FC2ブログ

【見学】北の誉酒造・酒泉館(北海道・小樽) - 酒造史のわかりやすい展示。杜氏のルーツは女性(刀自)だった!?

田中酒造の亀甲蔵に続き、北の誉酒造の酒泉館を見学しました。
こじんまりした施設ですが、日本の酒造の歴史に関するパネル展示がとてもわかりやすかったです。

《追記》
北の誉酒造は創業以来、小樽市で醸造を行っていましたが、2015年に醸造工場が廃止され、グループ会社の合同酒精旭川工場に一本化されています。

日時:2015年4月22日(水) 12:00頃~
場所:北の誉酒造酒泉館(北海道小樽市奥沢1-21-15)
内容:自由見学(ガイド無し)
料金:無料

★アクセス
150422c_南小樽駅
最寄り駅はJR函館本線の南小樽駅。駅から目的地までは約1.0kmです。
150422北の誉酒造酒泉館 (1)遠景
この日は、線路を挟んで反対側にある田中酒造亀甲蔵から約1.1kmの道のりを歩いて訪れました。

★北の誉酒造について
150422北の誉酒造酒泉館 (15)外観
創業は1901年で、2007年に合同酒精を母体とするオエノンホールディングスの傘下に入っています。
主要銘柄は「北の誉」。仕込み水としている小樽の「雪清水[ゆきしみず]」は、冬の降雪が地下水となったもので、年間を通して水温が低く、酒造に適した成分を含んでいます。その昔、船乗りたちが「水は東の小樽」と讃えたほどの名水だそうです。
杜氏は岩手県の南部杜氏がつとめているそうです。

追記(展示パネルより):平安時代の書物『延喜式[えんぎしき]』(後述)によると、宮中の酒造司(注:他所では”造酒司[みきのつかさ]”)における酒造り役はトネリメすなわち“刀自[とうじ]”と呼ばれる女性たちだったそうです。辞書によると、刀自は“老母または婦人。家事一般を仕切る主婦”を意味し、杜氏という呼び名は刀自に由来するそうです。

★酒泉館
150422北の誉酒造酒泉館 (2)外観
工場の敷地内に、酒造りの歴史や昔の酒造道具などを展示している酒ミュージアム”酒泉館”があります。工場見学もできますが、この日は予約が取れませんでした...

★日本の酒造りの歴史
パネルの説明がとてもわかりやすかったです。以下はその要約です。

◆パネル1(起源、口嚼酒、奈良時代)
150422北の誉酒造酒泉館 (3)パネル1
【日本の酒のはじまり】
日本で米を原料とする酒造りが始まった時期は不明ですが、稲作の伝来とともに大陸から酒造りの手法も伝えられたと考えられています(弥生時代の頃。今から2千数百年前)。
3世紀に中国で編纂された『魏志』倭人伝には、「人性酒を嗜む」、「歌舞飲酒す」などと記されており、当時の日本にすでに飲酒の習慣があったことがうかがえます。これが、日本の酒についてのはじめての記述と考えられています。

【卑弥呼も飲んだ口嚼酒[くちかみのさけ]】
初めの酒造りは、『古事記』に記載がある「口嚼酒」か、八岐大蛇が飲んだ「八塩折の酒[やしおりのさけ]」とされています。
「口嚼酒」は、炊いた米を口でかんで壺などにためて造った酒です(唾液中の糖化酵素がデンプンをブドウ糖にかえ、空気中の酵母が侵入してアルコール発酵を起こします)。
「八塩折の酒」は、仕込み(熟成したもろみをいったん濾過して、さらにその酒に米麹と粥を仕込んで発酵させること)を何度も繰り返して造られた“濃い酒”のことです。

【麹による酒造法が普及した奈良時代】
奈良時代には“麹の利用による酒造り”が唐から伝えられましたが、日本では米麹による方法に改良して独自の酒造りが始められました。また、朝廷のための酒造りを行う「酒造司」という役所が設けられ、酒造の技術が一段と進みました。

◆パネル2(延喜式、酒神)
150422北の誉酒造酒泉館 (4)パネル2
【昔の酒造法を記録した『延喜式』】
平安時代に記された『延喜式』には、“米”、“麹”、“水”で酒を仕込む方法や、さらに十種類ほどの酒造方法、原料の仕込み配合、酒造道具等の記載があります。また、“酒は神の物”で宗教儀礼につながるものであり、宮中の人たちが楽しむためだけのものではないことが記されています。
『延喜式』:醍醐天皇の時代(延喜5年(905年))から22年かけてまとめあげられた書物。当時の宮廷や役所で行われていた行事、慣習の事務規定で、律令制の百科事典のようなもの。

【酒造りの神々】
酒の原料となる穀物はその地の主食であり、農耕によってもたらされるため、酒は“農耕の神々と深いかかわり”を持っています。食べ物は天(神)からの授かりものなので、年の始めには豊穣を祈り、秋には収穫物を酒とともに奉納する祭事が行われました。酒造技術が発達した現代でも、酒蔵には酒神が奉られています。
パネルには、『古事記』より引用した“酒神の系譜”が記されていました。

◆パネル3(杉玉、寺院での酒造、戦国時代)
【杉玉って知っています?】
杉玉は、30~60㎝の長さの杉の葉を束ねてほうき状や球状にしたもので、戸口に立てかけたり軒先に吊り下げたりします。江戸時代の末頃までは一般にも見られた風習だったそうです(酒蔵だけではなかったんだ…)。奈良の大神神社の御神木である三輪山の杉の葉でつくられた杉玉は“酒林”とも呼ばれ、造り酒屋のシンボルでした。

【寺院での酒造り】
武士が権力を手にした鎌倉・室町時代は、質素や礼節を旨とする気風は守られながらも都市化が進み、商業が発達しました。酒の流通が盛んになり、朝廷の組織による酒造にかわって、寺院や神社が酒を造るようになり、京都を中心に酒造が盛んになりました。中世末期から戦国時代にかけて醸造・販売された「僧坊酒」は、もともとは神々に奉納する酒を醸したことから始まります。中世の寺院は荘園からの貢納米、寺院内の湧き水や井戸、広大な僧坊があったことから、酒造りの条件が整っていました。そして美味しい酒との評判がたち、酒造量も増えていったそうです。

【現在の清酒造りの原型は戦国時代に】
14世紀中頃から15世紀後期の酒造方法が記されている『御酒之日記[ごしゅのにっき]』には、今でいう「段仕込み(麹と蒸米と水を2回に分けて加える方法)」や、乳酸発酵の応用、木灰の使用などについての記載があります。
また15世紀後期から17世紀前期に書き継がれた『多聞院日記[たもんいんにっき]』には、奈良で“十石入りの酒桶”が使われたことや、はじめて“火入れ(殺菌)”を行ったこと、“諸白[もろはく]”仕込み(蒸米も麹も白米だけを使用)が行われたことが記されています。この時代は清酒が飛躍的に美味しくなり、現在の清酒の原型が完成されました。また、酒造りは寺院から地方酒屋へと移っていきました。

◆パネル4(杉桶、江戸時代、下り酒)
150422北の誉酒造酒泉館 (6)パネル4
【酒造りの桶は杉】
酒造りに桶や樽を使うようになったのは16世紀になってからで、それまでは陶器の壺などが使われていました。大桶を作る工具(大ノコや鉋[かんな]など)が伝来したのは15世紀です。ほとんどの酒造用の桶類に杉材が使われていた理由は、杉が国内のいたるところにあり、柾目[まさめ]で工作しやすく、香りも良かったためです。

【お酒が生活に溶け込んだ江戸時代】
徳川幕府が全国統一を果たし、世の中が安定した江戸時代には経済・文化が次第に発展していきました。江戸初期までの酒造りは“年に5回”仕込まれていました(新酒、間酒、寒前酒、寒酒、春酒)が、次第に冬場の“寒づくり”が重要視されるようになりました(低温・長期発酵に適しており、優れた酒造技術者も確保しやすかったため)。また、保存性を高めるための火入れ法や、香りをととのえ酸化や腐敗を防ぐための技術が開発されました。

【江戸の下り酒】
江戸の街には、上方の大阪を中心とした関西から色々な品物が入ってきました。当時は伊丹や池田の酒の評判が高く、上方から運ばれるものは「江戸の下り酒」と呼ばれました。一方で、江戸に下らない酒は価値がなくつまらないものであったことから、「くだらない」という言葉が生まれました。

◆パネル5(近代、酒造地の拡大)
【近代清酒のあゆみ】
明治時代には国立の醸造試験所が開設され、酒造の化学理論が広められました。それまで“生酛造り”だけであった酒母造りが、明治40年代には“山廃酛”や“速醸酛”が開発され、作業が省力化されました。昭和に入ると、温度や微生物の管理がしやすい"ホーロータンク”が登場し、酵母の採取・分離・純粋培養といった技術の革新がなされました。酒造の近代化・効率化に必要な計器機器類は昭和10年ごろまでにほぼ出揃ったと言われています。

【北へ向かう銘醸地】
酒が一般庶民の楽しみとなった江戸時代に酒造地として栄えた京都・伊丹・灘などは、周りに米の生産地と良質な水があり、消費地が近くにあるか船による積出しができる地域でした。後に、酒造技術や輸送の便が向上するにつれて、酒造地は米どころの東北地方や北陸地方、良質な水がある北海道など、日本各地に広がりました。


★昔の酒造道具
館内には、昔の酒造道具も展示されていました。

150422北の誉酒造酒泉館 (10)麹蓋
<麹蓋>杉の木で作られた麹蓋。床もみ・切り返しの後、盛り枡で麹の量を計り麹蓋に入れます。昭和30年代まで使われており、現代も一部でほぼ同じものが使われています。

150422北の誉酒造酒泉館 (11)ぶんじ
<ぶんじ>麹室の床に積み上がった蒸米を切り崩して種もやしを散布するときや、切り返し作業の際に固まった蒸米の山を崩すときなどに使われていました。

150422北の誉酒造酒泉館 (14)試桶、かきよせ
<かきよせ>麹室および出麹で使用。麹枡に”かき桶”で入れる麹を寄せ集めるときや、麹米を麹蓋に分け入れるとき、盛り枡の手許に寄せるときに使われていました。
<試桶[ためおけ]>水・湯・浸漬米・蒸米・酛・醪・清酒等を入れ、握り手をつかんで持ったり、肩の上に乗せて片手で底を支えたりして運びました。昭和30年代まで使われていました。

150422北の誉酒造酒泉館 (12)かき桶、汲杓など
<汲杓[くみしゃく]>木桶の汲み出しのときや、上槽の際にもろみを酒袋に入れるときなどに使用。昭和20年代まで使われていました。
<かき桶>麹枡に入れるときに集めた麹をすくい取る際に使用。昭和30年代まで使われていました。
<汲みだめ>醪を大桶に移す時や、酛を汲み出すときに使用。
<かすり>桶洗い・醪出しの際、桶に残った少量の水で醪をすくい取るのに使用。昭和10年代まで使われていました。


150422北の誉酒造酒泉館 (9)暖樽
<暖樽[だきだる]>酒母の温度を調節する為に、中に熱湯を入れて使用。昭和30年代頃までは杉の木で造られたものが使われ、現在はステンレス製のものが使用されています。


この後は、札幌市内に向かい、”千歳鶴 酒ミュージアム”と”サッポロビール博物館”を見学しました。


[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから
スポンサーサイト



テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

【見学】田中酒造亀甲蔵(北海道・小樽) - 北海道産米100%で造る「宝川」の蔵元

北海道の地酒づくりにこだわる田中酒造の亀甲蔵を見学しました。

日時:2015年4月22日(水) 10:45頃~
場所:田中酒造・亀甲蔵(北海道小樽市信香町2−2)
内容:自由見学、試飲(ガイド無し)
料金:無料

★アクセス
150422c_南小樽駅
最寄り駅はJR函館本線の南小樽駅。駅から目的地までは約600mです。
この日は、小樽運河近くのホテルから徒歩で向かいました。
150422_ルタオ本店
亀甲蔵から850mのところにはドゥーヴブルフロマージュ(チーズケーキ)で有名なルタオ本店があります。

★田中酒造について
150422田中酒造 _外観
田中酒造は明治32年(1899年)に、初代・田中市太郎が創業しました。現当主は4代目。代表銘柄は「寶川(宝川)[たからがわ]」です。亀甲蔵は明治38年頃(1905年頃)に建てられた石倉倉庫群で、昭和2年(1927年)築の木造2階建ての本店店舗とあわせて、小樽の歴史的建造物に指定されています。
150422田中酒造 (35)入口付近
端午の節句が近かったので、蔵内には鯉のぼりが飾られていました。

★製造場の見学
蔵内では、主に2階の廊下から製造場を見学することができます。
ガイドはありませんが、パンフレットに製造工程と見どころがわかりやすく記載されていました。

①精米:
150422田中酒造 ①精米_とうみ
通常の食用米は表面を10%ほど削りますが、酒造りの米は30-60%も削ります。田中酒造では精米機を保有しており、自社で原料処理をしています。写真は穀物からもみ殻やごみを取り除く昔の農具(唐箕[とうみ])です。

②洗米:
150422田中酒造 ②洗米装置
精米した米を水で洗い、適度に水を吸わせます。

③蒸米:
150422田中酒造 ③蒸米_甑 (1)
蒸した米は、麹・酒母・醪に使います。写真は米を蒸す機械の甑[こしき]がある見学箇所です。
150422田中酒造 ③蒸米_甑 (2)
甑の上部のカバー(?)。

④麹:
150422田中酒造④麹 (1)麹室
麹菌の酵素により、米のデンプンを糖分に分解します。高温多湿の麹室[こうじむろ]で、丸2日かけて麹が造られます。微生物がつくるガスが充満するため、入口のドアには「酸欠注意」の注意書きが貼られています。

<麹のサンプル>
150422田中酒造④麹 (2)サンプル
150422田中酒造④麹 (3)サンプル
・盛り(約20-24時間後):米の固まりをほぐして箱に盛り分けます。
・仲仕事(約28-32時間後):蒸米を混ぜ合わせて広げ、掛布をかけます。
・出麹(約44-48時間後):麹を室の外に出して冷却します。

⓹酒母:
150422田中酒造⓹酒母
約10日間かけて酵母を培養し酒母を造ります。写真は純米吟醸「びほろ」の4日目の酒母。「びほろ」は美幌町の依頼により田中酒造が美幌町産米の”ななつぼし”を使用して醸すお酒です。酵母は”きょうかい901号”です。

⑥醪
150422田中酒造⑥仕込み
酒母に麹・蒸米・水を3回に分けて仕込みます(三段仕込み)。醪は10℃前後で、約30日間かけて、ゆっくり発酵させます。

⑦上槽
150422田中酒造 ⑦上槽_圧搾機 (1)
150422田中酒造 ⑦上槽_圧搾機 (2)
発酵が終わった醪を圧搾機でしぼり、酒と酒粕に分けます。

⑧貯蔵、⑨ビン詰め、⑩出荷
150422田中酒造 ⑧貯蔵タンク
しぼった酒は、通常は加熱殺菌(火入れ)をした後に貯蔵タンクで熟成させます。熟成が終わると瓶詰めされ、ラベルが貼られて出荷されます。

★クイズ
150422田中酒造 (17)
蔵内にはクイズ・コーナー(?)もあり、ポイントを楽しく学べました。田中酒造では酒造りを(冬の間だけではなく)1年中行っています。

★試飲:
150422田中酒造 _試飲 (1)
150422田中酒造 _試飲 (4)大吟醸_寶川
見学の後は、1階の売店にある試飲コーナーで利き酒をさせて頂きました。

<試飲アイテム>
・「亀甲蔵」純米吟醸酒、蔵限定酒、北海道虻田郡ニセコ町産"彗星"100%、精米歩合60%、Alc.17%、日本酒度+1.0
・「宝川 しぼりたて生原酒」純米酒、北海道虻田郡ニセコ町産"彗星"100%、精米歩合60%、Alc.17%、日本酒度+1.0
・「宝川」大吟醸酒、100%北海道虻田郡ニセコ町産"彗星"100%、精米歩合50%、Alc.15%、日本酒度+5.0
・「おたる春香」純米吟醸酒、北海道産"彗星"100%、精米歩合60%、Alc.15%、日本酒度+5.0

★売店:
150422田中酒造 _かぼちゃ焼酎
売店では日本酒のほかに、北海道産の原料を使った焼酎や、菩提樹の花の天然ハチミツを使ったワイン(ミード)なども売られていました。写真は「みやこっ酎」。札幌市西部の手稲山[ていねやま]裾野の砂質土で育成した”大浜みやこカボチャ”で仕込んだ本格焼酎です。米麹は100%北海道産米使用、Alc.25%、JAさっぽろ果実部会企画、税込1,620円/720ml。

★原料
(a)酒米
田中酒造では現在、100%北海道産の酒造好適米を使用しています(”吟風[ぎんぷう]”、”彗星”など)。平成10年に北海道の酒造好適米が開発されて以来、同社では農家と協力して”北海道らしい地酒造り”を追求しているそうです。

(b)仕込水
150422田中酒造 _仕込水 (1)
亀甲蔵では地下約70mからくみ上げた小樽天狗山の伏流水を仕込み水として使用しています。
150422田中酒造 _仕込水 (2)
亀甲蔵の敷地内で、仕込水の試飲もできます。

この後は、同じく南小樽にある北の誉酒造・酒泉館を経由して札幌市へ向かいました。

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

【見学】鳴海醸造店(青森・黒石) - 津軽のローカル線・弘南鉄道に乗って「菊乃井」の蔵元へ

津軽のローカル線・弘南鉄道弘南線に乗って江戸時代の面影を残すまち黒石へ。
中村亀吉酒造店に続き、「菊乃井」の蔵元の鳴海醸造店を訪ねました。

日時:2015年4月18日(土) 15:20頃~
場所:鳴海醸造店(青森県黒石市中町1−1 )
内容:自由見学、試飲
料金:無料

★アクセス
150418 (68)弘南鉄道_弘前駅
最寄駅は弘南鉄道弘南線の黒石駅。弘前駅14:30→黒石駅14:59の列車に乗って目的地へ向かいました。運賃は片道460円です。
150418 (72)弘南鉄道_田んぼアート
黒石駅の3つ手前の”田んぼアート駅”。様々な色の稲を植えて田んぼに巨大な絵を描く”田んぼアート”の第2会場の最寄駅です。この駅は12月1日から3月31日までの冬期間は列車が通過します。
150418 (74)弘南鉄道_さかいまつ
黒石駅の1つ手前の”境松駅”。
150418 (152)黒石駅
終着駅の黒石駅に到着。駅から酒蔵までは約1kmです。

★中町こみせ通り
150418 (83)中村亀吉酒造店_こみせ通り
酒蔵は”日本の道百選”にも選ばれている”中町こみせ通り”沿いにあります。道路の向こう側の建物は日本一と言われる酒林のある中村亀吉酒造店です。
150418 (84)中村亀吉酒造店_こみせ通りのひさし
中町こみせ通りの特徴は、アーケード状の通路です。道路側に並ぶ木柱の上に、冬の積雪や夏の陽射しを遮る”板張り天井のひさし状の屋根”がかかっています。江戸時代の趣を残す風情のある通りです。

★鳴海醸造店について
150418 (111)鳴海醸造店_外観
創業は文化三年(1806年)。七代目当主の鳴海信宏氏は、杜氏もつとめています。代表銘柄には「菊乃井」や、屋号の“稲村屋”と当主が代々継いできた“文四郎”の名を合わせた「稲村屋文四郎」などがあります。
150418 (109)鳴海醸造店_菊乃井の看板
「菊乃井」の名は、二代目が吟醸の搾りの際に、槽口に菊の枝を置いて成功したことに始まります。彼は菊の花を愛し、この芳香を酒に取り入れれば酒の楽しみもまた一段と増し、御得意先にも喜ばれると考えたそうです。
150418 (112)鳴海醸造店_外観
仕込み蔵は大正の初めに作られた土蔵蔵。夏は涼しく、冬は暖かいというように季節の温度変化が少なく、もろみの温度管理がしやすいそうです。

★店内
150418 (92)鳴海醸造店_売店
ゆったりとした売店のスペース。
150418 (105)鳴海醸造店_酒林
写真の左上は小さな酒林。のれんの奥が製造場ですが、この日は見学できませんでした。
150418 (103)鳴海醸造店_古道具類
昔の帳簿まわりの道具類も展示されています。
150418 (104)鳴海醸造店_酒袋
吟醸酒を搾った酒袋も販売されていました。

★鳴海氏庭園
150418 (101)鳴海醸造店_庭園
150418 (100)鳴海醸造店_庭園
敷地内には当主である鳴海氏の庭園もあります。
150418 (102)鳴海醸造店_庭園
この庭園は貴重な文化財として文化庁の登録記念物に指定されています。

★鳴海醸造店の酒造り
(a)杜氏
平成19年より杜氏をつとめる7代目当主の鳴海信宏氏は、東京農業大学を卒業後、酒類問屋で3年務め、平成5年に鳴海醸造店に入社しました。平成21年には全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、平成22年には青森県清酒鑑評会にて知事賞を受賞しています。

(b)米
地元の酒造好適米(華吹雪・華想い・華さやか)を主に使用しています。

(c)仕込水
南八甲田の伏流水から湧き出た敷地内の井戸水を使用しています。

(d)酵母
“まほろば華”など、青森県のオリジナル酵母を中心に使用しています。

★試飲
150418 (106)鳴海醸造店_試飲

見学の後は試飲をさせて頂きました。

<試飲アイテム>
・「稲村屋文四郎」純米大吟醸
・「津軽の吟」大吟醸
・「稲村屋文四郎」大吟醸
・「こみせ」純米大吟醸
・「菊乃井」純米吟醸、かすみにごり酒、生原酒、精米歩合50%、使用酵母:まほろば吟・醇、Alc.17.5%、日本酒度-2.0、酸度1.5。
・「久○[きゅうまる]」純米吟醸初しぼり生原酒、中汲み、精米歩合50%、Alc.17.5%、日本酒度-0.5、酸度1.5。
・「菊乃井」純米吟醸、華吹雪100%使用、精米歩合50%、Alc.15-16%。
・「津軽の吟」純米吟醸、精米歩合60%、Alc.15-16%、

どのお酒も心地よい吟醸香とふくよかな味わいが楽しめました。特に生原酒はしっかりとした麹の甘味を感じつつも後味のキレがよく、飲み飽きのしないお酒でした。
青森県の米・水・酵母を使った”地酒”へのこだわりも感じられ、青森の肴で酒を楽しむ会にはぜひ使いたいと思いました。
東京では飯田橋にある青森県のアンテナショップ”あおもり北彩館”で鳴海醸造店のお酒が買えるそうです。

★青森県の代表的な酒造好適米(農研機構HP「すっきりとした酒が製成できる酒造好適米新品種「華さやか」の育成」より)
(a)「華さやか」について:
黒1900(♀)と岩南酒13号(♂。吟ぎんが)の交配品種。華吹雪、華想いに比べて(日本酒の雑味成分の元となる)アミノ酸度が低くすっきりした酒質となる。

(b)代表3種の比較(醸造小仕込み試験。2007年、青森産技センター弘前地域研。70%精白米80gを使用)
左から日本酒度-アルコール度数-酸度(ml)-アミノ酸度(ml)
・華さやか:+6.8-17.2%-2.3-0.4
・華吹雪 :+2.0-17.4%-2.0-0.8
・華想い :+4.6-18.3%-2.1-1.0

★帰路
150418 (158)黒石駅車両
帰路は17:20黒石駅→17:49弘前駅の列車に乗りました。
150418 (154)黒石駅案内板
ラッシュ時以外の改札は発車の5分前から行われます。それまではホームに入れません。
150418 (165)弘南鉄道の車窓からの風景
車窓からはのどかな夕景が楽しめました。
150418 (174)弘前駅
弘前駅に到着。この後は青森駅に向かいました。

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

【見学】中村亀吉酒造(青森・黒石) - 日本一大きな酒林(杉玉) と 津軽百年食堂

日本でいちばん大きいといわれる酒林(杉玉)がある中村亀吉酒造店を訪ねました。

日時:2015年4月18日(土) 15:10頃~
場所:中村亀吉酒造店(青森県黒石市中町12)
内容:自由見学(外観のみ)
料金:無料

★アクセス
150418 (69)弘南鉄道_弘前駅ホーム
最寄駅は弘南鉄道弘南線の黒石駅。弘前駅14:30→黒石駅14:59の列車に乗って目的地へ向かいました。運賃は片道460円です。
150418 (72)弘南鉄道_田んぼアート
黒石駅の3つ手前の”田んぼアート駅”。様々な色の稲を植えて田んぼに巨大な絵を描く”田んぼアート”の第2会場の最寄駅です。この駅は12月1日から3月31日までの冬期間は列車が通過します。
150418 (79)弘南鉄道_黒石駅
終着駅の黒石駅に到着。駅から酒蔵までは約850mです。

★中町こみせ通り
150418 (83)中村亀吉酒造店_こみせ通り
酒蔵は”日本の道百選”にも選ばれている”中町こみせ通り”沿いにあります。
150418 (84)中村亀吉酒造店_こみせ通りのひさし
中町こみせ通りの特徴は、アーケード状の通路です。道路側に並ぶ木柱の上に、冬の積雪や夏の陽射しを遮る”板張り天井のひさし状の屋根”がかかっています。江戸時代の趣を残す風情のある通りです。

★中村亀吉酒造店について
150418 (86)中村亀吉酒造店_外観
創業は大正2年(1923年)。代表銘柄には「玉垂[たまだれ]」や創業者・中村亀吉の名前を冠した「亀吉」などがあります。代表取締役は中村和佳子氏。1986年1月5日から12月14日にNHKで放送された大河ドラマ『いのち』(原作:橋田壽賀子、主演:三田佳子)の舞台となった造り酒屋です。
150418 (85)中村亀吉酒造店_杉玉正面
インパクト十分の巨大な酒林。平成5年2月付の説明書きによると、酒林の直径は2.1m(1.1間)で、重さは1,500kg(400貫目)、創作は対馬義昭杜氏によるそうです。
150418 (88)中村亀吉酒造店_説明書き
同じく説明書きによると、酒林は”元禄3年(1690年)に刊行された『人倫訓蒙図彙[じんりんきんもうずい]』によると、杉の葉を束ねて酒屋の店先に吊して看板にその年の新酒が出来たことを知らせる印とした。球状になったのは寛政9年(1797年)頃だと云う。古典には酒神を祭る奈良県桜井市の大神[おおみわ]神社のある三輪山[みわやま]の御神木の杉で造ったとある。酒蔵では酒神の依代として御加護を願うための御守にした”そうです。
150418 (87)中村亀吉酒造店_杉玉
切妻造りの屋根は棟梁・村上英治氏によるものです。

★津軽杜氏・対馬義昭氏
杜氏の対馬義昭氏は昭和28年10月4日生まれ。昭和60年に1級酒造(清酒製造作業)の資格をとり、平成元年より杜氏をつとめています。平成20年度あおもりマイスターにも認定されています。
津軽地方には”津軽杜氏”という流派があり、以前は津軽杜氏組合も組織されていました。しかし、蔵の減少等により、同組合は解散してしまい、津軽杜氏は数少なくなったと言われています。

まるごと青森2008.3.25付の記事には、以下のように紹介されていました。
”(対馬義昭氏は)津軽杜氏組合で酒造りを学んだ生粋の津軽杜氏です。(略)。農業を行いながら、冬は酒造りを行う伝統的な杜氏であり、これは段々と少なくなっている日本の文化の一つです。”

★津軽百年食堂と黒石つゆ焼きそば
150418 (85)須郷食堂_外観
遅めのランチは、黒石駅前のロータリー近くにある須郷食堂[すごう-]で、黒石のご当地B級グルメのつゆやきそばを楽しみました。お店は大正元年創業の老舗で、写真右側の傾いた屋根が名物(?)のレトロな建物です。
150418 (87)須郷食堂_入口
青森県では三代、約100年続く大衆食堂を百年食堂と名付け、観光の目玉の一つとしています。同名の小説(森沢明夫著)やそれを原作とした映画(2011年)もうまれています。
150418 (84)須郷食堂_店内
昔懐かしい雰囲気の漂う店内。
150418 (140)黒石つゆ焼きそば
つゆやきそば700円。黒石つゆやきそばの特徴は、麺が太平麺[ふとひらめん]で、ソースはウスター系。豚ばら肉、たまねぎ、キャベツ、にんじんなどの具材を炒めたソースやきそばに和風のだし汁をかけ、 トッピングに揚げ玉とねぎをのせるのが一般的です。今までに経験のない不思議な味わいでした。
150418 (86)須郷食堂_つゆヤキソバン
地元の高校生が構想を練ってうまれたゆるキャラも...

中村亀吉酒造店を見学した後は、およそ170m離れた鳴海醸造店を訪れました。同じく中町こみせ通りにあります。

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 日本酒の酒蔵見学
ジャンル : グルメ

[JSA]山梨ワインの実力を探る(栽培、醸造からテイスティングまで)@甲府

日本ソムリエ協会(JSA)のセミナーに参加。

テーマ:山梨ワインの実力を探る(栽培、醸造からテイスティングまで)
種 別:JSA関東支部 第2回例会セミナー
日 時:2015年4月13日(月)14:00~16:00
会 場:ベルクラシック甲府(山梨県)
講師1:森覚氏(JSA執行役員/第14 回世界最優秀ソムリエコンクール 日本代表)
講師2:三澤茂計氏(山梨県ワイン酒造組合副会長/中央葡萄酒㈱ 代表取締役)
定 員:100名
会 費:無料(JSA会員価格。同伴者・一般 5,000 円)
交通費:往復3,000円(新宿⇔甲府。高速バスの平日限定2枚回数券"トクワリきっぶ"利用)

【テイスティング・アイテム】
IMG_3667.jpg
①グレイス・トラディショナル・メソッド2010(シャルドネ)
②グレイス甲州2014 ※輸出主力商品
③キュヴェ三澤 明野甲州2013
④グレイス・ロゼ2014(メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド各25%)
⑤キュヴェ三澤 赤2012(カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロ30%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド各4%)
⑥キュヴェ三澤 赤2009(カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロ35%)
(※)ぶどうの産地:②勝沼産。①、③~⑥明野町・三澤農場産

IMG_3663.jpg
①AL12.0%、総酸7.4g/L、デゴルジュマン2014.8.9。瓶内二次発酵。
②AL11.8%、総酸6.7g/L、瓶詰2015.4.1。EU法に則り補糖、ステンレスタンク発酵・貯蔵。
③AL12.0%、総酸6.7g/L、瓶詰2014.5.8。ステンレスタンク発酵。
④AL13.0%、総酸6.9g/L、瓶詰2015.3.30。ステンレスタンク発酵・樽貯蔵。
⑤AL13.5%、総酸6.3g/L、瓶詰2014.7.30。
⑥AL13.0%、総酸6.2g/L、瓶詰2011.8.31。

■気候の比較(2009vs2012)
<萌芽~ヴェレーゾン>
2009:7月下旬~8月上旬は連続した降雨。日照量少なく気温低め。
2012:前半の気温はやや低めだが、7月中旬以降は高温続く。日照時間は前期を通じて多め。
<ヴェレーゾン~収穫>
2009:降水量の少なさ、日照の多さ、気温の下がりが順調。
2012:降水量が少なく、日照時間が長い。10月上旬まで気温は高、それ以降、気温下がる。


【ベルクラシック甲府】
IMG_3658.jpg

[Link]中央葡萄酒のHP


[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : ワイン
ジャンル : グルメ

[JSA]シャンパーニュ ティエノのフィロソフィー @東京・汐留

日本ソムリエ協会(JSA)のセミナーに参加しました。定員は210名ですが、ホームページ掲載後、わずか5分で完売したそうです。

テーマ:シャンパーニュ・ティエノのフィロソフィー
種 別:JSA関東支部 分科会
日 時:2015年4月8日(水) 14:00~15:30
会 場:コンラッド東京(東京・汐留)
講 師:スタニスラス・ティエノ氏(ティエノのオーナー)
コメンテーター:谷 宣英氏(JSA関東支部・東京地区長/トゥールダルジャン東京 シェフ・ソムリエ)
料 金:1,000 円(JSA会員価格。一般は7,000 円)


★テイスティング・アイテム(6種類)
①Champagne Thiénot Brut
②Champagne Thiénot Rosé
③Champagne Thiénot Vintage 2005
④Champagne Thiénot Cuvée Stanislas Blanc de Blancs 2005
⑤Champagne Thiénot Cuvée Garance Blanc de Noirs 2007
⑥Champagne Thiénot Cuvée Alain Thiénot 2002
IMG_3531.jpg


ティエノ123
①シャルドネ45%、ピノ・ノワール35%、ピノ・ムニエ20%。リザーブワイン45%。希望小売:6,460円
②ピノ・ノワール45%、シャルドネ35%、ピノ・ムニエ20%。リザーブワイン45%。希望小売:8,860円
③シャルドネ50%、ピノ・ノワール50%。希望小売:9,400円


IMG_3525.jpg
④希望小売:18,690円
⑤希望小売:18,690円
⑥希望小売:18,690円


印象的だったのは、谷氏の「シャンパーニュのロゼほど人為的なワインはないと思う(赤ワインを混ぜるため)。なぜ、そのように造るのか?」との質問。スタニフラフ氏は、「セニエでは色調のコントロールが難しい。また、タンニンが多く出てしまう。ティエノらしい繊細な色と香味を出すため」と回答していました。
リッチすぎるシャンパーニュはティエノらしくないとの考えから、暑かった2003年はヴィンテージ・シャンパーニュをリリースしなかったそうです。


『ティエノ』社について
・1985年、アラン・ティエノ氏により設立。比較的新しいメゾン。
・現在は、息子のスタニラフ氏と娘ガランス氏が経営を担う。
・シャンパーニュ地方に27haの畑を所有。
・ティエノ・ブリュット/ロゼ/ヴィンテージは全てカーヴで4~8年熟成。
・2年連続でアカデミー賞の公式シャンパーニュに選出(第85回、86回)。


『ベリー・ブラザーズ&ラッド』社について
・英国最古のワイン&スピリッツ商。
・2015年4月よりティエノの正規輸入元に。


IMG_3532.jpg
コンラッド東京(フロント前のオブジェ)


[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : ワイン
ジャンル : グルメ

【見学】赤レンガ酒造工場(東京・滝野川) - 明治の三大建築家・妻木頼黄氏の傑作。全国新酒鑑評会や醸造講習を担ってきた日本酒の聖地

旧・大蔵省の醸造試験所・第一工場を見学しました。通称は「赤レンガ酒造工場」で、2014年12月10日に国の重要文化財に指定されています。

テーマ:旧醸造試験所 第一工場(赤レンガ酒造工場)施設公開
日 時:2015年4月4日(土) 10:00~16:00(入場は15:30まで)
場 所:(独)酒類総合研究所 東京事務所(東京都北区滝野川2-6-30)
料 金:無料
内 容:自由見学、ミニ講座、試飲

★アクセス
150404 (42)王子駅_都電荒川線
赤レンガ酒造工場は、王子駅(JR京浜東北線、都電荒川線)から約650m、徒歩8分です。
150404 (3)音無親水公園
JR王子駅の西側にある音無親水公園を通りました。この時期はお花見が楽しめます。自然の川を模して造られた公園で、日本の都市公園百選に選定されています。
150404 (4)赤レンガ酒造工場_醸造試験所跡地公園
醸造試験所跡地公園。向こう側に赤レンガ酒造工場が見えます。
150404 (7)赤レンガ酒造工場_入口
赤レンガ酒造工場は、(独)酒類総合研究所の東京事務所の敷地内にあります。1904年(明治37年)に設立された旧大蔵省の醸造試験所が2001年に独立行政法人に移行し、現在の酒類総合研究所になりました。本部機能は1995年に広島県東広島市に移転しています。赤レンガ酒造工場は、旧・醸造試験所の第一工場として、1903年に竣工。旧・醸造試験所では、1905年より醸造技術者むけの講習が行われており、1911年には第1回の全国新酒鑑評会が開催されています。

★見学概要(特別公開)
150404 (6)赤レンガ酒造工場_施設公開看板
赤レンガ酒造工場の見学は、通常、1週間前までに予約する必要があります(5~20名の団体向け。土日祝、年末年始、5-6月と8-10月の清酒製造技術講習の期間を除く)。この日は特別に、事前予約なしで施設公開が行われていました。見学箇所は1階部分のみで、工場内では旧ボイラー室、原料処理室、旧麹室の順に見学コースが設定されていました。
150404 (8)赤レンガ酒造工場_敷地案内図
敷地内には、東京国税局鑑定官室や日本醸造協会の建物もあります。

★赤レンガ酒造工場と日本のレンガ建築(ミニ講座)
はじめに旧ボイラー室でミニ講座を受講しました。赤レンガ酒造工場の見どころや日本のレンガ建築の歴史などについてわかりやすく説明して頂きました。
150404 (37)赤レンガ酒造工場_全景 - コピー
赤レンガ酒造工場を設計したのは、明治時代の三大建築家と称される妻木頼黄[つまき・よりなか]氏。(冬場だけでなく)四季を通して日本酒造りが行えるよう、ドイツのビール工場を参考にして設計したと伝えられています。ドイツから輸入した冷却機などの醸造用機械を備えた最新鋭の酒造工場だったそうです。
150404 (32)赤レンガ酒造工場_廊下・出口 - コピー
建築面積は923.30㎡。仕込部(2階建)、階段部(3階建、地下1階、一部平屋建)、製麹部(平屋建)、機械部(平屋建)から成ります。

<明治時代の三大建築家>
【英式】アカデミーの辰野金吾[たつの・きんご]
 ~日本銀行本店、東京駅丸の内本屋
【仏式】宮殿建築の片山東熊[かたやま・とうくま]
 ~迎賓館(赤坂離宮)、グランドプリンスホテル高輪来賓館(旧竹田宮邸宅)
【独式】官庁営繕の妻木頼黄
 ~横浜赤レンガ倉庫、半田赤レンガ建物など

<日本のレンガ建築の歴史>
長崎の海軍伝習所(1855年(安政2年)に開所)で日本の建物用煉瓦の生産が始まり、このレンガが1861年(文久元年)落成の長崎鎔鉄所(現・三菱重工業長崎造船所)の建設に使われたとされています。現在のものより薄い形状で「こんにゃく煉瓦」と呼ばれていたそうです。
その後のレンガ建造物の需要増加を受け、実業家の渋沢栄一は日本煉瓦製造㈱を立上げ、現在の埼玉県深谷市に本格的な工場を建設しました。深谷駅から工場までの約4.2kmの区間には専用鉄道まで敷かれました(現在はその跡地が遊歩道「あかね通り」として残されています)。
日本の多くのレンガ建築物は明治30年(1898年)代以降に造られていますが、1923年(大正12年)の関東大震災で大きな被害を受けて以降は、小規模な建築物にとどまっています。

★旧ボイラー室
150404 (12)赤レンガ酒造工場_旧ボイラー室
ミニ講座が行われた旧ボイラー室。
150404 (9)赤レンガ酒造工場_ボイラーの銘板
ボイラーの石炭投入口を利用した銘板(FUKAGAWA IRON WORKS CO. LTD)。ボイラーで作られた蒸気は米を蒸す工程などに使われます。平成7年に小型高性能ボイラーに役目を譲るまで実際に使われていたものです。

★原料処理室
150404 (16)赤レンガ酒造工場_洗米機
洗米機。
150404 (17)赤レンガ酒造工場_甑
甑。
150404 (15)赤レンガ酒造工場_半切桶、蒸米放冷箱、蒸溜装置
半切り桶、蒸米放冷箱、蒸留装置。

<精米>
150404 (24)赤レンガ酒造工場_精米
精米歩合(%)は、「白米重量÷玄米重量×100」で求めらます(重量精米歩合)。外側を10%磨くと(精米歩合90%)、玄米の外側に多く含まれる脂質やミネラルは60-65%も減少してしまいます。大吟醸酒並みの精米歩合50%まで磨くと、脂質は殆ど残らず、ミネラルも2割程度、タンパク質も6割程度しか残らないことがわかります。デンプン以外の成分は雑味のもとになりやすいとされているため、高級酒ほど精米歩合を低く(精白度を高く)する傾向があります。

<種麹のサンプル>
150404 (18)赤レンガ酒造工場_黄麹・白麹・黒麹
米のデンプンを糖に変える糖化工程に使われる麹菌。清酒用には通常、黄麹を用います。他にも、焼酎用の白麹、泡盛用の黒麹が展示されていました。

★旧麹室(白煉瓦)
150404 (21)赤レンガ酒造工場_旧麹室 - コピー
表面のみ白色で施釉された白煉瓦で造られた旧・麹室。水分調整が利かないため、麹室としては使用されなくなりました。同じタイプの白煉瓦が日本銀行の地下金庫にも使用されています。
150404 (22)赤レンガ酒造工場_旧麹室の白煉瓦
白いタイルのように見えますが、レンガです。

★アーチ構造と円形の窓枠
150404 (20)赤レンガ酒造工場_アーチ部分 - コピー
見た目も美しく強度も強いBonded arch。レンガを台形状に焼き上げるなど、とても手間がかかる工事となります。
150404 (23)赤レンガ酒造工場_旧麹室のアーチ部分
赤レンガ酒造工場に使われている台形レンガは、全部で38種もあるそうです。
150404 (30)赤レンガ酒造工場_窓 - コピー
円形の窓枠。耐熱性、耐震性、防犯性を高めるために小さめの窓となっています。

★耐火床
150404赤レンガ酒造工場(耐火床)レジュメ写真
1階の天井と2階の床が一体化した「耐火床」。写真はミニ講座で配布されたレジュメの一部です。
150404 (28)赤レンガ酒造工場_耐火床説明書き
耐火床とは、両側の壁の上にI型鋼の小梁[こばり]を架け渡し、その間をレンガアーチで埋める床面構法です。鉄骨は入っておらず、上からの荷重をアーチの形状によってうまく伝達させています。

★その他の展示物
見学コースには、(独)酒類総合研究所の紹介パネルや、北区税務団体協議会コーナーもありました。

<醸造研究の始まり>
150404 (10)赤レンガ酒造工場_醸造研究の夜明け
150404 (11)赤レンガ酒造工場_醸造研究の夜明け
お酒ができる仕組みが科学的に解明されていなかった頃の酒造りは、ほとんど”運任せ”でした。明治時代には「微生物研究」が進められ、糖化を担う”麹菌”やアルコール発酵を行う”清酒酵母”の分離に成功しました。さらに、醪の中での酵母の純粋培養を可能とする”山廃酒母”や”速醸酒母”が開発され、清酒の安定かつ大量生産ができるようになりました。
はじめて清酒造りの科学的研究を行ったのは英国より招聘されたアトキンソン氏と伝えられています(1881年著『The Chemistry Of Sake-brewing』 など)。

1876年(明治09年):東京医学校の御雇教師アールブルグ氏が麹菌を分離
1895年(明治28年):矢部規矩治[やべ・きくじ]博士が清酒酵母を分離
1909年(明治42年):嘉儀金一郎[かぎ・きんいちろう]博士が「山廃酒母」を開発
1910年(明治43年):江田鎌次郎[えだ・かまじろう]博士が「速醸酒母」を開発

<酒税>
お酒の種類ごとの税負担率。(酒税額+消費税額)÷税込の販売価格。
150404 (13)赤レンガ酒造工場_酒税
焼酎31.9%、清酒15.9%、瓶ビール46.5%。
150404 (14)赤レンガ酒造工場_酒税
缶ビール42.1%、発泡酒35.4%、ワイン16.4%、ウイスキー24.0%。

ビールの税率の高さがよく指摘されていますが、たしかに飛び抜けていることがわかります。ビールはアルコール度数が相対的に低く、麦芽100%のものならミネラル類などの栄養分も比較的多く含まれています。ビールの税率を下げて消費拡大につなげた方が、結果的に企業利益の増加、税収増、かつ、飲酒者の健康障害リスクの低減にもつながると思うのですが...

★試飲とお土産
(独)酒類総合研究所の技術支援部門が醸したお酒の無料試飲コーナー。
150404 (26)赤レンガ酒造工場_試飲(大吟醸)
大吟醸酒。きょうかい1401号酵母(金沢酵母から分離)を使用。
150404 (25)赤レンガ酒造工場_試飲(山廃)
山廃仕込み。きょうかい7号酵母(長野県・宮坂醸造「真澄」から分離)を使用。
150404 (29)赤レンガ酒造工場_塩こうじ - コピー
建物の出口近くでは、麴のお土産も頂きました。

★レンガの積み方
日本のレンガの寸法(全形)は、210 x 100 x 60(単位:mm)です。
レンガを積んだ際に壁面となる側面のうち、長い長方形(210×60)を「長手」(ながて。長い方の意味。反対語は短手。みじかて)」、短い長方形(100×60)を「小口」(こぐち。切り口や切断面の意味)と言います。

<長手積みと小口積み(ドイツ積み)>
レンガ(長手積み)
レンガの長手が壁面となるように積まれた「長手積み」。
レンガ(小口積み)
レンガの小口が壁面となるように積まれた「小口積み」。別名、「ドイツ積み」。

<イギリス積みとフランドル積み>
レンガ(イギリス式) - コピー
長手の列と小口の列を交互に重ねた「イギリス積み」。
レンガ(フランドル式) - コピー
一列の中に長手と小口を交互に並べた「フランドル積み」。フランドルはベルギー全土からフランス東北部の地域をさす地名です。日本では明治期に「フランス積み」と誤訳されたため、そのように表記されている場合があります。

150404 (35)赤レンガ酒造工場_胸像含む - コピー
赤レンガ酒造工場の壁は「イギリス積み」ですが、いちばん外側の「化粧レンガの部分だけはドイツ積み」が採用されています。また、イギリス積みの内部には、所々に断熱用の空間が設けられています。
写真の左下には、清酒酵母を発見した矢部規矩治博士の胸像が写っています。麹菌(胞子)がアルコールを造ると唱える人々もいる中で、清酒酵母の存在を信じて研究を続けらた功績が讃えらえています。
150419 (257)函館_金森赤レンガ倉庫
小口積み以外のサンプル写真は、函館の金森赤レンガ倉庫のものです(2015.4.19撮影)。

★錐台(きりだい。砲身の穴あけ機)
150404 (31)赤レンガ酒造工場_錐台 - コピー
元治元年(1864年)に、江戸幕府が大砲鋳造の用地としてこの地を買い上げ、反射炉と錐台を置きました。醸造試験所はこの用地の一部にあたります。敷地内には、錐台の一部が残されています。

(初稿)2016.11.27

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR