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平成27酒造年度の全国新酒鑑評会について(東京・池袋)

全国新酒鑑評会の公開きき酒会”に続き、日本酒フェアの無料セミナーに参加しました。全国新酒鑑評会の概要や審査手順、近年の傾向などを、主催者である(独)酒類総合研究所の部門長がわかりやすく説明してくれました。

日時:2016年6月18日(土) 13:15~13:45
場所:ワールドインポートマートビル4F・展示ホールA(東京都豊島区東池袋3-1-1)
内容:平成27酒造年度(H27BY)の全国新酒鑑評会について
講師:藤井力氏((独)酒類総合研究所 品質・安全性研究部門 部門長)
料金:無料(第10回全国日本酒フェアのチケット保有者)
主催:日本酒造組合中央会
後援:国税庁、観光庁

★日本酒フェア2016のプログラム
・「公開きき酒会」:H27BY全国新酒鑑評会の入賞酒約410点のききくらべ
・「第10回全国日本酒フェア」:全国の銘酒の試飲・販売、セミナー

★チケット
160618 (1c)公開きき酒会_チケット
チケットは隣の会場で行われている”H27BY全国新酒鑑評会 公開きき酒会”との共通券です。通常価格は前売券3,500円、当日券4,000円ですが、日本酒で乾杯推進会議の会員(会費無料)は3,000円でした。第10回全国日本酒フェアのみのチケットは当日券1,500円です。

★会場
160618 (3)公開きき酒会_会場入口
第10回全国日本酒フェアは第1部10:30~14:00、第2部15:30~19:00の完全入替制。10:00~13:00の”公開きき酒会”の後に続けて、第1部に参加しました。

★乾杯
160618 (34)日本酒フェア10th_乾杯13時
13時少し前に入場したら、ちょうど乾杯が行われるところでした。音頭をとっているのは日本酒スタイリストの島田律子さん。島田さんは日本航空で客室乗務員を5年半つとめ、日本テレビの「恋のから騒ぎ」のレギュラーとしてテレビのバラエティー番組にも出演していました。現在は日本酒スタイリストとして日本酒の普及活動を行われています。セミナーは写真左奥のスペースで行われました。

★歴代首相の「國酒」の色紙
160618 (63c)日本酒フェア10th_國酒
セミナー会場の手前の壁には、歴代首相の筆による國酒の色紙が展示されていました。

★セミナー講師
講師の藤井力氏は、(独)酒類総合研究所の品質・安全性研究部門の部門長。平成元年に国税庁に入庁し、以後、関東信越国税局鑑定官室、国税庁醸造試験所(現酒類総合研究所)第2研究室、研究企画室、環境保全研究室、醸造技術応用研究部門等を経て、2013年7月より現職に就かれています。
H27BY全国新酒鑑評会では、予審・決審の審査委員をつとめてます。

★全国新酒鑑評会について
以下、セミナー資料の他に、主催者の「開催要領」や「審査結果について」を参照しています。

<概要>
全国新酒鑑評会は、”その年に製造された清酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質及び製造技術の向上に資するとともに、国民の清酒に対する認識を高めること”を目的としています。
鑑評会への出品酒については、成分分析及び官能審査が行われ、結果が出品者にフィードバックされます。更に、審査の結果特に優秀と認められたものには賞状が授与されます。また、審査結果を踏まえて”製造技術研究会”が行われます。

<ポイント>
・開催:明治44年(1911年)~。H27BYで104回目
・中止:1945年、1995年の2回(前者は戦争、後者は研究所の東広島への移転のため)
・目的:清酒の品質・製造技術の向上、国民の清酒認知度の向上
・主催:(独)酒類総合研究所、日本酒造組合中央会
・対象:吟醸酒の新酒の原酒、酸度1.0以上のもの
・予審(4月下旬):香り・味の品質(プロファイル法)、総合評価(5点法)
・決審(5月上旬):総合評価(3点法)
・結果:入賞酒(予審を通過し、かつ、決審で入賞外に非該当)、金賞酒(入賞酒のうち特に成績が優秀)

<H27BYの成績>
・出品数:854点(前年比+2)
・入賞酒:413点(前年比-2)
・金賞酒:227点(前年比+5)

<鑑評会の出品酒>
出品できるのは”1製造場につき1点”。1製造者が2つの製造施設(例:A蔵、B蔵)を持つ場合は、最大2点を出品できます。
出品酒の規格は、”平成27酒造年度中に自己の製造場において製成した「清酒の製法品質表示基準」(平成元年国税庁告示第8号)に定める吟醸酒の原酒”で、”酸度1.0以上”、”1貯蔵容器に貯蔵されている吟醸酒”。なお、委託製造及び桶取引等により未納税移入したものは出品できません。出品料は1点につき16,200円(税込)で、製造技術研究会の入場料2名分が含まれます。
出品者は、「出品酒調査表」と「出品酒1点につき10本(審査・分析用4本、製造技術研究会用6本、通称アール瓶=500ml規格統一瓶詰め)」を主催者に提出します。

<審査委員>
(独)酒類総合研究所の”理事長”及び”理事”、理事長により委嘱された“清酒の官能審査能力に優れ、清酒製造技術に詳しい者”がつとめます。

<審査の環境>
審査は無風の直射日光の入らない部屋で行い、室温は21-22℃程度、審査酒の温度は概ね18-20℃に保持されます。審査容器は褐色の”アンバーグラス”を使用し、酒の色で先入観を持たれないようにします。
審査前に香気成分(カプロン酸エチル濃度)を測定し、4-5のグループに分類して、濃度の低い区分から審査します。

<審査方法:予審と決審>
160618 (41)日本酒フェア10th_セミナー_審査用紙
予審でよい評価を得たもの(出品数の約半数)が決審に進み、決審で入賞外に該当しないものが”入賞酒”、そのうち特に成績が優秀なものが”金賞酒”となります。写真は実際に使用されている”審査カード”です(左:予審用、右:決審用)。

予審では[香りの品質]と[味の品質]をプロファイル法で評価し、[総合評価]を5段階(すばらしい-良好-どちらでもない-やや難点-難点あり)で採点します。
決審では[総合評価]のみを3段階(1.特に良好-2.良好ー3.1と2以外)で採点します。また、香味の調和や特徴が入賞に該当しないものがあれば[入賞外]にチェックし、理由を必ず記載します(過半数のマークで入賞外になります)。

どの出品酒も杜氏が精魂込めて造ったものであり、ふつうに審査するとほぼすべてが最高点になってしまいます。予審の総合評価の中間の”どちらでもない”は、あくまでも「出品酒として平均的と思うもの」であり、審査委員は審査前にその旨を確認します。また、吟醸香が強く出る酵母を使用したものが多く出品される傾向にあるため、多様性を重視するために一つ一つの酒と向き合うように依頼されます。

予審は、H28.4.20~22の3日間、審査員は1班15名の3班制(計45名)、1回の審査点数(審査員1人につき審査する酒の数?)は50点以下、1日あたりの審査点数は150点以下、審査と審査の間には20分以上の休憩をとります。
決審は、H28.5.10~11の2日間、1班24名により予審通過出品酒を審査、1回の審査点数は50点以下、1日あたりの審査点数は250点以下、審査と審査の間には10分以上の休憩をとります。

【1】予審の審査カード(1枚につき、出品酒1点分)
[香り]と[味]の審査項目には、”必須項目”と”指摘項目”があります。
・必須項目は、”香り品質”、”華やかさ”、”味品質”、”濃淡”、”後味・軽快さ”の5項目で、必ずチェックします。
・指摘項目は、香り・味の特徴につき、該当がある項目のみをチェック及び/又はその旨を記述します。

[審査番号]
[審査委員番号]
[審査員氏名]
[香り]
(必須)香り品質:5段階(すばらしい~難点あり。中間は、どちらでもない)
(必須)華やか:5段階(華やか~乏しい。中間は、どちらでもない)
(指摘)吟醸香、芳香:□果実様(バナナ)・酢酸イソアミル、□果実様(リンゴ)・カプロン酸エチル、□酢酸エチル、□高級アルコール
(指摘) 木香様、香辛料様:□アセトアルデヒド、□イソバレルアルデヒド、□香辛料様・4VG
(指摘)麹、甘・焦げ:□麹、□甘臭、カラメル様、□焦臭
(指摘)酸化・劣化、硫黄様:□老香、□生老香、□酵母様、粕臭、□硫化物様
(指摘)移り香:□ゴム臭、□カビ臭、□土臭、□紙・ほこり臭
(指摘)脂質様、酸臭:□ジアセチル、□脂肪酸、□酸臭
(その他):自由記載欄

[味]
(必須)味品質:5段階(すばらしい~難点あり。中間は、どちらでもない)
(必須)濃淡:5段階(濃い~うすい。中間は、どちらでもない)
(必須)あと味、軽快さ:5段階(すっきり~くどい。中間は、どちらでもない)
(指摘)刺激味、きめ:□まるい、なめらか、□あらい、ざらつく
(指摘)味の特徴:□甘味、□酸味、□うま味、□苦味、□渋味
(指摘)強く感じる不調和:□甘味、□酸味、□うま味、□苦味、□渋味
(その他):自由記載欄

[総合評価]
□すばらしい-□良好-□どちらでもない-□やや難点-□難点あり

【2】決審の審査カード(1枚につき、出品酒5点分)
[審査委員番号]1か所
[審査番号]5か所
[総合評価]
□1:香味の調和や特徴が吟醸酒の品格及び飲用特性から”特に良好”である
□2:香味の調和や特徴が吟醸酒の品格及び飲用特性から”良好”である
□3:1及び2以外のもの
□入賞外:香味の調和や特徴が吟醸酒の品格及び飲用特性から入賞に該当しないもの。「入賞外」を選んだ場合は必ず理由を記載。

★吟醸酒の香味の確認(標準見本)
予審の香味の指摘項目については、審査委員によって評価がぶれないよう、審査前に次の物質を添加した吟醸酒の見本(”標準見本”)を準備して確認をします。
・香気成分:酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、酢酸エチル、イソアミルアルコール(高級アルコール)、アセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド、4ビニルグアイアコール(香辛料様・4VG)、ジメチルトリスルフィド(硫化物様・DMTS)、トリクロロアニソール(カビ臭・TCA)、ろ紙(紙臭)、ジアセチル、カプロン酸(脂肪酸)、酪酸(酸臭)
・味成分:グルコース(甘味)、リンゴ酸(酸味)、フェルラ酸(苦味)

160618 (49)日本酒フェア10th_セミナー_香りサンプル
セミナーでは標準見本の香りのサンプルの一部(6種)を確認させて頂きました。
下記の①カプロン酸エチルと②酢酸イソアミルが”吟醸香を構成するエステル”で、それ以外は”オフフレーバー(好ましくない香り)”とされています。後者はあくまでも、鑑評会出品酒(吟醸酒の新酒の原酒)としての評価であり、必ずしも常にオフフレーバーとして認識されるわけではありません。

①カプロン酸エチル(Ethyl caproate)【吟醸香を構成】:果実様-リンゴ
②酢酸イソアミル(Isoamyl acetate) 【吟醸香を構成】:果実様-バナナ
③高級アルコール(Isoamyl alchol)【清酒の基調香】:フーゼル油臭、ホワイトボードマーカー様のにおい
④ポリスルフィド(DMTS=Dimethyl trisulfide) 【老香を構成】:漬物臭(たくあん漬け様のにおい)、貯蔵劣化臭
⑤カビ臭(TCA):ワインのコルク臭と同一
⑥ジアセチル(Diacetyl):発酵バターやヨーグルト様のやや甘いにおい、(つわり香)

①②③は酵母が発酵中に生成する成分で、①③はこれを多く生成するよう改良された酵母もあります。
②は不飽和脂肪酸が多い条件では生成が抑制されます(蒸し時間の長さや吟醸酒の精米歩合を低くする理由の一つ)。
③は酵母のアミノ酸代謝(ロイシン)と関係し、精米歩合が高く発酵温度が高い場合に多く生産されます。
④は含硫アミノ酸メチオニンの代謝に関連して派生する物質などから生じると考えられています。
⓹はTCAに汚染された製造工程や貯蔵時の木製設備・器具から発生します。TCAは、TCP(前駆体)をカビ(麹菌を含む)が分解して生じます。特に吟醸酒などの活性炭使用量が少ない酒で問題となります。
⑥はα-アセト乳酸が大量にある時期での上槽(酵母との分離)、または乳酸菌による汚染により発生します。

分析法は6つとも”ガスクロマトグラフィー”が用いられてます。

★鑑評会の最近の傾向
藤井氏によると、ここ数年は甘すぎるものがすごく増えているそうです。下記の甘味と不調和甘味を足した4,063という数値は、(毎年審査員が変わるから凸凹はあるものの、)およそ3割くらいの酒を審査員が甘いand/or甘すぎると考えていたことを示すそうです(1人の審査員が90回くらいどちらかをチェック)。背景にはお米が溶けやすかったことがあると考えられています。また、吟醸香の主成分であるカプロン酸エチルの値が上昇しており、香り成分を強く生成する酵母の使用が増えていることが伺えます。不快な香り(オフフレーバー)は減少傾向にあるものの、昨年比では酵母様・粕臭が1.6倍に増加しています。

◆甘味成分が上昇傾向。
・日本酒度:2.3→1.9に低下(5BY前は3.6)
・グルコース:2.16→2.28に上昇(5BY前は1.9)
◆一方で、不調和甘味(予審の指摘項目)を指摘する声も増加。
・甘味の総指摘数:2,760→2,959(7.2%増)
・不調和甘味の総指摘数:766→1,104(44.1%増)
◆お米の溶けやすさが影響?
・粕歩合:42.0→40.6に低下

◆香り成分をたくさん作る酵母の使用比率の増加。
カプロン酸エチルの総指摘数:3,330→4,420(5BY前は2,749)

◆オフフレーバーは低下傾向、ただし酵母様・粕臭は昨年の1.6倍に。
・アセトアルデヒドの総指摘数:832→783(5BY前は912)
・イソバレルアルデヒドの総指摘数:240→142(5BY前は404)
・酵母様・粕臭の総指摘数:456→732(昨BYの1.6倍)

★参考:「平成27酒造年度全国新酒鑑評会の審査結果について」の総評より
・昨年同様、原料米が溶けやすかったとの声が多数(原料米の性質に加え、全般的には製造時期が暖冬傾向だったことが影響?)。
・適切な原料処理やもろみ管理等の高度な製造技術が例年よりも要求されたが、地域や仕込み時期によっては気温が急激に冷え込んで寒暖の差が大きかったため苦労した蔵が多数。
・主催者は「平成27年産清酒原料米の酒造適正予測」(H27.10)記者発表等で、米の溶けやすさの予測結果等を情報提供。
・出品酒の酒質:香りは、穏やかなものから華やかなものまで多様。例年同様、カプロン酸エチル(リンゴ様の香り)主体が多く、平均濃度は前年よりも少し高い。味は甘味の指摘多い。平均では日本酒度が低く、甘味を特徴とする酒質。
・その他の意見:高香気生産酵母の使用技術が確立され、このような酵母を使った出品酒の差は縮小。一方で、一部の出品酒には問題点があるものも。具体的には、溶けやすい原料米や気象条件にうまく対応できず溶けすぎて甘ダレしたもの、味の幅が乏しく感じるもの(追水が多かった?)、酵母の自己消化に由来すると思われる香りなど。

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テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

日本酒フェア / H27BY全国新酒鑑評会・公開きき酒会(東京・池袋)

日本酒フェア2016の”公開きき酒会”に参加しました。全国新酒鑑評会の入賞酒412点(非出品1点を除く)が利ける贅沢なイベントです。

日時:2016年6月18日(土) 10:00~13:00
内容:平成27酒造年度(H27BY) 全国新酒鑑評会 公開きき酒会
場所 文化会館ビル4F・展示ホールB(東京都豊島区東池袋3-1-1)
料金:3,000円(日本酒で乾杯推進会議の会員価格。会費無料)
主催:日本酒造組合中央会
後援:国税庁、観光庁、独立行政法人酒類総合研究所

★日本酒フェア2016のプログラム
・「公開きき酒会」:H27BY全国新酒鑑評会の入賞酒約410点のききくらべ
・「第10回全国日本酒フェア」:全国の銘酒の試飲・販売、セミナー

★チケット
160618 (1c)公開きき酒会_チケット
”公開きき酒会”のチケットは隣の会場で行われている”第10回全国日本酒フェア”との共通券です。通常価格は前売券3,500円、当日券4,000円ですが、日本酒で乾杯推進会議の会員は3,000円でした。チケットは内幸町にあるSAKE PLAZA(日本酒造組合中央会)で購入しました。

★アクセス
160618 (2)公開きき酒会_サンシャインシティ
会場の文化会館は池袋駅東口から約1km。サンシャインシティの敷地の奥にある建物なので、駅から結構歩きます。会場までは案内板がわかりやすく掲示されていました。

★入場
160618 (4)公開きき酒会
40分前に到着しましたが、行列がすでに屋外までできていました。開場は予定より10分早めの9:50頃でした。

160618 (3)公開きき酒会_会場入口
第10回全国日本酒フェアの会場入口(公開きき酒会とは別会場)。こちらは第1部10:30~14:00、第2部15:30~19:00の完全入替制です。

★会場内の様子
160618 (5)公開きき酒会_会場内
会場内は地域ごとに8ブロックに分かれており、好きな所から自由に回れます。ブロックの内訳は、北海道・東北①、東北②、東北③、関東、甲信越・北陸、東海・近畿、中国、四国・九州。昨年は甲信越と近畿が単独ブロックで、北陸・東海が同一でした。会場内にも長い行列ができる東北地方は、1つ増えて3ブロックになっていました。

★きき酒の要領
160618 (6)公開きき酒会_秋田県
銘柄ごとに大きなお猪口とスポイトがセットされています。自分用の小さなお猪口に酒を注ぐときには、このスポイトを使います。小さなお猪口は入場時にパンフレットと一緒に受け取ります。次の人がすぐに酒を注げるよう、スポイトを押しながら大きなお猪口に戻すのがマナーです。

★きき酒会の出点数
きき酒会には、全国新酒鑑評会で入賞した酒がほぼ全て出点されます。
・H27BYの出品数は854点、うち入賞413点、金賞227点。
・H26BYの出品数は852点、うち入賞415点、金賞222点。
今年の利き酒会は412点(非出品は1点。H26は2点)が一同に揃いました。

パンフレットには412点の一覧表があり、金賞には☆印が付されています。
また数が少ない”山田錦以外の酒米”と”純米”にはその旨が記載されています。
(この記事の数値はパンフレットをベースにしています。)

【1】北海道・東北①:青森・秋田
160618 (7)公開きき酒会_新政
昨年品切れで利けなかった「新政」☆(秋田・新政酒造)をまず利きました。出品酒のほとんどが酒米の王様”山田錦”を使う中、新政は地元の酒米”美郷錦”を使用しています。しかも鑑評会では数少ない純米。新政酒造の若き蔵元・佐藤祐輔氏のブログ『蔵元駄文』によると、美郷錦は”山田錦と美山錦という、性格がかなり反対の酒造好適米の掛け合わせ。美山錦に近いものの、山田錦の面影もちらつく、透明感とコクを併せ持つ独特の味わい”とのこと。佐藤氏は、美郷錦を”秋田の酒米の裏番長のような米”と表現しています。表のボスは”秋田酒こまち”。H27BYの鑑評会では「ゆきの美人」、「天の戸」、「山本」☆、「出羽鶴」の4点が秋田酒こまちを使用していました。

秋田県は入賞21点、金賞14点。純米の入賞は他県と比べて多めの9点でした。
青森県は入賞8点、金賞6点、純米なし、酒米は”華想い”1点。
北海道は入賞8点、金賞4点、純米なし、酒米は”吟風”1点、”彗星”2点。

【2】東北②:岩手・山形
160618 (10)公開きき酒会_白露垂珠_くどき上手
岩手県は入賞11点、金賞7点、純米2点、酒米は”結の香”1点。
山形県は入賞25点、金賞16点、純米2点、酒米は”山形酒104号”1点。
左は”山形酒104号”を使用した竹の露の純米「白露垂珠」☆。右は亀の井酒造の「くどき上手」☆。

160618 (9)公開きき酒会_十四代
山形・高木酒造の「十四代」☆。

160618 (12)公開きき酒会_あら玉月山丸_鯉川_東北泉
左は高橋酒造店の「東北泉」☆。中央は鯉川酒造の純米「鯉川」☆。右は和田酒造の「あら玉月山丸」。

160618 (11)公開きき酒会_初孫_上喜元
左は東北銘醸の「初孫」☆。右は酒田酒造の「上喜元」☆。

【3】東北③:宮城・福島
今回は時間切れ&混雑のため回れませんでした。
宮城県は入賞18点、金賞15点。すべて山田錦で、純米は「綿屋」の1点のみ。「一の蔵」は本社蔵と金龍蔵の2点が今年は金賞でした。
福島県は入賞26点、金賞18点。純米は仁井田本家の1点のみ。山田錦以外の酒米は、千駒酒造の”吟風”と松崎酒造店の”夢の香”の2点でした。

【4】甲信越・北陸
160618 (18)公開きき酒会_石川
石川県は入賞5点、金賞3点、純米なし、酒米は全て山田錦。
・「萬歳楽」☆(小堀酒造店・森の吟醸蔵 白山)
・「常きげん」(鹿野酒造)
・「手取川正宗」(吉田酒造店)
・「宗玄」☆(宗玄酒造 平成蔵)
・「宗玄」☆(宗玄酒造 明和蔵)
昨年度は「天狗舞」が金賞を受賞していました。

160618 (17)公開きき酒会_宗玄
昨年の公開きき酒会で感動した”宗玄”。今年は2蔵とも金賞を受賞しています。

160618 (13)公開きき酒会_真澄
長野県は入賞26点、金賞11点、純米2点、酒米は”美山錦”2点。
写真の「真澄」☆(宮坂醸造)はきょうかい7号酵母のふるさとです。

160618 (15)公開きき酒会_鶴の友_越乃寒梅
新潟県は入賞32点、金賞16点、純米1点。酒米は”越淡麗”9点、”越神楽”2点、”五百万石”1点、”菊水”1点。
左の「鶴の友」☆(樋木酒造)は”越淡麗”を使用。右は「越乃寒梅」(石本酒造)。

160618 (14)公開きき酒会_朝日山_清泉
左は「久保田」の蔵元・朝日酒造(朝日蔵)の「朝日山」☆。右は漫画「夏子の酒」でおなじみの酒米”亀の尾”を復活させた久須美酒造の「清泉」。

その他、
山梨県は入賞2点、金賞は「七賢」の1点、純米なし、全て山田錦。
富山県は入賞2点、金賞は「林」の1点、純米なし、全て山田錦。
福井県は入賞3点、金賞は「一本義」と「早瀬浦」の2点、純米なし、全て山田錦。

【5】東海・近畿
160618 (20)公開きき酒会_而今(三重)
三重県は入賞7点、金賞は「鈴鹿川」の1点、純米なし、全て”山田錦”。
写真は木屋正[きやしょう]酒造の「而今」。

160618 (19)公開きき酒会_蓬莱_始禄(義父)
岐阜県は入賞5点、金賞2点、純米1点、酒米は”愛山”1点。
右の「始禄」☆(中島醸造)は”愛山”を使った純米。左は「蓬莱」(渡辺酒造店)。名前が似ている愛知県の「蓬莱泉」(関谷醸造)は今年は出ていませんでした。

160618 (22)公開きき酒会_奈良県
奈良県は入賞5点、金賞4点、純米1点、全て山田錦。吟醸とは関係ないですが、奈良県は”菩提酛”のふるさとで、兵庫県・伊丹と並び”清酒発祥の地”とされています。

160618 (21)公開きき酒会_金紋道灌_気楽長(滋賀)
滋賀県は入賞5点、金賞4点、純米なし、全て山田錦。
写真右は故・天保正一氏が杜氏をつとめていた喜多酒造の「喜楽長」☆。左は琵琶湖ワイナリーを傘下に持つ太田酒造の「金紋道灌」(本社 不盡蔵[ふじくら])。

その他、
静岡県は入賞2点、金賞1点、純米なし、全て山田錦。
三重県は入賞7点、金賞は「鈴鹿川」の1点、純米なし、全て山田錦。
京都府は入賞14点、金賞5点、純米1点、酒米は”祝”1点。
大阪府は入賞6点、金賞3点、純米なし、全て山田錦。
兵庫県は入賞24点、金賞17点、純米1点、酒米は”白鶴錦”1点。
和歌山は入賞2点、金賞2点、純米なし、全て山田錦。

【6】関東
160618 (29)公開きき酒会_東薫(千葉)
千葉県は入賞5点、金賞2点、純米なし、全て山田錦。写真は佐原の蔵元・東薫酒造の「東薫」☆。杜氏の及川恒男氏は岩手県の南部杜氏協会の名誉会長です。

160618 (30)公開きき酒会_東京
東京都は5点入賞。金賞は「喜正」☆、「嘉泉」☆、「澤乃井」☆の3点。すべて山田錦で、純米なし。昨年度は入賞3点、金賞2点でした。

その他、
茨城県は入賞13点、金賞8点、純米なし、酒米は山田錦の父”短棹渡舟”1点。
栃木県は入賞15点、金賞10点、純米なし、酒米は”吟のさと”1点。
群馬県は入賞14点、金賞3点、純米2点、全て山田錦。
埼玉県は入賞11点、金賞4点、純米なし、全て山田錦。
神奈川県は昨年同様、黄金井酒造の「盛升」の入賞1点のみでした。

【7】中国
160618 (23)公開きき酒会_広島県
広島県は入賞22点、金賞8点、純米2点。地元の酒米”千本錦”を使ったものが10点ありましたが、うち金賞受賞は「美和桜」、「老亀」、「雨後の月」、「桜吹雪」の4点のみでした。

その他、
鳥取県は入賞2点、金賞1点、純米なし、全て山田錦。
島根県は入賞6点、金賞4点、純米1点、酒米は純米「奥出雲」の”改良八反流”1点。
岡山県は入賞4点、金賞4点、純米なし、全て山田錦。
山口県は入賞6点、金賞2点、純米1点、酒米は「五橋」の”西都の雫”1点。

【8】四国・九州
160618 (33)公開きき酒会_司牡丹
高知県は入賞8点、金賞6点、純米1点、全て山田錦。
司牡丹酒造の「司牡丹」☆は昨年同様、第一製造場でアル添、第二製造場で純米の2点を出品し、ともに金賞を受賞しています。

160618 (32)公開きき酒会_佐賀県
原産地呼称管理制度がある佐賀県は入賞8点、金賞は「能古見[のごみ]」☆と「東長[あずまちょう]」☆の2点。すべて山田錦で、純米は矢野酒造の1点のみ。

その他、
香川県は入賞2点(「金陵」の多度津蔵と八幡蔵)、金賞なし、純米なし、全て山田錦。
愛媛県は入賞8点、金賞3点、純米なし、全て山田錦。
福岡県は入賞8点、金賞5点、純米なし、全て山田錦。
長崎県は入賞2点、金賞なし、純米なし、全て山田錦。
熊本県は入賞3点、金賞1点、純米なし、全て山田錦。
大分県は入賞3点、金賞1点、純米なし、全て山田錦。
宮崎県は入賞2点、金賞1点、純米なし、全て山田錦。
鹿児島県と沖縄県は出品なし。

★鑑評会の出品酒は”答えが決まっている酒”
質問コーナーがあったので、出品酒の特徴などを質問しました。出品数は800以上あるものの、鑑評会においては”蔵の個性を出すことは考えられていない”とのこと。山田錦以外の酒米を使うケースがあっても、いわゆる”地酒(地元の米と水でつくり、蔵元の個性や地域性が反映される)”とは目指すものがまったく異なるそうです。いわば、速さだけを競うF1レースのようなもの。鑑評会で金賞をとるのは”答えが決まっている酒”であり、愛飲家むけに精米歩合や使用酵母などの詳細は示されていませんが、相変わらずYK35(精米歩合35%の山田錦、熊本9号酵母を使用)”が主流のようです。

料理との相性についても質問しましたが、鑑評会出品酒においては全く考慮されていないそうです。そもそも、香りが強い吟醸酒は料理とあわせるのは難しく、だしの味を殺してしまうこともあるそうです。

この後は、日本酒フェアの会場で「平成27酒造年度の全国新酒鑑評会について」のセミナーに参加しました。

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テーマ : 日本酒
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Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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