FC2ブログ

【見学】MIZKAN MUSEUM(愛知・半田)- ミツカン・ミュージアム(MIM。旧・博物館「酢の里」) - 江戸の握り寿司ブームに火をつけた粕酢(赤酢)

日本で唯一の酢の総合博物館、ミツカン・ミュージアム(略称MIM。旧・博物館「酢の里」)を見学しました。酢は酒(アルコール)を酢酸発酵して造られるため、酒造りの工程や歴史などとの関連が深く、とても興味深かったです。

日時:2016年9月2日(金) 12:00~13:30
場所:MIZKAN MUSEUM(愛知県半田市中村町2-6)
料金:300円
内容:ガイド付きツアー(70分)+光の庭体験エリア(20分)
交通:18きっぷ(JR線。1日あたり2,370円)、名古屋鉄道(600円)

★アクセス
160902 (2)大府駅_JR武豊線
最寄駅はJR武豊線[たけとよせん]の半田駅。東京都内から18きっぷで普通列車を乗り継いで向かいました(東京駅5:20→7:27沼津駅7:31→8:29静岡駅8:30→9:41浜松駅9:43→10:57大府駅[おおぶ-]11:21→11:44半田駅。通常運賃6,260円)。写真は大府駅に停車中のJR武豊線。
160902 (7)JR半田駅_こ線橋
160902 (5)JR半田駅の跨線橋
明治43年11月に完成したJR半田駅の跨線橋(こせんきょう。橋の一種で、鉄道線路をまたぐもの)。JRでは最古の橋だそうです。
160902 (13)ミツカン本社ビル
JR半田駅から目的地までは約350m、徒歩約5分です。手前には平成2年に建てられたミツカン本社ビルがあります。
160902 (144)MiM_案内板
ミツカン・ミュージアム(MIM)の入口は、大通りの裏手になります。
160902 (142)MiM_入口
MiMの入口。

★受付
160902 (22)MiM_入館証
受付で事前予約をしている旨を伝え、料金(300円)を支払うと、入館証とパンフレットが渡されます。
160902 (21)MiM_ロッカー
無料のコインロッカー。お寿司のイラストが描かれていました。
160902 (25)MiM_待合室
待合室。

★ガイド付きツアー
ツアーでは、館内の5つのゾーン(大地の蔵、風の回廊、時の蔵、水のシアター、光の庭)を案内してくれます。所要時間は90分。この日のガイドは女性のKさんでした。
160902 (26)MiM_案内DVD
最初に、ミツカンの紹介や館内での注意事項などについて説明がありました。
ミツカンの創業は1804年(文化元年)。酒造りを行っていた初代・中埜[なかの]又左衛門が本家から分家独立して、酒粕を原料とした酢(粕酢)造りを始めました。MIMは1986年に「博物館・酢の里」として開館し、2015年11月にリニューアル・オープンして現在の施設になりました。


【ゾーン1】大地の蔵~江戸時代と現在のお酢のつくり方

<昔の酢造り>
室内には昔の酢造りの様子が再現されていました。

初代・中埜又左衛門は、酒造りで余った酒粕を何とか活用できないかと考えて”粕酢”造りを始めました。酒造家が酢を造るのは大変なリスクでしたが(酒に酢酸菌が入るとすべて酢になってしまうため)、大胆なチャレンジに見事成功し、粕酢は江戸で評判となりました。当時流行していた「早ずし」(現在の握りずしの原型)には、甘みと旨みが強い粕酢が良く合い、米酢よりも安価であったため、江戸の庶民に寿司が広まるきっかけのひとつにもなりました。江戸に運ばれる酒(上方の灘五郷の酒など)が過当競争に陥っていたことも、酢造りへの転換の背景にあったそうです。

160902 (30)MiM_新粕と三年粕
昔の粕酢の原料には、3年寝かせた酒粕が使われていました(写真の左が新粕、右が3年粕)。現・愛知県岡崎市で造られる八丁味噌も、約3年間(二夏二冬)熟成させており、三河地方では発酵ものを3年間熟成させることが一般的だったようです。
160902 (28)MiM_粕熟成
大きな桶で3年間熟成させることで、酒粕はあめ色に変わり、甘みと旨みが増します。熟成した酒粕は別の桶に移され、水を加えてかき混ぜると、約1週間でもろみができあがります。もろみをつくる工程を「ひやかし」といいます。

160902 (47)MiM_圧搾(ふな場)
もろみを酢袋(茶色い袋)に入れて木の箱の中に重ね、テコの原理を使った木製の大きな装置(槽=ふね)で搾ります。搾り出された液体(日本酒=酒)が酢酛[すもと]です。

160902 (35)MiM_⑤仕込
酢酛の半分を大きな鉄釜で温め(沸かし)、残りの半分と合わせて2階にある仕込み桶に移します(温めた酢酛を「沸かし汁」、もとの温めない酢酛を「澄まし汁」といいます)。仕込み桶には、種酢(前回の酢造りでできた酢)が半分残されており、種酢の中の酢酸菌の働きによって、仕込み桶の中の酢酸発酵が進みます。酢酛は約1カ月で酢に変わります。その後、味をまろやかにするために2-3カ月かけて熟成させます。

160902 (43)MiM_ろ過
仕込み、熟成を終えた酢は、「灰ごし桶」でろ過され、不純物が取り除かれます。
160902 (45)MiM_ろ過(灰ごし)
「灰ごし桶」の中は、砂の層の上に藁灰[わらばい]が塗られています。この上から酢を通してろ過を行います。

160902 (52)MiM_木槌 - コピー
ろ過された酢は、樽に入れられます(詰め口)。樽の中の酢の量は目視で確認できないため、職人が樽の天面を木槌でたたき、その音を聞くことで中の量を推測します。
160902 (34)MiM_詰め口、荷造り
樽の満量まで酢を注ぎ足し、樽を縄で縛って出荷となります。江戸時代の粕酢造りは、9つの工程を約3年半もかけて行われていました。

<昔の酢造り・まとめ>
(1)粕熟成:酒粕(酢の原料)を大きな桶に入れ、長期間寝かせて熟成させる。熟成することで、酒粕の甘みと旨みが増す。
(2)もろみ造り(ひやかし):熟成した酒粕を桶に移し、水を加えてかき混ぜると、約1週間でもろみができる。
(3)圧搾(ふな場):もろみを酢袋に入れ、槽で圧搾して「酢酛」を搾り出す。
(4)沸かし:できた酢酛の半分を大きな鉄釜で温め、「わかし汁」をつくる。
(5)仕込み:わかし汁と残り半分の酢酛を、2階にある仕込み桶に移す。仕込み桶には、前回発酵した酢が「種酢」として半分残っており、種酢の中の酢酸菌が働くことで、約1カ月かけて酢酛が酢に変わる。
(6)貯蔵:できあがった酢の半分を1階の貯蔵桶に移し、味をまろやかにするために、2-3カ月ほど寝かせて熟成させる。仕込み桶に残した酢は、種酢として次の仕込みに使われる。
(7)ろ過(灰ごし):細かい砂の層の上に藁灰[わらばい]を塗りつけた「灰ごし桶」に、熟成された酢を通して不純物を取り除く。
(8)詰め口:ろ過された酢を、柄杓[ひしゃく]と樽詰漏斗を使って樽に入れる。酢の量は、樽の天面を木槌でたたき、その音を聞くことで確認する。
(9)荷造り:出荷前に樽の満量まで酢を注ぎ足し、樽を縄で縛る。

<現代の酢造り>
160902 (58)MiM_大地の蔵中央の桶の中
続いて、中央部の桶の周りに集まるように指示されました。
160902 (53)MiM_1階の粕酢づくり設備
女性ガイドさんの掛け声で、桶の底がパッと透明になりました。MIMの1階では、今も粕酢造りが(少量ですが)行われています。ガラス越しに、圧搾・ろ過機、沸かしタンク、もろみ作りタンク、引き卸しタンクを見学できました。ろ過機は、酢を横から通してフィルターで不純物を取り除きます。

160902 (62)MiM_静置醗酵室
続いて、静置発酵室へ。静置発酵(表面発酵)とは、空気に触れている”酢酛(酒)の表面だけ”が酢酸発酵することをいいます。
160902 (63)MiM_酢酸菌の菌膜
酢酸菌は表面に膜(菌膜[きんまく])をはりながら、約1週間で酢酛を酢に変えます。空気と酒が大好きな酢酸菌は、菌膜の下の酒を食べては酢に変えていきます。発酵槽(タンク)に空気を送り込み、よくかき混ぜながら効率的に酢を生産することを、「深部発酵[しんぶはっこう]」といいます。
160902 (66)MiM_三ツ判山吹
創業時の粕酢(赤酢)を再現した「三ツ判山吹」。「山吹」という名は同社のブランド第1号で、この酢で酢飯をつくると御飯が山吹色になることから名付けられました。「三ツ判」の称号は、特に上質なものに与えられたそうです。3年粕を使うこの酢は、濃いあめ色をしています。甘みと旨みが強いため、塩や砂糖を控えめにしても美味しい酢飯がつくれるそうです。価格は900mlが税込1,080円、首都圏限定販売の500mlが税込756円です。製造量が非常に少ないため入手困難と聞き、今後の講座用に1本購入して帰りました。
160902 (140)MiM_三年熟成・千夜
三ツ判山吹をさらに3年間熟成した「千夜」。文字通り、千夜熟成させることから名付けられた名前です。まろやかでコクの深い赤酢(純酒粕酢)で、価格は税込2,920円(333ml)。MIMで年間千本程度を数回に分けて販売していますが、今年度分はすでに完売しているそうです。インターネットや他店舗での販売は行っていないそうです。

石川県・農口酒造の渡辺杜氏が「衝撃を受けた」と語られていた酢は、この「三ツ判山吹」か「千夜」のことだろうか...
次回お会いする機会があれば、ぜひ、質問してみたいと思います。

<桶・樽をつくる道具>
160902 (68)MiM_桶・樽をつくる道具
続いて、木の樽や桶をつくる道具の展示コーナーへ。
160902 (70)MiM_正直かんな
写真は「正直かんなの刃」。正直かんなは、板同士を合わせる面を削る時に使われます。木曽材木工芸品・さわら桶を作る職人の伊藤今朝雄さんによると、「『正直』というくらいで、正直にちゃんと型どおりにやらないと、(樽や桶のように円形に仕上げるための木材を)丸くした時にどちらかがすいてしまう」そうです。愛知県岡崎市の合資会社八丁味噌(カクキュー)の資料館に展示されていた、大きな正直かんなを思い出しました。

<江戸時代の水道>
160902 (72)MiM_江戸時代の水道
酢や酒造りには良質な水が必要です。又左衛門は、文政期と嘉永期の2度にわたり、私設の水道を設ける工事を行いました。特に後者(1850年~)は1,350mにもおよぶ大掛かりなものだったそうです。船大工(水漏れ防止の技術を持つ)や樽屋、黒鍬(くろくわ。土木工事を担う人)らが知多半島一帯から集められ、大きな雇用をも生み出しました。このような公共事業のような工事を(藩ではなく)私企業が行うことは極めて珍しいことだったそうです。館内には、本社ビル建設時に発掘された水道管も展示されていました。

<酢の蔵人の職制>
親方(蔵の長)を筆頭とする酢造りの職制。杜氏を筆頭とする日本酒造りの職制との違いが興味深かったです。
160902 (76)MiM_蔵の職制
酢造りの場合、親方の下に、「人足回し[にんそくまわし]」→「ホチ(小僧)」と、「二階方[にかいかた]」→「若い衆」という2系統があります。

・人足回し:親方の補佐役。蔵の生産計画を立てたり労務管理を行う。
・ホチ(小僧):蔵に入ったばかりの少年。早朝から仕事場の掃き掃除や炊事の手伝いなどの雑用を行う。
・二階方:仕込作業の責任者。名称は、仕事の持ち場が2階であることに由来。
・若い衆:蔵に入って数年経つ者。酢づくりの手伝いや荷造り作業などの力仕事を行う。

160902 (77)MiM_仕事着
職人の仕事着。

<体感コーナー>
160902 (94)MiM_体感コーナー
このコーナーでは、見学者が興味のあるところを自由に見て回ります。

160902 (98)MiM_いろいろなお酢
いろいろなお酢の展示コーナー(粕酢、穀物酢、純米酢、純玄米黒酢、純りんご酢、白ワインビネガー)。
160902 (97)MiM_香りのひきだし
パネルの下の「香りのひきだし」を開けると、それぞれのお酢の香りを確認できます。

160902 (88)MiM_いない桶
酢を運ぶ「いない桶」と「いない棒」。いない桶2つ(約15kg)で、一度に40-50ℓの酢を運べたそうです。他にも、酒粕の重さを量る「竿ばかり」(片方に分銅、もう片方に酒粕をのせて使用する)や、樽の天面を木槌でたたいて中身の酢の量をはかるコーナーがありました。

160902 (82)MiM_酢酸菌の拡大写真
酢酸菌の拡大写真。酢酸菌にはいろんな種類あり、酢のタイプによって使い分けられています。季節によって変えることもあるそうです。昔の酢造りは(江戸時代後半の日本酒造りのように)冬場だけだったのか質問したところ、夏場の2-3カ月は造りを行っていなかったそうです(品温がすぐに上がってしまい、発酵しにくいため)。


【ゾーン2】風の回廊~半田の情景を懐かしい写真で
このゾーンには、明治から昭和初期の半田の様子が展示されています。
160902 (102)MiM_半田だし祭りの法被
長い直線廊下の両側には、半田山車祭りの法被[はっぴ]をモチーフにしたのれんが飾られています。31台の山車が登場するこのお祭りは、5年に一度(西暦の下一桁が2、もしくは7の年)、10月第1週の日曜日とその前日の土曜日に行われます。

160902 (96)MiM_煙突の風景
中庭越しの「煙突の風景」。現在は煙突を利用して、館内(時の蔵)の自然換気を行っているそうです。太陽熱を利用して煙突内で空気の上昇を促すことで、半田運河を通った冷たい風を1階の壁面の足元から引き込み、煙突から排気をします。

160902 (107)MiM_半田運河
江戸時代中頃に開かれた半田運河。ここから酢などが船積みされて、江戸や各地へ運ばれていました。昭和30年代前半まで、実際に使われていたそうです。

160902 (143)MiM_外壁
風の回廊の運河沿いの壁(写真は館外で撮影したもの)は、季節に応じて太陽熱をうまく活用できる二重構造(トロンベウォールシステム)。春や秋には自然換気を促し、夏は壁の中の暑い空気を外に逃がし、冬は壁の中で温められた空気を室内に送り込みます。内壁材には、かつて工場の外壁に使用されていた杉板が利用されています。

160902 (109)MiM_昔の工場(瓶詰ライン)
昭和30年代前半頃の半田工場の映像。瓶詰作業が機械化されていたのは、当時では珍しかったそうです。


【ゾーン3】時の蔵~弁才船に乗って半田から江戸までの航海へ!
160902 (111)MiM_時の蔵(暗闇)
階段で2階から1階へ降りて、時の蔵へ。扉が開き中へ入ると、室内は真っ暗でした。
160902 (113)MiM_弁才船_富士宮丸
照明がつくと、大きな弁才船[べざいせん]の姿があらわになりました。文政・天保期に半田運河から江戸まで酢を運んでいた「富士宮丸」を実寸で再現したもので、全長約20m、重さ約20トンもあります。この船は310石積ですが、弁才船の中では小型だったそうです。弁才船は日本で独自に発達した船で、1枚の大きな帆(に受ける風)を唯一の動力としていました。従って5-6名という小人数の乗組員で航行でき、小型船であったため積み荷の処理もスピーディーに行えたそうです。
160902 (129)MiM_弁才船(前方部)
弁才船の船体は板を継ぎ合わせて造られており、外国船のような(側面の板を打ち付けるための)骨格はありません。すべて(底や側面部)の板を船体に合うように曲げて、船首に突き出した水押(みおし)といわれる材に接合しています。
160902 (128)MiM_弁才船の甲板シアター
甲板[かんぱん]部分では、CGで江戸時代(文化元年=1804年)の疑似航海が楽しめます。半田から江戸までの所要日数は、順調であれば10日前後だったそうです。一往復には(船のメンテナンスなども含めて)約1カ月半から2カ月かかり、通常は年間で5往復くらいしていたそうです。

160902 (114)MiM_時の蔵
ミツカンの歴史についての展示コーナー。

160902 (121)MiM_商標改正報告 - コピー
1884年(明治17年)に商標条例が施行され、商標の専有には登録が必要になりました。同社が使っていたまるかん印(勘の字を〇で囲んだもの)は、名古屋の酢屋(笹田伝左衛門)が3日前に登録済みであったため、中埜家の家紋(三の字を〇で囲んだもの)をアレンジした三ツ環(後の、ミツカン)が考案されました。この商標は1887年(明治20年)5月に登録が認可されました。商標の3本線は、酢の3要素である、「味」、「利き」、「香り」を表しています。


【ゾーン4】水のシアター~食といのちのつながりを映像に乗せて
続いて、シアタールームで映像を観ました。ミツカンのコーポレート・スローガンは「やがて、いのちに変わるもの。」。美しい日本の四季の映像を通して、食といのちのつながりの大切さが伝わる内容でした。


【ゾーン5】光の庭~おすし、お鍋をテーマに食の魅力を体験!
160902 (135)MiM_光の庭
最後のゾーン、光の庭へ。

160902 (132)MiM_試飲
お酢ドリンクバーで、「ブルーベリー黒酢」と「まろやかりんご酢」の試飲をしました。この後は、自由にゾーン内を見学して解散となります。

160902 (137)MiM_味ぽん販売機
味ぽんの自動販売機(200円)。自分の写真を撮影してオリジナルの「マイ味ぽん」が作ることもできます。味ぽんは今年で発売から52年目になるそうです。

160902 (138)MiM_すし大陸
たくさんの寿司のレプリカが並ぶ「すし大陸」。すし職人の衣装を着て、紙粘土のシャリとシリコン製のネタで握りずしをつくる「なりきり寿司屋さん」のコーナーもあります。

160902 (141)MiM_おみやげ
おみやげのペーパークラフト。


★感想など
展示物やアトラクションが充実していて、大人から子供まで楽しめるミュージアムでした。パネルの説明書きやガイドさんの案内がとてもわかりやすく、酢の造り方や歴史などを効率よく学ぶことができました。次回はぜひ、近くにある中埜酒造の酒の文化館と併せて見学したいと思います。


★知多半田駅からアサヒビール名古屋工場
160902 (151)名鉄河和線特急_知多半田駅
MIMの見学を終え、名古屋鉄道の知多半田駅まで歩きました(約800m、徒歩10分)。ここから名鉄河和線[-こうわせん]とJR中央本線を乗り継いで、アサヒビール名古屋工場の最寄駅・新守山駅に向かいました(知多半田駅13:43→14:08金山駅14:13→14:24新守山駅。各600円、200円)。
160902 (153)名鉄河和線特急の車内
名鉄特急の車内。
160902 (152)名鉄河和線_切符
特急料金はかかりませんでした。


(初稿)2016.11.4

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから
スポンサーサイト



テーマ :
ジャンル : グルメ

【見学】合資会社八丁味噌[カクキュー](愛知・岡崎) - NHK「純情きらり」のロケ地、宮崎あおいさんの手形がある八丁蔵通り、豊臣秀吉ゆかりの矢作橋

まるや八丁味噌に続き、「カクキュー」の屋号の合資会社八丁味噌を見学しました。八丁味噌の名前は、岡崎城から八丁(約870m)西に離れたところにある八丁村(現在の八帖町[はっちょう-ちょう])でつくられてきたことに由来します。NHKの連続ドラマ小説「純情きらり」の舞台ともなった八丁味噌の蔵元は、全国にわずか2軒しかないそうです。岡崎は徳川家康の生誕地でもあり、この地には戦国武将ゆかりの地や数々の言い伝えも残されていました。

日時:2016年8月19日(金) 15:00~15:40頃
場所:合資会社八丁味噌(愛知県岡崎市八帖町字往還通69)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京駅⇔岡崎駅、1日あたり2,370円)、愛知環状鉄道(岡崎駅⇔中岡崎駅、往復460円)

★アクセス
160819 (3)愛知環状鉄道_中岡崎駅
最寄駅は愛知環状鉄道の中岡崎駅(写真)。名鉄名古屋本線の岡崎公園前駅と接続しています。この日はまるや八丁味噌、大正庵釜春本店(うどん屋)を経由して徒歩で向かいました。
160819 (75)カクキュー八丁味噌_アクセス
中岡崎駅から目的地までは、愛知環状鉄道の高架沿いに歩いて約300mです。

★本社事務所
160819 (78)カクキュー八丁味噌_外観
昭和2年に建てられた本社事務所は、白い柱を強調した教会風の個性的なデザイン。木造2階建てのトタン葺き(トタンは亜鉛をめっきした薄い鋼板)で、面積は339平方メートル。2棟が南北につながる構造で、南棟(1階建て)が主たる事務所、北棟(2階建て)が応接室や倉庫として使われています。本社事務所は、現・史料館の建物とともに国の登録文化財に登録されています(平成8年)。
160819 (7)カクキュー(旧東海道沿い)
昔は旧東海道沿いの古い建物が事務所だったそうです(この建物だと思われます)。

★見学受付
160819 (186)カクキュー八丁味噌_売店
工場見学の受付は売店のカウンターで行います。ツアーは10:00(土日祝は9:30)~16:00の間の毎時00分と30分にスタートします(12:30はお昼休み)。少人数の場合は予約不要です。
160819 (82)カクキュー八丁味噌_工場見学受付書
まず工場見学受付書に氏名等を記入します。
160819 (185)カクキュー八丁味噌_売店の出口(見学待合場所へ)
ツアーの待合所は中庭のテント下。売店の入口と反対側にあるドアを出てすぐのところです。
160819 (83)カクキュー八丁味噌_待合所
待合所には、大人から子どもまでたくさんの見学者がツアーの開始を待っていました(写真はひとけの無いはじっこの方の椅子です)。

★工場見学
女性ガイドさんの案内で工場見学がスタートしました。ガイドさんは全部で20数名いるそうです。工場内の写真撮影は自由ですが、ドラマ「純情きらり」に関するものは、肖像権の関係で撮影不可との注意がありました。
160819 (88)カクキュー八丁味噌_カクキュー商標
屋号の「カクキュー」は、当主の名前”早川久右衞門”に由来します。創業は1645年頃と言われており、現当主(呼称は代表社員)で19代目になるそうです。隷書体[れいしょたい](※)の”久”の文字を正方形の枠で囲ったロゴが目立っています。

(※)隷書体:漢字の書体の一つ。八分隷、八分、分書。古文に対して今文[きんぶん]と呼ばれています。

160819 (89)カクキュー八丁味噌_パック詰め
左の建物は、”赤だし”味噌の袋詰めをするところ。大豆(と塩と水)だけで造られる”八丁味噌”に、米味噌を合わせたものが”赤だし”です。八丁味噌は水分がとても少なく硬い味噌であるため、袋詰めはすべて従業員による手作業で行われるそうです。

160819 (153)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
160819 (99)カクキュー八丁味噌_敷地内建物(資料館手前)
敷地内には趣きのある建物が立ち並んでいました。
160819 (100)カクキュー八丁味噌_資料館手前(見学者の列)
史料館へ向かう見学者の列。これだけの人数をさばくガイドさんは大変だろうなぁ...

★史料館
160819 (152)カクキュー八丁味噌_敷地内建物
明治40年に建てられた味噌蔵を改築した史料館。平成8年には本社事務所とともに”文化庁の登録文化財”に登録されています。史料館を含む工場内の施設には、ツアー参加時のみ立ち入りが可能です(後から気になったところを個人でゆっくり見直すことはできないそうです)。

<昔の看板>
160819 (110)カクキュー八丁味噌_昔の看板
旧国鉄(現在のJR)時代の岡崎駅に飾られていた宣伝用の看板。右に描かれているのは、幼少期の豊臣秀吉(日吉丸)と蜂須賀小六。2人は、工場のすぐそばを流れる矢作川[やはぎがわ]にかかる矢作橋で出会ったと伝えられています。橋の上で菰[こも]をかぶって寝ていた日吉丸は、この出会いで出世の糸口をつかみます。日吉丸がかぶっていた菰は、カクキューの店から盗んだものと言い伝えられているそうです。

<昔の仕込みのようす>
史料館の中には、明治中期頃(1900年前後)の仕込みの様子がマネキンで再現されています。昔の用具類などの展示も充実していました。
160819 (115)カクキュー八丁味噌_鉄製大釜
160819 (113)カクキュー八丁味噌_こしき
まず、鉄製の大釜(蒸気を発生させます)に、菰[こも]が巻かれた大きな大桶=甑[こしき]をはめて(のはず...)、約2トンの大豆が蒸されます。釜と甑を使って原料を蒸す工程は、昔の日本酒造りと同じように見受けられました。
160819 (144)カクキュー八丁味噌_史料館(二階の室へ)
蒸した大豆は潰して”こぶし大の大きさ”に握り固められます。これを「味噌玉」といいます。味噌玉は2階の室[むろ]に運ばれた後に”麹菌”が付けられ、発酵過程に入ります。発酵した味噌玉は、「豆麹[まめこうじ]」へと変わります。
160819 (129)カクキュー八丁味噌_史料館天井
2階の室とつながる天井は”竹”でできています。昔は収穫した大豆を冬場に仕込む「寒づくり」が主流でしたが、寒すぎては発酵が進まないため、焚き火や七輪を使って1階で温めた空気を2階に送っていたそうです。現在は空調機器で温度管理ができるため、1年を通して仕込みが可能です。発酵時の温度を下げようと苦労していた昔の吟醸酒造りやワイン醸造と真逆だったことが興味深かったです。
160819 (120)カクキュー八丁味噌_仕込 - コピー
たらいの中の石ころみたいな塊が豆麹(発酵させた味噌玉)。これに塩と水を加えてよくかきまぜ、職人たちが大きな桶に運び入れて熟成させます。豆麹の入ったたらいは40kgもの重さになるそうです。これを、職人が2人がかりで肩にかついで運びます。
160819 (137)カクキュー八丁味噌_仕込2
桶に乗っている職人は、足袋をはいて、中の味噌を足で踏み固めています。しっかりと踏み込んで空気を抜くことで、雑菌の繁殖を防いでいるそうです。八丁味噌は水分が少ないため、人が乗っても味噌の中に沈みこまないとか。桶の中の味噌の重さは約6トンで、味噌汁だとおよそ30万人分にもなるそうです。桶が満たされたら、蓋をして石を積み、二夏二冬[ふたなつふたふゆ]=約2~3年かけて熟成させます。

<昔の桶>
160819 (125)カクキュー八丁味噌_桶と樽のコーナー
史料館の奥に横たわっている大きな杉桶は、天保10年(1839年)につくられたもの。カクキューでは、天保15年につくられた杉桶が現役最古のものとしていまだに活躍しているそうです。大きな杉桶はその高さから「六尺」(高さ約1.8m)と呼ばれているそうです。
160819 (127)カクキュー八丁味噌_天保10年作の桶 - コピー
170年以上の歴史を歩んできた桶の内部。ロマンだなぁ...

<正直かんな>
160819 (139)カクキュー八丁味噌_正直かんな
桶屋などが用いる長さ1m~2mのかんな。木をかんなの上に乗せて(かんなではなく木を)押して削ります。

★熟成蔵
160819 (157)カクキュー八丁味噌_熟成蔵内
続いて、熟成蔵の中を見学しました。大きな杉桶がたくさん並んでいます。
160819 (158)カクキュー八丁味噌_蔵内温度計
八丁味噌は天然醸造で造られるため、蔵内の温度は自然任せです。職人さんたちは、夏は暑く、冬は寒い室温の中で大変な作業を行っています。この日の蔵内の温度は約34℃でした...
160819 (156)カクキュー八丁味噌_熟成庫(杉桶)
1つの桶には約6トンの味噌が仕込まれており、その上に約3トン(およそ350個)の石が円錐状に積み上げられています。石積みは、まず小石を蓋の周りに積み、次に大きな石を内側に重みがいくように積んでいきます。石積みだけで5~10年の修行が必要と言われており、職人によって積み上げられた石は、過去の地震でも崩れたことがないそうです。たくさんの丸石を積み上げるのは、味噌の水分や塩分が均等に混ざるようにするためで、3トンの石をぽんと1個置くだけでは効果がないそうです。ちなみに、味噌造りと同じ職人さんが石積みも行っているそうです(まるや八丁味噌さんでは別々だったように見受けられました)。

160819 (163)カクキュー八丁味噌_竹製のタガ - コピー
桶の寿命は約100年と言われる一方で、竹製の箍[タガ]の寿命は約70年。竹製の箍を作れる職人さんはもう(ほとんど?)いないため、現存するものはとても貴重なのだそうです。寿命を迎えた箍は順次、鉄製のものに変えられています。伝統の技が失われていくのは少し寂しい感じがしました...

★屋外の仕込み桶
160819 (167)カクキュー八丁味噌_貯蔵蔵の出口
貯蔵蔵の外に出ると、大きな杉桶がたくさん並べられており、次に使う時のために天日干しされていました。
160819 (172)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶
1つの桶の値段は、およそ200万円ほどするそうです(かなりアバウトな数字だそうですが...)。
160819 (169)カクキュー八丁味噌_屋外の仕込み桶の中
使用済みの仕込み桶は、中に味噌が付いている状態のままで干されます。桶を洗ってからだと、乾燥によってすき間ができたり割れたりすることもあるため、再び使う直前に中をきれいに洗うそうです。見学者の中には、この桶の中に残った味噌を食べてしまう人も”多々”いるとか...(←突っ込みポイント)。

★防火用水
160819 (86)カクキュー八丁味噌_防火用水
水路があったので仕込み水なのか質問したところ、防火用水とのことでした。雨水を溜めてつくられたもので、深さはなんと1.6mほどもあるそうです。使うことを想定されていないせいか、中にはめだかが飼われていました。火事になった時は、かわいそうだけど焼き魚になってもらうことになるとか...(←突っ込みポイント)。
パンフレットによると、この地は花崗岩質の地盤からの良質な天然水に恵まれているそうです。

★試食
160819 (176)カクキュー八丁味噌_試食コーナー
ツアーの最後に、セルフサービスの試食があります。
160819 (180)カクキュー八丁味噌_試食(八丁味噌の味噌汁)
八丁味噌のお味噌汁。赤だしのお味噌汁と比較試飲ができます。通常の味噌よりも旨味と酸味が強く、ほのかな渋味も感じられて複雑な味わいでした。
160819 (179)カクキュー八丁味噌_試食(味噌田楽)
丸いこんにゃくに八丁味噌のタレをかけたもの。

★矢作川と矢作橋
160819 (197)矢作川
工場見学の後は、敷地の西側を少し歩いた所を流れる矢作川を訪れました。この川があったから三河の発酵文化が育ったのだと思うと感慨深くなりました。
160819 (198)矢作橋
慶長6年(1601年)に土橋として架けられた「矢作橋」は、江戸時代における日本最長の大橋だったそうです。橋のそばには日吉丸と蜂須賀小六の「出合之像」があるそうですが(気付かなかった...)、この橋ができた1601年には、豊臣秀吉は既に亡くなっていたそうです。結構アバウトな言い伝えが多いなぁ...。現在の矢作橋には国道1号線が通っています。

★八丁蔵通り
矢作川を見た後は、工場の敷地の西側の小道を歩きました。この道は「八丁蔵通り」と呼ばれており、風情のある建物を見ながらの散策が楽しめます。
160819 (191)カクキュー八丁味噌_八丁蔵通り(東海道側)
八丁蔵通りの北限はちょうどカクキューの敷地の北西の角(国道1号線沿い)になります。
160819 (192)カクキュー八丁味噌_東海道側の外観
カクキューの北側の建物。屋外には石や桶が天日干しされていました。
160819 (201)八丁蔵通り
160819 (203)八丁蔵通り
黒塗りの板張り壁面と漆喰塗の白い土壁の色彩のコントラストが美しい...
160819 (202)八丁蔵通り
風情があります。
160819 (205)八丁蔵通り
八丁味噌の看板も。
160819 (206)八丁蔵通り - コピー
八丁蔵通りの南限は旧東海道に接しています(写真の右側の建物はまるや八丁味噌の事務所)。通りの角には、「純情きらり」で主演をつとめた宮崎あおいさんの手形がありました。

★帰路
160819 (211)愛知環状鉄道(切符)
愛知環状鉄道で岡崎駅まで戻り(中岡崎駅16:04→岡崎駅16:10)、その後は18きっぷで普通列車と快速を乗り継いで東京を目指しました(岡崎駅16:17→16:39豊橋駅(充電休憩)17:02→17:38浜松駅17:50→19:03静岡駅(休憩)20:50→22:04熱海駅22:09→23:46東京駅)。東海道線は乗り継ぎ駅の近くに充電できる喫茶店がいくつかあるのでPC作業がはかどります。
160819 (214)しぞーか酒場(静岡) - コピー
静岡駅で途中下車して、”しぞーかおでん”で一杯...

(初稿)2016.8.23

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 味噌
ジャンル : グルメ

【見学】まるや八丁味噌(愛知・岡崎) - 丸い石を積み上げた大きな杉桶が並ぶ味噌蔵はインパクト大!二夏二冬の熟成が生み出す旨味・酸味・渋味のハーモニー

愛知県岡崎市にある八丁味噌の蔵をはじめて見学しました。八丁味噌の名前は、岡崎城から八丁(約870m)西に離れたところにある八丁村(現在の八帖町[はっちょう-ちょう])でつくられてきたことに由来するそうです。

日時:2016年8月19日(金) 13:30~14:15頃
場所:(株)まるや八丁味噌(愛知県岡崎市八帖町往還通52)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料
交通:18きっぷ(東京駅⇔岡崎駅、1日あたり2,370円)、愛知環状鉄道(岡崎駅⇔中岡崎駅、往復460円)

★アクセス
160819 (1)愛知環状鉄道_岡崎駅
最寄駅は、愛知環状鉄道の「中岡崎駅」。JR東海道線の岡崎駅から2駅です(岡崎駅12:46→中岡崎駅12:51、230円。写真は岡崎駅)。東京都内から岡崎駅までは、18きっぷで普通列車と快速を乗り継いで訪れました(東京駅5:20→7:27沼津駅7:31→8:29静岡駅8:30→9:41浜松駅(休憩)11:44→12:17豊橋駅12:21→12:41岡崎駅)。
160819 (62)岡崎公園前駅
中岡崎駅は、名鉄名古屋本線の「岡崎公園前駅」と接続しています。

★車内でのアクシデント!?
静岡駅~浜松駅の車内でアイフォンをいじっていたら、突如りんごマークの画面で固まってしまいました(こんな時に限って…)。浜松駅構内のドトールコーヒーに立ち寄り、パソコンをWi-Fiにつないで調べていたら、いわゆる“りんごループ”といわれる状態でした。再起動(音量+ボタンを押したセーフモードを含む)を何度しても直らず、修理センター行きも覚悟しましたが、家族のアイフォンから電話をかけてもらったら復活しました(自身のウィルコムでかけた時はダメでした…)。直ってくれて本当によかった...

★中岡崎駅~まるや八丁味噌
160819 (6)中岡崎駅前_純情きらりの手形 - コピー
中岡崎駅の駅前には、八丁味噌の蔵を舞台にしたNHK連続テレビ小説「純情きらり」(放映:2006年4月3日~2006年9月30日)のオブジェがありました。左の手形は室井滋さん(有森磯役)のものです。

160819 (4)中岡崎駅前
中岡崎駅の改札を出て右側の出口から「八丁味噌」の文字が書かれた建物が目に入りました。その建物を目指して歩きましたが、どこにも入口が見当たりません...
160819 (11)まるや八丁味噌_看板(屋外)
建物の外周をほぼ3/4周してようやく「まるや八丁味噌」の看板を見つけました。中に入って見学に来た旨を伝えると、ツアーの待合場所はなんと線路の高架沿い、つまり、駅を出て右手に進めばすぐに着く所にあるとのこと。駅の近くだからと油断せずに地図をよく確認すべきでした...ちなみに、この看板のある建物は事務所でした。
160819 (207)旧東海道(中岡崎) - コピー
遠回りしたおかげで事務所の前の”旧東海道”を歩くことができました(後でガイドさんの説明を聞いてわかりました)。岡崎城の近くにはかつて東海道五十三次の38番目の宿場があり、この道を通る旅人たちが八丁味噌をお土産に買っていたそうです。この細い道を挟んで、全国に2軒しかない八丁味噌のメーカーが向かい合っています(もうひとつは、カクキューの合資会社八丁味噌)。ほぼ同じ場所にあっても、蔵付きの微生物が異なるためか、両社の味噌の味は異なるそうです。
160819 (209)まるや八丁味噌_外観
事務所の脇から工場内を写したもの。金属製のドアの上部には2列の縦長の丸い穴が並んでいます。碧南市の白醤油メーカーのヤマシン醸造で見たものとほぼ同じデザインでした。

★見学受付
160819 (14)まるや八丁味噌_見学受付
工場の敷地をぐるっと一周してようやく見学受付の建物へ。こんなに駅の近くだったんだ...
160819 (15)まるや八丁味噌_見学受付
建物の中に入り、まず受付用紙に氏名等を記入します。ツアーは9:00~16:20(12:00~13:00はお昼休み)の間の毎時00分と30分にスタートし、少人数の場合は予約不要です。13:30からの見学者は、男性3名でした。

★DVD鑑賞
ツアー開始時間まで、会社と八丁味噌の紹介映像を観せて頂きました。

<まるや八丁味噌>
南北朝時代の延元2年(1337年。えんげん-)、太田弥治右衛門がこの地で醸造業を始めたのが創業とされています。戦国時代には同社の味噌が徳川家康の兵食にもなり珍重されたそうです。現在の社長は21代目の浅井信太郎氏(1949年生まれ)。主力商品の八丁味噌は有機やオーガニックも手掛けており、味噌ういろなどの菓子類や赤だしなども製造しています。同社の八丁味噌は”Hacho Miso”として世界20数か国に輸出されています。

<八丁味噌の特徴と八丁村>
八丁味噌は徳川家康の生誕地・岡崎市で長年造られている豆味噌の一種です。原料は大豆・塩・水のみで、色合いは濃い赤褐色。普通の味噌は米や麦の麹を加えて甘味を付けていますが、大豆のみで造られる八丁味噌は旨味が強く、乳酸菌が生む酸味、熟成による渋味と重なって、より複雑でコクのある味わいです。普通の味噌よりも水分が少ないため、塩分は見た目ほど高くなく、触感は硬めです。
八丁村は矢作川[やはぎがわ]の運搬船と旧東海道が交わる流通の拠点で、原料の調達や商品の出荷に適した立地でした。また、矢作川には土場(船着き場)と塩座(塩の専売)があり、良質な伏流水にも恵まれていました。

<工場のスタッフ>
工場長の星野さんは、蔵内を常に走り回っているほどの働き者で、32歳の若さで工場長に抜擢されたそうです(DVD作成時で35歳)。670年の蔵の歴史の中でも、異例の大抜擢だったそうです。星野さんは、八丁味噌を「手間のかかる愛すべき話し相手」と表現されていました。DVDでは、石積み職人の染次さんも紹介されました。桶1つにつき、4トンの石を積む作業をたった一人で担っているそうです。DVDでスタッフの方の職人気質に触れ、見学への期待が高まりました。

DVDを観た後は、女性ガイドさんが蔵内を案内してくれました。

★八丁味噌の製造工程
160819 (17)まるや八丁味噌_
大豆の選別→洗浄・浸漬・水切り→蒸煮・冷却→”みそ玉”をつくる(乳酸菌が付く)→こうじの種を振りかけて”みそ麹”にする→みそ麹に塩と水を加えて大桶(六尺)に仕込む→重石を乗せて約2~3年かけて熟成させる→八丁味噌の完成

<原料処理>
160819 (34)まるや八丁味噌_原料の大豆
原料の丸大豆を洗って水を吸わせる”浸漬”は、製品の良し悪しの八割を決めるほどの重要な工程だそうです。約2時間の吸水時間は分刻みで管理されており、5分の誤差が命取りになるそうです(水の抜き遅れで大豆をすべて捨てることもあるほどシビアな世界とか)。吸水具合は、浸漬前後の大豆の重さ=重量差を計って確認します。重さだけではすべてを判断できないため、爪を大豆に刺した時の感触など、”職人の勘”も駆使されるそうです。

<味噌玉・味噌麹づくり>
160819 (35)まるや八丁味噌_味噌玉(味噌麹)
160819 (36)まるや八丁味噌__味噌玉(味噌麹)アップ
浸漬した後の大豆は、巨大な釜で蒸煮します。程よい硬さのあめ色に蒸し上がった大豆は、特殊な穴が開いた”製玉機”に運ばれて、こぶし大の「味噌玉」がつくられます。味噌玉の中には”蔵付きの乳酸菌”が入り込み、雑菌の繁殖を抑えてくれるとともに、味噌にほどよい酸味を与えてくれます。
その後、味噌玉に”麹菌”をまぶして製麹室へと運ばれます。味噌玉の表面には白っぽい麹菌が一面にびっしりと生え、「味噌麹」になります。
2003年に最新の製麹機械を導入した際に、長年蔵にいた乳酸菌がなぜか味噌玉に根付かなかったことがあるそうです。調査を重ねて何とか改善したそうですが、蔵付きの微生物がいかに繊細な環境下で生きているかが伺えました。

<石積み・熟成>
160819 (27)まるや八丁味噌_味噌蔵内
味噌麹は高さ六尺(約1.8m)の大きな杉桶の中で、約2~3年(二夏二冬[ふたなつふたふゆ])かけて熟成させます。桶1つの中の味噌の重さはおよそ6トン(6,000kg)にもなり、4人家族が1日1杯の味噌汁を飲んだとして、空にするのに205年もかかるそうです。空気が少しでも残ると雑菌が入ってしまうため、職人さんが根気よく味噌を足で踏み固めていきます。桶の中に味噌麹を少しずつ入れては足で踏み固め、また少し入れては足で踏むという地道な作業を繰り返していくそうです。
160819 (23)まるや八丁味噌_杉桶のアップ - コピー
まるや八丁味噌には8つの味噌蔵があり、全部でおよそ200もの杉桶があるそうです。杉桶の寿命はなんと100年以上で、蔵の中には150年ものの桶もあるそうです。桶の木材の色はまちまちで、使用年数の違いが外見にもあらわれていました。
160819 (22)まるや八丁味噌_箍のアップ - コピー
桶の周りに巻かれている”箍[たが]”は元はすべて竹製でしたが、今は職人が殆どいなくなってしまったため、鉄製の箍に順次入れ変わっているそうです。

160819 (20)まるや八丁味噌_杉桶上部の積み石
桶の中を味噌麹で満たしたら、蓋をして、上に3~4トン(500~600個)の石を積んでいきます。まず、円を描くように土台をつくり、石の重みが中心にかかるように円錐型に積んでいきます。石積みのコツは、「石の顔を見せるように積む」こと。石積みには10年近くの修行が必要で、職人さんは「この顔じゃねーよ!」と何度も親方に怒られながら技を磨いてきたそうです。きちんと積まれた石の山は、過去の地震でも崩れることがなかったそうです。

八丁味噌は非常に水分が少ないため、石を積むことで塩水の対流を促し、熟成がうまく進むように手助けをしているそうです。

160819 (37)まるや八丁味噌_八丁味噌
積み石をした後は、人の手を加えずに、自然の力で熟成させます。蔵内の温度も自然任せ。文字通り、”天然醸造”です。
長期熟成で塩のカドが取れてまろやかな味わいになりますが、熟成期間は長ければ良いというものではないそうです(蔵内では、奥に向かって1列に並ぶ桶が同じ年に仕込んだものだそうです。味噌は奥の桶から詰めて、手前の桶から出していくため、奥の桶の熟成期間がやや長くなるそうです)。

出来上がった味噌は桶の中にスタッフが入ってスコップでかき出すそうです(お隣のカクキューでは、桶を傾ける機械を導入しているとか)。大変な重労働なので、女性のガイドさんに手伝うことがあるのか質問したところ、むしろ「触らせてくれない。近づくな。」と言われるそうです。ここでも、職人さんの強いこだわりを感じました。

現在は1年中つくれますが、昔は冬にできた大豆を夏にかけて仕込む”寒づくり”が主流だったそうです。

<石積みに使う石>
160819 (40)まるや八丁味噌_石積み説明
・積石(約60kg):石積みの外壁。職人は石の顔を瞬時に判断し、積み場所を決めます。
・中石(約11kg):石積みを中から支えます。
・まんじゅう石(約9kg):ピラミッドの頂点で全体のバランスを取ります。
160819 (41)まるや八丁味噌_積石
160819 (42)まるや八丁味噌_中石とまんじゅう石
積み石は、矢作川や静岡県の天竜川の上流から運ばれた天然の河原の石を使っているそうです。いまは石を運べなくなったため、昔からあるものを大事に使い続けているそうです。
たくさんの丸石を積むのではなく、大きな岩やレンガなどを機械でポンと置けないのか質問したところ、伝統を守るということに加えて、細かい石だからこそ細やかな調整に対応できるとのことでした。味噌づくりは自然の力を利用するものなので、職人の勘による柔軟な対応が必要であり、大きな石だと逆に調整が難しくなるそうです。

★赤だし
160819 (39)まるや八丁味噌_八丁味噌と赤だし
「赤だし」とは、豆味噌の”八丁味噌”と米糀で造った”白味噌”を混ぜ合わせた”合わせ味噌”を指すそうです。八丁味噌の濃厚な旨味と白味噌の甘味が折り重なった使い勝手の良い味噌で、八丁味噌単体よりも水分が多くなるため、柔らかくなるそうです。赤みそに鰹や昆布などの出汁を加えたものが”赤だし”だと思っていました...

★日吉丸・石投の井戸
160819 (32)まるや八丁味噌_日吉丸石投の井戸
かつて日吉丸という少年がこの店に忍び込んで、勝手に飯を食べていました。それを見つけた蔵男から逃げようとした少年は、この井戸に石を放りこみ、井戸に落ちたと思わせて逃げることに成功したと伝えられています。この少年が後の豊臣秀吉で、大人になってからこの店を通り過ぎた際に、当時のことを謝りに来られたそうです。話の真偽はともかく、このような言い伝えが岡崎には多々残されているそうです。

★味噌蔵の外壁
160819 (33)まるや八丁味噌_下見板張り
味噌蔵の外壁は、趣きのある”下見板張り”でした(石川県の宗玄酒造を見学した際に覚えました)。

★江戸時代の蔵
160819 (45)まるや八丁味噌_江戸時代の蔵 - コピー
続いて、江戸時代の後期に建てられた蔵を見学しました。屋根は修復していますが、天井や梁などは昔のまま残っているそうです。白っぽくなっているところが、蔵付きの微生物だそうです。
160819 (47)まるや八丁味噌_土壁のアップ - コピー
土壁のアップ。
160819 (46)まるや八丁味噌_江戸時代の蔵(縦) - コピー
「純情きらり」のロケでこの蔵が使われた際の裏話も教えて頂きました。物語の舞台となった昭和12年頃には鉄製のタガが存在しなかったため、NHKのスタッフがウレタンで竹製のタガのイミテーションを作り、それをかぶせて撮影したそうです。今もこの蔵内の竹製(に見える)タガは、その時のイミテーションが残されているそうです。

★昔の看板
160819 (44)まるや八丁味噌_看板
かつてお店の正面に掲げられていた看板。”皇国無比”の文字が刻まれていたため、戦後に屋内へ移されたそうです。

★売店・試食
160819 (52)まるや八丁味噌_味噌田楽の試食 - コピー
最後に「味噌田楽」の試食がありました。こんにゃくに「まるやのみそだれ」をかけただけのシンプルなものですが、旨味のある甘辛いタレが絶妙の美味しさでした。
160819 (51)まるや八丁味噌_味噌の試食
売店の試食コーナー。”八丁味噌(粒)”、”有機八丁”、”無添加八丁”、”サガミのみそだれ”を小さなスプーンですくって味の確認ができます。
160819 (55)まるや八丁味噌_売店
売店では、八丁味噌の他にも、菓子類などが販売されています。
160819 (64)まるや八丁味噌_八丁味噌(粒) - コピー
ここでしか買えないという「粒入りの八丁味噌」(800g、税込1,080円)を購入しました。粒を残している八丁味噌は流通量も少ないそうです。
160819 (65)まるや八丁味噌_八丁味噌(粒)裏面 - コピー
パッケージの裏面。

★出口へ
160819 (54)まるや八丁味噌_昔の写真
出口へ向かう通路には、昔の写真が展示されています。
160819 (57)まるや八丁味噌_用具の天日乾燥 - コピー
160819 (58)まるや八丁味噌_用具の天日乾燥 - コピー
建物の外では、積み石や用具類などが天日乾燥されていました。
160819 (60)まるや八丁味噌_出口建物
最初に入口だと思っていたところは出口でした... 建物の壁に描かれた徳川家の家紋「丸に三つ葉葵」に重みを感じます。

★八丁味噌を使った料理のレシピ
最初の紹介映像に登場したレシピ。どれも酒に合いそう...
・「野菜の味噌煮」:ざくぎりの野菜に八丁味噌を乗せて煮込むだけ。味噌の酸味・旨味・渋味が野菜の味を引き立てます。
・「田楽味噌」:八丁味噌にざらめと味醂をまぜて練り込んだものを、揚げ茄子などにたっぷりかけて...
・「ふりかけ」:八丁味噌を乾燥させて砕き、ゴマの風味を加えて...(電子レンジを使う時は焦げないようにご注意を)

小さなレシピブックももらえます。これも美味しそう...
・「焼き味噌」:ネギ・生姜・大葉を刻んで八丁味噌に混ぜ、直径3㎝厚さ1㎝ほどに固めたものを網で焼くだけ。

★大正庵釜春本店[たいしょうあんかまはるほんてん]
遅めのランチは、中岡崎駅の反対側のロータリー脇にある手打ちうどんのお店で取りました。
160819 (63)大正庵釜春本店_外観
岡崎周辺に7店舗を有する元祖・釜揚げうどんの本店だそうです。
160819 (66)大正庵釜春本店_メニュー
「八丁味噌煮込みうどん」(税込1,080円)を注文。うどんの茹で加減と紙エプロンが必要かどうかを聞かれます。
160819 (67)大正庵釜春本店_カウンター
炉端風のカウンター席。予め小口切りのネギがセットされていました。
160819 (68)大正庵釜春本店_手打ちのようす
うどんを手打ちする職人さん。
160819 (69)大正庵釜春本店_八丁味噌煮込みうどん - コピー
八丁味噌煮込みうどん。茹で加減は硬めで注文しましたが、コシの強い讃岐うどんよりもやや柔らかい感じでした。独特のコクがある八丁味噌のスープがよく浸みています。具材は鶏肉、たまご、しいたけ、かまぼこ、揚げ、ネギ。お好みで小口切りの生ネギ、唐辛子、ゴマをかけて頂きます。

★感想など
予備知識が殆どない状態で八丁味噌の蔵を見学しましたが、とても興味深い製造法と歴史を持っている発酵食品だと思いました。紹介映像や女性ガイドさんの説明がわかりやすかったので、わずかな時間で八丁味噌のことが理解でき、とても有意義な蔵見学でした。
金沢で八丁味噌(厳密には八丁味噌ではなかったわけですが...)をお土産に買った際に少し調べたはずでしたが、ほとんど頭に知識が残っていませんでした。やはり、書物で勉強する前に実際に現場を見た方がよく身に付くと思いました。

食事の後は、「カクキュー」の合資会社八丁味噌の見学ツアーに参加しました。

(初稿)2016.8.21

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 味噌
ジャンル : グルメ

【見学】タカノフーズ水戸工場(茨城・小美玉) - 業界No.1のおかめ納豆。パック詰めしてから豆を発酵させる!?

おかめ納豆でおなじみのタカノフーズの水戸工場を見学しました。同社は納豆業界最大手です(2位はミツカン)。できあがった納豆を容器に入れるのではなく、容器に煮豆(と透明なビニールとタレとカラシ)を入れてから発酵させることが衝撃(?)でした。

日時:2016年6月28日(火) 13:30~
場所:タカノフーズ水戸工場(茨城県小美玉市野田1542)
内容:見学、試食(ガイド付き)
料金:無料

★アクセス
JR常磐線の石岡駅から約13km、車で約30分です。以前は路線バスが通っていたそうですが、今はタクシーか自家用車でないとアクセスが難しいようです。この日は自宅付近から車で連れて行ってもらいました。

★見学受付
160628 (58)タカノフーズ水戸工場_外観
見学受付は、工場入口を入って左手の納豆博物館がある建物で行います。
この日の見学者は10名でした。

★DVD鑑賞
160628 (66)タカノフーズ水戸工場_DVDルーム
はじめに約20分のDVDを観ます。納豆の起源や栄養価、会社の紹介などがわかりやすくまとまっていました。

★第1工場(見学箇所)
160628 (76)タカノフーズ水戸工場_工場外観
DVD鑑賞に続いて、同じ敷地内の第1工場まで歩いて移動しました。途中で、煮豆や納豆の香りが漂ってきて気分が高まります。
屋上からは、豆を蒸煮[じょうしゃ]するときの蒸気がもうもうと上がっていました。
第1工場は4階建てですが、通常の7階建ての高さがあるそうです(大きな機械を設置するため)。

★納豆の製造工程
160628 (69)タカノフーズ水戸工場_製造工程図
入口でスリッパに履き替えて工場内へ。まず、壁の製造工程図(写真)を見ながら説明を受けました。
工場の内部では、4階で豆を洗い(洗浄)、3階で水にひたし(浸漬)、2階で煮て(蒸煮)、1階でパック詰め(充填)以降の作業を行います。製造工程の流れに沿って作業場が階下へ降りていく構造になっていました。
見学できるのは1階の充填(下記⓹)以降の工程のみで、作業場の撮影は不可でした。

①大豆の調達と選別:
原料の大豆は国産のほかに、米国やカナダから輸入されたもの(遺伝子組み換えでない契約栽培された品種)が使われています。原料の大豆は全国各地の大豆センターで低温貯蔵され、この間に、遺伝子組み換え大豆の混入や残留農薬がないことなどのチェックがおこなわれます、また、大型選別機や色彩選別機で選別を行い、ゴミや石などが取り除かれます。
160628 (65)タカノフーズ水戸工場_大豆サンプル
納豆博物館では、原料のサンプルに触れることができます(大粒、極小粒、碾き割りの3種)。

②洗浄(4F):
160628 (70)タカノフーズ水戸工場_洗浄室
水道を利用して大豆を洗浄します。

③浸漬(3F):
160628 (71)タカノフーズ水戸工場_浸漬室
大型浸漬タンクの中で大豆に水を吸わせます。大豆の種類に合わせて水に浸していきますが、およそ15-17℃の水温で18時間つけこむと豆の大きさは2倍になるそうです。

④蒸煮(2F):
160628 (72)タカノフーズ水戸工場_蒸煮
大豆をおよそ130℃で1時間ほど蒸煮して煮豆をつくり、あつあつのうちに納豆菌をスプレーします。納豆菌は摂氏100℃でも生き続ける強い生命力を持つため、他の菌が入り込まない高い温度のうちにスプレーします。蒸煮する釜は大きな釜と小さな釜で造り分けをしているそうです。

⑤充填(1F):
約80℃の煮豆を白い四角形の容器1つにつき約50g(極小粒で280-300粒)ずつ機械でパック詰め(充填)します。充填は1分に200パックという高速で行われます。煮豆を入れたら上から透明なビニール(被膜。納豆菌が呼吸をするたの小さい穴が開いています)をかけ、その上にタレとカラシを乗せてパック詰めします。異物の混入がないかどうかは、金属探知機とウェイトチェッカーなどで検査します。
丸い紙カップの容器(30g)は平たいトレーに並べられて縦に積まれますが、縦4段につき、空トレーの段を1段つくってすき間を開けます。これは、紙カップだと納豆菌が呼吸をしにくいためです。丸い紙カップは地元の学校の給食で出されているため、別名”給食パック”と呼ばれているそうです。

⑥発酵(1F):
パック詰めされた煮豆は、発酵室(室温45℃、湿度95%以上)の中で約18時間かけて納豆になります。納豆菌の生育が活発になるのはおよそ8時間を過ぎた頃からです。発酵室の広さは22畳(1部屋で2万パックを収納)で47部屋あります。発酵後の室内は酸素濃度が10%以下と危険な状態(一呼吸で気を失う?)なので、納豆を部屋から取り出す前に、入口に大きな扇風機のような機械を置いて室内に酸素を送り込みます。作業は酸素欠乏危険作業主任者という国家資格の保有者が行います。
発酵が失敗することがないか質問したところ、50の検査項目をチェックし、コンピューターで管理しているので発酵が失敗することはほとんどないとの回答でした。
160628 (86)タカノフーズ水戸工場_納豆菌
納豆博物館の納豆菌のパネル。タカノフーズでは約500種類の納豆菌を保有しており、商品の特性によって使い分けているそうです。研究所は納豆博物館の2階にあります。納豆菌の胞子は稲ワラ1本に1,000万個も生息しているそうです。

⑦熟成(1F):
発酵室から取り出した45℃のあたたかい納豆は熟成庫に運ばれ、温度が5℃になるまで冷却して、約1日熟成させます。
10℃以下だと納豆菌が活動して再発酵してしまい、色は白っぽく(時間が経つと黒く)、食感はなんとなくシャリシャリしたものになってしまうそうです。害はないものの美味しくないため、家庭でも冷蔵庫で保管するよう薦められました(1カ月程度なら冷凍保存もできるそうです)。

⑧包装・出荷(1F):
最終商品としてパックされ、金属検出などの最終チェックがおこなわれ、冷蔵車で全国各地へと出荷されていきます。

★試食
160628 (84)タカノフーズ水戸工場_試食コーナー
工場見学の後はDVDを見た部屋に戻り試食をさせて頂きました。同社では納豆以外の製品もつくっており、試食品には納豆のほかに豆腐や厚揚げがありました。
160628 (81)タカノフーズ水戸工場_そぼろ納豆
強い粘りと濃いうま味を引き出す納豆菌”TTCC865株”を使った製品。

<試食アイテム>
①国産とろり濃い豆腐:国産大豆をやわらかく寄せているので、とろりとした濃厚な味わい。
②青じそ風味納豆:しその香り豊かなさっぱりとした味わい。
③ねばうま納豆:発酵力の強い納豆菌(TTCC865株)を使用し、強い粘りと濃いうま味を引き出した本格派の納豆。
④国産・味付けそぼろ納豆:そぼろ納豆は、茨城県を中心に昔から親しまれている郷土食。醤油漬け風の割干し大根のパリパリした食感と納豆の組み合わせがクセになる味わい。
⓹絹厚揚げ:おかめ豆腐からつくりあげた絹厚揚げを肉豆腐のたれでからめたもの。味染みが良く、通常の生揚げよりも柔らかく、なめらかでもっちりとした食感。

★おみやげ
160628 (85)タカノフーズ水戸工場_おみやげ
最後にふりかけのおみやげを頂きました。納豆菌が生きているそうです。

★納豆博物館
160628 (60)タカノフーズ水戸工場_納豆博物館
納豆博物館には納豆の起源や栄養価などの説明がわかりやすくパネル展示されています。
160628 (63)タカノフーズ水戸工場_納豆博物館(顔はめ)
入口付近にある”おかめ”の顔はめ。大人気?の撮影スポットになっていました。

★納豆メモ
・納豆のねばねばは、納豆菌がたんぱく質を分解してできたグルタミン酸が長くつながったポリグルタミン酸と、糖の一種であるフラクタンという物質からできています。
・大豆から納豆になることにより、ビタミンB2やK2などのビタミン類が大豆より豊富になります。

[Link]Indexページに戻る
[Link]Nomura Seijiの公式HP
[Link]ご意見・お問い合わせはこちらから

テーマ : 納豆
ジャンル : グルメ

プロフィール

Nomura Seiji

Author:Nomura Seiji
・お酒と薬膳理論の入門講座、飲酒教育
 nomuras.jimdo.com
・JSAワイン検定講師
・JSAワインエキスパート
・1971年生
・東京在住

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR