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【見学】梅宮大社(京都・右京区) - 日本最古の酒「天甜酒」を醸したのは、絶世の美女の酒解子神?その父の酒解神?

日本最古の酒造神をまつる梅宮大社[うめのみやたいしゃ]を見学しました。同じく酒造の神として有名な松尾大社[まつのおたいしゃ]から徒歩圏のところにあります。

日時:2016年9月25日(日) 15:00~
場所:梅宮大社(京都府京都市右京区梅津フケノ川町30)
料金:無料

★アクセス
160925 (22)松尾大社駅
最寄駅は阪急電鉄・嵐山線の松尾大社駅です。この日は四条河原町方面から訪れました(河原町駅13:40→13:47桂駅14:00→14:04松尾大社駅。運賃220円)。最寄駅から梅宮大社までは約850mです。

160925 (24)松尾橋
改札口を出て右手に進み、踏切を渡って、松尾橋がかかる道を直進します。
160925 (25)松尾橋
松尾橋からの桂川の眺め。少し北に行くと有名な観光地の嵐山があります。

160925 (29)梅宮大社_案内板
松尾橋を渡って更に直進し、この看板のあるT字路を左折すると梅宮大社です。

★鳥居から楼門[ろうもん]まで
160925 (31)梅宮大社_一の鳥居
一の鳥居。
160925 (32)梅宮大社_鳥居
赤い鳥居。
160925 (33)梅宮大社_随身門 - コピー
楼門の”随身門”。2階には酒造会社から寄贈された(はずの)菰樽[こもだる]が積まれています。

160925 (34)梅宮大社_石碑 - コピー
楼門の脇の石碑。「梅宮日本第一 酒造之祖神 安産守護神」と刻まれています。

★境内
160925 (38)梅宮大社_菰樽 - コピー
御手洗[みたらい]の脇にも菰樽が積み上げられていました。
160925 (36)梅宮大社_拝殿
拝殿。
160925 (39)梅宮大社_本殿 - コピー
本殿。
160925 (44)梅宮大社_百度石 - コピー
お百度参りのための百度石。
160925 (46)梅宮大社_見切石の説明書きとベンチ
境内のベンチには、様々な酒造会社のステッカーが貼られていました。

他にも、本殿の横には、またぐと子宝に恵まれるといわれる”またげ石”があります。
また、梅宮大社はその名の通り、梅の花の名所としても知られてます。

★梅宮大社の祭神
160925 (35)梅宮大社_説明書き
梅宮大社の本殿には、「父-娘-娘婿-その子供」の4柱が祭られています。

【父】酒解神[さかとけのかみ]=大山祇神[おおやまづみのかみ]
【娘】酒解子神[さかとけこのかみ]=木花咲耶姫命[このはなのさくやひめのみこと]
【娘婿】大若子神[おおわくこのかみ]=瓊々杵尊[ににぎのみこと]
【子】小若子神[こわくこのかみ]=彦火火出見尊[ひこほほでみのみこと]

娘の”木花咲耶姫命”は、絶世の美女といわれており、夫との一夜の契りで身ごもったことから”安産の神”とされています。また、この懐妊を喜んで(日本最古の酒といわれる)「天甜酒」が造られたため、”酒造の神”ともされています。ただし、この酒を造ったのが、出典によって娘であったり父であったりするため、どちらが(もしくは共同で?)造ったのかを正確に調べきれませんでした...

ちなみに、境内の案内板では造酒の主語が娘でしたが、梅宮大社由緒略記では、主語が父でした。

<境内の案内板より>
”酒解神の御子・酒解子神は大若子神との一夜の契りで小若子神が生まれたことから、歓喜して、狭名田の稲をとって天甜酒を造り、これを飲んだという神話から、古くから安産と造酒の神として有名である”

<梅宮大社由緒略記の”酒造の祖神”より>
”大山祇神は、 木花咲耶姫命が彦火々出見尊を御安産になったのを非常に喜び給い、狭名田の茂穂を以て「天甜酒」を造ってお祝いなされたと日本書紀に載って居りますが、是が穀物を以て酒を醸した始まりであります”

★社務所
160925 (40)梅宮大社_社務所 - コピー
社務所で御神酒と梅酒を購入しました。
160925 (41)梅宮大社_社務所のネコ
社務所のカウンターで優雅に寝そべるネコ。梅宮大社は”ネコ詣で”でも人気の神社だそうです。

★御神酒
160925 (70)梅宮大社_御神酒一式
社務所で購入した御神酒と梅酒。
160925 (72)梅宮大社_御神酒(聚楽第)
御神酒(800円/300ml)は「聚楽第」の純米吟醸酒(精米歩合60%、アルコール分15度)でした。醸造元は、京都市上京区の佐々木酒造です。過去に購入した他社の御神酒はすべて醸造用アルコールを添加した”本醸造酒”だったので、”純米”かつ”吟醸づくり”の御神酒は新鮮に感じられました。
160925 (73)梅宮大社_梅酒
チョーヤの梅酒。アルコール分14度。梅の実が2つ入っていました。

★松尾大社(再々訪)
160925 (61)松尾大社
帰りに松尾大社にも立ち寄りました。「平成の御遷宮」による修復作業がすでに始まっており、駅から2番目の鳥居は白いカバーで覆われていました。
160925 (55)松尾大社_たぬき - コピー
お酒の資料館の前のたぬきの親子。資料館の展示物の配置が、7月12日に訪れた時から少し変わっていました。
160925 (58)松尾大社(加工)
亀の井の近くの天狗岩。前回訪問した時は肉眼で確認できませんでしたが、今回は見付けることができました。

<参考>松尾大社の”亀の井”(2016年7月8日のブログ)

★帰路
160925 (28)松尾橋バス停
帰りは京都駅まで市バスを利用しました(71系統、松尾橋15:35→京都駅八条口16:18、運賃230円)。停留所は松尾橋の近く(梅宮大社側)にあります。始発の停留所なので座れる可能性が高く、時間に余裕がある方にはおすすめです。
160925 (26)松尾橋バス停
160925 (27)松尾橋バス停
バスの時刻表。
160925 (64)京都市営バス71系統_東寺東門前付近
71系統の市バスは、東寺の五重塔の近くを通ります。

★感想など
松尾大社、大神神社に続いて梅宮大社を訪れ、お酒が神道と深く関わっていることをあらためて実感しました。日本の神々は、名称が似ているもの(梅宮大社の”大山祇神”と松尾大社の”大山咋神”など)や、漢字表記・読み仮名が出典によって異なるケースが多々あるように見受けられるため、混同しないように少しずつ勉強していきたいと思います。
天甜酒を醸したのが酒解神か酒解子神のいずれか(または両方か)は、歴史に詳しい方に質問できる機会を待つか、少し時間をおいて文献などにあたってみたいと思います。

(初稿)2016.10.2

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【見学】松尾大社の「亀の井」 - この水を混ぜると酒が腐らない!? 日本第一酒造之神の神泉

酒造の神様として有名な京都の松尾大社を訪れました。”まつおたいしゃ”と呼ばれがちですが、正式名称は”まつのおたいしゃ”です。境内にある神泉「亀の井」の水を混ぜると酒が腐らないと言われており、今も多くの醸造家が訪れているそうです。

日時:2016年7月8日(金) 17:15頃~
場所:松尾大社の「亀の井」(京都府京都市西京区嵐山宮町3)
内容:自由見学
料金:無料

★アクセス
160708 (261)松尾大社駅
最寄駅は阪急電鉄・嵐山線の松尾大社駅。この日は堀野記念館を訪れた後に阪急電鉄の烏丸駅から向いました(烏丸駅17:00→松尾大社駅17:14、桂駅で乗り換え、220円)。大阪駅までの帰路は、松尾大社駅17:56→梅田駅18:44でした(桂駅で快速急行に乗り換え、400円)。
160708 (262)松尾大社駅
神社の正式名称は”まつのお-”ですが、駅名は”まつお-”です。

★境内図(抜粋)
160708 (268)松尾大社_境内図
亀の井は本殿の右奥にあります。駅前の交差点を渡ってすぐのところに大きな鳥居がありますが、亀の井までは300mほど歩きます。

★駅から本殿まで
160708 (263)松尾大社_駅前の大鳥居
松尾大社駅の改札口を出て左に進むと大きな鳥居が見えます。
160708 (264)松尾大社_案内板1
鳥居の近くにある説明書き。”醸造祖神”と”神泉・亀の井”の表記とともに、亀と盃を描いたかわいいイラストがありました。
160708 (265)松尾大社_大鳥居拡大
厳かな気分になります。
160708 (266)松尾大社_参道
さらに参道を進んでいくと、もう一つの鳥居が見えてきます。
160712 (27)松尾大社_日本第一酒造之神
「松尾社 日本第一酒造之神」と刻まれた碑。
160708 (270)松尾大社_お酒の資料館
2つめの鳥居をくぐると、左側に「お酒の資料館」の看板が!しかし、16時で閉館だったため、この日は見学できませんでした...(7/12にリベンジで再訪しました。)
160708 (269)松尾大社_楼門
高さ約11メートルの立派な楼門[ろうもん]は、寛文7年(1667年)に棟上げされたもの。社寺建築における楼門とは、2階建の門で、初層と上層の間に屋根の出を造らないものを指すそうです。楼門をくぐるとようやく本殿です。

★松尾大社の本殿
160708 (274)松尾大社_本殿
重要文化財の本殿。松尾造(両流造[りょうながれづくり])と呼ばれる珍しい建築で、天文11年(1542年)に改築されたものです。701年に社殿が建てられるまでは、背後の松尾山(標高223メートル)に残る磐座[いわくら]での祭祀が行われていました(松尾山の7つの谷のひとつ、大杉谷の頂上近くの斜面にある巨大な岩石)。磐座とは、古神道における岩に対する信仰または信仰の対象となる岩そのものを指します。
160708 (305)松尾大社_本殿と松尾山
境内には背後の松尾山も含まれるため、その広さは約12万坪に及びます。
160708 (273)松尾大社_案内板2
松尾大社には大山咋神[おおやまぐいのかみ]と中津島姫命[なかつしまひめのみこと](別名、市杵島姫命[いちきしまひめのみこと])の2柱が祭られています。平安京遷都後は王城鎮護の神として、中世以降は酒造の神として人々の信仰を集めています。

★神泉・亀の井
160708 (309)松尾大社_本殿右奥
160712 (92)松尾大社_亀の井標識
本殿の右端の廊下の下をくぐり、右側前方に進んだところに亀の井があります。近くに有料の庭園がありますが、亀の井に拝観料などはかかりません。
160708 (281)松尾大社_亀の井全景
160708 (298)松尾大社_神泉
160708 (283)松尾大社_亀の井
松尾山からの湧き水をたたえる「亀の井」。この水を混ぜると酒が腐敗しないといわれており、醸造家が水を持ち帰って混ぜるという風習が現在も残っているそうです。松尾大社が酒の神として信仰されるのはこの亀の井に由来し、全国に創立された松尾神の分社は1,280社にも及ぶそうです。(すべての酒蔵が松尾様をまつっていると思い込んでいましたが、そうではないようです。例えば奈良県のある酒蔵では、酒林(杉玉)の由来で有名な大神神社[おおみわ-]の神様ががまつられていました。)
160708 (301)松尾大社_亀の井の亀
160708 (300)松尾大社_亀の井アップ
「亀の井」の名称は、松尾大社の神使(しんし。神道における神の使者)が亀であることに由来するとされています。神社文書によれば、松尾神は大堰川[おおいがわ]を遡り丹波地方を開拓するにあたって、”急流では鯉に、緩流では亀に乗った”といわれ、この伝承により鯉と亀が神使とされたそうです。

大堰川:京都府中部を流れる川で、淀川水系の一部。丹波山地の東部付近に源を発し,西流したのち南東へ転じて亀岡盆地を貫流し、亀岡盆地の出口から下流は”保津川”となり,さらに嵐山からは”桂川”となります。全長83km。

160712 (90)松尾大社_なで亀
本殿の正面左側にある”幸運の撫で亀”。

★取水に際しての注意事項
160708 (284)松尾大社_亀の井・取水の注意書き
亀の井に”ろ過用のキャップ”を取り付けることを禁止する注意書き。他の人の待ち時間が長くなることを避けるため、ろ過は帰ってから行うよう促しています。この日は周りに自分しかいませんでしたが、取水のために行列ができることもあるようです(酒造がはじまる時期?)。

★石碑
160708 (282)松尾大社_亀の井・石碑
亀の井のそばにある石碑。京都クルーズ・ブログさまの記事によると、この石碑は平成になってから建てられたもので、碑文は京都府立大学名誉教授の桂樟蹊子[かつら-しょうけいし](1909~1993)さんのものらしいとのこと。
160708 (302)松尾大社_亀の井・石碑(拡大)
碑文には「うま酒の神の韻ある初泉」と記されているそうです。

★霊亀の滝と天狗岩
160708 (293)松尾大社_霊亀の滝
社務所の裏を流れる渓流”御手洗川”には「霊亀の滝」がかかっています。本殿右端の廊下の下をくぐり、左側(亀の井は右側)に少し進んだところにあります。
160712 (93)松尾大社_天狗岩
滝のそばに天狗の顔の形をした岩肌があるそうですが、肉眼では確認できませんでした...

★酒神としての信仰
松尾神を酒神とする信仰の起源は明らかでなく、松尾大社側の由緒では渡来系氏族の秦氏[はたうじ]が酒造技術に優れたことに由来するとし、『日本書紀』雄略天皇紀に見える「秦酒公」との関連が指摘されています。しかし、酒神とする確実な史料は中世後期頃の狂言「福の神」(後述)まで下るため、実際の神格形成を中世以降とする説もあります。それ以降は貞享元年(1684年)の『雍州府志[ようしゅうふし]』や、井原西鶴の『西鶴織留[さいかくおりどめ]』に関連する記述が見られるそうです。
160712 (83)松尾大社_神輿庫
神輿庫[しんよこ]に積み上げられた、奉納の菰樽[こもだる]の山。神社のスタッフに何か意味があるのか質問したら、だたの飾りとの回答でした。それでも、酒造の神としての信仰の篤さが伺えます。
160708 (276)松尾大社_菰樽1
菰樽とは菰を巻いた酒樽で、もとは運搬時の樽の破損を防ぐために菰が巻かれていました。後に、菰に美麗な絵などが描かれるようになり、祝宴での鏡抜きに使うことが増えたそうです。 菰はマコモ(イネ科の多年草)を粗く編んだむしろですが、現在ではわらを用いることが多いそうです。
160708 (277)松尾大社_菰樽2
阪神タイガースの絵柄も。
160708 (278)松尾大社_菰樽3
160708 (308)松尾大社_菰樽4
160708 (307)松尾大社_菰樽5
酒銘とデザインを眺めているだけで時が過ぎるのを忘れてしまいます。


★狂言「福の神」
狂言「福の神」によると、松尾神は「神々の酒奉行である」とされ、現在も神事にこの狂言が奉納されているそうです。
以下、文化デジタルライブラリーさまHPからの引用です。

<あらすじ>
2人の男が、福の神の社に年越しのお参りにやってきて、参拝を済ませて豆をまきはじめると、笑い声がして福の神が現れます。福の神は自分から名乗ると神酒(みき)を催促し、酒奉行である松の尾の大明神に神酒を捧げてから自分も飲み干します。そして、豊かになるには元手がいると2人に話します。2人が、元手がないからここに来たと反論すると、福の神は「元手とは金銀や米などではなく、心持ちのことだ」とさとします。さらに、早起き、慈悲、人付き合いを大切にすること、夫婦仲よくすることを説くとともに、わたしのような福の神に美味しい神酒をたくさん捧げれば楽しくなること間違いないと言って、謡い舞い、朗らかに笑って帰っていきます。

<詞章:福の神が神酒(みき)を催促する場面より>
福の神「汝らは、毎年毎年、奇特に歩みをはこぶなあ」
参詣人甲乙「ハアー」
福の神「イヤ、いつも福の神へ神酒をくるるが、きょうはなぜにくれぬ」
参詣人甲「はったと失念致しましてござる」
参詣人乙「急いであげさせられい」
参詣人甲「心得ました。ハ、神酒でござる」
福の神「これへつげ」
参詣人甲「畏(かしこ)まってござる」
福の神「オオ、ちょうどある」
参詣人甲「なみなみとござる」

★感想など
酒蔵見学にいくとまず見かける松尾様の神棚。ずっと気になっていましたが、ようやくその聖地を訪れることができました(漫画「夏子の酒」でも度々、松尾様を拝む場面が描かれています)。神頼みが切り離せないほど、日本酒造りは腐造とのたたかいであったことが伺え、造り手の苦労とそれを乗り越えてきた情熱にあらためて敬意を感じました。このような経験は酒の美味さをどこまでも高めてくれるので、本当に来てよかった...酒は古来、神事との関係も深かったようなので、そちらも少しずつ学んでいきたいと思います(酒は奥が深いどころか、森羅万象に接点があるような...)。

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【見学】宮水発祥の地(兵庫・西宮) - 六甲山系の軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙。灘酒の名声を高めた名水が湧き出る地。

兵庫県の銘醸地、伊丹・西宮・灘を巡る旅。
この日は伊丹の長寿蔵ミュージアムに続いて、灘酒の名声を高めた”宮水[みやみず]”の発祥地を訪ねました。

日時:2016年5月24日(火) 14:00頃~
場所:宮水発祥の地(兵庫県西宮市久保町4−6。酒造会館の近く)
内容:自由見学
料金:無料

★アクセス
160524 (133)阪急今津線_今津駅
宮水発祥の地の最寄駅は阪神電鉄の西宮駅(目的地まで約800m)ですが、この日は阪急今津線の今津駅から歩きました。目的地までは"酒蔵通りレンガ館"を経由して約1.5kmです。伊丹駅から今津駅までは阪急電鉄で約25分、運賃は220円でした(伊丹駅13:25→13:31塚口駅13:34→13:39西宮北口駅13:45→13:48今津駅)。

160524 (137)日本盛_赤レンガ館
日本盛の”酒蔵通りレンガ館”。この日は定休日でした。

★宮水発祥の地
160524 (150)宮水発祥の地_遠景
”宮水発祥の地”は、西宮酒造家十日会酒造会館(酒造会館)の近くにあります。正面の道路を挟んで左側が酒造会館、右側が宮水発祥の地です。

160524 (147c)宮水発祥の地_全景
敷地内には、宮水発祥の井戸(櫻正宗の旧・梅の木蔵の井戸)と石碑があります。

160524 (148c)宮水発祥の地_石碑
宮水発祥の地の石碑。

160524 (149c)宮水発祥の地_梅の木井戸
”梅の木井戸”は、石碑の右側手前にあります。

★各酒造メーカーの宮水井戸(5/28再訪分を追加)
宮水発祥の地から1ブロック東側の、石在町[いしざいちょう]交差点の南側の通りには、灘の酒造会社が宮水を汲み上げる井戸(宮水井戸)が集中しています。星野珈琲店・西宮店の近くです。
160528 (252)星野珈琲西宮店
星野珈琲店・西宮店。

(a)国道43号線沿い(石在町交差点のやや西側)
160524 (141)宮水_沢の鶴
”沢の鶴”の宮水井戸。

(b)石在町交差点~星野珈琲店の北側
160528 (255)菊正宗_宮水井戸
160528 (256)菊正宗_宮水井戸
”菊正宗”の宮水井戸。

160524 (143)宮水_日本盛
”日本盛”の第三宮水井戸場。

160528 (236c)大関_宮水井戸
”大関”の宮水井戸場。

160524 (146c)宮水_白鹿
”白鹿”の宮水井戸。敷地内には、”はね釣瓶[つるべ]”が野外展示されています。星野珈琲店の南側にも別の宮水井戸があります。

(c)星野珈琲店の南側
160528 (234c)櫻正宗_宮水井戸
”櫻正宗”の宮水井戸。

160528 (233)灘自慢_美亜水井戸
”灘自慢”の宮水井戸。

160528 (232)白鹿_宮水井戸(南)
”白鹿”の宮水井戸。

★宮水とは
兵庫県・西宮市の海岸付近の一帯だけ(約500m四方)に湧き出る酒造用に適した水を「宮水」(”西宮の水”の略)といいます。宮水は環境庁の名水百選にも選ばれています。「播州米[ばんしゅうまい]に宮水、丹波杜氏に六甲颪[ろっこうおろし]、男酒の灘の生一本」と言及されるよう、灘の酒の名声を高める一因となりました。

<宮水の発見>
灘の老舗酒蔵「櫻正宗」の6代目当主・山邑太左衛門[やまむらたざえもん]が、天保11年(1840)頃に宮水を発見したといわれています。当時の櫻正宗は魚崎と西宮の両蔵で酒造りを行っていましたが、常に西宮の酒の出来が良かったそうです。不思議に思った太左衛門は、同じ米を使ったり、蔵人を入れ替えたりしてみたそうですが、結果は変わりませんでした。そこで、西宮の水(梅の木蔵の井戸水)を魚崎に運んで酒を仕込んだところ、ようやく西宮と同等の良い酒ができたため、その原因が“西宮の水”にあると結論づけました。
それ以降、灘の酒蔵は競ってこの地の水(宮水)を使うようになりました。しかし、井戸を掘っても同じ水脈に当たるとは限らなかったため、同じ味の水を掘り当てた地域の農民らが宮水を売る商売(水屋)がうまれたそうです。

<宮水の成分>
宮水は酵母菌の栄養となるミネラル分を多く含む”硬水”で、リンの含有量は一般の酒造用水の約10倍もあります。一方で、酒色の濁りや不快な香りのもととなる鉄分は極めて少ないため、酒造に非常に適した水といわれています。
宮水は3つの伏流水が混じり合って生まれます。東からの“法安寺伏流”と北からの“札場筋[ふだばすじ]伏流”は、かつて海だった地層を通るため、海が持つ栄養(リン、カリウム、塩分など)をたっぷり含みます。一方で、西からの“戎[えびす]伏流”は六甲山からの傾斜で流れが速く、酸素を多く含むため、酒造の敵である鉄分を除去(酸素と結合して酸化鉄を形成)します。

<宮水の危機と保全>
宮水地帯の井戸の水面は地表からわずか2~3mで、海水面とほぼ同じです。従って海水浸透の影響を受けやすく、過去に2度、宮水地帯が大きく縮小(塩素の含有量が激増)する危機が発生しています。
[第1の危機]明治末~大正:西宮港修築工事のため、海水が浸透。「第1次宮水撤収地帯」で発生。
[第2の危機]昭和9年秋:室戸台風が直撃し、高潮で宮水地帯が浸水。「第2次宮水撤収地帯」で発生。
また、揚水量増加により、宮水地帯の家庭用の井戸水が枯渇したこともありました。酒造家は上下水道を全町に寄付することで、宮水を守りました(大正13年)。
酒造会社や市は「宮水保存調査会」を結成し、建物などを建設する際は井戸に影響が出ないよう、建設会社などと協議をしています。ある大規模マンションの工事では、酒の仕込みの時期を避け、地下駐車場の位置を変更して影響を食い止めたそうです。 
160528 (131c)白鹿酒造稈_宮水地帯地図
斜線部分が宮水撤収地帯(橙:第1次、青:第2次)。黒は第3次宮水地帯。赤い点線は大昔の海岸線(推定)を表します(白鹿記念酒造資料館のパネルより)。

★感想など
”男酒”として有名な灘の酒を特徴づける名水が、わずか500m四方の区画にしか湧き出ないことにとても驚きました。また、六甲山系のまろやかな軟水が限られた場所だけ硬水に変わる自然の妙、さらに、その水質の違いを利き分ける造り手の技量と、良酒を極めようとする情熱に、深い感銘を受けました。

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プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

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