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[JSA]夏ロゼの魅力 : ロゼワインの多様性にせまる(埼玉・熊谷) - アンジュ―とタヴェルの違い、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー夫妻が所有するミラヴァルなど

日本ソムリエ協会(JSA)のセミナーに参加しました。ロゼワインの多様性や料理との合わせ方を理解する大変良い機会となりました。

テーマ:夏ロゼの魅力 : ロゼワインの多様性にせまる
種 別:JSA関東支部・第6回例会セミナー(埼玉地区例会)
日 時:2016年8月6日(土) 14:00~16:00
会 場:キングアンバサダーホテル熊谷(埼玉県熊谷市筑波1-99-1)
講 師:加茂文彦氏(JSA理事。マンダリン・オリエンタル東京シェフソムリエ)
料 金:無料(JSA会員価格)
交 通:JR高崎線(上野駅⇔熊谷駅。約60分、片道1,144円)

★会場
160806 (5)JSA夏ロゼ(熊谷)キングアンバサダーホテル熊谷
会場のキングアンバサダーホテル熊谷は、JR熊谷駅から約500m(徒歩7分)です。熊谷市は「日本一暑い町」として知られるだけに、この日も最高気温 36.5℃(最低気温 25.3℃)、湿度40%と、まるでサウナの中を歩いているような天気でした...

★セミナー
160806 (7)JSA夏ロゼ(熊谷)テーブル・セット
加茂講師はロゼワインのメッカ、フランスのプロヴァンス地方での勤務経験があり、ロゼワインの魅力や国内外での需要動向などを、ご自身の体験などを交えながら話してくださいました。

<海外でのロゼワイン>
フランスではワイン全体の25~30%をロゼが占めており、スーパーマーケットには必ずロゼのコーナーがあるほど「日常のワイン」として定着しているそうです。特に日が長い(22時頃まで明るい)夏は、ワイン売り場がロゼ一色になるとか。アメリカではミレニアル世代(2000年以降に成人または社会人になった世代)やジェネレーションX世代(1960年代初頭から1970年代に生まれた世代。第13世代)と呼ばれる若者たちの強い支持を得ており、ロゼ市場は世界的に拡大しているそうです。世界的な「食のライト化」(和食ブームを含む)もロゼの需要を後押ししています。フランスでは2015年にロゼワインの生産量(消費量?)が白ワインを上回ったそうです。

<日本でのロゼワイン>
桜の季節を中心にプロモーションを試みるも、ロゼを浸透させるには至りませんでした。肌寒さの残る時期だったことや(海外では主に夏場に楽しまれる)、飲用シーンを具体的に提示できなかったことなどが原因として挙げられていました。ロゼの多様性を伝えきれず甘口のイメージを強く持たれたことや(ロゼ・ダンジュなど)、リーズナブルな価格がかえって消費者に敬遠されることなども指摘されていました。「ロゼを売るのは難しい(特にスティルワイン)」と、苦手意識を持つ飲食店も多いそうです。

<ロゼの魅力について>
ロゼワインは価格も比較的リーズナブルなものが多く、自由で気軽に楽しめるワイン。海外では夏場に屋外でよく冷やして飲むのが人気だそうです(テラス席やBBQなど)。多様なタイプがあり、幅広い食事と合わせやすいのも魅力のひとつ。フランスの中華料理店では8割のお客様がロゼワインを注文するそうです。単体で料理とピッタリ合わせることは(赤や白と比べて)難しくても、前菜から始まるコースをボトル1本のワインで通すならロゼがおすすめ。

★テイスティング
<テイスティング・アイテム>
160806 (13)JSA夏ロゼ(熊谷)テイスティング・アイテム_ボトル - コピー
①Chateau de FESLES Rosé d'Anjou La Chapelle 2013
②Domaine CAMU Fréres Bourgogne Vezelay Rosé 2014
③MIRAVAL Rosé 2015
④E.GUIGAL Tavel Rosé 2014
⑤岩の原ワイン 深雪花 ロゼ NV ※ブラインド

<各銘柄について>
160806 (10)JSA夏ロゼ(熊谷)テイスティング・アイテム_グラス

①Chateau de FESLES Rosé d'Anjou La Chapelle 2013(ロゼ・ダンジュ)
生産地:フランス・ロワール地方
生産者:シャトー・ド・フェル
ブドウ:グロロー、カベルネ・フラン
土壌:石灰質、片岩(シスト)質
メモ:セニエ方式。色調はやや濃く、サクランボ(佐藤錦)やフランボワーズのようなやさしい赤系果実の香り。味わいはほんのりとした甘さ、すっきりした酸味、余韻にかけての微かな渋味が調和し、爽やかな果実味が楽しめるロゼ。フォアグラのソテー(サクランボのピューレ)や豚のリエット(ピンクペッパー)と。生産者はボンヌゾーの近くにあり、アンジュ―最古のドメーヌのひとつ。

②Domaine CAMU Fréres Bourgogne Vezelay Rosé 2014(ヴェズレイ・ロゼ)
生産地:フランス・ブルゴーニュ地方
生産者:ドメーヌ・カミュ・フレール
ブドウ:ピノ・ノワール
土壌:石灰質(ジュラ紀)
メモ:セニエ方式で得た果汁とプレスした果汁をそれぞれステンレスタンクで醸造してからブレンド。色調は①よりもうすく、熟した洋梨や杏、アプリコットのような黄色い果実の香り。味わいの第一印象はフレッシュ。キリっとした酸とミネラル感、終盤にかけては独特の苦みと微かなタンニンを感じるスッキリとした辛口。醤油ベースの甘めのソース(北京ダック、肉団子など)に、ワインの酸が心地よく調和する。2,800円。

③MIRAVAL Rosé 2015
生産地:フランス・プロヴァンス地方
生産者:ミラヴァル
ブドウ:サンソー、グルナッシュ、シラー、ロール。収穫は朝。選果2回。
土壌:粘土、石灰岩
メモ:シラーの一部はセニエ方式、残りは直接圧搾。温度管理をしたステンレスタンク(95%)と樽(5%)で醸造。バトナージュ。色合いは”まさに桜の花びらのよう”。木苺などの赤い果実や白い花(アカシア)、独特のハーブの香り。程良い渋味がありバランスの良い味わい。とてもクリアで洗練されたワイン。辛みが強めの庶民的な料理(カレーや麻婆豆腐など)と合わせると、口の中のホットな刺激をワインの酸味がほどよく冷ましてくれる。あまり辛くない料理だと酸が先にきてしまうので合わせにくい。
ワイナリーはブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー夫妻の所有で、2012年よりぺラン・ファミリーをパートナーとして迎えてブドウ栽培やワイン醸造・販売を委託。100%オーガニックを心がけ、除草剤や殺虫剤などいかなる化学薬品も不使用。3,500円。

④E.GUIGAL Tavel Rosé 2014(タヴェル・ロゼ)
生産地:フランス・ローヌ地方
生産者:E.ギガル
ブドウ:グルナッシュ50%、サンソー30%、クレレット10%、シラー5%、その他5%。平均樹齢は25年。手摘み。
土壌:粘土、小石
メモ:一晩漬け込んだ後に果汁を引き抜き(セニエ方式)、温度調節をしながら発酵、ステンレスタンクで約6カ月熟成。色調は濃く、しっかりとした赤系果実(サクランボ。ダークチェリーまではいかない)の香りや、独特のハーブ香(タイム、ローリエなど)が③よりも鮮明。ミネラルを感じ、タンニンもしっかりとした完全な辛口。甘い肉団子にラー油やタバスコをかけた甘辛い料理と。甘いだけの肉団子だとワインの渋味が活きてこない。約3,000円。タヴェルは仏で唯一ロゼだけのAOC。

⑤岩野原ワイン 深雪花 ロゼ
生産地:日本・新潟県
生産者:岩の原葡萄園
ブドウ:マスカット・ベイリーA
メモ:セニエ方式(80%)と直接圧搾法を併用。前年ヴィンテージのワイン95%とリザーヴワイン5%をアサンブラージュ(従ってノン・ヴィンテージ)。色調は濃く、イチゴキャンディーのような香り。強い果実味と程よい酸味、終盤にかけての心地よい渋味のバランスが良い。2,200円。

⑤は、講師が生産国とぶどう品種の組み合わせを参加者に解答させるブラインド形式でした。フランス・ロワール地方のサンセール、カリフォルニアのジンファンデル、イタリアのカナイオーロ、日本という4つの選択肢で挙手を求めたところ、ほとんどの参加者が正解の日本を選べていました。

★質疑応答(一部)
<生産者がセニエ方式と直接圧搾法を選択するポイント>
造り手の意思次第で、一概には言えない。年によっても異なる(色の濃いブドウができたから直接圧搾、色を出したいからセニエで長めに漬け込む等、造り手の感性が問われる)。

<多様なロゼが存在する中で、提供温度はどうしたらよいか>
TPO次第。プロヴァンスの夏の屋外ならキンキンに冷やすが、屋外が暑くても空調のきいた涼しい部屋ならそこまで冷やさない。

<辛いものとワインを合わせるポイント>
例えば、エビフライにウスターソースを合わせる場合、そのままではワインの酸味が先に来てしまい合わせにくい。③で述べた通り、ディジョン・マスタードや和辛子などをウスターソースに加えて甘辛くすることで、ワインの酸味が穏やかになる。

★感想など
160806 (11)JSA夏ロゼ(熊谷)テイスティング一部
大学生の時にワイン居酒屋・膳丸で、カマンベールチーズのストロベリー・ソースとロゼワイン(ロゼ・ダンジュ?)を合わせて飲んでいた思い出がありますが、それ以外ではロゼをオーダーする機会は殆どありませんでした。今回のセミナーは、ロゼの魅力や楽しみ方を知る良い機会となりました。また、料理とワインの相性につき、五味の調和(特に、甘味・辛味・酸味)の考え方がとても参考になりました。

160806 (14)熊谷_花火大会
8月13日(土)に熊谷花火大会(打ち上げ数は約1万発)が予定されているため、街中や駅前には提灯が飾られていました。

(初稿)2016.10.30

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テーマ : ワイン
ジャンル : グルメ

[JSA]まだ知らないソーテルヌの魅力(東京・神田) - セミヨンが生み出す対極の香味、極甘口の貴腐ワインと辛口のボルドー・ブラン。プルミエ・クリュ「シガラ・ラボー」のこだわり

日本ソムリエ協会(JSA)の分科会に参加しました。同じブドウ品種から対極の香味を持つワインが生まれることを再確認する良い機会となりました。また、貴腐ワインが単なる甘口ワインではなく貴腐菌由来の独特の香味を持つワインであることを学びました。

テーマ:まだ知らないソーテルヌの魅力
種 別:JSA関東支部 分科会セミナー
協 賛:中央葡萄酒(株)
日 時:2016年4月4日(月) 14:30~16:30
会 場:日本ソムリエ協会ビル3F(東京都千代田区神田東松下町17-3)
講 師:ジャン・コンペイロ氏(Château Sigalas-Rabaud/シャトー・シガラ・ラボー)
通 訳:三澤彩奈氏(中央葡萄酒)
料 金:1,000円(JSA会員価格)

★会場
160404 (2)日本ソムリエ協会ビル
会場の日本ソムリエ協会ビルは、都営地下鉄新宿線の岩本町駅から約300mです。この日はJR秋葉原駅から約700mの道のりを歩きました。

★講師&通訳
160404 (5)JSAソーテルヌ_会場
講師のジャン・コンペイロ氏は、シガラ・ラボーの現オーナー(Laure de Lambert Compeyrot氏)のご子息で醸造も担当されています。シガラ・ラボーはボルドー地方のソーテルヌ&バルサック地区に11あるプルミエ・クリュの1つです。
通訳の三澤彩奈氏はボルドー大学ワイン醸造学部DUAD(公認ワインテイスター)コースを卒業され、2007年にご実家の中央葡萄酒に入社されて以来、醸造家として活躍されています。中央葡萄酒は山梨県に勝沼・グレイスワイナリー(甲州市)と、明野・ミサワワイナリー(北杜市)を所有しています。2014年には「キュヴェ三澤 明野甲州2013」がデキャンター・ワールド・ワイン・アワード (DAWA) で金賞を受賞しています。

★ソーテルヌ
160404 (10)JSAソーテルヌ_
フランスのソーテルヌは、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイと並び、世界三大貴腐ワインと称されています。貴腐ワインは、貴腐ブドウから造られる甘口の白ワイン。ソーテルヌ&バルサック地区では、水温が冷たいシロン川がガロンヌ川と合流し、2つの河川の水温の違いからブドウ畑に霧が発生します。この霧によってブドウにカビ(ボトリティス・シネレア菌)が付着し、菌糸が果皮のろう成分を溶かすことで果肉の水分が蒸発します。こうして甘みが凝縮された貴腐ブドウができあがります。

ボルドー地方の面積は約11.5万haですが、ソーテルヌ&バルサック地区はわずか2%(2,000ha)ほどの小さなA.O.C.です。同地区には、ソーテルヌ、ボンム、プレニャック、ファルグ、バルサックの5つのコミューン=村があります。バルサックは、ソーテルヌとバルサックのどちらのA.O.C.を名乗ることもできます。

1855年のパリ万博の際、メドック地区の赤ワインとともに、ソーテルヌ&バルサック地区の貴腐ワインにも格付けが行われました。唯一のプルミエ・クリュ・シュペリュール(特別第1級)の「シャトー・ディケム(Château d’Yquem)」を筆頭に、11のプルミエ・クリュ、15のドゥジエム・クリュが格付けされ、現在に至るまで変更は行われていません。シガラ・ラボーはプルミエ・クリュに格付けされています。

★シガラ・ラボー
160404 (6)JSAソーテルヌ_テイスティングアイテム(ボトル)
ボンム村にあるシガラ・ラボーは、クリュ・クラスの中で最も小さなシャトーです。”シガラ”はファミリーネーム、”ラボー”はシャトーがある丘に由来します。
企業買収が進み、ソーテルヌに残る家族経営のシャトーはシガラ・ラボーとラボー・プロミの2軒のみ。両者は元は同じシャトーでしたが、シガラ・ラボーが「シガラの宝石(仏:le bijou de Sigalas、英:the jewel of Sigalas)」とよばれる南向きの14haの畑だけを残して他の大部分の畑を売却し、それを購入して設立されたのがラボー・プロミです。

シガラ・ラボーはソーテルヌの中で最もバルサックに近い所にあり、前者の骨格がある複雑な味わいと、後者のフレッシュな味わいの両者の良い部分を兼ねそろえています。土壌は、(ぶどうにフレッシュな味わいをもたらす)粘土質の表面をグラーヴ(小石)が覆っており、南向きの畑でぶどうは良く熟すそうです。畑に植えられているのはセミヨンが85%でソーヴィニヨン・ブランが15%。前者はソーテルヌに複雑さを、後者はフレッシュさを与えるとされています。

<貴腐ぶどうの収穫はクレイジー!?>
グラス1杯のワインを造るのに、赤ワインなら1房で十分な場合もある一方で、貴腐ワインには1株の樹が必要となる場合もあります。貴腐菌は少しずつ付着するため、1本の樹の収穫が最大7回に及ぶこともあるそうです。貴腐かタダのカビかの見極めも重要であり、見た目で分からないときは香りで判別し、それでも不安な時はブドウを食べてみて、貴腐の味わいのあるものだけを収穫しているそうです。収穫時の貴腐ブドウの糖度は高く、潜在アルコールが21~23%にもなるそうです。
1.カビの生えたぶどうを収穫する、2.お金にならない作業をしている、という理由から、貴腐ブドウの収穫はクレイジーとも言われているそうです。

<醸造>
テロワールへのリスペクトから、酵母は(天然酵母ではなく、)ニュートラルな乾燥酵母を使っているそうです。発酵を止めるタイミングも難しく、アルコールと糖と酸のバランスを考えながら見極めているそうです。プレス機は3種保有しており、ヴァーティカルのものでゆっくり搾るのが良いそうです。絞ったものはタンクで一晩ねかせ、滓を沈めてから上澄みを使用するそうです。

<熟成>
糖度も酸度も高い貴腐ワインは長期熟成が可能であり、ソーテルヌでは60~70年寝かせることも当たり前だそうです(長くねかせれば良いというものではないとの指摘もありました)。シガラ・ラボーが所有する最古のヴィンテージは1910年、売り物では1975年。コンペイロ氏は、1881年のワインをテイスティングしたことがあるそうですが、味がしっかりのった素晴らしいワインだったそうです。

★テイスティング・アイテム
160404 (9)JSAソーテルヌ_テイスティングアイテム3種
①辛口2014:Alc.13.7%、総酸度4.9g/l。セミヨン。
②貴腐2013:Alc.13.4%、残糖度130g/l、総酸度3.69g/l。セミヨン。
③貴腐2001:Alc.13.5%、142g/l、総酸度4.05g/l。セミヨン85%、ソーヴィニヨン・ブラン15%。

160404 (7)JSAソーテルヌ_セミヨン2014辛口
①Sigalas-Rabaud La Semillante de Sigalas 2014

辛口の白は、現オーナーが2009年に導入したそうです。甘口ワインが売れにくくなってきていることから、辛口のソーテルヌを造っていきたいという動きがある一方で、今までにソーテルヌが築いてきた甘口の地位が薄れるのではというジレンマも抱えているそうです。

160404 (11)JSAソーテルヌ_シガラ・ラボー2013
②Château Sigalas-Rabaud 2013

160404 (8)JSAソーテルヌ_シガラ・ラボー2001
③Château Sigalas-Rabaud 2001

①最初にセミヨン種のドライ・タイプをテイスティングしました。色調は緑がかった淡いイエローで、黄色い柑橘類を中心とした華やかな果実香がありました。溌剌とした酸味が心地よく、微かにミネラルが感じられ、フレッシュで爽やかな味わいのワインでした。

②続いて、同じセミヨン種を使用したソーテルヌ2013年を利きました。色調は輝きのある濃いイエローで、熟したアプリコットや洋梨、微かに丁子やナツメグなどのスパイスの香りが感じられました。ハチミツのような凝縮した甘味があり、柑橘類のような程よい酸味が後味を引き締めてくれるバランスの良い貴腐ワインでした。

③さらにソーテルヌ2001年を利きました。外観はウイスキーのような琥珀色。果物の香りはドライフルーツのように変化しており、白檀や清涼感のあるお香のようなエキゾチックな香りも加わって、より複雑さを増していました。味わいにもシェリーのような熟成感が感じられました。2001年は非常によいヴィンテージで生産量も多かったそうです。

コンペイロ氏は、貴腐ワインには”サフランのような香り”や”スモーキーな香り”と”後味に残るほのかな苦味”があることを指摘されました。よく利いてみると確かにそのような香味が感じられました。これらは貴腐菌に由来する香りだそうです。貴腐ワインを(凍結果実や干しブドウを使用した)他の極甘口ワインと同じタイプと考えていましたが、この微生物由来の香味こそが貴腐ワインを特徴づける大切な要素であることを学ぶことができました。

ソーテルヌはフォワグラのような濃厚な料理と合わせるのがセオリーとされていますが、フランス南西部ではアペリティフからデザートまでソーテルヌで通すこともあるそうです。若いソーテルヌと熟成したソーテルヌの香味の違いを知っていれば、確かにそのような楽しみ方もできるのだと感じました。特に古いソーテルヌは、ウイスキーのように食後に単独で楽しみたいと思いました。

★ビオの認証をあえて取得しないこだわり
シガラ・ラボーではフェロモンを利用した害虫退治や除草剤を極力使用しない等、自然環境に配慮したブドウ作りを心がけています。しかし、ビオの定義がフランスではあいまいであるため、ビオの認証はあえて取得していないそうです。例えばボルドー液(硫酸銅と消石灰の混合溶液)を使用していてもビオの認定は可能ですが、長年にわたり畑に蓄積していく銅の悪影響が本当にないのかどうかはわからない等の疑問を持たれているそうです。「自分の庭のように、自分の子供のようにブドウを育てることが大切」というコンペイロ氏の言葉が強く印象に残りました。

★TGV延伸で、ソーテルヌ消滅の危機!?
フランスの高速鉄道TGV(テジェヴェ)が、2027年にボルドーから南方の街・ダクス(Dax)まで延伸する予定です。新線はソーテルヌのブドウ畑を横断するわけではありませんが、シロン渓谷を通る計画になっています。そのため、ソーテルヌ地区のテロワール(特に、霧の発生要因のひとつであるシロン川の水温)に影響を与え、貴腐ブドウが作れなくなることが懸念されています。
フランス鉄道線路事業公社(RFF)は「(ワイン生産環境に関する)影響調査は実施した」と主張していますが、地元のワイン生産者たちを納得させるには至らないようです。反対派は、TGV計画について調査するよう要求し、欧州司法裁判所(European Court of Justice)への提訴も辞さない構えを見せているそうです。『貴腐ワイン「ソーテルヌ」産地をおびやかす高速鉄道計画、仏(2015年01月02日 AFP)』より

★感想など
同じセミヨン種を使用したドライ・タイプと貴腐タイプの2種のワインをテイスティングすることで、全く違う香味を生み出す醸造の神秘を感じることができました。また、今まで貴腐ワインはただの甘口ワインと考えていましたが、「サフランやスモークのような独特の貴腐菌由来の香り」を知ることができ、とても有意義な体験となりました。

(初稿)2016.11.25

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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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