿賀野市)、賜杯桜酒造(茨城県取手市)、京姫酒造(京都市伏見区)、浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)を有しています。

★吟醸工房の入口
160524 (198)浜福鶴_吟醸工房入口
2階ではガラス越しに酒造工程を見学できるほか、昔の醸造道具などが展示されています。1階には売店や有料きき酒処などがあります。


★酒造工程(パネルの説明文より転記・抜粋)
①精米
160524 (199c)浜福鶴_稲
酒造好適米とうるち米の稲。

160524 (235c)浜福鶴_酒米
玄米と精白した米のサンプル。醸造用玄米は特上/特等/1等/2等/3等と規格外に区分(農産物検査法による玄米の検査規格)されており、特定名称酒には3等以上が使われます。

②洗米

③浸漬
160524 (207c)浜福鶴_浸漬室
<浸漬タンク:お米を蒸すために白米に水分を吸収させる場所>
高精白米(吟醸米)は吸水時間が短いため、ザルなどの小さな容器を使って、時間を計測しながら浸漬していました。この工程を再現するために、工房では小型の浸漬タンクを使用することで、米の特徴を把握しながら秒単位の吸水が出来るようにしています。室温:10℃、浸漬水温度:10℃。

④蒸米、⑤放冷(冷却)
160524 (209)浜福鶴_蒸米・放冷
蒸米は酒造りの中で重要な位置を占める工程であり、その良し悪しはお酒の発酵に微妙な影響を与えます。昔はコシキ「甑」と呼ばれる桶を大きな釜の上に置いて蒸し上げました。工房では、この基本理念を守りコシキを再現しています(400kg×3段積み)。この段階で技術者は蒸米の香りを判断し、蒸し上げの時間を決定します(青竹の香りが出るまで・・・・蒸し時間約45~65分)。
蒸し上げたお米は冷却され、用途別にそれぞれの工程に移されます(1.麹になるため麹室へ、2.蒸米として発酵タンクへ)。放冷は冷たい外気を使う必要があるため、かつては冬の早朝に行われていました。工房ではその冷気を再現して放冷しています。

⑥麹
160524 (234)浜福鶴_麹室
<麹室:種麹の繁殖工程>
麹造りは酒造工程の中でも、蒸米、酒母造りと並び非常に重要なものです。
麹は米にカビの一種(種麹)を植え付け、湿度と温度を厳しくコントロールした製麹室で繁殖させます。麹は米の液化や糖化に関係するため、その出来は酒の繊細な味わいを大きく左右します。
米に希望通りの麹をうまく繁殖させるため、技術者は約2日間昼夜を通して管理をします。工房では室温や湿度を自動コントロールすることで、深夜の作業をなくしました。大吟醸の場合は小箱(麹蓋)を使用し繁殖させます。工房の中でも、麹造りは昔の工程に近い形で行われています。この麹室だけが昔ながらの杉の木を使用し、木の緩衝性によって湿度をうまくコントロールしているのです。

160524 (236c)浜福鶴_麹蓋
<麹蓋>
麹を製造する際に使用する杉製の箱。1枚で約2kgの麹が製造できます。空の蓋と合わせて使用し、麹から出る熱・水分・炭酸ガスを巧みに調整します。

⑦酒母
160524 (212c)浜福鶴_酒母室
<酒母室:優良酵母の培養工程>
蒸米と麹米、仕込み水(自社井戸水)、さらに発酵をつかさどる当社開発の酵母を使用して培養します。工房ではそれぞれの種類にあった当社開発の酵母を使用し、安定した発酵を行います。酒母造りは、酵母と酒の旨味の成分を育てるための工程で、小さな単位で培養されます。まさに、「酒の母」の字のごとく、優しく大事に育てられるのです。日数:12~15日間、室温:10℃。

⑧醪
160524 (217)浜福鶴_仕込みタンク
<もろみ発酵:微生物による営み>
主発酵の様子は、まさに米と微生物との共演。もろみは活動し発酵が盛んな時には泡が高く上がります。発酵の初期は固形分が多く、やがて米が麹の力によって溶けて高い泡を形成します。米も溶け、アルコール分が多くなってくると、泡も下がり流動性もなくなってきます。1階の出口付近では、タンクに設けた窓からもろみ発酵の様子を見学できます。

<もろみの移り変わり~日数による状態・香りの変化>
(1)筋泡:留後2~3日でもろみの表面にできる数本の筋となった泡。発酵が始まったことを示します。
(2)水泡:留後3~4日でできる石鹸泡のような薄い膜の泡。
(3)岩泡:泡の粘膜度が増し表面が岩のように見える泡。
(4)高泡:発酵が盛んになると、発生する炭酸ガスのため粘りのある細かい泡(高泡)ができ、5~7日間続きます。
(5)落泡:高泡の後期には、泡は大きく軽くなり、かき回すと落ち込みながら消えるようになります(落泡)。この時期、アルコールが12~13%で発酵が最高に達します。
(6)玉泡:落泡の次の玉泡は。状態によって前泡、本泡、絞り玉や地玉などに区別されます。
(7)地:玉泡が次第にしぼんで表面にしわが寄った状態。坊主、チリメン泡、渋皮、厚蓋、飯蓋などに分けられます。

<浜福鶴1700kgの3段仕込み>左から酒母 - 初添 - 仲添 - 留添 - 合計
総米(kg):120 – 270 – 510 – 800 - 1700
蒸米(kg): 80 - 200 - 400 – 680 - 1360
掛米(kg): 35 - 75 – 110 - 120 - 340
水  (L) :130 – 260 – 610 – 1270 - 2270

160524 (218)浜福鶴_もろみ体感コーナー
<もろみ体感コーナー>
ボタンを押すともろみの音と香りが体感できます。香りは勢いよく噴出されるので、体験した人はみな驚いていました。

160524 (214c)浜福鶴_吟醸室
<吟醸室:大吟醸酒と呼ばれる精白50%以下のお米の発酵室>
工房で造られるお酒は、すべて特定名称酒(大吟醸・吟醸・純米吟醸等)。中でも、精白50%以下(玄米を50%まで精米し米の芯のみ残す)のお米を使用して造るお酒を大吟醸と言います。お米の芯を利用するため管理が非常に難しく、かつては手造りでなければ難しいとされていました。そのため工房でも、大吟醸については発酵タンクを別室とし、細かい管理が出来るようにしています。室温:9℃、発酵温度(最高):11℃、発酵日数:20~40日。

⑨圧搾、⑩調合・火入れ
160524 (216)浜福鶴_圧搾室
<圧搾室:お酒と酒粕に分ける工程>
発酵の終了したもろみ(溶けた米と液体とが混和した状態)を、お酒と酒粕に分離する工程。この機械の中には何枚もの濾過板があり、空気の圧力によって搾り上げます。酒粕はこの機械の中に残り、搾られた原酒は貯蔵タンクへ移されます。通常の商品の場合はさらに細かい濾過を行い、火入れと呼ばれる殺菌工程を経て、各タンクに貯蔵されます、

⑪貯蔵、⑫瓶詰め

★水
160524 (241)浜福鶴_魚崎の名水
<魚崎の名水~日本を代表する酒造用の名水>
水は日本酒の80%を占めており、世界の酒の中でも日本酒ほど水を厳しく選ぶ酒はありません。そして酒造用としてひときわ名高いのがこの地の水、即ち「宮水水系」による井戸水で、酵母の栄養源となるミネラル質を多量に含んでおり、最終段階まで活発に発酵が行われるため、コクがありキレの良い酒を醸し出します。
宮水は天保11年(1840年)に発見され、麹菌や酵母菌の増殖を助けるカリウム、リン酸、マグネシウム、カルシウムなどの成分を多く含む反面、鉄分をはじめ酒造りに有害な成分がほとんど含まれていないのが大きな特徴です。

160524 (205c)浜福鶴_六甲の名水
<六甲の名水>
六甲山は花崗岩と風化砂礫で構成された山です。そこに降る雨は地中深く浸み込んで、いくつもの地層をくぐり抜ける際に、自然のミネラルが豊富に蓄えられます。「浜福鶴」で造られる酒は、すべてこの六甲山の伏流水で醸されます。口当たりの良いまろやかな地下水は辛口でコクのある酒を生み出します。

160524 (244)浜福鶴_浜福鶴井戸
<浜福鶴井戸>
かつて洗瓶用水として利用されていた深さ5m、水位2.4mの井戸。平成7年1月17日の阪神大震災による液状化現象で、井戸底が見えないくらい砂が盛り上がってしまいました。砂を引き上げ(井戸替え)て復元していますが、現在は使用されていません。


★昔の酒造道具
160524 (224)浜福鶴_狐桶
<狐・狐桶>上槽に際し、もろみを酒袋に詰めるための小桶。一方が尖って酒袋に詰めやすいようになっていて、狐の顔を連想させるのでこの名があります。

160524 (225c)浜福鶴_担い桶ほか
<にない桶>容器に綱を付け、天秤棒の両端に担って清酒・もろみ・水などを運ぶ桶。
<ぐり枡[ぐります]>水場で水を汲みながら計量する枡の役をする桶。把手は棒に竹筒を通してあり、竹筒が握りとなるため枡自身は自在に動き、水を汲んだとき常に水平に保って水の計量が正確にできるようになっています。
<分司[ぶんじ]>蒸米を甑内から掘出す際に使用するスコップ状の道具。米が蒸し上がった時、検蒸といって蒸米をこねてひねり餅を作り、米の蒸加減を見ます。

160524 (227c)浜福鶴_水樽ほか
<水樽[みずたる]>容量は約2斗(36リットル)。約100年前までの宮水の輸送は、牛車に水樽を積載して行われていました。
<汲掛枠[くみかけわく]>仕込み後、もと卸桶の中央に筒を入れ筒内の蒸米を掘り出します。筒内には液だまりができ、その液を物料にふりかけることにより、麹の酵素と蒸米が接触し、溶解糖化を促進させます。

160524 (231c)浜福鶴_鬼棒ほか
<鬼棒[おにぼう]>山廃酒母の仕込み後、物量が固くてつぶれにくい時につぶして撹拌するための道具。鬼の金棒に似ていることから名付けられました。
<ぼいまわし>木桶を寝かせて桶の外側胴の部分を洗う道具。蔵人の自作で材質は竹と藁。
<汲杓[くみじゃく]>別名、三味線[しゃみせん]。待桶から狐桶にもろみを汲み込む道具。作業は待ち桶の足場の上で行うので、杓を胸元で使う形となり、三味線をひく姿に連想されたもの。


★濱田屋で角打ち
160524 (247)濱田屋外観
吟醸工房からの帰り道、「地酒とワインの濱田屋」さんで浜福鶴を利きました。昨春に続き、2回目の訪問です。

160524 (248)濱田屋空蔵
会計はキャッシュ・オン・デリバリー方式。冷蔵庫の酒を自分でグラスに注ぎ、代金はその都度、支払います。
酒は浜福鶴の『空蔵[くぞう] 純米吟醸 袋吊り 新酒しぼりたて』。兵庫県産山田錦100%、精米歩合60%、アルコール分17度、日本酒度+4、酸度1.6。

160524 (254)濱田屋_酒肴
お手頃価格で酒に合いそうな酒肴の数々。お目当てのおでんは、残念ながら冬季のみの販売でした。

160524 (251)濱田屋
店の奥の角打ちスペース。電子レンジやトースターもあるので、つまみを温めることもできます。

160524 (252c)濱田屋
「空蔵」1杯350円と、酒蔵パン(クリームチーズ)1切れ80円。


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【見学】白鷹集古館(兵庫・西宮) - 白鷹禄水苑の資料館。伊勢神宮の御料酒や宮水の地層断面図などの展示が充実。

兵庫県の銘醸地、伊丹・西宮・灘を巡る旅。
宮水発祥の地に続いて、白鷹の複合施設「白鷹禄水苑[はくたかろくすいえん]」を訪ねました。お目当ては、資料館の「白鷹集古館」です。

日時:2016年5月24日(火) 14:40頃~
場所:白鷹禄水苑(兵庫県西宮市鞍掛町5-1)
内容:自由見学、有料試飲
料金:無料

★アクセス
最寄駅の阪神電鉄・西宮駅から白鷹禄水苑までは約850mです。この日は、約300mほど北東側にある”宮水発祥の地”から歩いて訪れました。

★白鷹禄水苑
160524 (156)白鷹禄水苑_外観
白鷹禄水苑は、白鷹の蔵元・北辰馬家(白鹿の醸造元・辰馬本家の分家)の住居イメージを再現した建物です。敷地内には白鷹集古館(資料館)、売店、蔵BAR 、懐石料亭、茶室、多目的ホールなどがあります。

★白鷹集古館(資料館)
160524 (189)白鷹禄水苑_土蔵
売店・蔵BARを通り抜け、中庭の奥にある土蔵が白鷹集古館です(写真は敷地の外から写したものです)。2階建ての館内には、白鷹の歴史に関する資料や昔の酒造道具などが展示されています。

★伊勢神宮と御料酒[ごりょうしゅ](1階展示室・手前側)
白鷹は伊勢神宮の「御料酒」に選ばれている全国で唯一の銘柄です。”御料”には、①寺社の供物、②天皇や貴人が使用するもの、などの意味があります。
160524 (172c)白鷹禄水苑_伊勢神宮御料酒
伊勢神宮の外宮(げぐう。豊受大神宮=とようけだいじんぐう)では、朝夕の二回(夏は午前8時と午後4時、冬は午前9時と午後3時)、神々にお食事をたてまつる御祭りが行われます。この御祭りを「日別朝夕大御饌祭[ひごとあさゆうおおみけさい]」といい、神様へのお食事を「御饌[みけ、しんせん]」といいます。御饌は御水、御飯、御塩が中心で、その品々は原則として神宮で自給自足されています。御料酒がお供えされるようになったのは大正13年からで、当初より現在に至るまで白鷹の清酒が納められています。

<参考>日毎朝夕大御饌祭の由緒と沿革(伊勢神宮HPより
"外宮の御鎮座に由緒を持つ日別朝夕大御饌祭は、天照大御神にお食事を奉る神事で、外宮鎮座より約1500年間、朝夕の二度行われ、そのお祭りは禰宜[ねぎ]1名、権禰宜[ごんねぎ]1名、宮掌[くじょう]1名、出仕2名によって奉仕されます。
神饌[しんせん]は御飯三盛、鰹節、魚、海草、野菜、果物、御塩、御水、御酒三献と品目が定められ、それに御箸が添えられます。
神饌を調理するのは忌火屋殿[いみびやでん]という建物です。神に奉る神饌は特別におこした火で調理することになっており、その火を清浄な火という意味で忌火と呼んでいます。忌火は神職が古代さながらに火鑚具[ひきりぐ]を用いておこした火でなければなりません。また、御水は外宮神域内にある上御井神社から毎日お汲みしてお供えされます。
早朝、前夜からお籠もりした神職によって神饌が調理され、準備が整うと、忌火屋殿の祓所[はらえど]で辛櫃からひつに納められた神饌を御塩でお清めして御饌殿にお運びします。
神饌は御饌殿の中で天照大御神を始め両宮のご祭神にお供えされ、禰宜が御饌殿の前で祝詞のりとを奏上し、皇室のご安泰、国民が幸福であるようにと、日々祈りが捧げられます。"

★宮水(2階展示室)
灘の酒が「男酒」と呼ばれるのは仕込水が硬水であることに由来します。西宮の一帯に湧き出る酒造に適した硬水は「宮水」とよばれ、灘酒の名声を高める一因となりました。館内には宮水地帯の地層断面図や、地質の実物のサンプルが展示されていました。
160524 (168)白鷹禄水苑_宮水地帯地層断面図
①▲0.0~0.6m 表土(黒褐色)~焼土、その他雑土
②▲0.6~1.0m 粒土を含む砂(暗褐色)
③▲1.0~1.5m 細砂(褐色)
④▲1.5~2.0m 小礫混じり細砂(褐色)~貝殻層 
⑤▲2.0~2.4m 細砂(褐色)
⑥▲2.4~3.0m 粗細砂(褐色)
⑦▲3.0~3.3m 粗砂(褐色)
⑧▲3,3~3.9m 小礫混じり粗砂(暗褐色)
⑨▲3.9~4.0m 赤みを帯びた粗砂
⑩▲4.0~4.2m 粗砂(褐色)
⑪▲4.2~4.6m 細砂(褐色)

★酒米・山田錦(2階展示室)
160524 (161)白鷹禄水苑_酒米 - コピー
兵庫県は酒米の王様・山田錦のふるさとです。特に優良な栽培地域である「特A地区」の地図が展示されていて、とても参考になりました。白鷹を含む灘の酒造会社は、村米制度という一種の栽培契約を農家と結ぶことで、明治期より良質な酒米を安定的に確保しています。

<参考>村米制度(灘酒研究会HP 灘の酒用語集より)
”村米制度とは播州地方の酒米生産地と灘の特定酒造家との間で結ばれる酒米取引制度で、一種の契約栽培である。灘酒が発展した要因のひとつに近接する播州地方(兵庫県南西部)から良質の酒米を大量に入手出来たことがあげられる。
江戸幕府の頃の年貢米制度から明治政府(1868~1911年)による税制に改革されていく過程で米の生産において品質より収量が重要視されるようになった。一方、明治維新による民政の安定で酒の需要が伸び、原料米の確保が益々重要性を帯びてきた。酒造家は良質の酒米生産に前向きな村米地と呼ばれる特定の農村との間で密接な互恵関係を築いていった。
村米地は酒造業者という固定客を持っているものの品質改善を怠ると取引量の減少をまねくため、村全体での一致協力が必須であった。これが灘酒の品質向上に大いに貢献したといえるであろう。米生産地と酒造家との密接な関係は現在でも受け継がれている。”

★杜氏・蔵人(2階展示室)
160524 (163)白鷹禄水苑_杜氏の出身地 - コピー
灘の酒を醸す杜氏の出身地は、圧倒的に丹波地方(現篠山市氷上郡)が多いそうです。丹波杜氏は、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏と並び「日本三大杜氏」のひとつに数えられています(丹波杜氏のかわりに、同じく兵庫県の但馬杜氏を含める考え方もあります)。

★昔の酒造道具、桶と樽(1階展示室・奥側)
160524 (176c)白鷹禄水苑_桶師
1階には昔の酒造道具が展示されていました。写真は「桶師」の作業風景のパネル写真です。初秋に蔵人が蔵入りする前に桶師が先ず蔵に入り、酒道具の竹輪の入れ替えや新調などの整備を行います。
160524 (177)白鷹禄水苑_桶師道具 - コピー
桶師が使用する道具は大工道具と異なり、丸いものを作る工夫がされています。

<参考>桶と樽の違い(館内の説明書きより)
「桶」は”酒造や貯蔵に使われる容器”で、桶師が作ります。通常の桶には”蓋”がなく、必要なときは別に蓋をセットにして使用します。大きなもので30石(約5.5kl)の仕込み桶があります。
「樽」は”販売用の運搬できる容器”で、樽職人が組み立てます。樽には”蓋”が一体となっています。通常は4斗(72ℓ)入りですが、小ぶりのもので2斗(36ℓ)や1斗(18ℓ)のものもあります。昭和の初期までは瓶詰製品より樽詰製品が主流でした。樽の数え方は2樽で1駄と数えます。

★槽場(1階展示室・奥側)
160524 (179)白鷹禄水苑_男柱
醪を搾る酒槽。

★蔵BAR(有料試飲)
売店の近くの蔵BARでは、1ショット200円で利き酒ができます。この日のメニューは、①生酛純米・極旨口、②生酛純米・味吟醸、③袋しぼり純米大吟醸・清味緑酒[せいみりょくしゅ]の3種でした。
160524 (186)白鷹禄水苑_有料試飲
③の「清味緑酒 禄水苑壱号仕込み 生酛純米大吟醸 袋しぼり」(Alc.16度以上17度未満)を試飲しました。原料米には兵庫県吉川町特A地区産の山田錦が100%使用されています。(参考:ラベルの説明書き)「丹念に灘本流の手造りで醸した禄水苑壱号仕込み。生酛ならではの酸のしっかりとしたコクとふくよかな味わいは「酒の旨さ」の真髄です。みずみずしくも芳醇な味わいとキレの良いのどごし、10~13℃程度の冷温で柔らかな旨味のあるお料理と。」

★工場
160524 (190)白鷹工場
道路を1本挟んで北側の敷地には、白鷹の工場があります。

★アンリ・シャルパンティエ酒蔵通り店
160524 (157)アンリ・シャルパンティエ - コピー
白鷹禄水苑のはす向かいには、アンリ・シャルパンティエ酒蔵通り店があります。店内にはおしゃれなカフェがあり、ガラス越しに洋菓子の製造工程を見学できるそうです。

この後は、西宮駅から阪神電鉄で魚崎駅に向かい、浜福鶴の吟醸工房を見学しました(西宮駅15:47→魚崎駅15:58。運賃190円)。

(初稿)2016.10.15

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【見学】宮水発祥の地(兵庫・西宮) - 六甲山系の軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙。灘酒の名声を高めた名水が湧き出る地。

兵庫県の銘醸地、伊丹・西宮・灘を巡る旅。
この日は伊丹の長寿蔵ミュージアムに続いて、灘酒の名声を高めた”宮水[みやみず]”の発祥地を訪ねました。

日時:2016年5月24日(火) 14:00頃~
場所:宮水発祥の地(兵庫県西宮市久保町4−6。酒造会館の近く)
内容:自由見学
料金:無料

★アクセス
160524 (133)阪急今津線_今津駅
宮水発祥の地の最寄駅は阪神電鉄の西宮駅(目的地まで約800m)ですが、この日は阪急今津線の今津駅から歩きました。目的地までは"酒蔵通りレンガ館"を経由して約1.5kmです。伊丹駅から今津駅までは阪急電鉄で約25分、運賃は220円でした(伊丹駅13:25→13:31塚口駅13:34→13:39西宮北口駅13:45→13:48今津駅)。

160524 (137)日本盛_赤レンガ館
日本盛の”酒蔵通りレンガ館”。この日は定休日でした。

★宮水発祥の地
160524 (150)宮水発祥の地_遠景
”宮水発祥の地”は、西宮酒造家十日会酒造会館(酒造会館)の近くにあります。正面の道路を挟んで左側が酒造会館、右側が宮水発祥の地です。

160524 (147c)宮水発祥の地_全景
敷地内には、宮水発祥の井戸(櫻正宗の旧・梅の木蔵の井戸)と石碑があります。

160524 (148c)宮水発祥の地_石碑
宮水発祥の地の石碑。

160524 (149c)宮水発祥の地_梅の木井戸
”梅の木井戸”は、石碑の右側手前にあります。

★各酒造メーカーの宮水井戸(5/28再訪分を追加)
宮水発祥の地から1ブロック東側の、石在町[いしざいちょう]交差点の南側の通りには、灘の酒造会社が宮水を汲み上げる井戸(宮水井戸)が集中しています。星野珈琲店・西宮店の近くです。
160528 (252)星野珈琲西宮店
星野珈琲店・西宮店。

(a)国道43号線沿い(石在町交差点のやや西側)
160524 (141)宮水_沢の鶴
”沢の鶴”の宮水井戸。

(b)石在町交差点~星野珈琲店の北側
160528 (255)菊正宗_宮水井戸
160528 (256)菊正宗_宮水井戸
”菊正宗”の宮水井戸。

160524 (143)宮水_日本盛
”日本盛”の第三宮水井戸場。

160528 (236c)大関_宮水井戸
”大関”の宮水井戸場。

160524 (146c)宮水_白鹿
”白鹿”の宮水井戸。敷地内には、”はね釣瓶[つるべ]”が野外展示されています。星野珈琲店の南側にも別の宮水井戸があります。

(c)星野珈琲店の南側
160528 (234c)櫻正宗_宮水井戸
”櫻正宗”の宮水井戸。

160528 (233)灘自慢_美亜水井戸
”灘自慢”の宮水井戸。

160528 (232)白鹿_宮水井戸(南)
”白鹿”の宮水井戸。

★宮水とは
兵庫県・西宮市の海岸付近の一帯だけ(約500m四方)に湧き出る酒造用に適した水を「宮水」(”西宮の水”の略)といいます。宮水は環境庁の名水百選にも選ばれています。「播州米[ばんしゅうまい]に宮水、丹波杜氏に六甲颪[ろっこうおろし]、男酒の灘の生一本」と言及されるよう、灘の酒の名声を高める一因となりました。

<宮水の発見>
灘の老舗酒蔵「櫻正宗」の6代目当主・山邑太左衛門[やまむらたざえもん]が、天保11年(1840)頃に宮水を発見したといわれています。当時の櫻正宗は魚崎と西宮の両蔵で酒造りを行っていましたが、常に西宮の酒の出来が良かったそうです。不思議に思った太左衛門は、同じ米を使ったり、蔵人を入れ替えたりしてみたそうですが、結果は変わりませんでした。そこで、西宮の水(梅の木蔵の井戸水)を魚崎に運んで酒を仕込んだところ、ようやく西宮と同等の良い酒ができたため、その原因が“西宮の水”にあると結論づけました。
それ以降、灘の酒蔵は競ってこの地の水(宮水)を使うようになりました。しかし、井戸を掘っても同じ水脈に当たるとは限らなかったため、同じ味の水を掘り当てた地域の農民らが宮水を売る商売(水屋)がうまれたそうです。

<宮水の成分>
宮水は酵母菌の栄養となるミネラル分を多く含む”硬水”で、リンの含有量は一般の酒造用水の約10倍もあります。一方で、酒色の濁りや不快な香りのもととなる鉄分は極めて少ないため、酒造に非常に適した水といわれています。
宮水は3つの伏流水が混じり合って生まれます。東からの“法安寺伏流”と北からの“札場筋[ふだばすじ]伏流”は、かつて海だった地層を通るため、海が持つ栄養(リン、カリウム、塩分など)をたっぷり含みます。一方で、西からの“戎[えびす]伏流”は六甲山からの傾斜で流れが速く、酸素を多く含むため、酒造の敵である鉄分を除去(酸素と結合して酸化鉄を形成)します。

<宮水の危機と保全>
宮水地帯の井戸の水面は地表からわずか2~3mで、海水面とほぼ同じです。従って海水浸透の影響を受けやすく、過去に2度、宮水地帯が大きく縮小(塩素の含有量が激増)する危機が発生しています。
[第1の危機]明治末~大正:西宮港修築工事のため、海水が浸透。「第1次宮水撤収地帯」で発生。
[第2の危機]昭和9年秋:室戸台風が直撃し、高潮で宮水地帯が浸水。「第2次宮水撤収地帯」で発生。
また、揚水量増加により、宮水地帯の家庭用の井戸水が枯渇したこともありました。酒造家は上下水道を全町に寄付することで、宮水を守りました(大正13年)。
酒造会社や市は「宮水保存調査会」を結成し、建物などを建設する際は井戸に影響が出ないよう、建設会社などと協議をしています。ある大規模マンションの工事では、酒の仕込みの時期を避け、地下駐車場の位置を変更して影響を食い止めたそうです。 
160528 (131c)白鹿酒造稈_宮水地帯地図
斜線部分が宮水撤収地帯(橙:第1次、青:第2次)。黒は第3次宮水地帯。赤い点線は大昔の海岸線(推定)を表します(白鹿記念酒造資料館のパネルより)。

★感想など
”男酒”として有名な灘の酒を特徴づける名水が、わずか500m四方の区画にしか湧き出ないことにとても驚きました。また、六甲山系のまろやかな軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙、さらに、その水質の違いを利き分ける造り手の技量と、良酒を極めようとする情熱に、深い感銘を受けました。

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【見学】旧岡田家住宅(兵庫・伊丹) - 「丹醸」で有名な江戸時代の銘醸地に現存する日本最古の酒蔵

江戸時代に銘醸地として栄えた兵庫県の伊丹にある旧岡田家住宅[きゅうおかだけじゅうたく]を見学しました。現存する酒蔵(築年代が確実なもの)としては日本最古といわれています。


日時:2016年5月24日(火) 11:00頃~
場所:旧岡田家住宅(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-28)
内容:自由見学(ガイド無し)
料金:無料


★アクセス
160524 (3)阪急伊丹駅
旧岡田家住宅は、阪急電鉄の伊丹駅とJR線の伊丹駅のほぼ中間にあります。駅から目的地までは約650m。この日は大阪市内から阪急電鉄で訪れました(梅田駅10:31→10:43塚口駅10:46→10:52伊丹駅、運賃220円)。


★建物の構造
160524 (35)旧岡田家酒蔵_外観
建物の内部は、「旧店舗」と「旧酒蔵」に分かれており、その間に「釜屋と洗い場」があります。旧酒蔵は大手柄酒造[おおてがら-]の北蔵として、昭和59年まで酒造りが行われていました。現在は昔の醸造道具などが展示されているほか、多目的ホール(150人収容)として利用されています。


★歴史
160524 (36)旧岡田家酒蔵_看板
店舗部分が建てられたのは江戸時代の延宝2年(1674年)。酒蔵部分は少し遅れて正徳5年(1715年)に増築されています。建立者は酒造家の松屋与兵衛氏とされており、岡田家の岡田正造氏は明治33年(1900年)に所有者となっています(現在の所有者は伊丹市)。1992年に旧店舗と旧酒蔵が国の重要文化財に指定(釜屋と洗い場は附指定)され、1995年からの解体修理を経て、2001年から一般公開されています。

160524 (34)旧岡田家酒蔵_菰樽2
江戸時代には『松緑[まつみどり]』、岡田家の所有になってからは『富貴長[ふきちょう]』や『大手柄』などの酒が造られていました。


★旧店舗
160524 (7)旧岡田家酒蔵_旧店舗
旧店舗部分の「店の間」。タンスやあんどんなどが展示されています。


★釜屋と洗い場
160524 (8)旧岡田家酒蔵_釜屋と洗い場
店舗と酒蔵の間にある釜屋と洗い場。
160524 (9)旧岡田家酒蔵_カマド
大小2基のカマドは、昭和59年の酒蔵廃業時まで使われていたそうです。当初は石を積んだ上に粘土を貼っていましたが、明治期にレンガ製に作り替えられました。燃料を補給する焚き口は、階段を降りた地下にあります。煙道は蓋が付いたトンネル状になっていましたが、現在は取り除かれています。


★旧酒蔵
<酒槽[さかふね]とカサ>
160524 (16)旧岡田家酒蔵_酒槽
近くにある小西酒造の万歳蔵に保管されていた酒槽とカサ(大正13年12月に購入)。酒漏れを防ぐために、酒槽の板材の合わせ目には、槙[まき]や檜の内皮の繊維(槙縄)が詰められています。このように酒槽の製作に”造船の技術”が用いられることがあったそうです。
【酒槽】全長300㎝、高さ112㎝、幅87㎝、厚み8㎝
【カサ】全長298㎝、高さ51㎝、幅78㎝、厚み3㎝

160524 (15)旧岡田家酒蔵_酒袋の積み方
酒槽は、発酵が完了した醪を新酒と酒粕に分離する道具。酒槽にカサを乗せ、醪を入れた酒袋を酒槽内に積み上げると、自重によって酒袋から自然に酒が流れ出します。酒袋の高さが低くなったらカサを取り外し、大蓋(押蓋)を乗せて圧搾を始めます。
酒袋の積み方には「揚槽[あげふね]」と「攻槽(責槽) [せめふね]」があり、はじめは揚槽に酒袋を入れて搾り、一昼夜を経過した後に攻槽に積み替えて、さらに強く搾ります。

<酒搾り遺構(男柱)>
160524 (19c)旧岡田家酒蔵_酒搾り遺構
酒蔵ができた頃に造られたと考えられている搾り場の遺構。この酒蔵で発掘された3つの酒搾りの遺構のうちもっとも古いものです。
160524 (13)旧岡田家酒蔵_酒搾り遺構_男柱
写真右側の太い柱が男柱。搾り場が使われなくなった時に、地下部分を残して切断されています。男柱が腐らず、地下の構造が良く残っていたため、保存処理を行って公開されることになりました。
160524 (12)旧岡田家酒蔵_ 酒搾り遺構(説明図)
醪を渋袋に入れて酒槽[さかふね]の中に積み、その上に桟木[さんぎ]、台、マクラを置きます。男柱の上部に差し込んだハネ棒に”掛かり石”をぶら下げて”テコの原理”で搾ると、酒槽の底の”垂れ口”から酒が流れ出て、垂壺[たれつぼ]に溜まります。周囲の大きな石は、男柱が浮かないためのオモシ。

<松材を使用した男柱>
160524 (18)旧岡田家酒蔵_男柱(老松酒造)
伊丹3丁目にあった老松酒造(現・伊丹老松酒造)の酒蔵跡から平成16年6月に発掘されたもの。酒造りが盛んだった江戸時代後期の所産だそうです。
160524 (128)老松酒造
現在の伊丹老松酒造の外観(兵庫県伊丹市中央3-1-8)。


【参考1】現在の清酒醸造法を確立した近世の日本酒製造遺産群
160524旧岡田家住宅(近代化産業遺産群資料より)
平成19年に経済産業省が公表した「近代化産業遺産群33」において、灘・伏見の複数の酒造関連施設が「28.日本酒製造業の近代化を牽引した灘・伏見の醸造業の歩みを物語る近代化産業遺産群」として認定されました。残念ながら伊丹の施設はこの中に含まれていませんが、同省が作成した資料の中で、旧岡田家住宅を含む伊丹の酒造りの重要性について言及されています。


【参考2】清酒発祥の地
伊丹は、関西に2つある「清酒発祥の地」のひとつに数えられています(もうひとつは、奈良県の正暦寺)。伊丹市の鴻池には、清酒発祥の地であることを示す「鴻池稲荷祠碑」が建てられています。


この後は、小西酒造の白雪ブルワリービレッジ長寿蔵ミュージアム(旧岡田屋住宅から約150m)を見学し、阪急電車を乗り継いで灘の宮水発祥の地(西宮市)を訪れました。


(初稿)2017.8.20

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ジャンル : グルメ

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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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