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【見学】JAいわて花巻ホップ加工処理センター(岩手・遠野)- ビールの魂は鮮度が命!キリン一番搾りとれたてホップのこだわり

昨年はじめて訪れて感動した「遠野ホップ収穫祭」のホップ畑見学ツアー。今年は「上郷[かみごう]ホップ乾燥センター」の見学が含まれる日帰りのバスツアーに参加しました。

日時:2017年8月27日(日)11:30頃~
場所:JAいわて花巻ホップ加工処理センター(岩手県遠野市上郷町板沢10地割)
内容:見学(ガイド付き)
料金:4,800円(日帰りバスツアー総額)

★日帰りバスツアー
170827 (26)遠野ホップ収穫祭2017バスツアー_バス
昨年は収穫祭会場で当日申し込む「ホップ畑見学バスツアー」に参加しましたが、今年は盛岡駅発着の「日帰りバスツアー」を事前に予約しました。お目当ては収穫祭会場へ向かう途中に立ち寄る「上郷ホップ乾燥センター(JAいわて花巻ホップ加工処理センター)の見学」。その他、「パドロン畑での収穫体験」、「ホップ畑の見学」がセットになっている盛り沢山の内容でした。


★JAいわて花巻ホップ加工処理センター
170827 (99)JAいわて花巻ホップ加工処理センター - コピー
パドロン畑の見学を終え、11:30頃にJAいわて花巻ホップ加工処理センターに到着。センターはJR釜石線の岩手上郷駅(遠野駅から南東方面へ約8km)から約1kmほど北東に進んだところにあります。バスから降りると、昨年、ホップ畑を案内してくださった遠野ホップ農業協同組合の組合長(佐々木悦男氏)がお出迎えしてくれました。


★センター内部
170827 (168)遠野ホップ加工処理センター_内部正面 - コピー
センターの内部は広々としており、機械類の轟音が鳴り響いていました。


★トラックに積まれたホップ
170827 (101)遠野ホップ加工処理センター_ホップを積んだトラック(横) - コピー
170827 (165)バスに積まれた遠野ホップ(拡大) - コピー
近くの畑で収穫されたばかりのホップは、(概ね収穫から1時間以内に)このセンターにトラックで運ばれてきます。
170827 (105)遠野ホップ加工処理センター_トラックの後部
トラックからはみ出すほど積まれたホップの山。畑からセンターに向かう途中に所々で”小さな房の落とし物”をしてくるため、地元の方はそれを見て今年もホップ収穫の時期が来たことを実感するそうです。


★摘花機
170827 (111)遠野ホップ加工処理センター_階段の左側の摘花機
トラックで運ばれてきたホップのつるは鎌で切ってほぐされ、摘花機にかけられます。摘花機では「花(毬花)」、「葉っぱ」、「茎」の部分に分けられていきます。

170827 (167)遠野ホップ加工処理センター_ツルを摘花機へ
170827 (106)遠野ホップ加工処理センター_ホップのツルを摘花機へ
こちらはおそらく、ホップのつるごと処理できる摘花機(機械類の音が大きすぎて、説明が聞き取れませんでした...)。次々とホップが吊るされては摘花機に吸い込まれていく様は壮観でした。

170827 (109)遠野ホップ加工処理センター_摘花機とベルトコンベヤー
170827 (121)遠野ホップ加工処理センター_摘花機からベルトコンベヤーへ_根元部分
ビール造りに使われるのはホップの「花(毬花)の部分」のみ。選別された毬花はベルトコンベヤーで2階の作業場へと運ばれます。葉っぱなどの不要な部分は肥料として畑に戻すそうです。

170827 (124)遠野ホップ加工処理センター_ベルトコンベヤーと見学者
170827 (130)遠野ホップ加工処理センター_2階から階段を見下ろす
選別されたホップと一緒に、見学者も2階の作業場へ。かなり急な階段でした。

170827 (132)遠野ホップ加工処理センター_摘花機を2階から見下ろす
摘花機を2階から見下ろすと、内部が何段にも分かれて(数回にわたって選別されて)いるようでした。摘花機の裏側には強力なマグネットが付いており、選別されたホップの中に金属のかけらなどが入らないように工夫されています。


★手作業による選別(2階)
170827 (127)遠野ホップ加工処理センター_手作業による選別
2階に送られてきた毬花のうち、葉っぱが残っているものや色の悪いものなどが手作業で更に選別されます。


★乾燥(2階)
170827 (135)遠野ホップ加工処理センター_2階の乾燥場 - コピー
170827 (134)遠野ホップ加工処理センター_乾燥機のホップ(拡大)
手作業により選別された毬花は、保存性を高めるために直ちに乾燥機に入ります(キリンの『一番搾り とれたてホップ』に使われる生ホップは乾燥機に送られる前に保冷車へと運ばれます)。下から送られる熱風の温度は、世界共通の”60℃”。これよりも高温だと乾燥しすぎてココアみたいな匂いになり、低いとカビ臭くなってしまうそうです。仕上がり具合は水分計で随時チェックのうえ判断されます。乾燥時間は、他の訪問者のブログを見ていると概ね8~12時間のようでした。


★冷却
170827 (140)遠野ホップ加工処理センター_冷却場
170827 (144)遠野ホップ加工処理センター_冷却場(1階より)
乾燥したホップを冷却する作業場(だったはず...これも説明が聞き取れませんでした...)。

170827 (143)遠野ホップ加工処理センター_裏側へ降りる階段 - コピー
再び1階へ降りるための階段もかなり急でした。


★袋詰め
170827 (152)遠野ホップ加工処理センター_袋詰め
冷却された乾燥ホップは機械でプレスされて袋に詰められます。ひとつの袋の重さはおよそ50kgにもなるそうです。
170827 (150)遠野ホップ加工処理センター_乾燥ホップをつめる袋
袋詰めされたホップは別の場所にあるキリンの工場に送られ、さらに固形・圧縮化されてタブレット状の「ペレット」になります。

170827 (153)キリンライトビールのケース
170827 (154)キリンライトビールのケースのロゴ
冷却場の近くに置いてあった『キリンライトビール』のケース。他の見学者の方が写真を撮っていたので話しかけたところとても珍しいビールだとか。帰京後に調べたら、キリンビールがダイエットブームなどを背景に1980年~1998年まで発売していた銘柄でした。その後(現在は不明)は北米市場でのみ製造・販売されていたそうです。


★キリン『一番搾り とれたてホップ生ビール』専用のホップ
170827 (156)遠野ホップ加工処理センター_キリン一番搾りとれたて生ホップ拡大 コピー
通常のホップは60℃の温風で乾燥させますが、『一番搾り とれたてホップ』に使われるのは乾燥前の生ホップを急速凍結させたもの。したがって、乾燥ホップとは異なるフレッシュでフローラルな香りが楽しめます。ホップの成分は8割が水分であるため、冷蔵だけでは3日も経つとしおれてしまい、色も香りも変わってしまうそうです。
170827 (157) -遠野ホップ加工処理センター_キリン一番搾りとれたて生ホップ コピー
遠野のセンターでは、畑のホップを収穫してから1時間以内に処理して保冷車へ入れることを目指しているそうです。乾燥機で見たホップと比べると、グリーンがより鮮やかでみずみずしい香りを放っていました。
170827 (163)遠野ホップ加工処理センター_液化炭酸ガス - コピー
-38℃の液化炭酸ガスで急速冷凍された生ホップは庫内が-20℃の保冷車に積み込まれ、キリンビールの仙台工場に約2時間かけて運ばれます。ホップは軽いため、12トンのトラックいっぱいに積んでも2トンの重さにしかならないそうです。
170827 (102)遠野ホップ加工処理センター_保冷車
仙台工場の冷凍庫で一晩保管されたホップは翌朝、大阪府の粉砕工場に運ばれます。ホップの粉砕は、温度上昇を避けるために液体窒素下で凍結したまま行われます。粉砕されたホップは空気をシャットアウトするアルミの袋に凍ったまま窒素封入され、キリンビールの各工場に運ばれてゆきます。醸造工程においても、凍結ホップの添加は煮沸終了後(通常は麦汁の煮沸途中)に行われ、熱による香りの変化を最小限に抑える工夫がされています。


この後は、センターの近くにあるホップ畑を見学して、収穫祭の会場へと向かいました。


★感想など
一口に”国産ホップ”といっても、急速凍結される生ホップからペレットに加工されるものまで様々であることを知り、国産ホップを使ったビールへの興味がますます高まりました。特に『一番搾り とれたてホップ』に使われる生ホップが瑞々しさを保つためにいかに細心の注意を払って加工されているかを知り、感動を新たにしました。
遠野では8月19日から約3週間かけてホップの収穫が行われますが、加工センターで毬花の選別作業が行われるのも1年のうちこの時期だけ。国産の生ホップを使ったビールが「旬の時期だからこそ味わえる」ものであることをあらためて実感しました。

今年の『一番搾り とれたてホップ』の発売予定日は10月24日(火)。
去年に続いて”旬”のビールを楽しめる日が今から待ち遠しいです。


(参考)キリンビールHPからの抜粋
“今年は雨や涼しい日が続き、日照不足であったため、ホップの生育が例年より遅く、収穫時期が心配されていました。最終的には、収穫をビールの仕込に間に合うぎりぎりまで遅らせることになりました。少し小ぶりですが、品質は良好で、黄緑色が鮮やかなみずみずしいホップが収穫できました。”
出典:http://www.kirin.co.jp/csv/quality/theme/pickup/001.html


(初稿)2017.9.28

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テーマ : ビール
ジャンル : グルメ

【見学】遠野ホップ収穫祭2016(岩手・遠野) - 念願のホップ畑初訪問で”旬の国産ビール”を楽しめる喜びを再認識。岩手県酒類の底力を知る。

キリンビール取手工場の見学で『キリン一番搾りとれたてホップ』に感動して以来気になっていた岩手県遠野のホップ畑にはじめて訪れました。つるになるみずみずしい生のホップを見て、”旬の国産ビール”を楽しめる喜びを再認識しました(2016年のとれたてホップの発売予定日は10月25日です)。一方で、自然の厳しさを目の当たりにして、作り手の方々が乗り越えて来た苦労の数々が”収穫の喜び”につながることを強く感じました。

内容:遠野ホップ収穫祭2016
日時:2016年8月28日(日) 12:30~15:15頃に訪問
場所:蔵の道ひろば(遠野駅から約300m)
料金:入場無料、飲食有料、ホップ見学バスツアー(500円)

★遠野ホップ収穫祭2016
160828 (183)遠野ホップ収穫祭(リーフレット) - コピー
コンセプトは”遠野産のホップと畑の恵みの収穫を祝う、ビールと食の祭典”。毎年恒例かと思っていたら、今年でまだ2回目でした(これからどんどん人気が上がっていくと思われます)。今年の収穫祭は8月27日・28日(11:00~21:00)に行われ、会場では遠野産ホップを使った生ビールや収穫祭限定のおつまみが楽しめます。また、生のホップに触れられるコーナーやホップ畑の見学バスツアー(←これが一番の目的)もあります。他にも、ドイツ楽団の生演奏やアーティストのスペシャルライブ、子供向けの体験型ゲームなどのイベントも盛り沢山です。

★アクセス
160828 (73)遠野駅 - コピー
収穫祭の会場はJR釜石線の遠野駅から約300m(徒歩約3分)。
160828 (180)遠野観光案内所
駅前の観光案内所。会場までの道順などを親切に教えて頂きました。
160828 (179)遠野城下町資料館
会場は遠野城下町資料館(写真)の向かい側です。観光案内所の近くの「ホテルきくゆう」さんの横の道を直進すると右手に会場が見えてきます。

★ホップゲート
160828 (86)遠野ホップ収穫祭_ホップゲート
160828 (87)遠野ホップ収穫祭_ホップゲート上部
会場の入口にある高さ5mのホップゲート。陽気な音楽が聞こえてきてお祭り気分が高まります。
160828 (83)遠野ホップ収穫祭_ホップゲートのホップ
ついに念願の”つるになるホップの毬花”とご対面!先月訪れたサントリー京都ビール工場にもつるの状態のホップがありましたが、毬花はつるの上部にあったため、肉眼では見ることができませんでした(写真を撮って拡大したものを後で確認しました)。

★ドイツ民謡の演奏
160828 (89)遠野ホップ収穫祭_ALPINA(ドイツ民謡)の生演奏
イベントステージでは、ALPINA(ドイツ民謡)の生演奏が行われていました。この後、民族衣装を着た女性の先導で、参加者が肩を組んで一列になって踊り歩いていました(横浜のオクトーバーフェストでも似たような光景を見たなぁ...)。

★ホップ体感コーナー
160828 (101)遠野ホップ収穫祭_ホップ体験 - コピー
生のホップに触れられるコーナー。ビール工場見学で体験する乾燥したホップと異なり、生のホップにはみずみずしい青草のような香りが感じられました。
160828 (100)遠野ホップ収穫祭_ホップ体感コーナーの生ホップ - コピー
ドライとフレッシュのホップにはそれぞれの良さがあるので、どちらのビールも楽しめるのは愛好家として嬉しい限りです。
160828 (111)遠野ホップ収穫祭_クイズ
クイズ用紙もあります。正解すると抽選で景品がもらえます。

★ホップ畑見学バスツアー(13:00~)
1日2回おこなわれる「ホップ畑見学バスツアー」は、開始時刻の30分前から整理券を配布します。料金は500円で、所要時間は約1時間。定員の20名がすぐに満員になったため、もう一台のバスが出ることになりました。

<ツアーバス>
160828 (113)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑見学ツアーのバス
ツアーの受付とバス乗り場は、会場の南側の入口付近にあります。
160828 (118)遠野ホップ収穫祭_バスツアー車窓 - コピー
会場からホップ畑までは約10分。車窓からは遠野ののどかな風景が楽しめました。

<ホップ畑>
160828 (122)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑 - コピー
ホップ畑に到着。周りを山々に囲まれたとても自然が豊かなところにありました。
160828 (148)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑 - コピー
160828 (124)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(上部) - コピー
高さ5mのホップが立ち並ぶ光景は圧巻です。
160828 (145)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑のホップ - コピー
収穫前のホップからはいきいきとした生命力が感じられました。
160828 (126)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(葉) - コピー
ホップの葉。サントリー京都ビール工場で見たものは虫食いだらけでしたが、ここではきれいな葉が多かったようでした。
160828 (129)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑(地面のつる) - コピー
地面にはホップの長いつるが横たわっていました。
160828 (144)遠野ホップ収穫祭_畑の小道 - コピー
ホップの棚の間の小道。とても雰囲気があります。

<組合長のご説明>
現地ではなんと、遠野ホップ農業協同組合の組合長(佐々木悦男氏)が説明をしてくれました。ユーモアたっぷりの話しぶりで、ガイドさんいわく「今日は特にノッている」(微笑)とのこと。帰りのバスの中でも参加者の質問に答えてくださり、とても参考になるお話を伺うことができました。

・遠野では53年前からホップ栽培を手掛けている。夏に冷害が多いため、冷害に強い作物として導入(岩手県への導入は昭和31年。江刺市=現奥州市が栽培していたホップに遠野市が目を付けたのがきっかけ)。
・初代の栽培家たちはすでに引退しており、今は2代目(それでもキャリアは40年くらい)。
・栽培品種は”キリン2号”。全量をキリンビールが買い上げてくれるので、販売上の問題は全くない。
・ホップ農家は35件、栽培面積は約26ha。今年の計画は乾燥花で42トン(の収穫量?)。収穫は8/19頃から始め、9/6・9/7には終わらせたい。
・遠野にある小学校7校すべてが、3年次にホップ畑の社会科見学を行う(ホップ栽培は遠野の重要な産業の一つ)。
・全国には10のホップ栽培組合があるが、生ホップの出荷を行うのは遠野のみ(生で出荷出来るのは、遠野の気候がホップ栽培に非常に適しているため。三方を山に囲まれた盆地で、生育期の昼夜寒暖差が10℃以上(日中は30数℃、夜間は19℃くらい)に及び、ビールの香りと苦味のもととなる”ルプリン”がフルーティーかつフローラルな香りをまとう)。

・一般には”ホップの花”と呼んでいるが、本名は”毬花[まりはな・きゅうか]”。1つのつるには(数えたことはないが)300~500くらいの毬花がなる。その数に達するまでには、はじめて植えてから3年もかかる。
・ビール造りには雌花だけを使用する。1つのビールに使うホップは、乾燥花で4つくらい。使いすぎても苦味が強くなってしまう。
・つるの長さは13mにも及ぶため、高さ5mの棚の上部でターンさせて下におろしている。朝顔のように、糸を使ってつるが伸びるルートをコントロールしている。寒い日は5~10cmしか伸びないが、暑い日には1日で20~30cmも成長する。
・収穫にはドイツから導入した機械を使用。2トン車2台分を10分くらいで摘んでしまう。
・一番搾りとれたてホップは遠野産の単一品種のみを使用するため、年毎の香味の差が出る(通常は、いろいろな産地のホップをまぜて同じ味にする)。

<台風などによる被害>
160828 (139)遠野ホップ収穫祭_横倒しになっているホップ - コピー
畑の奥の方に歩いていくと、横倒しになっているホップのつるがありました。高さが5mにもおよぶホップ棚は強風に弱く、先日の台風7号と9号により多くのつるが倒れてしまったそうです。8/17頃までの天候が一段と恵まれていただけに、収穫を楽しみにしていた農家のみなさんは残念に思われているそうです。
160828 (132)遠野ホップ収穫祭_枯れたホップ - コピー
虫害にも気を使います。基本的には虫が付く前に毬花を収穫してしまいますが、例えばダニがつくと毬花が赤っぽくなってしまうそうです。他にも夜盗虫[よとうむし]やナナホシテントウムシによる被害が懸念されるそうです(写真のホップが傷んでいる原因は台風だと思われますが詳細は不明です)。
160828 (136)遠野ホップ収穫祭_倒れたホップ - コピー
本やWEBなどでは”きれいなホップ畑”の写真しか見たことが無かったので、「必ずしも豊作とは限らない」という農家の当たり前の苦労にあらためて気付かされました。

★ホップの資料
160828 (184)遠野ホップ収穫祭_ホップ畑見学バスツアー資料
帰りのバスの車内では、ホップの資料が配られました。ホップの栽培・収穫・加工について説明した漫画や、栽培状況に関するデータが18ページにわたって簡潔にまとめられていて、とても参考になりました。漫画はキリンビールのHPでも閲覧できます(キリンビール大学醸造学科No.57~59:ホップ圃場見学(1)~(3) 日本のホップ王国「岩手県遠野」)。

<ホップの栽培・収穫・加工>
・株開き[かぶびらき]:株の上の土をよける(冬の間に土中に埋まってしまうため)。
・株拵え[かぶごしらえ]:去年から株に残っているつるをきれいに切り取る。
・選芽[せんが]:そのままだと1株から150~200本もの芽が出るため、4本位を選んで残す。
・ホップ棚づくり・つる上げ(5月上・中旬):つるを支える棚をつくり、つるが上に伸びていくように糸で巻き付けて固定する。
・つる下げ・つる巻き(6・7月):ホップ棚の決まった高さの中に一番花のつく節がおさまるように伸びすぎたつるを下げる(どの位つるを下げるかは4~6月の伸び方による)。棚の一番上の針金につるを巻き付けて、毬花がなって重みが増してもつるが下に落ちてこないようにする。
・収穫(8・9月):収穫用の機械の先端部分で棚の上の針金に巻き付いているつるを切って下に落とし、トラックで収穫センターに運ぶ。収穫期の目安は開花後45~50日。
・選別:収穫したホップを鎌で切ってほぐし、摘花機[てきかき]にかけて、花・葉・茎に分ける。その後、手作業で色の悪いものや葉のついたものをよける。
・乾燥:ベルトコンベアで2階の乾燥機に運び、60℃の熱風を下から当てて乾燥させる(60℃は世界共通。高いとココアみたいな匂いに、低いとカビ臭くなってしまう)。ただし、一番搾りとれたてホップには凍結加工したものを使用。

★スペシャルライブ
160828 (173)遠野ホップ収穫祭(ライブ)
バスツアーから戻ると、会場ではサンプラザ中野くん&パッパラー河合さんのスペシャルライブが行われていました(15:00~)。爆風スランプのヒット曲を久しぶりに聴くことができて、とても懐かしかったです。

★収穫祭のビール
バスツアーの前に1杯、後に2杯、収穫祭のビールを堪能しました。
160828 (105)遠野ホップ収穫祭_遠野麦酒ZUMONA
この日のお目当ては、遠野の地ビール「ZUMONA」。酒銘は『むかしむかしあったずもな』という昔話に由来するそうです。醸造元の上閉伊酒造[かみへい-]は寛政元年創業の老舗の酒蔵で、現在も「国華の薫」という清酒を醸しています。南部杜氏の酒造技術を活かし、平成11年より地ビールの製造も手掛けているそうです。
160828 (115)遠野ホップ収穫祭_サポーターズエコカップ
収穫祭では「サポーターズエコカップ制」が導入されています。1杯目のみエコカップ代(300円)が上乗せされ、2杯目からはビール代(500~600円)のみの支払いとなります(”リユース”と書かれているので、来年以降も使えるはず?)。このエコカップ代は、遠野のホップの保全や”ビールの里・遠野”を目指した取り組みなどに使われるそうです。ちなみに、目標の2,000個に達したら、その後の販売分は通常のプラスチックカップになるそうです。

160828 (104)遠野ホップ収穫祭_IBUKI(IPA)メニュー
160828 (107)遠野ホップ収穫祭IBUKI(IPA)
1杯目は限定醸造の「ZUMONA IPA~IBUKI PALE ALE~」(ビールのみ600円)。ホップの香りと苦味がガツンとくるIPAだけに、フレッシュなホップの存在感が際立っていました。

160828 (161)遠野ホップ収穫祭_ヴァイツェンと生ホップ
2杯目は小麦麦芽を使用した「ヴァイツェン」(ビールのみ600円)を、バスツアーのガイドさんおすすめの”生ホップのせ”で。なんという贅沢...

160828 (178)遠野ホップ収穫祭_フローズン生ヤマブドウ
3杯目は、「一番搾り フローズン<生>遠野産山ぶどう」(ビールのみ600円)。

★遠野産パドロン
160828 (156)遠野ホップ収穫祭_パドロンメニュー - コピー
スペイン原産のししとうに似た青唐辛子「パドロン」。ビールに合うおつまみとして、遠野での生産が広がっているそうです。
160828 (155)遠野ホップ収穫祭_遠野産パドロン
素揚げの「遠野パドロン」を初体験(写真はお店の見本です)。素材の風味~唐辛子のピリッとした刺激と柔らかな甘味、程よい苦味が、油で揚げることで見事にまとまっていました。塩加減が絶妙で、たしかにビールが進みます。

★遠野の老舗酒屋
講座用のお酒を購入しに会場の近くの酒屋を訪れたところ、とんでもない宝の山に満ちたお店でした。
160828 (170)昔の酒の看板
店頭には、”蜂印香竄葡萄酒”の昔の看板が!「日本の赤ワインの近現代史」、「大正浪漫と赤ワイン」の講座を開いた時にWebで調べた看板の実物が遠野の酒屋にあるとは思ってもいませんでした。
160828 (167)馬越恭平氏の感謝状
さらに、”日本のビール王”と呼ばれた大日本麦酒の馬越恭平社長[まこしきょうへい-](1844年~1933年)からの感謝状も!当初は他の看板の陰に隠れていましたが、お店の方がウィンドウの中に入ってまで見やすいようにしてくださいました。
160828 (169)酒屋の蔵
お店の隣には昔の蔵と神社もありました。来年90歳を迎えるという矍鑠とした女性が、他のお客様からのお呼び出しがあるまでの短い時間でしたが、色々なお話を聞かせてくれました。老舗の酒屋で”酒販の歴史”を見てきた方のお話はとても興味深く、もっと聞きたいと思いつつ、後ろ髪を引かれる思いでお店を後にしました。

★帰路
160828 (182)北上駅
遠野から北上駅[きたかみ-]まで約41kmの道のりを車で戻り、東北新幹線で帰京しました(はやぶさ108号。北上駅17:30→上野駅19:50)。お酒を飲めない運転手に申し訳ないので、このお祭りは電車かバスで行くことを強くおすすめします。今年は盛岡駅からの日帰りバスツアーも企画されていました(1人4,800円)。

★感想など
みずみずしいフレッシュな香りをかいで、生ホップは”鮮度が命”であることを痛感しました(もちろん乾燥ホップには違った良さがあります)。「一番搾りとれたてホップ」のように、収穫したての旬のホップを凍結加工した商品のバリエーションが増えることを願ってやみません。また、その年々の天候によってホップの出来が異なることを知り、ビールも”ヴィンテージの違い”を楽しめることがわかりました。新蕎麦のように、”旬のビール”を待ち遠しく思う気持ちがますます高まりました。

一口にホップといっても、たくさんの種類があるので、様々な香味を持つホップが国内で栽培されることを望む気持ちが一層強まりました(ホップの種類は”ベルギービール博物館”さまのHPにわかりやすくまとめられています)。さらに、いろいろな醸造法、例えば自然発酵のランビック(日本酒でいうなら生酛づくり?果汁との相性も抜群)のような個性の強い国産ビールも増えてくれたらどれだけ素晴らしいだろう...(足許はピルスナー、アルト、ケルシュが目立つような...)。

国産ビールへの期待がますます高まり、今回も心の底から「来てよかった」と感じる旅になりました。

★追記:岩手県は「日本産酒類」王国!?
好きなワインを学ぶほどに他のお酒や発酵食品全般への興味が広がり、節操なく(?)いろいろなお酒と出会う旅をしていますが、今回は”岩手県の底力”を見せつけられました。岩手県は”ビール”と”日本酒”で国内トップの分野を持ち、”ワイン”にも力を入れていて、三大醸造酒のすべてに大きな魅力がありました。

・ビールの魂と言われるホップの生産量は岩手県が全国1位。
・日本酒では、国内最大規模の杜氏集団である”南部杜氏”のふるさと。
・県産ぶどうを醸すワイナリーの存在(エーデルワイン、自園自醸ワイン紫波など)。

日本産酒類への取り組みは官公庁も力を入れているようですが、”商品”や”監督官庁”ごとにバラバラに分けず、”日本産酒類すべて(願わくば発酵食品も含む)”をひとつにまとめて”オールジャパン”で取り組めば、とんでもない魅力を持つ産業(しかも6次産業)になると思いました。

日本ワイン(農水省、国税庁、経産省)
國酒プロジェクト(国家戦略)
酒蔵ツーリズム(観光庁)

これらの取り組みが、酒類・発酵食品全般にわたって1本化されたら”日本の食文化の素晴らしさ”を国の財産として体系化できて、海外へも強力に発信できるようになるんだろうなぁ...(言うは易く行うは難し)。

(初稿)2016.8.30

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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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