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【見学】アサヒビール名古屋工場(愛知・守山) - ミニ缶をつくるアサヒ唯一の工場。アーリータイムズ3種の比較試飲と9種のボイラー・メーカー。

知多半島のミツカン・ミュージアムに続き、アサヒビール名古屋工場を見学しました。思いがけず「アーリータイムズ」(バーボン・ウィスキー。以下、バーボン)の試飲もできたため、様々な「ボイラー・メーカー」(ビールとバーボンのカクテル)を試すことができました。

日時:2016年9月2日(金) 15:00~16:15(75分)
場所:アサヒビール名古屋工場(愛知県名古屋市守山区西川原町318)
内容:見学(ガイド付き)、試飲
料金:無料

★アクセス
160902 (157)新守山駅
最寄駅はJR中央本線の新守山駅。駅から工場までは約1.0km、徒歩約15分です。名古屋駅から新守山駅までは普通列車で約17分(5駅、240円)です。

★工場入口
160902 (160)アサヒビール名古屋工場_外観 - コピー
写真の看板の左脇から敷地内に入り、右手に進むと守衛所があります。
160902 (162)アサヒビール名古屋工場_守衛所
守衛所で氏名と見学に来た旨を伝えると、ゲストハウスの場所を教えてくれます。
160902 (161)アサヒビール名古屋工場_守衛所からゲストハウスへ1
守衛所の右側の通路をまっすぐ進み、右折します。
160902 (163)アサヒビール名古屋工場守衛所からゲストハウスへ2 - コピー
この写真の右奥の角を左折すると正面にゲストハウスが見えます。
160902 (165)アサヒビール名古屋工場_ゲストハウス
赤茶色の建物がゲストハウスです。
160902 (164)アサヒビール名古屋工場_屋外タンク - コピー
ゲストハウスに向かう途中に、迫力ある大きな屋外発酵・熟成タンク(以下、屋外タンク)が立ち並んでいるようすが楽しめます。

★見学受付(ゲストハウス)
160902 (166)アサヒビール名古屋工場_ゲストハウス入口
ゲストハウス入口の案内板。
160902 (170)アサヒビール名古屋工場_ゲストハウスのカウンター
カウンターで予約をしている旨を伝え、受付表に氏名などを記入します。
160902 (169)アサヒビール名古屋工場_パンフレットなど - コピー
受付を終えると、パンフレットと試飲会場での座席番号札が配られます。小さい札は大きな荷物を預かってもらった場合の番号札です。
160902 (168)アサヒビール名古屋工場_ゲストハウス(待合室)
ゲストハウスの待合室。この回の見学者は11名でした。

★工場見学(ルート)
160902 (202)アサヒビール名古屋工場_工場案内図 - コピー
工場見学は、赤い矢印のルートにそって進められました。残念ながら、製造ライン(醸造棟、装製棟)の写真撮影は禁止でした。

★工場見学(屋外タンクと八角堂)
160902 (177)アサヒビール名古屋工場_屋外タンクと通路
女性ガイドさんの案内で、屋外タンクのすぐそばの小道を歩いて工場に向かいます。
160902 (176)アサヒビール名古屋工場_屋外タンク
屋外タンク(直径約7m、高さ約20m)の容量は350mlの缶ビールでなんと約60万本分!名古屋工場では、1日に屋外タンク約3本分のビールが出荷されるそうです。出荷先は中部8県(東海3県、北陸3県、長野県、静岡県)。屋外タンクを間近に見ることができるのは、アサヒビールの8工場のうち名古屋工場だけだそうです。
160902 (175)アサヒビール名古屋工場_八角堂
醸造棟の入口にある”八角堂”に到着。
160902 (181)アサヒビール名古屋工場_八角堂(道内) - コピー
八角堂の1階のホールの壁には、中世ヨーロッパのビールづくりの様子が描かれています。陶芸家の鈴木青々[すずき せいせい]氏の作品で、約1,000枚もの陶板が使われているそうです。

★工場見学(製造ライン)【撮影禁止】
製造ラインでは、見学通路からガラス窓越しに機器などを見学します。名古屋工場では、アサヒビールが現在製造している約40銘柄のうち8銘柄が製造されています。

<ビールの原料>
・ビールの主原料は麦芽、ホップ、水。スーパードライには他に副原料(米、コーン、スターチ)が使われています。恒例の麦芽の試食とホップに触れるコーナーがありました。
・仕込水は”木曽川水系”の水を使用していますが、ビールの味わいを均一に保つため、事前に浄化し、ミネラル分の調整などを行っているそうです。

<仕込み>
・仕込室では、麦芽などのデンプンを糖に変え(糖化)、ホップを加えて煮沸をして"麦汁"を造る工程を行います。麦汁は完熟メロンやマンゴーと同じくらいの糖度(甘さ)になるそうです。
・仕込みに使われるのは、仕込釜、仕込槽、麦汁濾過槽、煮沸釜、ワールプールの5種。
・見学通路から見て奥の部屋が発泡酒用、手前がビール用のライン。
・仕込みの状況は、コントロール室で社員が24時間・3交代制で厳しくチェック。

<発酵・熟成>
・映像でビール酵母が麦汁を発酵させていくようすを見学します。
・約1週間で若ビールと呼ばれる状態になり、その後屋外タンクで数十日かけて熟成されます。

<ろ過>
・熟成させたビールはろ過器を通してビール酵母を取り除きます。
・ろ過器の中には500本ものフィルターが入っているそうです。

<パッケージング>
・できあがったビールは、缶・瓶・樽などの容器に充てんされます。円盤型の缶詰機は、1分間に約1,500本分ものビールを充てんできるそうです(1秒間でおよそビール1ケース=24本分)。

<ミニ缶の製造ライン>
・通常の缶詰機がある製造ラインに続いて、135mlのミニ缶専用のラインも見学できました。ミニ缶の缶詰機は、通常よりも一回り小さなサイズでした。135mlのミニ缶と、2ℓと3ℓのミニ樽を造っているのは、アサヒビール8工場のうち名古屋工場だけだそうです。

<主役は機械ではない!?>
・すべて機械化・自動化されているように見えるラインでも、1時間に1度は機械を止めて、品質チェックやメンテナンスなどの作業を人間が行っているそうです。

<品質管理室・官能検査>
・ビールの状態は選抜試験に合格した”パネリスト”によって検査されます(官能検査)。中には”スーパードライの製造日がわかる”ほどの味覚の持ち主もいるそうです。検査は1日1回、五感がもっとも鋭くなる16時から1時間かけて行われます。検査対象は、自社の完成品だけでなく、他工場のビールや仕掛品にも及び、1回につき多くて20~40種、最大で1ℓのビールを検査します。ワインや日本酒と違い、ビールは”のどごし”のチェックを行うため、お酒は吐き出さずに飲み込みます。よく羨ましいと言われるそうですが、車や自転車通勤ができないなどの制約があり、パネリストは大変なお仕事なのだそうです(体調管理にも相当気を遣う必要があると思いました)。

<ノンフロン設備>
・屋外の大型空調機(温水冷水を発生させて工場内の冷暖房を行う装置)をガラス窓越しに見学しました。アサヒビール名古屋工場は、国内の産業界で最初に完全ノンフロン化を実現したそうです。

<リサイクルへの取り組み>
・アサヒビールの工場ではリサイクル率100%を達成しています。廃棄物の約8割を占める”麦の殻”は家畜のえさに、役目を終えた酵母菌はエビオス錠などに、そしてペットボトルは従業員の制服などにリサイクルされています。

★工場見学(屋外からゲストハウスへ)
160902 (182)アサヒビール名古屋工場_2種の屋外タンク
屋外に出ると再び撮影ができるようになります。通路からは2種類の屋外タンクが見えました。小さい方は”アサヒタンク”と呼ばれる旧式のもので、発酵のみ(大きいタンクは発酵・熟成)を行うそうです。

★試飲
160902 (187)アサヒビール名古屋工場_ゲストハウス - コピー
工場見学の後はゲストハウスに戻り、試飲をさせて頂きました。
160902 (188)アサヒビール名古屋工場_試飲会場
試飲会場。適正飲酒の観点から、1人につき3杯までとなります。
160902 (200)アサヒビール名古屋工場_試飲会場のカウンター
カウンターで1杯目を受け取って、あらかじめ渡されている番号の席につきます。
160902 (193)アサヒビール名古屋工場_試飲(スーパードライ)
1杯目は全員が「アサヒスーパードライ」。暑い日には特にスッキリとしたキレが爽やかに感じられました。
160902 (197)アサヒビール名古屋工場_試飲(アサヒドライプレミアム豊醸)
2杯目は「アサヒスーパードライプレミアム豊醸」。
160902 (198)アサヒビール名古屋工場_試飲(アサヒスーパードライ・ドライブラック)
3杯目は「アサヒスーパードライ・ドライブラック」。

★試飲(アーリータイムズ)
160902 (194)アサヒビール名古屋工場_アーリータイムズのボトル
この日は特別に、アサヒビールが取り扱うバーボン「アーリータイムズ」の試飲もできました。

(参考)バーボン:
・1789年(合衆国発足の年)、エライジャ・クレイグ牧師によって作られ始めたのが最初といわれています。
・バーボンという名前は、アメリカ独立戦争の際にアメリカ側に味方したフランスの「ブルボン朝」に由来します。トーマス・ジェファーソン(後の合衆国大統領)が感謝の意をこめてケンタッキー州の郡のひとつを「バーボン郡」と名づけ、それが同地方で生産されるウィスキーの名前となり定着したそうです。
・主原料はトウモロコシ(51%以上80%未満。80%以上のトウモロコシを含むものは「コーン・ウィスキー」と呼ばれて区別される)、ライ麦、小麦、大麦など。これらを糖化・アルコール発酵させた後に、連続式蒸溜機でアルコール度数が80%(160プルーフ)以下となるように蒸溜します。その後アルコール度数62.5%(125プルーフ)以下に加水調整し、内側を焼き焦がしたホワイトオーク製の”新樽”に詰めて、2年以上貯蔵・熟成します。出荷の際に加水を行う場合、アルコール度数は40%(80プルーフ)以上でなければいけません。
・熟成の際に樽の内側を焦がす理由は定かではなく、”クレイグ牧師が樽を置いていた鶏小屋が火事に遭い偶然にできた”、”最初から内側が焦げていた樽を偶然使用していた”、”魚が詰めてあった樽の生臭さを消すために仕方なく内側を焦がした”など様々な説あります。

160902 (196)アサヒビール名古屋工場_アーリータイムズ3種
左から、
①「アーリータイムズ イエローラベル」Alc.40%
②「アーリータイムズ ブラウンラベル」Alc.40%
③「アーリータイムズ ブラインドアーチャー」Alc.33%

②は日本市場向けに1996年につくられたもので、原料のとうもろこしの比率がイエローラベルの71%に対して79%と高め(モルトの風味が相対的に低くなる?)。さらに、チャコールフィルターを2重にかけて滑らかな味わいに仕上げられています。
③はアーリータイムズのウィスキーをベースにしたスピリッツに、青リンゴのフレーバーを添加したフレーバード・ウィスキー(税法上はリキュールに分類)です。ブラインドアーチャー(Blind Archer)とは”目隠しをした弓矢使い”という意味で、弓の名手とされる伝説の英雄ウィリアム・テルが、目隠しをして息子の頭上のリンゴを射抜いたという話に由来しています。日本での発売は2015年3月3日です。

<アーリータイムズについて>
・1860年ケンタッキー州のバーボン郡、アーリータイムズ村で生まれたウィスキー。
・アメリカの禁酒法時代(1920~1933年)に、「医療用ウィスキー」の表示を行うことで法律の適用が免除されたことで広く知られるように。そこに目をつけたブラウン=フォーマン社によって買収され、それ以降はケンタッキー州西部の都市ルイビル(Louisville)のダウンタウン蒸溜製造所で生産されています。
・現在、アメリカ国内で販売されているアーリータイムズは、”再利用の焦がしオーク樽”で熟成したウィスキーが20%を占めるため、バーボン・ウィスキーではなく、ラベルには「ケンタッキー・ウィスキー」と表示されています。逆に輸出用のアーリータイムズは、”焦がしオークの新樽”で完熟されたアルコール度数(Abv.)40%の本物のバーボンです。日本ではサントリー酒類が扱っていましたが、ブラウン=フォーマン社がアサヒビールと国内販売契約を結んだのに伴い、2013年から同社が輸入販売を行っています。

<ボイラー・メーカー>
160902 (199)アサヒビール名古屋工場_ボイラーメーカー
バーボンとビールを使ったカクテル「ボイラー・メーカー」をいろんなパターンで試すことができました。ビールとバーボンのタイプによって、全く香味の異なるカクテルができるので、合わせる食事や気分によってバリエーションを選べる楽しみを再認識しました。個人的には、甘い樽香のきいたブラウンラベルのバーボンに、コクのある豊醸やドライブラックを合わせたものが好みでした。また、ブラインドアーチャーとドライブラックの組み合わせもツボでした。

★和食麺処サガミ(愛知県名古屋市守山区大永寺町229)
160902 (205)サガミ(外観)
小腹(?)がすいたのでガイドさんにおすすめのお店を聞いた所、「サガミ 守山大永寺店」を紹介してくれました。チェーン店ですが、名古屋らしいメニュー(いわゆる、”名古屋めし”)も揃っているとのこと。工場にはお店までの地図も用意されていました。工場からお店までは約600mです。
160902 (210)サガミ(みそカツ丼) - コピー
名古屋めしといえば、やっぱりみそかつ丼(税込1,015円)。
160902 (207)サガミ(大吟醸)
昼間に訪れたミツカンと同系の中埜酒造[なかの-]の日本酒もありました。サガミ用につくられた「國盛」の大吟醸(税込529円)。

★感想など
工場内の撮影ができないのは残念でしたが、ミニ缶の製造ラインが見学できたことや、アーリータイムズの比較試飲ができたことは大収穫でした。また、バーボンについて調べ直す良い機会にもなりました。
ガイドさんは工場内も含めて、ほとんどの時間を”後ろ歩き(参加者に背を向けない体勢)”で説明をしてくれました。特に訓練をするわけではなく、つまずいたこともないそうですが、一度だけ”生きたセミ”を踏んでしまったことがあるそうです(それはびっくりするだろうなぁ...)。説明もとてもわかりやすく、今日もガイドさんの”プロ意識”を感じ、良い刺激になりました。

(初稿)2016.9.9

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テーマ : ビール工場見学
ジャンル : グルメ

【見学】アサヒビール吹田工場(大阪・吹田) - コーン・スターチ、回転寿司、スタウト、数々の”初”

アサヒビールの吹田工場を見学しました。予備知識なしで訪れましたが、見どころ満載で大満足のツアーでした。

日時:2016年7月9日(土) 9:30~11:00
場所:アサヒビール吹田工場(大阪府吹田市西の庄町1-45)
内容:見学、試飲(ガイド付き)
料金:無料

★アクセス
160709⓪JR吹田駅 (1)
最寄駅はJR東海道線の吹田駅。大阪駅8:55→吹田駅9:04の京都行・各駅停車に乗りました。運賃は180円です。
160709⓪JR吹田駅 (3)東出口
進行方向いちばん前の出口(東出口)を出て左に進みます。
160709①アサヒビール吹田工場 (94)アクセス
工場は吹田駅に面していますが、入口は敷地の反対側になるので約10分ほど歩きます。
160709①アサヒビール吹田工場 (5)外観
アサヒビールの前身”大阪麦酒会社”は、1889年に大阪市で創業されました。社名ロゴの横には”SINCE1889”と記されています。吹田工場(当時は吹田村醸造所)は1891年に建てられました。

★見学受付
160709①アサヒビール吹田工場 (9)守衛所
工場の入口を入ってすぐのところにある守衛所で、まず見学に来た旨を伝えます。その後、敷地内の遊歩道を歩いてメインの会場へ向かいます。
160709①アサヒビール吹田工場 (13)敷地内遊歩道
左奥に見えるのは、麦芽製造工場の屋上に取り付けられていた”排気筒”。中世騎士の甲冑を思わせる姿で「カブト」と呼ばれていました。風向きに合わせて回転する姿は工場のシンボルだったそうです。
160709①アサヒビール吹田工場 (20)レンガ造り
メイン会場のエントランス前には、竣工当時のレンガ壁面がほぼそのまま移設されています。当時の吹田村醸造所はレンガ組積造[そせきぞう]4層の壮麗な洋風建築で、独・ゲルマニア機械製作所の基本設計に基づき、明治建築界の第一人者・妻木頼黄[つまきよりなか]によって実施設計されました。名建築として長く吹田市民に親しまれてきましたが、平成元年(1989年)にその姿を消してしまいました。
160709①アサヒビール吹田工場 (22)見学受付
メイン会場の見学受付。隣には売店があります。

★映写室
160709①アサヒビール吹田工場 (25)DVD
受付を済ませたら映写室へ。女性ガイドの挨拶の後に、10分程度の会社紹介の映像を観ます。

★工場の歴史
160709①アサヒビール吹田工場 (27)歴史1
続いてスタートホールへ。操業開始当時の写真などが展示されています。右の大きな写真は初出荷の記念に撮影されたもの。真ん中のテーブルを挟んで左側に初代社長の鳥井駒吉氏、右側に初代工場長の生田秀氏が座っています。鳥井氏は大阪・堺の酒造家でしたが、本場ドイツの最新技術を導入した美味しいビールを国内でも造りたいと発起し、1889年に大阪麦酒会社を創業しました。
160709①アサヒビール吹田工場 (28)歴史2
当時の醸造機械・設備。
160709①アサヒビール吹田工場 (37)復元模型_牛馬による出荷
明治25年の吹田村醸造所の復元模型(S-1/70)。牛馬でビールを出荷する様子などが再現されています。
160709①アサヒビール吹田工場 (31)復刻ボトル
発売当時のボトルのレプリカ。ラベルのデザインは”波に昇る朝日”。

★吹田工場について
吹田工場は、アサヒビール(株)のビール類工場8拠点の中で最も歴史が古く、本年で操業125周年を迎えます。2015年の「ビール類」及び「ビールテイスト清涼飲料」の製造量は全国の約21.6%と、茨城工場に次いで2番目に高い構成比をもつ重要な製造拠点となっています。2015年の工場見学者数は、過去最高の15万人を突破したそうです。
160709①アサヒビール吹田工場 (48)ツアーの様子
この回も朝イチのコースにもかかわらず、多くの参加者で賑わっていました。

★ビールの主原料
160709①アサヒビール吹田工場 (41)麦芽
160709①アサヒビール吹田工場 (40)ホップ
ビールの主原料は麦芽、ホップ、水の3つ。恒例の麦芽の試食とホップの香りの確認がありました。

★ビールの副原料(コーンとスターチの違い)
160709①アサヒビール吹田工場 (42)コーン・スターチ
ビールの原材料は通常”麦芽・ホップ・米・コーン・スターチ”というように書かれているので、コーンとスターチが別々なのか、コーン・スターチ(とうもろこしデンプン)で1種なのかがわかりにくいですが、このツアーではコーンとスターチが別であり、役割も異なることがしっかりと説明されていました。

「コーン」:トウモロコシの皮と胚芽を除き粉砕したもの。口当たりをまろやかにします。
「スターチ」:トウモロコシを精製して作ったデンプン。ビールの風味をスッキリとさせます。

★ビールの製造工程(工場見学のしおりより)
①製麦工程:大麦に水と空気を与えて発芽させ、その後乾燥させて成長を止め、脱根[だっこん]して麦芽にします。

②仕込工程:
<1.仕込釜>まずお湯に、麦芽の一部と、米・コーン・スターチなどの副原料を加え煮ます。
<2.仕込槽>残りの麦芽にお湯を加え、さらに仕込釜で煮たものを加えます。【液中のでんぷん質が麦芽糖に変わります】
<3.麦汁ろ過槽>仕込槽でできた麦汁をろ過し、透明な麦汁(あめ湯)にします。発生した粕(モルトフィード)は牛などの飼料に再利用されます。
<4.煮沸釜>麦汁にホップを加えて煮沸します。【ビール特有の芳香と苦味が生まれます】
<5.ワールプール>煮沸で生じたたんぱく質・ホップの粕などを取り除き、透明な麦汁ができあがります。ここまでの仕込工程は約8時間かかるそうです。

③発酵熟成工程:冷やした麦汁にビール酵母を加えて発酵させると、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて約1週間で「若ビール」ができあがります。若ビールは、さらに低温で数十日間じっくり熟成させて美味しいビールになります。酵母の大きさはおよそ1/100㎜で、コップ一杯のビールに約100億個もの酵母が使われます。酵母にはいろいろな種類があり、ビールのタイプによって使い分けられるそうです。使用済みの酵母はエビオス錠などの医薬部外品や食品のエキス分などに再利用されます。ビールに含まれる炭酸ガスは原則天然のものですが、居酒屋のサーバーは(泡をきめ細かくするため)炭酸ガスを人工的に注入しているとのことでした。
160709①アサヒビール吹田工場 (73)発酵熟成タンク
屋外の発酵熟成タンクは直径7m、高さ23mで5階建てビルとほぼ同じ高さ。1本の容量は500klで、缶ビールだと約140万本分。毎日1本ずつ飲んだとして、タンクを空にするのに約4000年もかかるそうです。この巨大なタンクが工場内に140本もあります。屋外型の発酵熟成タンクは1965年に同社が開発したものが世界初とのこと。

④ろ過工程:熟成したビールをろ過すると、黄金色に輝く生ビールができあがります。ろ過にかかる時間は約30分。ビール酵母がすべて除去され、オレンジジュースのような濁った色から透明なビールになります。
160709①アサヒビール吹田工場 (50)ろ過器
ろ過器の外観。
160709①アサヒビール吹田工場 (52)ろ過器1
キャンドル型ろ過器の内部。ろ過フィルター(=キャンドル?)は600本入っているそうです。
160709①アサヒビール吹田工場 (51)ろ過器2
キャンドル部分の断面図。ろ過フィルターはプラスチックの原料、高炉原料などに再利用されます。

⓹パッケージング工程:できあがったビールは缶・びん・樽などの容器に入れられて出荷されます。生ビールは鮮度が命なので、パッケージングはスピード重視。ビールができるまでに約1カ月(麦汁8時間、発酵1週間、熟成3週間、ろ過30分)かかりますが、容器に詰めて自動出荷されるまではわずか30分程度しかかからないそうです。
160709①アサヒビール吹田工場 (66)缶詰処理能力
350mlの缶が1分間にできる量は、24缶入り×62ケースと6缶パック×2個分。
160709①アサヒビール吹田工場 (64)缶詰のしくみ
缶詰めのしくみ。

★吹田工場は回転寿司の発祥地!?
160709①アサヒビール吹田工場 (63)缶詰機
元禄産業(株)創設者の白石義明氏(1913.11-2001.8)は、アサヒビール吹田工場の見学時に観たベルトコンベアにヒントを得て、世界初の”回転寿司”を思いついたそうです。彼は1958年に、大阪府布施市(現:東大阪市)の近鉄布施駅北口に、世界最初の回転寿司店「廻る元禄寿司 1号店」を開きました。このアイデアは1962年に実用新案登録(登録第579776号)されたため、1978年まで世の中に回転寿司店は「元禄寿司」チェーンしか存在しませんでした。多数の注文を低コストで効率的に捌くことを可能にした「コンベヤ旋廻食事台」は、高級の代名詞であった寿司を手軽な大衆食にしました。

★空缶ができるまで(協力:昭和アルミニウム缶(株))
160709①アサヒビール吹田工場 (67)空缶の製造工程
<空缶の出来上がるまで>
上段:カップ成形→缶体成形①・②・③・④→縁取り成形
下段:外面印刷→ネック加工①・②・③・④→フランジ成形(完成)
160709①アサヒビール吹田工場 (68)タブ
<缶ふたの出来上がるまで(206スーパーエンド)>
シェル成形→シール材塗布→リベット成形→スコア成形→パネル成形→(別ルートでタブ成形→)かしめ成形→点字の刻印(完成)
・シール:ビールの漏れ防止を補助するもの
・リベット:ふたとタブを止めるもの
・スコア:飲み口を開けやすくする為のみぞ
・タブ:ふたの飲み口を開けるところ

★輸出用の750ml缶
160709①アサヒビール吹田工場 (70)輸出用750ml缶
韓国輸出用のアサヒスーパードライ750ml缶。国内では現在、このサイズは販売されていないそうです。

★8065函の”函”って?(電光掲示板の表示)
160709①アサヒビール吹田工場 (71)函
函[音:カン、訓:はこ]は”ハコ”という入れ物の一形態のようです(参考:「美術売買 骨董・コンテンポラリーを中心に」さまのブログ記事)。ビール酒造組合の市場動向レポートでは、課税移出(引取)数量を”函数”で表しており、大瓶換算1函=12.66リットルで算出と書かれていました。
アサヒビールHPのQ&Aには「缶ビールの函の中に、中味が少ない缶が入っていました。どうして?」という質問もありました(回答は「落下してしまったり、強い衝撃が一ヶ所に集中してしまった場合など、まれに小さな孔(ピンホール)があいて、中味が漏れだしてしまうことがある」ため)。函と缶の音読みが共に”カン”なのでまぎらわしいようです。50缶で発注したつもりが50函届いたというような間違えもあったのかなとふと思いました。

★ビールの品質検査(品質管理室)
160709①アサヒビール吹田工場 (60)品質管理室
ビールの品質チェックは(機械による検査に加えて、)”パネリスト”と呼ばれる検査員による官能検査も行われます。検査対象は当日できあがったビールだけでなく、一定期間保存したもの、半製品(麦汁など)、原料、仕込水、他工場でつくったビールにまで及びます。検査では実際に試飲をして、味・香り・泡立ち・色・のどごしなどをチェックします。また、商品コンセプトとの適合性なども審査されます。

★世界のビール(ワールドビアコレクション展示コーナー)
160709①アサヒビール吹田工場 (80)世界のビール
工場見学を終えて長いエスカレーターを降りると、世界のビールの容器が展示されているスペースがあります。さまざまなデザインのものが揃っていて、ここだけ見ていても半日はつぶせそうでした。

★試飲
160709①アサヒビール吹田工場 (24)試飲会場
最後に試飲会場(ゲストホール)へ。受付時に配られた番号の席につき、メニューの説明などを受けた後に試飲が始まります。時間は20分、1人あたりタンブラー3杯まで試飲できます。1杯目の銘柄は決まっていますが、2杯目以降は参加者の好きなものを好きな順番に選べます。
160709①アサヒビール吹田工場 (83)スーパドライ・エクストラコールド
1杯目は「アサヒスーパードライ・エクストラコールド」。最先端の温度管理システムと専用サーバーを使い、氷点下(-2℃~0℃)で提供されます。この日の提供温度はマイナス1.9℃(他のビールは約5℃)でした。
160709①アサヒビール吹田工場 (88)ドライプレミアム豊穣
2杯目は「アサヒドライプレミアム豊醸[ほうじょう]」。アルコール度数は高めの6.5%。ホップはチェコザーツ産の最高級ファインアロマホップや稀少アマリロホップなど複数種をブレンド。麦汁の煮沸前後の2回に渡ってホップを投入する”レイトホッピング製法”を採用しています。モデルは柴咲コウさん。
160709①アサヒビール吹田工場 (90)ドライブラックと関西仕立て
3杯目は「アサヒスーパードライ・ドライブラック」。氷点ろ過製法で辛口に仕上げた黒ビールです。隣の小さいカップは「クリアアサヒ・関西仕立て」の試供品。
160709①アサヒビール吹田工場 (87)クリアアサヒ関西仕立て
「クリアアサヒ・関西仕立て」は本年6月21日より関西エリア限定(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)で発売されている新商品。関西の食卓を代表する「たこやき」や「お好み焼き」などソースを用いた料理と調和する”ふくらみのある、まろやかな味わい”を追求した商品です。同社の全国展開「ビール類」ブランドで、エリア限定商品を発売するのは初めてのこと。
品目:リキュール(発泡性)①、原材料:発泡酒(麦芽、ホップ、大麦、コーン、スターチ)スピリッツ(大麦)、アルコール分:6%。

★竹鶴政孝パネル展
160709①アサヒビール吹田工場 (89)竹鶴政孝パネル展
試飲会場の近くには、マッサンでおなじみのニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏のパネル展のコーナーがありました。同社は2001年(平成13年)に、アサヒビール(株)の完全子会社となっています。

★アサヒ・スタウト
160709①アサヒビール吹田工場 (93)アサヒスタウト1
イギリスタイプの上面発酵濃色ビール。アルコール分は8%とビールにしてはかなり高め。原材料は麦芽、ホップ、糖類。吹田工場限定販売と聞いたので利き酒用に購入しました。334mlで税込267円です。アサヒスタウトはおみやげの人気ランキング第2位。1位はなだ万のクリームチーズおかきでした。
160709①アサヒビール吹田工場 (93)アサヒスタウト2
ドライプルーンのような濃縮された甘さと心地よい酸味があり、重厚で骨格のある味わい。同じ黒い色合いのビールでも、シャープな印象のドライブラックとは全く異なる香味が楽しめました。黒い色のビールはなんでも「黒ビール」と表現したくなりますが、厳密には、下面発酵が「黒ビール」で上面発酵は「スタウト」(だったはず...)です。

★アサヒビールの”初”
・1891年、日本人の手による初めての近代的ビール工場(吹田村醸造所)が完成。
・1893年、国内で初めてビール瓶を自社生産(北区の西堀河町(現・西天満)に製びん所を開設)。
・1958年、日本初の缶入りビール(スチール缶)を発売。当時は飲み口を缶切で開けていました。
・1965年、世界初の屋外発酵熟成タンクを開発。均質なビールの大量生産が可能に。
・1971年、日本初のアルミ缶入りビールを発売。
・1987年、世界初の辛口生ビール「アサヒスーパードライ」発売。

★感想など
ネタが豊富で展示物も充実しており、とても見応えのある工場見学でした。ガイドの説明もとてもわかりやすかったです。
レギュラー商品の750ml缶とアサヒスタウトの缶入りを導入して全国展開してくれないかなぁ...

この後は四大杜氏のひとつ・丹波杜氏の資料館を目指して篠山に向かいました。

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テーマ : ビール工場見学
ジャンル : グルメ

世界のビール講座 ~ ベルギービール編 @ アサヒビール茨城工場

アサヒビールが取り扱うベルギービールのセミナーに参加しました。
2008年9月に、6銘柄の販売権を小西酒造より取得していますす。

テーマ:世界のビール講座 ~ ベルギービール編
日 時:2014年9月14日(日) 11:00~12:40
場 所:アサヒビール茨城工場(守谷駅から無料送迎バス有り)
料 金:無料
140914アサヒ

映像上映(ベルギービールの歴史や特徴)、工場見学の後に、
ベルギービール3種とスーパードライ3杯の試飲が楽しめます。

【ベルギービール】
①ステラ・アルトワ(Alc.5.0%)ピルスナー[ラガー]
②ヒューガルデン・ホワイト(Alc.4.9%)ホワイト・ビール[エール]
③レフ・ブラウン(Alc.6.5%)アビィ・ビール = 修道院ビール[エール]
140914アサヒベルギー1
原材料は、
①麦芽、ホップ、コーン、酸化防止剤(亜硫酸塩)
②麦芽、ホップ、小麦、糖類、コリアンダーシード、オレンジピール
③麦芽、ホップ、コーン、糖類、苦味料、香料

日本では3銘柄すべて、ビールではなく「発泡酒」になります。
酒税法§3-12に定められていない原材料を使っているためです。

140914アサヒベルギー2
①は日本でもおなじみのピルスナータイプ。ホップの苦味と、キレのあるスッキリした味わい。
②は小麦を使った白っぽいビール。柑橘類やバナナを思わせるフルーティーな香味、ほのかにスパイシー。
③は濃厚な琥珀色。ロースト麦芽の香ばしさと力強いコク。

②は酵母菌が入っているため、撹拌するとコクとうまみが引き立ちます。
ベルギービールバーに通っていた頃によく飲んでいたので懐かしかったです。


【スーパードライ】
試飲できるのは、以下の5種。
④スーパードライ(Alc.5.0%)
⑤スーパードライ ドライプレミアム(Alc.6.0%)
⑥スーパードライ ドライブラック(Alc.5.5%)
⑦スーパードライ エクストラコールド
⑧スーパードライ エクストラコールド ドライブラック
140914アサヒドライ1
④は1987年発売の「日本初の辛口」ビール。麦芽使用比率を抑え、同社の酵母バンク数百種から選ばれた「アサヒ318号酵母」を使用してキレのあるスッキリした味わいを実現。
⑤はエキス分の濃い「国産ゴールデン麦芽」を使用。原酒仕立てのプレミアムビール。2013年6月に誕生(当初はギフト用)。
⑥は「黒麦芽」を一部使用。スーパードライ製法で従来の黒ビールよりキレのある味わいに。
⑦⑧はスーパードライを凍結寸前(0~-2℃)まで冷却。専用ディスペンサーがあるお店にて提供。
140914アサヒドライ1
同行者とシェアしたので、全銘柄を利けました。
工場で飲むドラフトビールは鮮度が抜群なので、香味の違いがわかりやすかったです。


工場見学の後は、守谷の「ハンス・ホールベック」でランチ。
本格的なドイツスタイルのソーセージが楽しめます。
140914ハンスホールベック

ここではドイツビール3種類をテイスティング。
(1)エルディンガー・ヴァイスビア(Alc.5.3%、500ml、900円) Weiß=白
(2)エルディンガー・ドゥンケル(Alc.5.3%、500ml、900円) Dunkel=暗い
(3)ケストリッサー・シュバルツ(Alc.4.8%、330ml、580円) schwarz=黒
140914ハンスホールベックBEER

エルディンガーはドイツ最大の小麦ビールの醸造所です。

140914エルディンガー・ヴァイス
(1)ドイツのホワイト・ビールは(ベルギーと違って)オレンジピールやコリアンダーシードが入っていません。
「ビール純粋令」の名残りで”麦芽・ホップ・水・酵母菌”以外の原材料を使えないためです。

140914エルディンガー・ドゥンケル
(2)黒色ですが、小麦を使用したビールです。

140914エルディンガー、ケストリッサー
(3)右側がケストリッサー。ラガー(下面発酵)タイプ。文豪ゲーテも愛飲したそうです。

ドイツビールやベルギービールは”銘柄ごとに専用のグラス”があります。
グラスの形状や厚みは、その銘柄をもっとも美味しく楽しめるように作られています。


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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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